民事執行法 第80条(代金不納付の効果)
クイックジャンプ
- 買受人が代金を納付しないときは、売却許可決定は、その効力を失う。この場合においては、買受人は、第六十六条の規定により提供した保証の返還を請求することができない。
- 2.前項前段の場合において、次順位買受けの申出があるときは、執行裁判所は、その申出について売却の許可又は不許可の決定をしなければならない。
この条文の基本情報
代金不納付の効果とは何ですか?
定義代金不納付の効果とは、民事執行法第80条に定められた規定で、「買受人が代金を納付しないときは、売却許可決定は、その効力を失う。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第80条(代金不納付の効果)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第80条の条文原文は「買受人が代金を納付しないときは、売却許可決定は、その効力を失う。」で始まります。
- 民事執行法第80条は第二目 強制競売に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第80条の前の条は民事執行法第79条です。
- 民事執行法第80条の次の条は民事執行法第81条です。
- 民事執行法第80条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第80条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第80条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/80
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法80条は、買受人が代金を納付しないと売却許可決定が当然に失効し、提供した保証も没収されると定める。次順位買受けの申出があれば裁判所がその許否を決定する。
Q · 競売で落札したのに代金を払えなかったら、預けた保証金は戻ってくるの?
戻りません。保証は没収され、物件も次順位者へ流れます。
民事執行法80条1項により、買受人が代金納付期限までに代金を納付しないと、売却許可決定は当然に効力を失い、66条で提供した保証(通常は売却基準価額の2割)の返還を請求できず没収されます。融資が下りなかった等の理由は問われません。次順位買受けの申出があれば、執行裁判所がその者への売却の許否を決定します(同条2項)。落札後に払えないと、保証と物件の双方を同時に失う構造です。
解説
競売で理想の物件を落札した。だが住宅ローンの本審査が予想外に通らず、裁判所の定めた期限までに代金を用意できなかった。この瞬間、民事執行法80条が牙をむく。代金を納付しないと売却許可決定は自動的に効力を失い、あなたが入札時に預けた保証(66条により提供、通常は売却基準価額の2割)は一円も返還請求できない。数千万円の物件なら保証だけで数百万円、それが丸ごと没収される。しかも文句は言えない、条文がそう定めている。さらに落札を逃したその物件は、あなたに次いで高値を付けた次順位買受申出人の手に渡る可能性がある。つまりあなたの脱落が、そのままライバルの取得に直結する。競売入札で本当に怖いのは負けることではない、勝った後に払えないことだ。
法的な位置づけ
民事執行法80条は、不動産競売における代金不納付の効果を定める規定である。買受人が執行裁判所の定めた代金納付期限までに代金を納付しないとき、売却許可決定は当然にその効力を失い、第66条により提供された買受けの申出の保証は返還請求できず没収される。次順位買受けの申出がある場合は、執行裁判所がその許否を決定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.入札前に競売用の融資枠を事前確保 落札してから審査を始めるのでは代金納付期限にまず間に合わない。競売に強い金融機関で、落札を条件とした事前審査を通し、代金相当額の融資枠または現金の導線を先に確保する
- 2.3点セットで物件と資金計画を精査 物件明細書・現況調査報告書・評価書を読み込み、想定落札額から必要な代金と保証額(原則として売却基準価額の2割)を算出し、納付期限までの現金化スケジュールを紙に書き出す
- 3.代金納付期限を落札前に想定しておく 代金納付期限は売却許可決定の確定後に裁判所が定め、実務上おおむね1か月以内で延長されない。この期限内に確実に納付できる資金導線を、入札額とワンセットで設計する
- 4.次順位買受けの申出を戦略的に検討 トップ落札者が代金を飛ばす可能性を読み、開札期日のその場で次順位買受けの申出をしておけば、相手の脱落時に再入札を経ず物件を取得できる。ただし申出中は保証が拘束される点も踏まえる
- 5.落札後、期限内に確実に代金を納付 売却許可決定の確定後に定められた代金納付期限までに代金を納付する。納付すれば79条により所有権を取得。納付を怠れば80条で決定は当然に失効し保証は没収される
よくある質問 AI による整理
Q1競売の代金納付期限はいつまでですか?
