民事執行法 第118条(航行許可)
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- 執行裁判所は、営業上の必要その他相当の事由があると認める場合において、各債権者並びに最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意があるときは、債務者の申立てにより、船舶の航行を許可することができる。
- 2.前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
- 3.第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
この条文の基本情報
航行許可とは何ですか?
定義航行許可とは、民事執行法第118条に定められた規定で、「執行裁判所は、営業上の必要その他相当の事由があると認める場合において、各債権者並びに最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意があるときは、債務者の申…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第118条(航行許可)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第118条の条文原文は「執行裁判所は、営業上の必要その他相当の事由があると認める場合において、各債権者並びに最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意があるときは、債務者の申…」で始まります。
- 民事執行法第118条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第118条の前の条は民事執行法第117条です。
- 民事執行法第118条の次の条は民事執行法第119条です。
- 民事執行法第118条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第118条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第118条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/118
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法118条は、差押え中の船舶でも、営業上の必要と関係者全員の同意があれば、債務者の申立てにより執行裁判所が航行を許可できると定める。決定は確定しなければ効力を生じない。
Q · 差し押さえられた船を動かして稼ぐことはできますか?
営業上の必要と関係者全員の同意があれば航行できます
民事執行法118条により、差押え中の船舶でも、営業上の必要その他相当の事由があり、各債権者・最高価買受申出人又は買受人・次順位買受申出人の全員が同意すれば、債務者の申立てにより執行裁判所が航行を許可できます。ただし決定は確定しなければ効力を生じず、決定に対しては執行抗告が可能です。一人でも反対すれば許可は出ないため、同意の取り付けが実務上の最大の壁になります。
解説
港に係留されたまま、借金のカタに差し押さえられた貨物船。動かせないうちに維持費だけがかさみ、担保価値もじわじわ落ちていく。普通ならそこで詰みだと誰もが思う。ところが民事執行法118条は、差押え中の船を「航行させてよい」と認める例外を用意している。条件は三つ。営業上の必要その他相当の事由があること、各債権者と最高価買受申出人・買受人・次順位買受申出人の全員が同意すること、そして債務者であるあなた自身が申し立てること。なぜこんな制度があるのか。船は動かしてこそ運賃を生む財産だからだ。港で眠らせれば維持費だけが出ていき、担保価値も下がる。海に出して稼げば、その利益は回り回って債権者への配当原資にもなる。差押え=完全な凍結という思い込みが、船主にも債権者にもそろって損をさせる。
法的な位置づけ
民事執行法118条は船舶執行における航行許可を定める規定であり、差押え中の船舶について、営業上の必要その他相当の事由があり、各債権者・最高価買受申出人又は買受人・次順位買受申出人の同意がある場合に、債務者の申立てにより執行裁判所が航行を許可できる旨を規定する。当該決定は確定して初めて効力を生じる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.営業上の必要と相当の事由を疎明する資料を集める 傭船契約書、漁期の証明、運航スケジュール、維持費の見積りなど、航行の必要性と経済的合理性を裏づける資料を準備する。営業上の必要その他相当の事由の疎明が第一関門となる
- 2.同意を取るべき全員を特定する 各債権者、最高価買受申出人または買受人、次順位買受申出人を漏れなく特定する。手続の進行段階により同意を要する範囲が変わるため、競売手続の現状を執行記録で確認する
- 3.各債権者に損得を示して同意書を取得する 同意は義務ではないため、航行で得た運賃が配当原資を増やすという損得を数字で示し、帰港期限や保証金の条件を提示して同意書を取り付ける
- 4.執行裁判所に債務者名義で航行許可を申し立てる 疎明資料と全員の同意書を添え、債務者名義で航行許可を申し立てる。決定は確定しないと効力が生じない(3項)ため、執行抗告期間(1週間)を見込んでスケジュールを組む
よくある質問 AI による整理
Q1船舶執行とは何ですか?
