確定給付企業年金法 第32条(給付の額)
クイックジャンプ
- 給付の額は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより算定した額とする。
- 2.前項に規定する給付の額は、加入者期間又は当該加入者期間における給与の額その他これに類するものに照らし、適正かつ合理的なものとして政令で定める方法により算定されたものでなければならず、かつ、特定の者について不当に差別的なものであってはならない。
この条文の基本情報
給付の額とは何ですか?
定義給付の額とは、確定給付企業年金法第32条に定められた規定で、「給付の額は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより算定した額とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 確定給付企業年金法第32条(給付の額)は、日本の確定給付企業年金法に含まれる条文です。
- 確定給付企業年金法第32条の条文原文は「給付の額は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより算定した額とする。」で始まります。
- 確定給付企業年金法第32条は第一節 通則に置かれています。
- 確定給付企業年金法の公布日は平成13年6月15日です。
- 確定給付企業年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 確定給付企業年金法第32条の前の条は確定給付企業年金法第31条です。
- 確定給付企業年金法第32条の次の条は確定給付企業年金法第33条です。
- 確定給付企業年金法第32条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)第32条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000050 - 本サイト収録
確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)第32条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/413AC0000000050/32
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点確定給付企業年金法32条は、企業年金の給付額を政令の基準に従い規約で定めると規定する。算定は加入者期間や給与に基づく合理的な方法に限られ、不当な差別は禁止される。
Q · 確定給付企業年金の金額って、会社が自由に決めていいの?
自由ではない。規約の算定式と政令の基準に縛られる
確定給付企業年金法32条1項により、給付の額は政令で定める基準に従い、規約で定めた方法で算定されます。2項は、その算定方法が加入者期間や給与の額などに照らし適正かつ合理的な政令所定の方法であること、特定の者を不当に差別的に扱わないことを求めています。規約は厚生労働大臣の承認または認可を受けるため、会社の判断だけで給付額を変えることはできません。
解説
退職金の説明会で配られる年金の試算表。あの数字は会社が思いつきで決めたものではない。確定給付企業年金法32条は、給付の額は「規約」(会社と労働組合などが合意し、厚生労働大臣の承認または認可を受けたルールブック)で決め、しかも政令が認める算定方法に従わなければならないと定めている。算定の物差しは加入者期間と給与、またはそれに類するものに限られ、特定の人だけを不当に厚く、または薄く扱うことは許されない。社長の親族だけ上乗せする、気に入らない社員だけ減らす、そうした設計は条文違反になる。あなたが手にすべき武器は一つ。自分の年金額を決めている規約の算定式を、実際に見せてもらうことだ。給付額は規約で決まるので、会社は規約を変えない限り勝手に下げられない。規約を変えて下げようとすれば、政令・省令が定める減額の理由と同意手続を通さなければならない。「会社の業績が悪いから今年は少なめ」という説明に、あなたは根拠を求める立場にある
法的な位置づけ
確定給付企業年金法32条は、確定給付企業年金における給付の額の決定方法を定める規定である。給付の額は政令で定める基準に従い規約で定めた方法により算定され、その方法は加入者期間または給与の額等に照らし適正かつ合理的なものでなければならず、特定の者を不当に差別的に扱うことは許されない。
手順
- 1.規約の算定方法の部分を入手する 人事部または企業年金の担当窓口に、規約のうち給付の額の算定方法を定めた部分と別表(給付乗率・ポイント表など)の閲覧を求める。事業主には規約内容の周知義務がある
- 2.自分の加入者期間と給与の記録を確認する 加入者期間の起算日、休職期間の扱い、算定の基礎となる給与(基本給・ポイント累計など)の記録を取り寄せ、人事記録と食い違いがないか照合する
- 3.算定式に当てはめて検算する 規約の算定式(最終給与比例・ポイント制・キャッシュバランスなど)に自分の数字を当てはめ、会社の試算額と一致するか確認する。同じ給与・勤続年数の人と乗率が違わないかも見る
- 4.疑問点を書面で質問し、必要なら外部に相談する 不自然な差や記録の誤りがあれば、根拠の説明を人事部に書面で求める。回答が不十分な場合は、労働組合、社会保険労務士、地方厚生局に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1確定給付企業年金とは何ですか?
将来受け取る給付額があらかじめ規約で決まっている企業年金です。運用で積立不足が出た場合は、原則として事業主が掛金で穴埋めします。
Q2確定給付企業年金と確定拠出年金の違いは?
