要点民事保全法 58 条は、処分禁止の登記後にされた登記は、仮処分債権者が本登記をすれば抵触する限度で対抗できないと定める。債権者は後れる第三者の登記を単独で抹消できる。
Q · 先に不動産を買って代金も払ったのに、後から来た第三者が登記を取った。もう取り戻せないの?
処分禁止の仮処分を先に登記していれば取り戻せる
民事保全法 58 条により、処分禁止の登記の後にされた第三者の登記は、あなた(仮処分債権者)が保全した登記請求権に係る登記をすれば、抵触する限度で対抗できません。つまり本案で勝訴して移転登記をすれば、後れる第三者の登記は効力を失います。しかも 2 項で、あなたは相手の同意も別手続もなく、その後れる登記を単独で抹消できます。逆に処分禁止の仮処分を打つ前に第三者が登記を備えてしまえば、民法 177 条の原則どおり登記を備えた第三者が勝ちます。勝敗を分けるのは、仮処分の登記を一日でも早く入れられるかです。
土地を買って代金も払ったのに、売主が登記をあなたに移す前に、別の第三者へ二重に売り、その第三者が先に登記を入れてしまった。民法 177 条の原則では、登記を備えた第三者が勝ち、あなたは所有権を主張できない。ところが、あなたが訴訟の前に処分禁止の仮処分を打ち、その登記を先に入れていたら、話は逆転する。58 条は、処分禁止の登記の後にされた登記による権利取得は、仮処分債権者が保全すべき登記請求権に係る登記をするとき、抵触する限度で対抗できないと定める。つまり、あなたが本案で勝って移転登記をすれば、後れる第三者の登記は効力を失う。しかも 2 項で、あなたは自らその後れる登記を単独で抹消できる。相手の同意も別手続もいらない。仮処分という一手を打っておくかどうかで、同じ二重譲渡でも勝者が入れ替わる。
民事保全法 58 条は、処分禁止の仮処分の効力を定める規定である。53 条 1 項の処分禁止の登記の後にされた登記による権利の取得・処分の制限は、仮処分債権者が保全すべき登記請求権に係る登記をするとき、抵触する限度で当該債権者に対抗することができず、債権者は当該処分禁止の登記に後れる登記を単独で抹消することができる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
係争中の不動産などについて、相手の売却や担保設定を登記上封じる保全処分です。登記が入ると後から登記する第三者は仮処分債権者に対抗できず(民事保全法 58 条)、事実上取引が止まります。
申立手数料・登録免許税のほか、担保金(保証金)を裁判所が定めます。担保額は物件価額や事案により大きく異なり、一律の金額はありません。具体額は代理人弁護士に見積もりを依頼してください。
58 条自体に期間はありませんが、保全命令の送達を受けた日から 2 週間を経過すると執行(登記の嘱託)ができなくなります(民事保全法 43 条 2 項)。命令が出たら直ちに登記まで進める必要があります。
先に処分禁止の登記を入れておけば、後から登記した第三者に勝てるという規定です。本案勝訴で自分の登記をすれば、後れる相手の登記は効力を失い、しかも自分だけで抹消できます。
登記簿に「処分禁止の仮処分」の登記が入ります。これ以降に第三者が入れた登記は、債権者の本登記により抵触する限度で覆るため、金融機関や買主が敬遠し取引が事実上止まります。
仮差押えは金銭債権の保全(財産を換価前に確保)、処分禁止の仮処分は特定物の登記請求権など非金銭債権の保全です。目的物を特定して権利を守るのが仮処分です。
申立書、被保全権利と保全の必要性を疎明する資料(契約書・登記事項証明書等)、当事者目録・物件目録などが必要です。担保提供も命じられます。詳細は裁判所や代理人に確認してください。
自動では消えません。1 項で相手の登記は対抗できない状態になりますが、登記簿から消すには 2 項に基づき債権者が単独で抹消登記を申請する必要があります。相手の承諾は不要です。
物理的に売買契約を結ぶこと自体は止められません。止まるのは「あなたに対抗できる登記ができること」です。処分禁止の登記後に第三者が登記しても、あなたが登記請求権を実現する登記をすれば、抵触する限度でその第三者は対抗できません(58 条 1 項)。業界裏話ヒント:実務では仮処分の登記が入った不動産は事実上取引が止まります。買い手も金融機関も、後で抹消されるリスクのある物件に手を出さないからです。法律上は契約を禁止していないのに、市場が勝手に敬遠する。この二次的効果こそ仮処分の真の破壊力
遺産分割で自分が取得すべき不動産について登記請求権があれば、処分禁止の仮処分を申し立てられます。仮処分の登記後に他の相続人が売却して登記を移しても、あなたが本登記をすれば後れる登記は抹消できます(58 条 2 項)。業界裏話ヒント:相続争いでは「とりあえず遺産分割調停を申し立てる」人が多いですが、調停は時間がかかり、その間に処分される危険がある。急ぐべきは調停より先に処分禁止の仮処分。この順番を知っているかで、財産を守れるかが変わる
賃借権など不動産の使用収益権の設定登記請求権も、53 条 2 項の処分禁止の仮処分(保全仮登記)で保全できます。保全仮登記に基づく本登記をすれば、後れる利用権の登記を抹消できます(58 条 4 項、ただし所有権の登記は除く)。業界裏話ヒント:借地借家では、建物を建てて登記すれば借地権を第三者に対抗できるという別ルートもあります(借地借家法 10 条)。保全仮登記の要否は建物の有無や権利の種類で変わるので、まず自分の権利がどの対抗要件で守られるかを確認する
自動では消えません。1 項の効果で相手の登記は「あなたに対抗できない」状態になりますが、登記簿から消すには 2 項に基づきあなた(債権者)が単独で抹消登記を申請する必要があります。業界裏話ヒント:この単独抹消申請ができることを知らず、相手に「抹消に協力してくれ」と交渉して時間を浪費する人がいます。相手の同意も承諾書も不要。本案勝訴の登記と同時に、こちらの申請だけで邪魔な登記を掃除できる
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|---|---|---|
| 条文の役割 | 58 条:処分禁止の登記の効力(後れる登記への対抗不可+単独抹消) | — |
| 対象 | 不動産の登記請求権(本登記が入る場面) | — |
| 効果の中心 | 後れる第三者の登記に対抗でき、単独抹消も可能 | — |
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