保険業法 第143条(保険金信託業務を行う保険会社の特例)
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- 保険金信託業務を行う相互会社が保険契約の全部に係る保険契約の移転の決議をした場合で、当該保険金信託業務に係る事業の譲渡について社員総会(総代会を設けているときは、総代会)又は取締役会の決議をしたときは、当該相互会社は、当該決議をした日から二週間以内に、当該決議の要旨及び当該事業の譲渡に異議のある金銭信託の受益者(以下この条において「受益者」という。)は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告しなければならない。
- 2.前項の期間は、一月を下ってはならない。
- 3.受益者が第一項の期間内に異議を述べなかったときは、当該受益者は、当該事業の譲渡を承認したものとみなす。
この条文の基本情報
保険金信託業務を行う保険会社の特例とは何ですか?
定義保険金信託業務を行う保険会社の特例とは、保険業法第143条に定められた規定で、「保険金信託業務を行う相互会社が保険契約の全部に係る保険契約の移転の決議をした場合で、当該保険金信託業務に係る事業の譲渡について社員総会(総代会を設けているときは…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第143条(保険金信託業務を行う保険会社の特例)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第143条の条文原文は「保険金信託業務を行う相互会社が保険契約の全部に係る保険契約の移転の決議をした場合で、当該保険金信託業務に係る事業の譲渡について社員総会(総代会を設けているときは…」で始まります。
- 保険業法第143条は第二節 事業の譲渡又は譲受けに置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第143条の前の条は保険業法第142条です。
- 保険業法第143条の次の条は保険業法第144条です。
- 保険業法第143条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第143条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第143条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/143
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法143条は、保険金信託業務を行う相互会社が保険契約の全部移転と事業譲渡を決議したとき、二週間以内の公告と一月以上の異議申述期間を義務づけ、異議なき受益者は承認とみなす。
Q · 保険金信託の受益者は、保険会社が事業を譲渡するときに何かしないといけないの?
何も言わずに一月過ぎると、承認したとみなされます
保険業法143条により、保険金信託業務を行う相互会社が保険契約の全部移転と保険金信託業務の事業譲渡を決議したときは、決議の日から二週間以内に、決議の要旨と異議申述期間を公告しなければなりません(1項)。この期間は一月を下ることができません(2項)。そして受益者が期間内に異議を述べなかったときは、その受益者は事業譲渡を承認したものとみなされます(3項)。公告は官報等への掲載であり個別通知ではないため、受益者側から能動的に監視する必要があります。
解説
保険会社が保険契約をまるごと他社へ移すとき、契約者への手当ては手厚く法定されている。ところが、その保険会社が「保険金信託」(保険金を一括で受け取らず、信託銀行的に管理して遺族へ分割給付する仕組み)を扱っていた場合、そこにぶら下がる金銭信託の受益者は、契約移転の枠組みからこぼれ落ちる。保険業法143条は、そのこぼれ落ちる人を拾うための条文である。相互会社が保険契約の全部を移転する決議をし、あわせて保険金信託業務の事業譲渡を社員総会(総代会があれば総代会)または取締役会で決議したとき、会社は決議の日から二週間以内に公告し、受益者に異議の機会を与えなければならない。異議申述期間は最低一月。そしてここが要点だ。あなたが期間内に何も言わなければ、法律はあなたが譲渡を承認したものとみなす。沈黙が同意に変換される、日本法では珍しくないが、多くの人が気付かない設計である。
法的な位置づけ
保険業法143条は、保険金信託業務を行う相互会社が保険契約の全部に係る移転決議とともに保険金信託業務に係る事業譲渡を決議した場合における、金銭信託の受益者に対する公告および異議申述の手続を定める規定である。公告は決議の日から二週間以内に行われ、異議申述期間は一月を下ることができず、期間内に異議を述べない受益者は当該譲渡を承認したものとみなされる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分が金銭信託の受益者かを確認する 保険金が一括支払ではなく分割給付されている場合、保険金信託の受益者である可能性が高い。信託契約書、受託者(信託銀行等)の名称と連絡先、受益権の内容を手元に確保する
- 2.公告の掲載日と異議申述期間の末日を特定する 官報情報検索サービスおよび保険会社の公告ページで、決議の要旨と異議申述期間を記載した公告を確認する。掲載媒体、掲載日、期間の末日をスクリーンショットと印刷で保存する
- 3.期間内に書面で異議を述べる 譲受先の信託管理体制や受取条件に懸念があれば、異議申述期間内に内容証明郵便で異議を述べる。宛先、記載事項、到達日を証拠化し、配達証明も併用する
- 4.手続の瑕疵があれば承認擬制の効力を争う 公告が決議の日から二週間を超えている、異議申述期間が一月未満、決議の要旨や期間の記載を欠くといった瑕疵があれば、承認擬制の効力を争う余地がある。証拠を揃えて弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1保険金信託とは何ですか?
