保険業法 第169条(合併の効力の発生等)
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- 吸収合併存続相互会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社(吸収合併消滅相互会社又は吸収合併消滅株式会社をいう。以下この節において同じ。)の権利義務を承継する。
- 2.吸収合併消滅会社の吸収合併による解散は、吸収合併の登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
- 3.吸収合併消滅株式会社の株式及び新株予約権は、効力発生日に、消滅する。
- 4.吸収合併消滅会社の保険契約者は、効力発生日に、吸収合併存続相互会社に入社する。ただし、吸収合併存続相互会社の定款で当該保険契約者の保険契約と同種の保険契約に係る保険契約者が社員とされていない場合は、この限りでない。
- 5.前各項の規定は、第百六十五条の七若しくは第百六十五条の十七(第百六十五条の二十において準用する場合を含む。)の規定による手続が終了していない場合又は吸収合併を中止した場合には、適用しない。
この条文の基本情報
合併の効力の発生等とは何ですか?
定義合併の効力の発生等とは、保険業法第169条に定められた規定で、「吸収合併存続相互会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社(吸収合併消滅相互会社又は吸収合併消滅株式会社をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第169条(合併の効力の発生等)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第169条の条文原文は「吸収合併存続相互会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社(吸収合併消滅相互会社又は吸収合併消滅株式会社をいう。」で始まります。
- 保険業法第169条は第四款 合併の効力の発生等に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第169条の前の条は保険業法第168条です。
- 保険業法第169条の次の条は保険業法第169条の2です。
- 保険業法第169条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第169条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第169条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/169
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法169条は、吸収合併の効力発生日に存続相互会社が消滅会社の権利義務を承継し、保険契約者も入社すると定める。ただし定款で社員とされない契約者は入社しない。
Q · 契約している保険会社が合併したら、私の保険はどうなるの?
契約はそのまま存続会社へ移り、再契約も同意も不要です
保険業法169条1項により、吸収合併存続相互会社は効力発生日に消滅会社の権利義務を承継します。保険契約は内容を変えずに移るため、契約者側の同意や再契約の手続は不要です。さらに4項により、消滅会社の保険契約者は同日に存続相互会社へ入社し、社員(株式会社の株主に相当する構成員)の地位を得ます。ただし但書により、存続相互会社の定款で同種の保険契約に係る契約者が社員とされていない場合は入社しません。また5項により、保険契約者等の異議手続(165条の7)や債権者の異議手続(165条の17)が終了していない場合、これらの効果は一切生じません。
解説
生命保険を契約している相手の会社が、ある日別の会社に吸収合併された。保険業法169条は、その瞬間に何が起きるかを一行ずつ確定させる条文である。効力発生日に、消えた会社の権利義務はまるごと存続相互会社へ移る。個別に契約を巻き直す手続も、あなたの同意を求める書面も要らない。さらに4項が独特だ。あなたは保険契約者であると同時に「社員」(相互会社の構成員、株式会社でいう株主に近い立場)として、存続会社に自動的に入社する。ただし但書がある。存続相互会社の定款で、あなたと同種の保険契約の契約者が社員とされていない場合、入社しない。つまり同じ日に同じ会社へ移った契約者でも、契約の種類次第で議決権を持つ側と持たない側に分かれる。3項では、消滅したのが株式会社だった場合、その株式と新株予約権は効力発生日に消滅する。株主だったあなたの持分は、合併対価に姿を変える。そして5項、債権者保護手続や保険契約者の異議手続が終わっていなければ、これら全部が発動しない。
法的な位置づけ
保険業法169条は、保険会社の吸収合併の効力に関する規定であり、効力発生日における存続相互会社への権利義務の承継、消滅会社の解散の対抗要件、消滅株式会社の株式及び新株予約権の消滅、消滅会社の保険契約者の存続相互会社への入社、並びに保険契約者等及び債権者の異議手続が未了の場合の不適用を定める。
手順
- 1.合併公告と契約者向け通知から効力発生日を確定する 新聞公告・会社ウェブサイトの公表資料・郵送された契約者向け通知を保管し、合併契約で定められた効力発生日を特定する。169条の承継・入社・株式消滅はすべてこの日を基準に生じるため、日付の確定がすべての起点になる
- 2.解約を急がず、包括承継の効果を確認する 169条1項により契約は内容を変えずに存続相互会社へ承継されるため、慌てて解約しない。解約返戻金が払込保険料を下回る損失を自ら取りに行かないよう、まず承継される事実を通知文面で確認する
- 3.存続相互会社の定款で社員資格条項を確認する 存続相互会社の定款を取り寄せ、自分の保険契約と同種の保険契約に係る契約者が社員とされているかを確認する。169条4項但書により、社員とされていなければ入社せず、総代選挙への参加権や剰余金分配の対象から外れる
- 4.異議申述期間内に異議を述べるか判断する 契約条件や自分の地位に不利な点があると判断した場合、165条の7及び165条の17の手続で公告された期間内に異議を申述する。期間は1か月を下回らないが、経過後は手続の瑕疵を争う道が実質的に狭まる(最新の改正状況をご確認ください)
- 5.合併登記の完了を登記事項証明書で確認する 消滅会社に対する請求や訴訟、名義変更を予定している場合、169条2項の対抗要件を意識して登記事項証明書を取得し、登記日を基準に相手方の表示を決める。公告を見た日ではなく登記日が実務上の基準になる
よくある質問 AI による整理
Q1保険業法169条とは?