執行裁判所が売却許可決定の確定後に定めます。実務上おおむね1か月以内で、原則として延長されません。1日でも過ぎれば売却許可決定は当然に失効します。
Q2競売で代金を払えないとどうなりますか?
売却許可決定が効力を失い、66条で預けた保証(通常2割)が没収されます。物件は取得できず、次順位者への売却か再売却に回ります(民事執行法80条)。
Q3競売の保証金はいくら必要ですか?
原則として売却基準価額の2割です。数千万円の物件なら数百万円になり、代金不納付の場合はこれが丸ごと没収されます。
Q4競売代金の納付期限は延長できますか?
原則として延長されません。事情を説明しても、期限を過ぎた時点で売却許可決定は当然に失効します。資金導線は入札前に確保しておく必要があります。
Q5競売で落札後にキャンセルできますか?
自由なキャンセルはできません。代金を納付しなければ売却許可決定は失効しますが、その代償として保証が没収されます(民事執行法80条)。
Q6買受人が代金不納付だと物件はどうなりますか?
次順位買受けの申出があればその者への売却の許否を裁判所が決定し、なければ再売却の手続に回ります(民事執行法80条2項)。
Q7競売に住宅ローンの融資特約はありますか?
ありません。売買契約と異なり、ローンが下りなくても落札した以上は自己資金でも払う義務があり、払えなければ保証没収は避けられません。
Q8没収された競売の保証金はどこへ行きますか?
買受人には戻りません。再売却での価格下落の穴埋め等を経て、最終的に配当手続を通じて債権者の回収に充てられます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1競売で落札したのに代金を払えなかったら、保証金は本当に一円も戻らないんですか?
戻りません。民事執行法80条1項が明記しています。66条で入札時に預けた保証は、代金不納付が確定した瞬間に返還請求権が消え、没収されます。理由が何であれ例外はありません。実務のポイント:この没収された保証は買受人に戻らず、その後の再売却で価格が下がった場合の穴埋めなどを経て、最終的に配当手続を通じて債権者の回収に回ります。あなたの脱落がそのまま債権者の利益になる構造だからこそ、裁判所も債権者も不納付に一切温情を見せない
Q2次順位買受けの申出って、しておいた方が得なんですか?
状況次第ですが有力な戦略です。民事執行法67条に基づき開札期日中に申し出れば、トップ落札者が代金を飛ばしたとき(80条2項)、再入札を経ずにあなたが物件を取得できる可能性があります。実務のポイント:次順位の申出をすると、あなたの保証は買受人が代金を納付するまで返還されず拘束され続けます。トップが無事に納付すれば返ってきますが、その間は資金が塩漬けになる。この拘束期間と取得チャンスを天秤にかけるのが、玄人の判断どころです
間違えやすい点 AI による整理
- 「保証が戻らないなら、せめて物件をもらえないのは理不尽だ」と考える人がいるが、問いの立て方が間違っている。80条の保証没収は罰金ではなく、あなたの脱落が生む再売却の手間と価格下落を填補するための担保だ。払わなかった者が、その穴埋めコストを負う構造になっている
- 融資審査さえ通れば払えると多くの人が思っているが、問題の深刻さを見誤っている。競売には売買契約のような融資特約が存在しない。ローンが下りなくても、落札した以上は自己資金をかき集めてでも払わねばならず、払えなければ保証没収は避けられない
- 「代金を払えなくても、裁判所に事情を説明すれば期限を延ばしてもらえる」と思われがちだが、代金納付期限は原則として延長されない。期限を1日でも過ぎた時点で、売却許可決定は当然に効力を失う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象局面 | 民訴執80条:代金を納付しなかったとき | 民訴執78条:代金を納付するとき(納付義務・方法) 民訴執79条:代金を納付したとき(権利取得) |
| 主な効果 | 売却許可決定が当然に失効+保証没収 | 定められた期限までの代金納付義務が生じる 買受人が不動産の所有権を取得する |