死亡保険金を一括で受け取らず、信託として管理し受益者へ分割給付する仕組みです。保険会社が保険金信託業務として取り扱う場合、保険業法上の規律が及びます。
Q2保険契約の全部移転とは何ですか?
保険会社が保有する保険契約を包括して他の保険会社へ移す手続です。保険業法135条以下が根拠で、決議、公告と異議申述、内閣総理大臣の認可を経て効力が生じます。
Q3相互会社と株式会社の保険会社は何が違いますか?
相互会社は保険契約者が社員となる社団で、最高意思決定機関は社員総会(総代会)です。株式会社は株主総会が決議機関で、契約者は議決権を持ちません。
Q4異議申述期間はいつまでですか?
公告で定められた期間内です。保険業法143条2項により一月を下ることができません。起算点は公告に記載されるため、掲載日と末日を必ず記録してください。
Q5総代会とは何ですか?
相互会社において社員総会に代わる機関で、社員から選ばれた総代で構成されます。総代会を設けている相互会社では、事業譲渡の決議も総代会で行われます。
Q6保険会社が経営破綻したら保険金はどうなりますか?
保険契約は保険契約者保護機構や救済保険会社への移転により処理されるのが通常です。ただし保険金信託の受益権は信託契約側の権利のため、143条という別ルートで扱われます。
Q7保険業法143条の公告はどこで見られますか?
官報、または会社が定款で定めた日刊新聞紙・電子公告です。自宅への個別通知は行われないため、官報情報検索や会社の公告ページを自分で確認する必要があります。
Q8保険契約の移転に金融庁の認可は必要ですか?
必要です。保険業法140条により内閣総理大臣(金融庁長官へ委任)の認可を受けなければ移転の効力は生じません。公告と異議手続はその前提となる手続です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1公告って、うちに封書で届くものじゃないんですか?
届きません。ここでの公告は官報または定款で定めた日刊新聞紙等への掲載であり、受益者一人ひとりへの個別通知ではない。だから143条3項の承認擬制は、あなたが実際に読んだかどうかと無関係に働く。実務のポイント:受託者である信託銀行に「保険会社側の組織再編があれば連絡してほしい」と事前に依頼し、連絡先を最新に保っておくと、公告より先に情報が入る実務的な近道になる
Q2一月の間に異議を出したら、事業譲渡は止められるんですか?
止まりません。143条が定めているのは、異議を述べなかった受益者を承認したものとみなす効果(3項)までである。異議を述べた場合の帰結は条文に書かれておらず、信託契約の内容と信託法・会社法の一般法理で処理される。実務のポイント:異議の実務的価値は譲渡阻止ではなく、会社に個別対応を強いる点にある。異議を述べた受益者にだけ譲受先の管理体制説明や条件の確認が行われるのが通常だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「異議を述べれば譲渡が止まる」と読みたくなるが、条文はそこまで言っていない。3項が定めるのは沈黙の効果(承認擬制)だけである。異議を述べた受益者の処遇は、信託契約の内容と会社法・信託法の一般法理に委ねられる。異議は拒否権ではなく、交渉と法的争いの入口を確保する行為だと理解しておくべきだ
- 受益者は「保険契約者と同じ保護を受けている」と思われがちだが、法律から見れば両者は別系統の権利者である。保険契約者は保険契約の当事者、受益者は信託の受益権者。この違いがあるからこそ、保険契約移転の一般規定とは別に143条が置かれている。同じ会社の同じ事件で、二本の別の手続が並走している
- 公告の重大性が過小評価されている。ここでいう公告は官報や日刊新聞紙への掲載であり、あなたの自宅に届く個別通知ではない。「重要なことなら手紙が来るはず」という常識が、この条文の前では通用しない。見逃す確率が構造的に高い制度設計になっていることこそが、知っておくべき深刻さである
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 保護される主体 | 保険業法143条:保険金信託に係る金銭信託の受益者 | 保険業法137条:移転対象となる保険契約の保険契約者 保険業法140条:移転全体の適正性(監督当局による審査) |
| 手続の中身 | 決議日から二週間以内の公告 + 一月以上の異議申述期間 | 保険契約者に対する公告・通知と異議申述 内閣総理大臣の認可を受けなければ効力を生じない |