保険会社の吸収合併の効力を定める条文です。効力発生日の権利義務の承継、解散の対抗要件、株式の消滅、保険契約者の入社、異議手続未了時の不適用を5項で規律します。
Q2吸収合併の効力発生日とは?
合併契約で定めた、合併の効果が発生する日です。保険業法169条の承継・入社・株式消滅はすべてこの日を基準に生じますが、異議手続が未了なら効果は発生しません。
Q3相互会社に入社しない場合はある?
あります。169条4項但書により、存続相互会社の定款で自分の保険契約と同種の契約に係る契約者が社員とされていない場合は入社しません。契約の種類で結論が分かれます。
Q4保険会社の合併で株式はどうなる?
169条3項により、吸収合併消滅株式会社の株式及び新株予約権は効力発生日に消滅します。相互会社に株式は存在しないため、株主は合併対価を受け取る立場に移ります。
Q5保険会社の合併に異議を述べる方法は?
165条の7の保険契約者等の異議手続、165条の17の債権者の異議手続によります。公告された期間内に異議を申述する必要があり、期間経過後は争う余地が狭まります。
Q6合併の登記は何のために必要?
169条2項により、消滅会社の解散は合併の登記の後でなければ第三者に対抗できません。効力自体は効力発生日に生じており、登記は対抗要件として機能します。
Q7存続相互会社の定款はどこで確認できる?
各保険会社のウェブサイトの会社情報・ディスクロージャー資料や、社員向け書面で公開されていることが一般的です。社員資格条項を確認すると入社の可否が判断できます。
Q8合併が中止されたら契約はどうなる?
169条5項により、吸収合併を中止した場合は各項の規定が適用されません。承継・入社・株式消滅はいずれも生じず、契約は元の会社との間でそのまま継続します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険会社が合併したら、私の契約の保険料や保障は変わりますか?
変わりません。169条1項は権利義務の包括承継を定めており、効力発生日に契約はそのままの内容で存続会社へ移ります。契約者側の同意も再契約も不要です。実務のポイント:変わらないのは契約条件であって、配当(剰余金分配)の水準は存続会社の経営状況に連動します。保障は同じでも受取総額が変わりうる、この区別を営業担当は自分からは説明しない
Q2相互会社に入社するって、社員になるってことですか?働くわけじゃないですよね?
働く社員ではありません。相互会社の社員とは株式会社の株主に相当する構成員で、総代選挙への参加権や剰余金分配の対象になる地位です。169条4項により効力発生日に自動的に入社しますが、但書で存続会社の定款次第では入社しない場合があります。実務のポイント:社員になるかどうかは保険の種類で分かれる。損害保険的な短期契約や特定の商品は社員資格から外されていることがあり、定款を見ないと自分がどちらか分からない
Q3合併したことを知らないうちに、消滅した会社を相手に手続をしてしまったらどうなりますか?
169条2項により、消滅会社の解散は合併登記の後でなければ第三者に対抗できません。登記前であれば、善意の第三者は消滅会社が存続しているものとして扱える余地があります。実務のポイント:実務では登記事項証明書の取得日が争点になる。合併公告を見た日ではなく登記日を基準に組み立てると、手続のやり直しを避けられる
間違えやすい点 AI による整理
- 「合併すると保険契約を結び直す必要がある」と考える契約者が多いが、1項は包括承継を定めており、個別の同意も再契約も不要である。問い自体が誤っている。本当に確認すべきは、契約が続くかどうかではなく、4項但書によって自分が社員になるかならないかである
- 合併後も自分は当然に議決権を持つ立場だと思っている人がいる。実際は4項但書により、存続相互会社の定款が同種の保険契約者を社員としていなければ入社しない。定款という会社側の書面一つで、あなたの経営参加権の有無が決まる。この落差を知らないまま総代選挙の通知を待ち続けることになる
- 2項を「登記するまで合併は無効」と読む人がいるが、そうではない。効力自体は効力発生日に生じている。登記までは第三者に対して主張できないだけである。当事者間の効力と対第三者効力が分離しているという構造を掴んでいないと、登記前の期間の法律関係を読み違える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 169条:吸収合併の効力(承継・対抗要件・株式消滅・入社・不適用) | 167条:合併契約の内容と効力発生日の定め 173条:合併の無効の訴え |
| 作用する時点 | 効力発生日(及び合併登記の前後) | 合併契約の締結時・総会承認時 効力発生後(提訴期間内) |
| 契約者の関与 | 同意不要で自動承継・自動入社(定款次第で入社しない) | 合併契約の内容を通知・公告で知る立場 無効事由があれば原告となりうる立場 |
