民事執行法 第120条(船舶国籍証書等の取上げができない場合の強制競売の手続の取消し)
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執行官が強制競売の開始決定の発せられた日から二週間以内に船舶国籍証書等を取り上げることができないときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消さなければならない。
この条文の基本情報
船舶国籍証書等の取上げができない場合の強制競売の手続の取消しとは何ですか?
定義船舶国籍証書等の取上げができない場合の強制競売の手続の取消しとは、民事執行法第120条に定められた規定で、「執行官が強制競売の開始決定の発せられた日から二週間以内に船舶国籍証書等を取り上げることができないときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消さなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第120条(船舶国籍証書等の取上げができない場合の強制競売の手続の取消し)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第120条の条文原文は「執行官が強制競売の開始決定の発せられた日から二週間以内に船舶国籍証書等を取り上げることができないときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消さなければならない。」で始まります。
- 民事執行法第120条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第120条の前の条は民事執行法第119条です。
- 民事執行法第120条の次の条は民事執行法第121条です。
- 民事執行法第120条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第120条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第120条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/120
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法120条は、執行官が開始決定日から2週間以内に船舶国籍証書等を取り上げられないとき、執行裁判所が強制競売手続を取り消さなければならないと定める。
Q · 船を差し押さえたのに、2週間で証書を取り上げられなかったら競売はどうなるの?
2週間以内に証書を取れなければ競売は取り消されます
民事執行法120条により、執行官が強制競売の開始決定の発令日から2週間以内に船舶国籍証書等を取り上げられないときは、執行裁判所は手続を取り消さなければなりません。これは裁判所の裁量ではなく義務です。船は移動財産であるため、証書を物理的に確保しなければ差押えの実効性が保てないからです。取消しは今回の手続の終了であって、債権自体が消えるわけではなく、証書の所在を確定させたうえで再申立てが可能です。実務では115条の取上命令の保全処分を開始決定と同時に申し立てるのが定石とされます。
解説
船は逃げる。これが船舶執行という手続の出発点であり、120条の存在理由だ。土地や建物と違い、船は一晩で沖へ出て別の港に消える。だから法は、船を差し押さえるとき真っ先に『船舶国籍証書』(船の国籍と登録を証明する書類で、これがないと船は適法に航行できない)を執行官に取り上げさせる。証書を握れば、船は港に釘付けになる。ところが執行官が強制競売の開始決定の日から2週間以内に証書を取り上げられなければ、執行裁判所は競売手続そのものを取り消さなければならない。裁量ではなく義務だ。つまり、あなたが船を担保に取った債権者なら、この2週間はカウントダウンの始まった戦場である。証書という一枚の紙を先に押さえられるかどうかで、数千万円の債権回収が成立するか、振り出しに戻るかが決まる。不動産執行の感覚で構えていると、その差は致命的になる。
法的な位置づけ
民事執行法120条は、船舶に対する強制競売の取消しを定める規定である。執行官が開始決定の発令日から2週間以内に船舶国籍証書等を取り上げられない場合、執行裁判所は手続を職権で取り消す義務を負う。船舶が移動財産である特性に対応し、現物確保に期限を画することで、実効性なき手続の長期化を防ぐ機能を持つ。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.開始決定と同時に115条の保全処分を申し立てる 強制競売の申立てと同時に、船舶国籍証書等の取上げを命ずる保全処分(115条)をセットで申し立てる。開始決定を単独で待つと、その隙に船が出港し2週間の時計だけが進む
- 2.船の現在地・入港予定・係船場所を確定する 船舶代理店への照会や AIS 航行情報を用いて、執行官が確実に船体へ接触できる日と場所を特定する。所在が不明のまま決定だけ取っても2週間を空費する
- 3.所在確定後にタイミングを合わせ開始決定を取得する 船が確実に港にいる時期に合わせて開始決定を取得し、2週間の起算と現物確保のタイミングを一致させる。やみくもな決定取得は避ける
- 4.起算後は執行官と緊密に連携し証書を取り上げる 2週間の起算が始まったら執行官と密に連絡を取り、取上げの機会を逃さない。取り上げられれば船は港に固定され、競売手続が実効性を持つ
よくある質問 AI による整理
Q1船舶執行とは何ですか?
船舶を対象とする強制執行手続で、不動産に準じつつ移動財産である特性に対応した特則が置かれています。差押え後は証書を取り上げて航行を止めるのが核心です(民事執行法112条以下)。
Q2船舶国籍証書とは何ですか?
船の国籍と登録を証明する書類で、これがないと船は適法に航行できません。船舶法5条が交付根拠です。執行官が取り上げると、船は事実上港に釘付けになります。
Q3民事執行法120条の2週間はいつから起算しますか?
強制競売の開始決定が発せられた日が起算点です。債務者への送達日ではない点に注意が必要です。この期間内に証書を取り上げられなければ手続は取り消されます。
Q4船が港にいないと差し押さえできないのですか?
開始決定は出せますが、証書を物理的に取り上げないと2週間の壁に阻まれます。入港予定や係船場所を事前に調べ、執行官が接触できる状態を作ることが重要です。
Q5115条の取上命令の保全処分とは何ですか?
開始決定前でも船舶国籍証書等の取上げを命じる保全処分です。開始決定と同時に申し立てておくと、船が出港する前に証書を確保でき、120条の期限リスクを下げられます。
Q6漁船を差し押さえるにはどうすればよいですか?
管轄裁判所に強制競売を申し立て、同時に115条の保全処分で証書取上げを確保します。漁船は操業で移動するため、所在情報の精度が回収の成否を左右します。
Q7船舶競売が取り消されたら債権も消えますか?
