保険業法 第144条(業務及び財産の管理の委託)
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- 保険会社は、この法律の定めるところに従い、他の保険会社(外国保険会社等(内閣府令で定めるものを除く。)を含む。以下この項において同じ。)との契約により当該他の保険会社(以下この節において「受託会社」という。)にその業務及び財産の管理の委託をすることができる。
- 2.前項の管理の委託をするには、当該管理の委託をする保険会社(以下この節において「委託会社」という。)及び受託会社(外国保険会社等を除く。)において株主総会等の決議を必要とする。
- 3.前項の場合には、会社法第三百九条第二項(株主総会の決議)に定める決議又は第六十二条第二項に定める決議によらなければならない。
- 4.第百三十六条第三項の規定は、第二項の決議をする場合について準用する。
この条文の基本情報
業務及び財産の管理の委託とは何ですか?
定義業務及び財産の管理の委託とは、保険業法第144条に定められた規定で、「保険会社は、この法律の定めるところに従い、他の保険会社(外国保険会社等(内閣府令で定めるものを除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第144条(業務及び財産の管理の委託)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第144条の条文原文は「保険会社は、この法律の定めるところに従い、他の保険会社(外国保険会社等(内閣府令で定めるものを除く。」で始まります。
- 保険業法第144条は第三節 業務及び財産の管理の委託に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第144条の前の条は保険業法第143条です。
- 保険業法第144条の次の条は保険業法第145条です。
- 保険業法第144条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第144条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第144条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/144
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法144条は、保険会社が他の保険会社との契約でその業務及び財産の管理を委託できると定める。保険者の地位は委託会社に残り、実行には双方の特別決議を要する。
Q · 契約している保険会社が「業務及び財産の管理を委託した」と通知してきたら、保険金は誰が払うの?
保険金の支払義務は委託会社に残ります
保険業法144条の管理の委託では、実務を回す会社(受託会社)が入れ替わるだけで、保険契約の相手方である保険者は委託会社のままです。したがって保険金の支払義務者も委託会社であり、受託会社は管理を代行する立場にとどまります。契約の相手方そのものが変わるのは保険契約の移転(135条以下)であり、こちらには契約者の異議申立手続があります。管理の委託は委託会社・受託会社双方の株主総会等における特別決議(会社法309条2項、相互会社は保険業法62条2項)を要します。
解説
保険会社が経営難に陥ったとき、契約者の目の前で起きる最初の変化は「保険証券の会社名が変わらないまま、実務を動かす会社だけが入れ替わる」ことである。保険業法144条はその法的な仕掛けだ。保険会社は他の保険会社との契約により、自社の業務及び財産の管理そのものを丸ごと委託できる。委託した側が委託会社、引き受けた側が受託会社と呼ばれる。ここで押さえるべき急所は二つ。第一に、あなたの保険契約の相手方(保険者)は委託会社のまま動かない。保険金の支払義務を負うのは依然として委託会社であり、受託会社は管理を代行する立場にすぎない。第二に、この委託は経営陣の一存では実行できず、委託会社と受託会社の双方で株主総会等の決議、しかも会社法309条2項の特別決議(議決権の過半数を持つ株主が出席し、その3分の2以上の賛成)が必要になる。相互会社なら62条2項の総代会決議だ。つまり、あなたの保険を管理する会社が静かに入れ替わる裏側では、必ず高いハードルの決議が踏まれている。決議があったという事実そのものが、その保険会社の体力に関する公開情報になる。
法的な位置づけ
保険業法144条にいう業務及び財産の管理の委託とは、保険会社が他の保険会社との契約により、自社の業務及び財産の管理を当該他の保険会社に委ねる制度をいう。委託する側を委託会社、引き受ける側を受託会社と呼ぶ。保険契約上の保険者の地位は委託会社に残り、受託会社は管理を代行する地位に立つにとどまる。実行には双方の株主総会等における特別決議を要する。
よくある質問 AI による整理
Q1業務及び財産の管理の委託とは何ですか?
保険会社が他の保険会社との契約で、自社の業務と財産の管理を丸ごと委ねる制度です(保険業法144条1項)。委ねる側が委託会社、引き受ける側が受託会社となります。
Q2管理の委託と保険契約の移転の違いは?
管理の委託は「誰が実務を回すか」の変更で保険者は委託会社のまま。移転(135条以下)は「契約の相手方が誰になるか」の変更で、契約者の異議申立手続が用意されています。
Q3管理の委託に契約者の同意は必要ですか?