登記された船舶を対象とする強制執行で、原則として不動産執行の規定が準用されます(民執121条)。差押えにより国籍証書等が取り上げられ、船は事実上出港できなくなります。
Q2差押え船舶の航行許可の申立ては誰がするのですか?
債務者本人が執行裁判所に申し立てます。債権者や買受人は同意する立場であり、申立権者ではありません。営業上の必要その他相当の事由の疎明が必要です。
Q3航行許可の決定にはいつから効力が生じますか?
民執118条3項により、決定は確定しなければ効力を生じません。執行抗告期間の経過または抗告審の確定を待って初めて船を動かせます。
Q4航行許可の決定に対する執行抗告はいつまでにできますか?
裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間内です(民執10条2項)。この期間が過ぎ確定して初めて許可の効力が生じます。
Q5差押え中の船の維持費は誰が負担しますか?
原則として所有者である債務者が負担します。係留料・船員の待機費・保険料が日々発生し、係留が長引くほど担保価値が目減りします。
Q6全員の同意が取れないとき船を動かす方法はありますか?
民執117条の保証提供による強制競売手続の取消しを検討できます。差押えそのものを外せば船を自由に運航できる可能性が残ります。
Q7漁船が差し押さえられたら漁に出られませんか?
原則出られませんが、漁期という営業上の必要を疎明し、債権者・買受人らの同意を得て航行許可を申し立てれば運航できる余地があります。
Q8航行許可の申立てに期限はありますか?
条文上の期限はありませんが、競売手続が進むと同意を取るべき相手が買受人や次順位買受申出人に増え、事実上早い段階ほど有利です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1差し押さえられた船って、本当に動かしていいんですか?勝手に出港したら罪になりませんか?
勝手な出港はできませんが、118条の航行許可を取れば適法に航行できます。要件は営業上の必要と関係者全員の同意、そして債務者の申立てです。許可なく差押え中の船を動かせば、封印等破棄罪などに問われるおそれもあります。実務のポイント:許可を取るまでの間も、船を港に置くだけで係留料・船員の待機費・保険料が日々発生する。この維持コストを「同意しないと配当が目減りする」材料として債権者に見せると、渋っていた相手が同意に傾くことがある
Q2債権者が一人でも反対したら、もう航行はできないんですか?
はい、118条は「各債権者」全員の同意を要件とするため、一人でも反対すれば航行許可は出ません。買受人や次順位買受申出人が現れていれば、その同意も必要です。実務のポイント:全員同意が取れないときの代替策として、117条の保証提供による強制競売手続の取消しがある。差押えそのものを外して船を自由に動かせる可能性が残る。航行許可に固執せず、差押えを外す道を並行して検討するのが実務の定石
間違えやすい点 AI による整理
- 「差し押さえられた船は一切動かせない」と信じられているが、118条の要件を満たせば適法に航行できる。凍結が原則で航行は例外、という理解でよいが、その例外の扉が確かに用意されている点を見落としてはならない
- 船主から見れば「早く動かして運賃を稼ぎたい」だが、法律から見れば「動かした船が戻らなければ担保そのものが消える」。この視点の落差を埋めるのが全員同意の要件で、債権者の警戒心を無視して申し立てても決して通らない
- 全員の同意が要ることは知っていても、その「全員」の広さを軽く見ている人が多い。各債権者だけでなく、最高価買受申出人・買受人・次順位買受申出人まで含む。競売手続が進むほど同意を取るべき相手が増え、タイミングを逃すと事実上不可能になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 目的 | 118条:差押えを維持したまま船を航行させ収益を上げる | 117条:保証提供で競売手続自体を取り消し船を解放 116条:保管人を選任し差押船舶を管理する |
| 差押えの帰趨 | 差押えは継続する(船は動くが換価手続は残る) | 強制競売手続が取り消され差押えが外れる 差押えを維持したまま管理体制を整える |
