民事執行法 第119条(事件の移送)
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- 執行裁判所は、強制競売の開始決定がされた船舶が管轄区域外の地に所在することとなつた場合には、船舶の所在地を管轄する地方裁判所に事件を移送することができる。
- 2.前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
この条文の基本情報
事件の移送とは何ですか?
定義事件の移送とは、民事執行法第119条に定められた規定で、「執行裁判所は、強制競売の開始決定がされた船舶が管轄区域外の地に所在することとなつた場合には、船舶の所在地を管轄する地方裁判所に事件を移送することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第119条(事件の移送)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第119条の条文原文は「執行裁判所は、強制競売の開始決定がされた船舶が管轄区域外の地に所在することとなつた場合には、船舶の所在地を管轄する地方裁判所に事件を移送することができる。」で始まります。
- 民事執行法第119条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第119条の前の条は民事執行法第118条です。
- 民事執行法第119条の次の条は民事執行法第120条です。
- 民事執行法第119条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第119条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第119条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/119
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法119条は、差押えを受けた船舶が管轄区域外へ所在することになった場合、執行裁判所が船舶所在地の地方裁判所へ事件を移送できると定める。移送決定に不服は申し立てられない。
Q · 差し押さえた船が管轄区域外の港へ移ってしまったら、競売はどうなるの?
職権で船の所在地の地裁へ移送され、手続はそのまま続きます
民事執行法119条により、強制競売の開始決定を受けた船舶が管轄区域外へ所在することになった場合、執行裁判所は船舶の所在地を管轄する地方裁判所へ事件を移送できます。手続はやり直しにならず、そのまま新しい管轄へ引き継がれます。移送は執行裁判所の職権で行われ、第2項により移送決定への不服申立てはできません。実務では、そもそも移送を発生させないよう、開始決定と同時に船舶国籍証書等を取り上げて(114条)船を出港できなくするのが定石です。
解説
船を担保に融資した。相手が返さないので裁判所に強制競売を申し立て、開始決定が出た。ところがその船は港を出て、別の県の海域へ移ってしまう。動産のくせに、船は自分の足で逃げられる。ここで働くのが119条だ。差押えの対象になった船が管轄区域外に所在することになった場合、執行裁判所は船の所在地を管轄する地方裁判所へ事件を移送できる。理由は単純で、船の評価も競売も引渡しも、船が現に浮いている場所でやるしかないからだ。そして2項が効く。この移送決定には不服を申し立てられない。つまり、移送に文句をつけて競売を引き延ばすという手は、最初から封じられている。船という財産を追いかける執行手続は、土地が逃げない不動産執行とは別のルールで動いている。
法的な位置づけ
民事執行法119条は船舶執行における事件の移送を定める規定であり、強制競売の開始決定を受けた船舶が管轄区域外へ所在するに至った場合、執行裁判所が船舶所在地の地方裁判所へ事件を移送できる旨を規定する。自走して管轄を越える船舶の特性に対応し、評価・競売・引渡しを現に船が所在する場所で実行するための執行手続上の特則である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.開始決定と同時に船舶国籍証書等を取り上げる 強制競売の開始決定を得たら、間を置かず民事執行法114条の船舶国籍証書等の取上げを執行官に申し立てる。証書を先に押さえれば船は出港できず、そもそも119条の移送問題を発生させずに手続を進められる
- 2.船舶の現在地を継続的に監視する 証書取上げの前に船が動いた場合に備え、船舶の入出港情報や航跡を継続監視する。航行の許可(118条)が出ていれば管轄区域外へ移る可能性が高いため、所在地の変化を早期に把握する
- 3.管轄外へ移ったら新しい管轄地裁を特定する 船が管轄区域外に所在することとなった場合、119条の移送は職権で行われる。移送決定の通知が届いたら、新しい管轄となる地方裁判所と担当部・事件番号を速やかに確認する
- 4.新管轄で期日・保管・費用予納を再手配する 移送決定には不服を申し立てられない(2項)ため、争うより新管轄での期日・保管人選任・費用予納の再手配を優先する。係船料など保管費用が競売価格を圧迫するため、早期売却の段取りも並行して進める
よくある質問 AI による整理
Q1船舶執行の管轄はどこの裁判所ですか?
強制競売の開始時は船籍港や船舶所在地を基準に決まりますが、開始後に船が管轄区域外へ移れば、民事執行法119条により船舶所在地の地方裁判所へ事件が移送されます。
Q2民事執行法119条の移送は誰が決めますか?
執行裁判所の職権で決定します。当事者の申立ては要件ではなく、債権者・債務者が望むかどうかに関わらず裁判所が判断します。第2項でその決定に不服は申し立てられません。
Q3船の差押え後でも船は航行できますか?
できる場合があります。民事執行法118条の航行の許可が出れば船は合法的に別の港へ動けます。その結果として管轄区域外へ移ると119条の移送が問題になります。
Q4船舶国籍証書の取上げとは何ですか?
民事執行法114条に基づき、執行官が船舶国籍証書等を取り上げる手続です。証書がなければ船は出港できず、事実上その港に係留され、移送問題自体を防げます。
Q5船が差し押さえられたら取り戻す方法はありますか?
民事執行法117条により、保証を提供して強制競売の手続を取り消してもらう方法があります。船を稼働に戻す最短ルートになり得ます。
Q6移送されると競売のスケジュールはどうなりますか?
管轄裁判所が変わるため書記官・評価人・期日が組み直され、進行に空白期間が生じます。その間も係船料などの保管費用は日々発生します。
Q7船の競売で執行抗告はできますか?