| 保証(66条)の帰趨 | 返還請求不可、没収されて配当原資に充当 | 納付額に充当される(納付手続の一部) 代金に充当済みで手続完了、拘束は解ける |
| 次の手続 | 次順位買受けの許否決定または再売却(80条2項) | 納付確認へ進む 登記嘱託・引渡しへ進む |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も拍定人が価金を納付しないと再拍売となり、原拍定人は再拍売不参加+既納の保証金が差額に充当される。日本の保証没収と機能が近い
韓国は買受人が代金支払期限までに支払わない場合、再売却(재매각)となり、既に納付した保証金の返還を請求できない点で日本と類似する
ドイツも Zuschlag(競落)後に代金不納付があれば再競売(Wiederversteigerung)となり、従前の買受人は差額について責任を負う構造をとる
米国では落札者が代金を納付しないと手付(deposit/earnest money)を没収され、再売却の差損(deficiency)について責任を負うのが一般的。州法により扱いが分かれる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 落札から代金納付期限まで残り数日。融資の本審査がまだ下りない。ここで払えなければ、預けた保証は消え、物件も次順位者へ流れる。売買契約と違い融資特約のない競売では、この期限が唯一の命綱になる
- もし落札後に物件の重大な瑕疵が判明したら、代金を払わず手を引けば保証は戻るのか。答えは否。80条は理由を一切問わず、不納付なら保証没収と定める。瑕疵を理由に抜けたいなら、75条の売却許可決定の取消しなど別の道で争うしかない
- あなたが次順位買受けの申出をしていた側だとする。トップ落札者が代金を飛ばした。その瞬間、執行裁判所はあなたへの売却の許可か不許可かを判断しなければならない
取るべき行動
被害を受けた側:落札後に代金が用意できそうにない立場なら。1. 代金納付期限を今すぐ確認、期限は延長されないと肝に銘じる2. 融資が間に合わないなら、親族借入・つなぎ融資・共同購入者など期限内に現金を作れる全ルートを総動員3. どうしても無理なら保証没収は避けられないと割り切り、傷を最小化。次の入札に向け資金導線を先に固める4. 物件に重大な瑕疵など事情があれば、単純不納付ではなく75条の売却許可決定取消し等で争えないか弁護士に相談
訴えられた側:次順位申出人や手続当事者の立場なら。1. 次順位買受けの申出をしていれば、トップ落札者の不納付で裁判所があなたへの売却許否を判断する(80条2項)、期日連絡を見逃さない2. 申出をしていなければ物件は再売却へ回る、次の売却期日を待って再入札3. 債務者(元所有者)側なら、失効で手続がやり直しになる間に任意売却などの選択肢が残る可能性、早期に専門家へ4. いずれも代金納付期限と次の売却期日の日程管理が要
時効(請求できる期限):代金納付期限は執行裁判所が売却許可決定の確定後に定める(民事執行規則56条、実務上おおむね1か月以内)。この期限内に納付がなければ、その時点で売却許可決定は当然に効力を失う(80条1項)。特定の消滅時効ではなく、この納付期限が実質的なタイムリミットとして機能する。次順位買受けの申出自体は開札期日中に行う必要がある(67条)
学説
通説:80条1項による売却許可決定の失効は、買受人の帰責事由や不納付の理由を問わず当然に生じる(当然失効)と解される。保証の没収は制裁ではなく、再売却による手続遅延と価格下落を填補するための担保的性質を持つと理解されている
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法制定(昭和54年法律第4号)。旧民事訴訟法の強制執行編と競売法を統合し、不動産競売における代金不納付の効果と次順位買受けの申出の処理を本条に整理した
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める