| 主なハードル | 関係者全員の同意 + 営業上の必要の疎明 | 手続費用と債権額に相当する保証の提供 保管人選任の申立てと保管費用の負担 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も差押え中の船舶について、債権者の同意等を条件に執行法院が航行を許可しうる仕組みを持ち、収益資産の稼働維持を図る点で日本と共通する
韓国も船舶に対する強制執行を独立に規律し、日本と同様に不動産執行規定の準用構造をとる。航行に関する例外的取扱いを認める点で類似
ドイツは登記船舶への強制執行を不動産類似の手続で規律。航行の可否は保全と換価の調整として裁判所が判断する枠組みをとる
米国は海事管轄の対物訴訟として船舶を arrest する制度を持ち、担保提供(bond)による解放が中心で、同意に基づく航行許可という発想とは構造が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 傭船契約の履行期限まであと10日。だが船は差押え中で動かせない。118条の航行許可を今から取れば契約を守り違約金を回避できるが、全債権者の同意集めが期限に間に合うかが勝負になる
- もし、あなたが差押えを申し立てた債権者だったとしたら、船を航行させることに同意すべきか。答えは状況次第だ。海外航路に出れば戻らないリスクがある一方、係留したまま価値が落ちれば配当も減る。同意するかどうかの判断が、あなた自身の回収額を左右する
- 漁業会社を営むあなたの漁船が差し押さえられた。漁期を逃せば一年分の水揚げがゼロになる。営業上の必要を疎明し、債権者と買受人の同意を取り付けて航行許可を申し立てる。この一手を知らなければ、船だけでなく会社ごと沈む
取るべき行動
被害を受けた側:1. 航行の必要性を裏づける資料を集める(傭船契約書、漁期の証明、運航スケジュール、維持費の見積り)。営業上の必要その他相当の事由の疎明が第一関門2. 同意を取るべき全員を特定:各債権者、最高価買受申出人または買受人、次順位買受申出人。手続の進行段階で範囲が変わる3. 各債権者に、航行が配当原資を増やす損得を数字で示して同意書を取得4. 執行裁判所に債務者名義で航行許可を申し立てる。決定は確定しないと効力が生じない(3項)ため、抗告期間も見込んでスケジュールを組む
訴えられた側:1. 債務者から同意を求められたら、船が航行して戻らないリスクと、係留で担保価値が下がるリスクを天秤にかける2. 同意の条件として、保証金の積み増しや運賃の管理方法、帰港期限の明示を交渉できる3. 航行許可の決定に不服なら執行抗告を申し立てる(2項)。決定は確定するまで効力を生じないので、抗告すれば航行を止められる4. 海外航路など回収不能リスクが高い場合は、同意を拒否する判断も正当。同意は義務ではない
時効(請求できる期限):航行許可の決定に対する執行抗告は、裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間内(民事執行法10条2項)。この決定は確定しなければ効力を生じない(118条3項)ため、抗告期間の経過または抗告審の確定を待って初めて航行できる。申立て自体に特定の期限はないが、競売手続の進行に事実上追われる
学説
通説:118条の航行許可は、差押財産の保全と収益資産としての船舶の稼働維持という利益衝突を、関係者全員の同意によって調整する趣旨とされる。営業上の必要その他相当の事由の疎明と全員同意が要件であり、決定は確定して初めて効力を生じるため、逃亡・毀損リスクを負う債権者側の手続保障が図られていると解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、従来複数の法律に分散していた強制執行手続を一元化。船舶執行の一環として、差押え中の船舶の航行許可制度が整備された。
- 民事執行法 第112条船舶執行の開始決定と国籍証書等の取上げ
- 民事執行法 第116条保管人の選任と差押船舶の管理
- 民事執行法 第117条保証提供による競売手続の取消し、航行回復の別ルート
- 民事執行法 第10条執行抗告の一般規定と1週間の不変期間
- 民事執行法 第121条船舶執行への不動産執行規定の準用
- 破産法 第42条破産手続開始で船舶執行が失効する特則(現行効力を要確認)
- 民事再生法 第39条再生手続開始による強制執行の中止・禁止(現行効力を要確認)
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