| 沈黙の効果 | 期間内に異議を述べなければ譲渡を承認したものとみなす(3項) | 保険契約者側も異議を述べない場合の擬制が置かれている 擬制なし、認可の有無で効力が決まる |
| 権利の法的根拠 | 信託契約に基づく受益権 | 保険契約に基づく契約上の地位 監督法上の公益的審査 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も保険業の契約包括移転を監督法で規律し、主務機関の認可を要する点で日本と共通する。信託受益者に特化した公告・異議条項の有無は制度設計が異なる
韓国も保険契約の包括移転について決議と公告・異議申述、監督当局の認可という枠組みを採り、日本法と手続構造が近い
ドイツは保険契約の移転を監督当局(BaFin)の認可に一元化し、個別契約者の同意を不要とする。異議申述による個別救済より監督審査に重心がある
米国は州ごとに制度が分かれ、裁判所の承認手続を伴う州と、契約者の同意またはオプトアウトを要求する州がある。連邦統一ルールは存在しない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 亡くなった配偶者が加入していた保険で、保険金が信託され毎月一定額があなたの口座に振り込まれている。ある日、保険会社の名前で「事業譲渡に関する公告」という新聞広告が出る。あなたはそれを見ていない。一月後、あなたは自動的に譲渡を承認したことになっている
- もし、相互会社の保険会社が経営難で他社に契約を丸ごと移すことになったら、信託の受益者であるあなたの立場はどうなる? 保険契約者には移転手続の中で異議権があるが、あなたの権利の根拠は保険契約ではなく信託契約側にある。だから143条という別ルートが用意されている
- 公告が出てから一月。それがあなたに残された時間のすべてだ。譲受先の信託管理体制に不安があっても、期間を過ぎれば承認したものとみなされ、後から「知らなかった」は通らない
- 保険会社の法務担当として、契約移転のスケジュールを組んでいる。保険契約の移転公告だけ手配して、保険金信託の受益者向け公告を忘れた。決議から二週間の期限を落とせば、事業譲渡そのものの適法性が揺らぐ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 保険金信託の受益者であれば、まず信託契約書と受託者(信託銀行等)の連絡先を手元に確保する2. 保険会社の契約移転が報じられたら、官報および日刊新聞紙の公告を確認、掲載日と異議申述期間の末日を記録する3. 譲受先の信託管理体制や受取条件に懸念があれば、期間内に書面(内容証明郵便)で異議を述べ、到達日を証拠化する4. 公告が二週間の期限を過ぎている、または決議の要旨や異議申述期間の記載を欠く場合は、承認擬制の効力を争う余地があるため弁護士に相談する
訴えられた側:1. 保険会社側は、保険契約移転の決議と保険金信託業務の事業譲渡の決議、二つの決議日を切り分けて管理する2. 決議日から二週間以内の公告を工程表の最上位に置き、決議の要旨と異議申述期間の明記を法務チェック項目にする3. 異議申述期間は一月を下回らせない、日数計算の起算点を書面で確定させておく4. 異議が出た受益者については、信託契約の内容に沿った個別協議の記録を残す。手続の瑕疵は後日、事業譲渡全体の有効性を揺らす
時効(請求できる期限):会社側の公告義務は決議の日から二週間以内。受益者の異議申述期間は公告で定められた期間で、法定の下限は一月(2項)。この期間内に異議を述べなければ承認擬制が働く(3項)。承認擬制の効力自体を争う場合には特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権は権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)が適用される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法の全部改正(平成七年法律第百五号)により制定。保険契約の包括移転制度の整備にあわせ、保険金信託業務に係る事業譲渡について金銭信託の受益者への公告・異議申述手続が置かれた
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