144条は契約者の同意や異議申立手続を定めていません。必要なのは委託会社と受託会社の株主総会等の決議です。相互会社では総代会の決議(62条2項)を要します。
Q4受託会社はどんな会社がなれますか?
他の保険会社です。外国保険会社等も含まれますが、内閣府令で定めるものは除かれます(144条1項括弧書)。受託会社が外国保険会社等の場合、決議要件の対象から除外されます。
Q5管理の委託には特別決議が必要ですか?
必要です。144条3項が会社法309条2項の特別決議、または保険業法62条2項の決議によるべき旨を明示しています。普通決議では足りません。
Q6管理の委託があると保険証券は作り直しですか?
保険者が変わらないため、契約内容や証券の効力は原則としてそのままです。事務窓口や照会先が変わる案内が届くことはありますが、契約の同一性は維持されます。
Q7保険会社が管理委託をしたら解約すべき?
本条は保険業法第7章の危機対応の章に置かれた制度で、体力低下のシグナルになり得ます。ただし既往症で再加入できないリスクや解約返戻金の水準と比較して判断すべきです。
Q8管理の委託の決議に不服がある株主はどうする?
株主総会決議の瑕疵を争うなら、決議取消しの訴えは決議の日から3か月以内という短期の出訴期間があります(会社法831条1項)。早期の専門家相談が前提です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管理を委託されたら、保険料の払込先はどこになるんですか?
実務上の収納窓口は受託会社に移ることが多いが、保険契約上の当事者は委託会社のままである(144条1項)。払込先口座が変わる通知が来たら、必ず委託会社の公式サイトか契約者専用窓口で照合すること。実務のポイント:管理委託や統合の公表直後は、その混乱に便乗した口座変更を装う詐欺が急増する。会社が正規に口座変更を求める場合、電話や SMS 単独で完結させることはまずない。
Q2うちの保険会社が管理委託をしたら、それって危ないサインですか?
本条は保険業法第7章という、契約の移転や会社更生と同じ危機対応の章に置かれている。健全な会社が単独で使う制度ではなく、経営統合の前段階か、体力低下への対応であることが多い。実務のポイント:判断材料はソルベンシー・マージン比率(200%が監督上の目安)と格付の推移。管理委託の公表より前に、この二つが先に動いていることがほとんどである。
Q3契約者の私は、この委託に反対できないんですか?
管理の委託は株主総会等の決議事項であって、契約者の同意や異議申立手続は本条に用意されていない。契約者に異議申立権が与えられるのは保険契約の移転(135条以下)の場合である。実務のポイント:契約者が実質的な発言権を持つのは相互会社の場合で、総代会の決議(62条2項)が必要になる。総代は契約者から選ばれるので、総代への意見表明という経路は事実上残っている。
Q4特別決議って、普通の決議と何が違うんですか?
会社法309条2項の特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要になる(144条3項が明示的に指定)。過半数で足りる普通決議より格段に重い。実務のポイント:この決議要件が指定されているということは、立法者がこの委託を「会社の基礎的変更に匹敵する重大事」と位置づけた証拠である。定款変更や事業譲渡と同じ列に並べられている。
間違えやすい点 AI による整理
- 「管理を委託されたのだから、これからは受託会社が保険金を払ってくれる」と思い込むのは、当事者関係の読み違えである。保険契約上の債務者は委託会社のまま。受託会社が破綻したわけでもない委託会社の債務を肩代わりする義務は本条から生じない。責任財産がどこにあるかを見誤ると、いざというとき請求先を間違える
- 管理の委託と保険契約の移転(135条)を同じものと考えている人が多いが、問われるべき問いが違う。移転は「契約の相手方が誰になるか」の問題、管理の委託は「誰が実務を回すか」の問題。前者は契約者の異議申立手続が用意され条件変更も伴いうるが、後者は原則として契約内容に手を触れない
- 「特別決議が必要だから、そう簡単には起きない」という安心は、深刻度の見誤りである。決議のハードルが高いのは事実だが、それは裏を返せば、決議まで漕ぎ着けた会社は既に相当程度追い込まれているということだ。ハードルの高さは発生確率を下げるが、発生したときの意味の重さを引き上げる
- 契約者から見れば「サービス提供会社が変わっただけ」に映るが、監督法の側から見れば、これは第7章(業務の委託・契約の移転・会社更生等)という危機対応の章に置かれた条文である。この落差を知らないまま「大手が引き受けたから安心」と読み違えると、資産の入替や解約タイミングの判断を誤る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 変わるもの | 144条 管理の委託:業務・財産の管理主体が受託会社に移る | 135条 保険契約の移転:契約の相手方(保険者)そのものが移転先に変わる 62条 相互会社の社員総会・総代会:決議の場と要件を定める規定 |
