要点消費税法 38 条は、返品・値引き・割戻しをした事業者が、その課税期間の消費税額から返還額に対応する税額を控除できると定める。ただし帳簿の保存が要件となる。
Q · お客さんに返品されたり値引きしたりした分の消費税って、あとから取り戻せるんですか?
取り戻せます。ただし返還の明細を記録した帳簿がなければ控除は認められません。
消費税法 38 条 1 項により、返品・値引き・割戻しで税込価額の全部または一部を返還し、あるいは売掛金等の債権額を減額した場合、その日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、返還額に対応する消費税額(税込価額に 110 分の 7.8、軽減対象は 108 分の 6.24 を乗じた額)を控除できます。ただし 2 項により、返還等の金額の明細を記録した帳簿を保存していない場合、その分の控除は適用されません。災害その他やむを得ない事情で保存できなかったことを事業者が証明した場合のみ例外です。
あなたが小売店や飲食店、EC ショップを営んでいるとする。売った後に返品が来た、キャンペーンで値引きした、取引先に販売奨励金(割戻し)を戻した。このとき、あなたはすでに「売った時点」で消費税を計算して納税義務を背負っている。だが実際には代金の一部が客の手元に戻っている。つまり、あなたが受け取っていない金額にまで消費税を払わされる状態が生まれる。消費税法 38 条は、この払い過ぎを取り戻す仕組みだ。返品・値引き・割戻しをした課税期間に、その返還額に対応する消費税額(税込価額に 110 分の 7.8、軽減税率対象なら 108 分の 6.24 を乗じた額)を、あなたの売上げの消費税額から差し引ける。ただし、ここに落とし穴がある。2 項は「返還の明細を記録した帳簿を保存していなければ、この控除は使えない」と定める。つまり、権利があっても記録がなければ 1 円も戻らない。返品対応をしただけで満足していると、税務調査でこの控除を丸ごと否認される。
消費税法 38 条は売上げに係る対価の返還等に係る消費税額の控除を定める規定であり、事業者が課税資産の譲渡等につき返品・値引き・割戻しにより税込価額の全部又は一部を返還し、若しくは売掛金その他の債権額を減額した場合に、その課税期間の課税標準額に対する消費税額から返還額に対応する消費税額を控除する仕組みを規律する。適用には返還等の明細を記録した帳簿の保存を要する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
返品・値引き・割戻しによって、課税資産の譲渡等の税込価額の全部または一部を返還すること、あるいはその税込価額に係る売掛金その他の債権の額を減額することをいいます(消費税法 38 条 1 項)。
売上げに係る対価の返還等をした日の属する課税期間です。売った期ではなく、返した期の消費税額から差し引きます。決算期をまたぐ大口返品は処理日の確定時期で控除期が変わります。
使えません。38 条 1 項は 9 条 1 項本文により納税義務が免除される事業者を明文で除外しています。そもそも売上げの消費税を納めていないため、控除する対象がありません。
できます。38 条 3 項が、相続人が被相続人の課税資産の譲渡等につき対価の返還等をした場合、相続人自身が行ったものとみなすと定めています。帳簿保存要件は相続人側で満たす必要があります。
38 条 4 項により、合併法人が被合併法人の、分割承継法人が分割法人の譲渡等につき対価の返還等をした場合に、3 項が準用されます。承継側が自ら行ったものとして控除できます。
できません。貸倒れは消費税法 39 条の別枠です。38 条は返品・値引き・割戻しという自発的な代金の返還、39 条は回収不能という事後的事情を扱い、要件も帳簿の内容も異なります。
38 条 2 項は「返還等をした金額の明細を記録した帳簿」を求め、5 項で具体的な記録事項を政令に委任しています。相手方、年月日、内容、返還金額、税率区分を紐づけるのが実務です(最新の記載事項は要確認)。
38 条 2 項但書があります。災害その他やむを得ない事情により保存できなかったことを事業者側が証明した場合に限り、控除が認められます。証明責任は事業者にあり、単なる紛失では足りません。
返金しても、38 条の返還税額控除を申告で取らなければ、売った時の消費税額のまま納税が確定します。控除は自動では反映されません。取り損ねた場合でも、法定申告期限から 5 年以内なら更正の請求(国税通則法 23 条)で取り戻せます。業界裏話ヒント:税務署は納め過ぎを親切に教えてはくれません。控除漏れは自分で気付いて請求しない限り、そのまま国庫に残ります。決算のたびに返品・値引き・割戻しの一覧を作る習慣がある会社と、ない会社では、数年で戻る税額が大きく違う
原則できません。2 項が「返還等の金額の明細を記録した帳簿を保存しない場合は適用しない」と明記しています。銀行の振込記録があっても、それが返還の明細を記録した帳簿として整っていなければ否認されうる。ただし但書で、災害その他やむを得ない事情で保存できなかったと事業者が証明した場合は例外です。業界裏話ヒント:調査官が最初に見るのは返金の事実ではなく帳簿の記載です。事実があっても記録がなければ落とせる、という構造を知っているかどうかで、調査前の準備が変わる
対価の返還等(割戻し)に該当すれば対象です。売上代金の一部を実質的に戻す性質のものは、戻した課税期間に返還税額控除を取れます(本条 1 項)。ただし、売上げの値引きなのか、別の役務提供の対価なのかで扱いが変わります。業界裏話ヒント:奨励金や協賛金の名目でも、実態が「売上げの割戻し」か「販促サービスへの支払い」かで消費税の処理が真逆になります。契約書の文言と実態が食い違うと、実務上、解釈が分かれる論点になりやすい。名目より実態で判断される点を押さえておく
税率ごとに分けて計算します。軽減税率対象(食品など)は税込価額に 108 分の 6.24、標準税率対象は 110 分の 7.8 を乗じて、それぞれの返還消費税額を出します(本条 1 項)。混ぜて計算すると税額がずれます。業界裏話ヒント:インボイス制度下では税込 1 万円以上の返品・値引きに返還インボイスの交付義務があり、そこにも税率区分が要ります。返品対応の現場オペレーションに税率区分を組み込んでおかないと、後で経理が区分し直す二度手間と、区分誤りによる調査リスクが両方発生する(最新の実務運用をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 調整の原因 | 消費税法 38 条:返品・値引き・割戻しによる自発的な代金の返還・債権減額 | — |
| 誰の納税額が動くか | 売り手(課税資産の譲渡等を行った事業者)の売上げの税額が減る | — |
| 控除の要件 | 返還等の金額の明細を記録した帳簿の保存(38 条 2 項、但書に災害等の例外) | — |
| 承継の扱い | 相続 3 項・合併分割 4 項でみなし適用あり | — |
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