介護保険法 第90条(報告等)
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- 都道府県知事又は市町村長は、必要があると認めるときは、指定介護老人福祉施設若しくは指定介護老人福祉施設の開設者若しくはその長その他の従業者であった者(以下この項において「開設者であった者等」という。)に対し、報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、指定介護老人福祉施設の開設者若しくはその長その他の従業者若しくは開設者であった者等に対し出頭を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは指定介護老人福祉施設、指定介護老人福祉施設の開設者の事務所その他指定介護老人福祉施設の運営に関係のある場所に立ち入り、その設備若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
- 2.第二十四条第三項の規定は、前項の規定による質問又は検査について、同条第四項の規定は、前項の規定による権限について準用する。
この条文の基本情報
報告等とは何ですか?
定義報告等とは、介護保険法第90条に定められた規定で、「都道府県知事又は市町村長は、必要があると認めるときは、指定介護老人福祉施設若しくは指定介護老人福祉施設の開設者若しくはその長その他の従業者であった者(以下この項…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 介護保険法第90条(報告等)は、日本の介護保険法に含まれる条文です。
- 介護保険法第90条の条文原文は「都道府県知事又は市町村長は、必要があると認めるときは、指定介護老人福祉施設若しくは指定介護老人福祉施設の開設者若しくはその長その他の従業者であった者(以下この項…」で始まります。
- 介護保険法第90条は第一款 指定介護老人福祉施設に置かれています。
- 介護保険法の公布日は平成9年12月17日です。
- 介護保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 介護保険法第90条の前の条は介護保険法第89条の2です。
- 介護保険法第90条の次の条は介護保険法第91条です。
- 介護保険法第90条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第90条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 - 本サイト収録
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第90条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/409AC0000000123/90
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点介護保険法90条は、知事・市町村長が必要と認めるとき、特養や元職員等に報告・出頭を求め、施設や事務所に立入検査できると定める。犯罪捜査目的の行使は認められない。
Q · 特養の対応がおかしいとき、行政に施設を調べてもらうことはできる?
できる。市町村の介護保険担当課に情報提供を
介護保険法90条により、都道府県知事や市町村長は必要と認めるとき、特別養護老人ホームに報告や帳簿書類の提出を命じ、職員に質問し、施設や法人事務所に立ち入って検査できます。元職員や元開設者も対象です。家族や元職員からの具体的な情報提供が検査のきっかけになることは多く、日付や見てほしい記録を特定して伝えると効果的です。ただし刑事捜査ではないため、刑事責任の追及は別ルートになります。
解説
特別養護老人ホームに親を預けている家族が「施設の対応がおかしい」と感じたとき、最後に効く手は苦情でもクレームでもない。行政を動かすことだ。介護保険法90条は、都道府県知事と市町村長に対し、指定介護老人福祉施設(特養)へ立入検査をする権限を与えている。報告命令、帳簿書類の提出命令、職員への質問、施設内および運営に関係のある場所への立入り。しかも対象は現職者だけではない。「開設者であった者等」、つまり辞めた職員や元経営者も呼び出せる。ここがあなたにとっての急所である。内部の実態を一番知っているのは、たいてい辞めた人だからだ。そして2項が準用する24条4項により、この立入検査権限は「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」と明記されている。刑事捜査ではないからこそ、令状なしで入れる。あなたが情報提供する先は、警察ではなく介護保険の主管課である。
法的な位置づけ
介護保険法90条は、指定介護老人福祉施設に対する行政の報告徴収・立入検査権限を定める規定である。都道府県知事または市町村長は、必要と認めるとき、施設の開設者、施設長、従業者およびそれらであった者に報告、帳簿書類の提出・提示、出頭を求め、職員に質問させ、施設や運営に関係する場所へ立ち入り、設備や帳簿書類を検査させることができる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.違和感のある事実を記録する 面会時に気づいた入所者の状態、職員の発言、施設の説明を、日付・時刻・関係者・具体的内容でその日のうちに記録する。可能な範囲で写真も残す
- 2.施設の苦情受付へ書面で申し入れる 施設の苦情受付担当者に、事実と改善要望を書面で伝え、回答期限を明示する。回答内容と日付も記録しておく
- 3.市町村の介護保険担当課へ情報提供する 改善が見られなければ、施設所在地の市町村介護保険担当課または都道府県の指導監査担当に情報提供する。介護記録、事故報告書、身体拘束の記録、勤務実績表など、確認してほしい書類を具体的に挙げる
- 4.虐待の疑いがあれば別枠で通報する 虐待が疑われる場合は、高齢者虐待防止法に基づく通報として市町村に伝える。行政処分の回路と刑事・民事の回路は別であることを踏まえ、必要に応じて弁護士に証拠保全を相談する
よくある質問 AI による整理
Q1特養の立入検査とは何ですか?
介護保険法90条に基づき、都道府県知事や市町村長の職員が特養に立ち入り、設備や帳簿書類を検査し、関係者に質問する行政上の調査です。
Q2特養の不適切な対応はどこに通報すればいい?
