要点消費税法 30 条は、課税仕入れに係る消費税額を売上の消費税額から控除できると定める。適用には帳簿と適格請求書等の保存が必要で、保存がなければその仕入れの控除は否認される。
Q · 仕入れで払った消費税って、納税額から必ず引けるの?
原則引けるが、帳簿と適格請求書の保存が絶対条件
消費税法 30 条 1 項により、課税仕入れ・特定課税仕入れ・課税貨物の引取りに係る消費税額は、売上に係る消費税額から控除できます。ただし同条 7 項は帳簿と請求書等の「両方」の保存を要件とし、欠ければその仕入れの控除は全額否認されます。さらに課税売上高が 5 億円超、または課税売上割合が 95%未満のときは全額控除ができず、個別対応方式か一括比例配分方式で按分します(2 項)。2023 年 10 月以降、請求書等は原則として登録事業者が交付する適格請求書に限られます。
あなたが店を開き、100万円で仕入れた商品を150万円で売る。客から預かった消費税は15万円、仕入で払った消費税は10万円。国に納めるのは差額の5万円だけである。この「払った分を引く」仕組みが仕入税額控除であり、消費税が売上全体ではなく付加価値だけに課される理由になっている。ところが2023年10月、この条文に適格請求書(インボイス)という関門が加わった。取引先が登録事業者でなければ、あなたはその仕入分を引けなくなる。つまり相手の消費税をあなたが被る。だからこそ登録事業者は未登録の外注先に登録を迫り、日本中の力関係が静かに書き換えられた。引けるか引けないかを最後に分けるのは、帳簿と請求書の保存という地味な作業である。
消費税法第 30 条は仕入税額控除を定める規定であり、事業者が課税期間中に行った課税仕入れ、特定課税仕入れおよび保税地域からの課税貨物の引取りに係る消費税額を、課税標準額に対する消費税額から控除する仕組みを規律する。控除の適用には帳簿および適格請求書等の保存が要件とされ、課税売上高 5 億円超または課税売上割合 95%未満の場合は按分計算が必要となる。
売上で預かった消費税から、仕入れで払った消費税を差し引いて納税額を計算する仕組みです。消費税法 30 条が根拠で、税が累積しないようにするための装置です。
原則できません。ただし免税事業者等からの仕入れには経過措置があり、一定期間は 80%、その後 50%の控除が認められます(最新の改正状況をご確認ください)。
課税期間中の資産の譲渡等の対価の合計額のうち、課税資産の譲渡等の対価が占める割合です(30 条 6 項)。非課税売上が増えるほど割合は下がります。
課税売上にのみ対応する仕入れが多いなら個別対応方式が有利なことが多いです。ただし一括比例配分方式を選ぶと 2 年間は変更できません(30 条 5 項)。
原則として控除できません(30 条 7 項)。ただし災害その他やむを得ない事情を事業者が証明した場合は例外が認められます(同項ただし書)。
居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額は控除の対象外です(30 条 10 項)。住宅の貸付けに供しないことが明らかな建物のみ控除できます。
課税仕入れの相手方の本人確認書類を保存していなければ控除できません(30 条 11 項)。金・白金の地金だけに課された特別な保存義務です。
適用したい課税期間中に所轄税務署長の承認を受ける必要があります(30 条 3 項)。承認は遡及しないため、期首前からの準備が実務上の勝負どころです。
登録すれば売上1000万円以下でも消費税の納税義務が生じ、その分手取りは減る。ただし免税事業者から登録した人には、当面は売上税額の2割だけ納めればよい2割特例がある(令和8年までの経過措置、最新状況をご確認ください)。裏話ヒント:顧客が一般消費者中心なら、相手は仕入控除を必要としないので登録しない方が得なことが多い。取引先の言い分をうのみにせず、自分の客層で判断する
関係する。住宅の家賃収入、受取利息、有価証券の売却などは非課税売上で、これが増えると課税売上割合が下がる(30条2項・6項)。95%を切ると仕入税額の全額控除ができず、個別対応方式か一括比例配分方式で按分することになる。裏話ヒント:個別対応方式なら課税売上にのみ対応する仕入れは全額引ける。分類の手間はかかるが、按分方式より控除額が大きくなることが多く、どちらが得かは毎期試算する価値がある
第30条7項により、帳簿と請求書等の両方を保存していなければ、その仕入れの控除は認められない。片方だけでもだめ。ただし災害等やむを得ない事情を証明できれば例外になる(同項ただし書)。裏話ヒント:公共交通機関の3万円未満の運賃や自動販売機での購入など、請求書の交付を受けにくい一定の取引は帳簿の保存だけで控除できる特例がある(30条7項かっこ書・施行令49条)。すべての取引で請求書が必須というわけではない
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 消費税法 30 条:仕入税額を控除する権利と要件 | — |
| 適用の前提 | 課税事業者が課税仕入れ等を行い、帳簿と請求書等を保存している | — |
| 効果 | 課税標準額に対する消費税額から仕入れ等の税額を控除 | — |
| 失敗したときの結果 | 保存を欠けばその仕入れの控除が全額否認され追徴(7 項) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。