消えません。取消しは今回の手続の終了にすぎず、証書の所在を確定させれば再申立てが可能です。ただし取消し期間中に船が移動・処分されるリスクは高まります。
Q8船舶執行と不動産執行の違いは何ですか?
不動産は動かないため登記中心ですが、船は移動するため証書の現物確保が必須で、120条の2週間という時間制限が加わります。スピード勝負である点が決定的に異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1差押えの登記まで済ませたのに、なぜ2週間で船を取り上げられないと競売が消えるんですか?
登記は権利関係の公示、証書の取上げは船を物理的に止める措置で、目的が全く違うからです。船は移動財産なので、証書を押さえないと売却しても買受人に確実に引き渡せません。だから120条は現物確保を2週間の必須条件にしています(112条、114条)。実務のポイント:実務では開始決定の申立てと同時に115条の取上命令の保全処分を打つのが定石です。これを怠って証書を先に逃がされると、2週間で全部やり直し。船舶執行に慣れた代理人は必ずこの保全処分をセットで申し立てます
Q22週間で取り消されたら、もうその船は二度と競売できないんですか?
いいえ。取消しは今回の手続の終了であって、あなたの債権が消えるわけではありません。証書の所在をつかんだうえで再度申立てができます。ただし取消しの間に船が売却・移動されるリスクは高まります(120条、118条の航行許可)。実務のポイント:再申立ての前に、船の現在地を確定させる調査(入港情報や係船場所の特定)を先に済ませるのが鉄則です。やみくもに再申立てしても同じ2週間の壁にぶつかる。まず証書を押さえられる状況を作ってから開始決定を取りに行く、この順序が回収の分かれ目です
間違えやすい点 AI による整理
- 「差押えの登記さえ入れば船は押さえた」と考える債権者は多いが、それでは半分しか押さえていない。登記は権利関係の公示にすぎず、船は物理的にはそのまま動く。証書を取り上げて初めて航行が止まる。しかもその現物確保を2週間で終えられなければ、入れた登記ごと取消しで無に帰す。効力の限界を知らないまま安心するのが一番危ない
- 「2週間はあくまで執行官の努力目標で、過ぎても続けられる」と思われがちだが、条文は「取り消さなければならない」と書く。裁判所に裁量の余地はなく、期間経過で手続は自動的に死ぬ。延長交渉の余地もない
- 債務者側で「開始決定が来た時点で船はもう自分のものではない」と諦める人がいるが、問いの立て方が逆。証書が取り上げられるまで手続は未完成であり、2週間しのげば手続そのものが消える。所有権の帰趨ではなく、証書の所在こそが現在の焦点だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 役割 | 120条:2週間以内に証書を取れなければ手続を取り消す(取消し要件) | 115条:開始決定前でも証書取上げを命じる保全処分(事前確保) 118条:差押え後の船舶の航行許可(例外的解除) |
| 発動主体 | 執行裁判所(職権で取消し義務) | 債権者の申立て 利害関係人の申立てに基づく許可 |
| 船への効果 | 取り上げ失敗で手続ごと消滅、船は自由になる | 先んじて証書を確保し航行を封じる 一時的に航行を認め船を動かせる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も船舶を不動産に準じて執行しつつ移動財産の特性に対応する。船舶国籍証書に相当する書類の確保が実務上の焦点となる点は日本と共通
韓国も船舶に対する強制執行を不動産執行に準じて規律し、船舶国籍証書等の確保を伴う。移動性への対応構造は日本と類似
ドイツは登記船舶への強制執行を規定し、船舶登記簿を基礎とする。証書取上げの期限を明示する日本120条のような時間制限は独自色
米国海事法は船舶の in rem arrest(対物差押え)で船を物理的に確保する。現物確保を核心とする点で日本の証書取上げと機能的に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先が所有する貨物船を差し押さえたい。だが開始決定が出た今、船は近海のどこかを航行中で港にいない。執行官が船を捕まえられないまま2週間が過ぎたら、どうなる? 手続は取り消され、あなたはまた一から申立てをやり直すことになる
- あなたの漁船に競売開始決定が届いた。だが船はたまたま遠方の漁港で操業中で、証書も船長の手元にある。執行官が2週間その船に届かなければ、この競売は取り消される。船が動く財産であること自体が、そのまま手続の弱点になっている
- 船舶融資を扱う金融機関の担当者。開始決定と同時に115条の取上命令の保全処分を打っておかなかったために、開始決定から取上げまでの隙に船が出港。2週間の壁で回収案件が丸ごと振り出しに戻り、上司への説明に追われている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 開始決定の申立てと同時に、115条の船舶国籍証書等の取上げを命ずる保全処分を必ずセットで申し立てる。開始決定を単独で待つと、その間に船が動く2. 船の現在地・入港予定・係船場所を船舶代理店やAIS航行情報で事前に確定し、執行官が確実に船へ接触できる状態を作っておく3. 2週間の起算が始まったら執行官と緊密に連携し、取上げの機会を逃さない4. 万一取り消されても債権自体は消えない。証書を押さえられる状況を整えてから再申立てに向かう
訴えられた側:1. 開始決定が届いても、証書が取り上げられるまで手続は完成していない。まず証書の所在と自分の法的立場を確認する2. 過大な差押えや手続要件の不備があれば、執行異議や執行抗告といった適法な手段で争う3. 証書を故意に隠匿・毀棄する行為は執行妨害等の別の責任を招きうるため、対抗はあくまで手続内にとどめる4. 差押えを解きたいなら、債権者との弁済・和解交渉で開始決定の取下げを引き出すのが本筋
時効(請求できる期限):強制競売の開始決定が発せられた日から2週間。この期間内に執行官が船舶国籍証書等を取り上げられなければ、執行裁判所は手続を取り消さなければならない(民事執行法120条)。起算点は開始決定の発令日であり、債務者への送達日ではない点に注意。
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