| 手続未了時の帰結 | 5項により各項の規定が一切適用されない | 合併契約自体の効力・認可の問題として処理 手続の瑕疵が無効事由として主張されうる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では保険業の組織形態が株式会社中心で、相互会社に相当する構成員資格の自動取得という論点が生じにくい。合併は金融機構合併法と保険法の監督規定により処理され、主管機関の認可が要件となる
韓国も保険会社の合併に監督官庁の認可を要し、合併の効果としての権利義務の承継は商法の一般規定によって基礎づけられる。日本法と同様に監督法と会社法の二層構造をとる
ドイツは相互保険社団(VVaG)を明文で認め、保険契約の移転は Bestandsübertragung として監督官庁(BaFin)の認可に係らせる。組織再編の効果としての包括承継は UmwG 20条が定め、監督法と組織再編法が分業する構造が日本と近い
米国は州ごとの保険法典が規律し、mutual insurer の合併や株式会社化(demutualization)には州保険監督官の承認と契約者投票が要求されることが多い。契約者の同意を手続に組み込む度合いが日本より高い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 契約している生命保険会社が合併すると新聞で読んだ。解約すべきか迷っている間に効力発生日が過ぎた。契約内容は1項によりそのまま存続会社に承継されており、保険金額も特約も変わらない。あなたが慌てて解約していたら、解約返戻金が払込保険料を大きく下回る損失を自分から取りに行くところだった
- あなたが相互会社の社員総代(社員の代表として総会で議決権を行使する人)だとする。合併後、新しく入社してくる契約者が数十万人規模で加わる。ところが4項但書により、存続会社の定款で社員資格が限定されている種類の契約者は入社しない。誰が社員になり誰がならないかは、定款のたった一条で決まる
- もし、合併の効力発生日の直前に保険会社が異議手続を打ち切らずに進めようとしたら、どうなる? 5項が答えを出す。165条の7の手続が終わっていなければ、承継も入社も株式消滅も一切起きない。効力発生日という日付が来ただけでは、法律効果は動かない
- 消滅する保険株式会社の株を持っていた。効力発生日に株式は消滅し、相互会社には株式が存在しないため、あなたが受け取るのは金銭その他の合併対価である。株主総会の招集通知が来るのを待っていても、もう来ない
- 合併登記が済む前に、消滅会社を相手に訴訟を起こそうとしている債権者がいる。2項により、消滅会社の解散は登記後でなければ第三者に対抗できない。あと数日で登記される、その数日間の法律関係をどう扱うかで、訴訟の被告表示も差押えの相手方も変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 合併公告と契約者向け通知を保管し、効力発生日を確定する2. 契約は1項で自動承継されるため解約を急がない、解約返戻金の損失を自分から取りに行かないこと3. 存続相互会社の定款で、自分の保険種類の契約者が社員とされているかを確認、社員でなければ総代選挙や剰余金分配の対象外になる4. 契約条件に不利な変更があると感じたら、165条の7等の異議手続の期間内に異議を述べる、期間経過後は手続の瑕疵を争う道が実質的に狭まる
訴えられた側:1. 合併を実行する側であれば、効力発生日より前に165条の7及び165条の17の手続完了を証跡で確認する、未了なら5項により全効果が発動しない2. 存続相互会社の定款の社員資格条項を事前に点検し、承継する契約種類ごとに入社の可否を整理して契約者通知に反映する3. 合併登記を遅滞なく行う、2項により登記前は解散を第三者に対抗できず、消滅会社名義の権利関係で紛争が生じうる4. 消滅株式会社の株主・新株予約権者への対価の割当てと、3項による消滅時期の処理を登記書類と整合させる
時効(請求できる期限):本条自体に固有の期間規定はない。ただし効力発生日という一点で効果が確定し、それ以前に165条の7及び165条の17の手続を完了させる必要がある(未了なら5項で不適用)。契約者の異議申述は各手続条項の定める公告期間内に限られ、その期間は1か月を下回らない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条1項の承継は個別の移転行為を要しない包括承継であり、2項は効力の発生そのものではなく解散の対第三者効力を登記に係らせた対抗要件規定と理解される。4項の入社は法律上の当然入社であり、但書は存続相互会社の定款自治に委ねられた例外と位置づけられる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 改正:保険業法の全部改正(平成7年法律第105号)。旧保険業法(昭和14年法律第41号)を全面的に改め、保険会社の組織再編に関する規定を整備した
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定に伴う関係法律の整備により、組織再編に関する用語・枠組みが会社法に整合化され、「吸収合併」「効力発生日」等の会社法上の概念に沿った条文構成となった
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