施設所在地の市町村介護保険担当課、または都道府県の介護保険指導監査担当が窓口です。虐待が疑われる場合は高齢者虐待防止法に基づき市町村へ通報します。
Q3実地指導と監査の違いは?
実地指導は運営の適正化を目的とする定期的な指導、監査は不正や基準違反が疑われる場合の調査です。どちらも90条等の報告徴収・立入検査権限と関係します。
Q4特養の立入検査を拒否したらどうなる?
正当な理由のない報告拒否や虚偽報告、検査妨害は、指定の取消しや効力停止の事由となります(介護保険法92条)。事業継続に直結する重大なリスクです。
Q5辞めた介護職員も行政の調査に呼ばれる?
呼ばれる可能性があります。90条は「開設者若しくはその長その他の従業者であった者」も対象とし、報告命令や出頭要求をすることができます。
Q6立入検査で見られる書類は何?
介護記録、事故報告書、身体拘束に関する記録、勤務実績表、介護報酬の請求関係書類など、施設運営に関する帳簿書類その他の物件が対象になります。
Q7立入検査の職員は身分証を見せる必要がある?
あります。90条2項が準用する24条3項により、質問や検査をする職員は身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があれば提示しなければなりません。
Q8特養の行政処分歴はどこで調べられる?
都道府県や市町村のウェブサイトで行政処分の公表情報が掲載されることがあります。介護サービス情報公表システムと併せて確認すると判断材料が増えます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家族が市役所に通報したら、施設に誰が言ったかバレませんか?
行政は通報者を特定できる情報を施設に伝えない運用が基本で、高齢者虐待防止法23条は通報者を特定させる情報の漏示を明確に禁じている。介護保険法90条の検査でも同様の配慮がされる。実務のポイント:それでも「特定の入所者の記録だけを名指しで見せろ」と検査官が言えば、施設側は誰が言ったか察しがつく。通報時に「うちの家族の件だと分からないよう、同時期の複数事例を見てほしい」と一言添えると、行政側も検査の組み立て方を変えられる
Q2立入検査って、事前に施設に日程を知らせるんですか?
定期の実地指導は通常事前通知があるが、90条は「必要があると認めるとき」の権限であり、通報を端緒とする監査では予告なしの立入りもありうる。現に改善が進まない案件では抜き打ちが選択される。実務のポイント:予告ありの指導で問題が出た施設は、その後の監査が予告なしに切り替わることがある。一度目の指導でどう対応したかが、二度目の入り方を決めている
Q3検査で悪いことが見つかったら、施設はすぐ潰れるんですか?
いきなり取消しになることは少なく、多くは改善勧告、改善命令、期限付きの報告徴収と段階を踏む。ただし虚偽報告や検査妨害、組織的な不正請求が認定されれば、指定の効力停止や取消し(92条)へ一気に進む。実務のポイント:処分を受けても入所者は放り出されない。行政は転所先の確保を並行して進めるのが通例で、家族が真っ先に心配する「行き場がなくなる」は、処分を躊躇する理由にはならない
間違えやすい点 AI による整理
- 「行政の立入検査は年に一度の定期実地指導のことだ」と理解している人は多いが、その理解は半分しかない。90条は「必要があると認めるとき」であり、定期か随時かを問わない。通報を端緒とした監査も同じ条文で動く。定期指導の日程だけ乗り切れば安全、という発想が通用しない構造になっている
- 「立入検査で不正が見つかれば刑事責任を問える」と期待する家族がいるが、問いの立て方が違う。2項が準用する24条4項は、この権限を犯罪捜査のために用いてはならないと定める。ここで得られるのは行政処分(指定取消し、効力停止、報酬返還)への道であり、刑事罰は別ルート(虐待なら刑法、高齢者虐待防止法の通報義務)で組み立てる必要がある。二つの回路を混同すると、どちらも中途半端に終わる
- 施設側には「行政の質問には誠実に答えるべきだが、答えなくても行政指導どまりだろう」という感覚が残っていることがある。深刻度の見積もりが甘い。報告拒否・虚偽報告・検査妨害は、それ自体が指定取消事由であり(92条)、介護報酬の不正請求が絡めば返還額は過去数年分にさかのぼる。事業そのものが消える水準の話である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象 | 介護保険法90条:指定介護老人福祉施設(特養)とその開設者・従業者・元職員等 | 介護保険法76条:指定居宅サービス事業者等 介護保険法24条:居宅サービス等を行った者等(保険給付に関する調査) |
| 検査の場所 | 施設、開設者の事務所その他運営に関係のある場所 | 事業所その他事業に関係のある場所 条文に定める範囲の関係者への報告徴収・質問等 |
| 手続保障 | 24条3項準用で身分証携帯・提示、24条4項準用で犯罪捜査目的の否定 | 同様に身分証提示と犯罪捜査目的の否定 3項で身分証提示、4項で犯罪捜査目的の否定を直接規定 |
| 違反時の帰結 | 報告拒否・虚偽報告・検査妨害は指定取消し等の事由(92条) | 指定居宅サービス事業者の指定取消し等の事由 保険給付に関する法定の効果 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では主管機関が長期照顧機構や老人福利機構に対して検査・評鑑を行い、結果を処分や公表に結びつける仕組みがある。