| 保険者は誰か | 委託会社のまま。保険金支払義務も委託会社が負う | 移転先の保険会社に変わる —(機関決定の手続規定) |
| 契約者の関与 | 144条に異議申立手続の定めなし。相互会社なら総代を通じた経路のみ | 契約者の異議申立手続が用意される 相互会社の社員(契約者)が総代会を通じて関与 |
| 決議要件 | 委託会社・受託会社双方で会社法309条2項または62条2項の決議(144条2項・3項) | 136条の決議手続(144条4項は136条3項を準用) 総代会の決議要件を規定 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は主管機関による監理処分の一環として業務の委託経営を位置づけ、行政主導の色彩が強い。日本144条は当事会社間の契約と株主総会決議を起点とする点で構造が異なる
韓国も保険契約の移転手続を中心に整備しており、管理の委託に相当する独立規定の位置づけは要確認
ドイツは保険契約ポートフォリオの移転・分離に監督官庁(BaFin)の認可を要する構成。株主総会決議より監督認可を軸に据える点が対照的
米国は州保険庁による administrative supervision の枠内で管理契約を用いる例があり、司法・行政手続主導である点が日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 契約している生命保険会社から「業務及び財産の管理の委託に関するお知らせ」という封書が届いた。差出人の会社名の下に、聞いたことのある別の大手保険会社の名前が並んでいる。契約は終わったのか、保険金は誰が払うのか。答えは、保険者は変わらず委託会社のまま。ただし、その会社が管理委託を選ぶ状況に至った理由の方を読み解くべきだ
- あなたが保険会社の株主だったら、どうなる? 管理の委託は特別決議事項であり、あなたの一票は普通決議より重い。総会招集通知に「業務及び財産の管理の委託に関する契約の承認の件」という議案を見つけたとき、それは経営統合や救済スキームの入口である可能性が高い
- 保険代理店を営んでいて、乗合先の保険会社が管理委託をした。手数料の支払窓口と業務指示の系統は受託会社に移るが、委託契約そのものの当事者関係は変わらない。契約書のどこが動きどこが動かないかを、代理店委託契約書と照合して確認する必要がある
- あと2週間で総代会の議決権行使期限。相互会社の総代に選ばれているあなたのもとに、管理委託の議案書が届いた。62条2項の決議要件を満たすかどうかは、総代の出席数と賛成数で決まる。棄権は事実上の反対ではなく、定足数を割る方向に働く
取るべき行動
被害を受けた側:1. 届いた通知で「管理の委託」か「契約の移転」かを判別する。前者なら保険者は委託会社のまま、後者なら相手方が変わり異議申立手続がある2. 証券番号・契約日・保障内容・現在の解約返戻金額を書面で取り寄せ、移行前の記録として保存3. 保険金請求事由が既に発生しているなら、請求先と必要書類を委託会社と受託会社の双方に確認し、回答を書面またはメールで残す4. 乗換を検討するなら、既往症による新規加入不可のリスクと解約返戻金の水準を比較してから動く
訴えられた側:1. 保険会社側であれば、委託会社と受託会社の双方で株主総会等の特別決議(会社法309条2項、相互会社は保険業法62条2項)を確実に履践し、議事録を整備する2. 136条3項の準用により、決議に先立つ書類の備置き・開示義務を漏らさない3. 契約者への通知内容で、保険者が変わらない旨を明確に記載し、誤認を招く表現を避ける4. 代理店・募集人への説明資料を統一し、募集時の説明義務違反による苦情リスクを潰す
時効(請求できる期限):本条自体に固有の時効はない。ただし決議の効力を争う場合、株主総会決議取消しの訴えは決議の日から3か月以内(会社法831条1項)という極めて短い出訴期間が働く。保険金請求権の消滅時効は3年(保険法95条)で、管理の委託があっても起算点は動かない(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法の全部改正(平成7年法律第105号)により、第7章に業務の委託・保険契約の移転・会社更生等の危機対応規定が整備され、業務及び財産の管理の委託が置かれた(改正経緯の詳細は要確認)
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