移送決定そのものへの不服申立てはできません(119条2項)。ただし競売手続の個々の違法については、執行異議や執行抗告(民事執行法10条)で争える余地があります。
Q8外国船が日本で差し押さえられることはありますか?
あります。日本の港に所在する船舶は日本で強制執行の対象となり得ます。競売中にさらに別の港へ移れば、119条により所在地の地方裁判所へ移送されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1差し押さえた船が勝手に別の港へ行ってしまったら、競売は最初からやり直しですか?
やり直しにはなりません。119条により、執行裁判所は船の所在地を管轄する地裁へ事件を移送でき、手続はそのまま引き継がれます。船を追って管轄が動くだけです。実務のポイント:実務では移送より先に、開始決定と同時に船舶国籍証書等を取り上げて(114条)船を港に釘付けにするのが定石。証書さえ押さえれば船は出港できず、移送問題自体がそもそも起きない。
Q2移送の決定に納得できないとき、抗告して止められますか?
止められません。119条2項が「不服を申し立てることができない」と明記しています。移送を口実に競売を引き延ばす戦術を封じるための規定です。実務のポイント:移送決定そのものは争えないが、競売手続の個々の違法(評価の誤り、手続違背)は執行異議・執行抗告で別途争える。移送に文句を言うのは筋が悪く、争うべきは手続の中身だと弁護士は割り切る。
間違えやすい点 AI による整理
- 「差し押さえた船は動かせないはず」と思い込みがちだが、開始決定後も航行の許可(118条)が出れば船は合法的に別の港へ動く。動いた先へ管轄が移るのが119条であって、船が一か所に固定されているという前提そのものが、実務ではしばしば崩れる。
- あなたから見れば「どこの裁判所でも同じ競売だろう」と映るが、法から見れば管轄裁判所が変われば担当書記官も評価人も期日も一新される。この落差が、遠方への移送で追加コストと時間を静かに積み上げていく。
- 移送は当事者が申し立てて動かすものだと誤解されやすいが、119条の移送は執行裁判所の職権判断。あなたが望んでも望まなくても裁判所が決め、しかも2項で不服は言えない。あなたに操作できる場面はそこには残されていない。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 119条:船舶が管轄区域外へ所在した場合の事件の移送 | 114条:船舶国籍証書等の取上げ(船を港に留める) 118条:航行の許可(船が動く典型場面) |
| 行為の主体 | 執行裁判所の職権による移送 | 執行官が証書等を取り上げる 執行裁判所が航行を許可する |
| 不服申立て | 移送決定に不服申立て不可(119条2項) | 手続の違法は執行異議・執行抗告で争い得る 許可・不許可の判断に対する不服の余地 |
| 手続上の狙い | 船に管轄を追随させ執行の実効性を確保 | 船の逃走を物理的に防止 船の運航利益と執行の両立を調整 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は船舶執行を原則として不動産執行に準用し、船舶所在地を管轄の基準とする点で日本と発想が近い。証書等の押さえによる出港防止も同様の実務が見られる。
ドイツも登記船舶の強制執行を不動産に準じて扱い、船舶所在地の裁判所を基準とする構造を持つが、具体的な移送規律は異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 船舶抵当権を実行して、A 港を管轄する地裁で強制競売の開始決定を取った。ところが船はすでに B 港へ向けて航行中だった。B 港に着けば、事件は B 港の地裁へ移送されうる。あなたが追いかけるべき裁判所が、船の航跡とともに動いていく。
- もし、競売にかけられた船が嵐を避けて隣県の港に緊急入港したら、審理する裁判所はどうなる? 執行裁判所は所在地の地裁へ事件を移送でき、しかもその決定には当事者の誰も不服を言えない。
- 移送決定の通知が届いた。争う道はない(2項)。次の期日がどこの裁判所で開かれるか、今日中に新しい管轄を確認しておかないと、競売の進行から置き去りにされる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 開始決定を取ったら即、船舶国籍証書等の取上げ(114条)を確保し、船を物理的に動けなくする2. それでも船が管轄外へ移った場合、119条の移送は職権で行われるため、新しい管轄地裁を速やかに特定する3. 移送決定に不服は言えない(2項)ので、争うより新管轄での期日・保管人・費用予納の再手配を優先4. 係船料など保管費用が競売価格を圧迫するため、早期売却の段取りを並行して進める
訴えられた側:1. 自分の船が強制競売にかけられたら、まず開始決定の適法性と被担保債権の額を精査2. 保証の提供による手続の取消し(117条)が使えないか検討、船を取り戻す最短ルートになりうる3. 移送そのものには不服申立てできないが、競売手続全体には執行異議・執行抗告の余地が残る4. 船の稼働停止で日々損失が出るため、任意売却や債務整理での早期解決も並行検討する
時効(請求できる期限):119条の移送決定に対する不服申立ては制度上存在しない(2項)ため、この決定について争う期間の問題は生じない。ただし競売手続全体については、執行異議は原則として手続中いつでも、執行抗告は裁判の告知を受けた日から1週間以内(民事執行法10条)という期間制限がある
学説
通説:119条は、自走して管轄を越える船舶の特性に対し、事件を船舶所在地へ移送させて執行の実効性を確保する規定と解される。2項の不服申立て不可は、移送を口実とする手続遅延を防ぎ、追随性と迅速性を両立させる趣旨と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定(昭和54年法律第4号)に伴い、旧来の競売法・民事訴訟法上の執行規定を再編して船舶執行の章を整備。本条は船舶が管轄区域外に所在する場合の事件の移送を定める。
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