韓国の老人長期療養保険法も、長期療養機関に対する報告命令や関係書類の検査権限を定める。
ドイツでは介護金庫の委託を受けた医療審査機関が介護施設の品質審査を行い、原則として予告なしの審査も制度化されている。
米国ではメディケイド・メディケア認定ナーシングホームに対し、州の調査機関が予告なしの定期調査を行う。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 母を入所させている特養で、夜間の身体拘束が常態化しているらしいと他の家族から聞いた。施設に聞いても「記録上は適切です」の一点張り。市町村の介護保険担当課に具体的な日時と状況を伝えれば、90条の立入検査で帳簿書類そのものを行政が見にいける。拘束記録は施設が作成保存を義務づけられている書類であり、隠せばそれ自体が別の違反になる
- もし施設側の立場だったら? ある朝、県の担当職員が二名で来所し「90条に基づく立入検査です」と告げる。断れるか。正当な理由なく拒否・妨害・虚偽報告をすれば、指定の効力停止や取消し(92条)に直結し、さらに過料の対象にもなる。その場で「顧問弁護士と相談してから」は通らない
- あなたは特養を三か月前に辞めた元介護職員。在職中に見た記録改ざんが忘れられない。もう関係者ではないと思っていたが、90条は「開設者であった者等」に出頭を求められると書いてある。あなたは証言できる立場にあり、行政もあなたを呼べる立場にある
- 施設で入所者の骨折事故。家族への説明は「ベッドからの自然転落」。だが事故報告書の提出期限まであと数日、その間に記録が整えられる可能性がある。行政に動いてもらうなら早いほどよい。書類が作り直された後では、立入検査で出てくるのは整った書類だけになる
- 施設の事務所が施設本体とは別のビルにある法人で、「記録は本部にあるので見せられない」と言われた。90条は立入先を施設本体に限定していない。開設者の事務所、その他運営に関係のある場所まで含まれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 気になった事実を日付・時刻・関係者・具体的内容で記録する。面会時の写真、body の状態、職員の発言をその日のうちにメモ2. まず施設の苦情受付担当者と運営適正化の窓口へ書面で申入れ、回答期限を切る3. 改善がなければ市町村の介護保険担当課、または都道府県の指導監査担当へ情報提供。90条の立入検査を求める旨と、見てほしい書類(介護記録、事故報告書、身体拘束に係る記録、勤務実績表)を具体的に挙げる4. 虐待が疑われる場合は高齢者虐待防止法に基づく通報が別枠で優先、市町村は通報を受けた時点で調査義務を負う5. 損害賠償を求めるなら民事は別ルート、行政処分を待たずに証拠保全を進める
訴えられた側:1. 検査の受入れは拒否しない。正当な理由のない拒否・妨害・虚偽報告は指定取消事由(92条)に直結する2. その場で答えられないことは「確認して後日書面で回答する」と明確に述べ、推測で答えない。誤った回答が後に虚偽報告と評価されるリスクを避ける3. 検査時に提示した書類の一覧と、聴取された内容の記録を自社側でも残す4. 不利益処分が見込まれる場合、聴聞または弁明の機会が法定で与えられる(行政手続法13条)。ここが反論の正式な場であり、検査当日ではない5. 処分が出た場合は審査請求または取消訴訟の道がある、教示欄を必ず確認
時効(請求できる期限):本条自体に期間の定めはない。ただし不利益処分に不服がある場合、審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。介護報酬の不正請求に伴う返還請求は過去にさかのぼるため、対象期間は事案ごとに異なる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:行政調査は刑事責任追及を目的としない限り令状を要しないが、調査権限を犯罪捜査に流用することは許されない。介護保険法90条2項による24条4項の準用はこの限界を明文化したものと理解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成9年(1997年) 新設:介護保険法の制定により、指定介護老人福祉施設に対する報告徴収・立入検査権限として規定された(2000年4月施行)。
- 介護保険法 第24条身分証提示義務と犯罪捜査目的禁止の準用元
- 介護保険法 第91条検査結果を受けた勧告・命令・公表の手続
- 介護保険法 第92条検査拒否等を含む指定取消し・効力停止事由
- 介護保険法 第88条指定介護老人福祉施設の指定要件、検査の前提
- 介護保険法 第76条指定居宅サービス事業者に対する同趣旨の検査権限
- 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律 第24条虐待通報時の権限行使を義務づける特則(通称 高齢者虐待防止法)
- 行政手続法 第13条不利益処分前の聴聞・弁明の機会の保障
- 社会福祉法 第70条社会福祉法人に対する所轄庁の監督権限との併存
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