確定給付型は給付額が規約で先に決まり、運用リスクは事業主が負います。確定拠出型は掛金が決まっていて、給付額は加入者自身の運用結果で変わります。
Q3確定給付企業年金の給付額の算定方式にはどんな種類がありますか?
定額制、最終給与比例制、ポイント制、キャッシュバランスプランなどがあります。いずれも32条2項により、加入者期間や給与に基づく合理的な方法でなければなりません。
Q4企業年金の規約は社員が見せてもらえますか?
事業主には規約の内容を加入者に周知する義務があります。給付の算定方法が書かれた部分の閲覧を人事部に求めることができます。
Q5企業年金を一時金で受け取ると税金はどうなりますか?
一時金は退職所得、年金は雑所得として課税されます。額面が同じでも控除の仕組みが異なるため、受け取り方によって手取りが変わります。
Q6企業年金の積立不足は誰が負担しますか?
確定給付型では、運用不調などで生じた積立不足は原則として事業主の掛金で補います。積立不足を理由に給付額が自動的に下がることはありません。
Q7休職期間は企業年金の加入者期間に含まれますか?
産休・育休や休職期間の扱いは規約で定められます。会社によって算入の有無が異なるため、自社の規約の加入者期間の定めを確認する必要があります。
Q8規約型と基金型の確定給付企業年金の違いは?
規約型は事業主が信託会社などと契約して運営し、規約は厚生労働大臣の承認を受けます。基金型は別法人の企業年金基金が運営し、規約は認可を受けます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社の業績が悪いから企業年金を減らすって言われたんですけど、そんなことできるんですか?
給付額は規約で決まっているので(32条1項)、減らすには規約変更が必要です。減額には経営の悪化などの法令上の理由と、加入者の3分の2以上の同意などの手続が求められ、受給者の減額はさらに厳しくなります(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:受給者の減額では、減額前の基準で算定した一時金を選べる措置が要件に入っている。これを知っていれば、同意するかどうかとは別に、交渉の選択肢が一つ増える
Q2部長だけ年金がやけに高いのって、差別じゃないんですか?
給与が高いから給付も高い、というのは給与比例の算定なので原則として問題ありません。32条2項が禁じるのは、加入者期間や給与では説明できない「不当に差別的」な差です。実務のポイント:本当に確かめるべきなのは額の大小ではなく、同じ給与・同じ勤続年数なのに乗率やポイントが違うかどうかだ。規約の別表を見れば分かる
Q3自分の年金がいくらになるか、どうやったら分かりますか?
規約に書かれた算定式(最終給与比例、ポイント制、キャッシュバランスなど)に、自分の加入者期間と給与の記録を当てはめれば計算できます(32条1項・2項)。実務のポイント:多くの会社は加入者向けに個人別の試算を出せる仕組みを持っているが、社員が求めない限り出てこないことが多い。一度頼んでみるだけで、老後資金計画の精度が変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 企業年金の額は会社の業績次第で毎年上下すると思われがちだが、確定給付型は名前のとおり給付額が規約で先に確定している。運用が不調で積立不足が出たら、その穴埋めは原則として事業主の掛金で行う。業績が悪いからといって自動的に減るわけではない
- 「差別禁止」は知っていても、その範囲を過小評価している人が多い。職種・役職・給与による差を設けること自体は、合理的なら許される。問題になるのは、合理的な説明がつかない差だ。つまり「差があるか」を問うのは的外れで、「その差を加入者期間や給与で説明できるか」を問う必要がある
- 社員から見れば、年金は会社が恩恵として配るおまけかもしれない。しかし法律上は、承認または認可を受けた規約に基づいて受け取る権利である。おまけだと思っている人は減額の提案にあっさり署名し、権利だと分かっている人は算定根拠を確かめる。この認識の差が、老後の数百万円の差になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 32条:給付の額の算定方法 | 36条:老齢給付金の支給要件 41条:脱退一時金の支給要件 |
| 規約に委ねられる部分 | 算定式(定額・給与比例・ポイント制・キャッシュバランス等) | 支給開始年齢、加入者期間要件 脱退一時金を受けられる加入者期間 |
| 法律による歯止め | 政令の基準・算定方法に従うこと、不当な差別の禁止 | 加入者期間要件は20年を超えてはならない 加入者期間要件は3年を超えてはならない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は旧制で勤続年数に応じた基数による退職金算定を法定し、2005年の新制以降は個人口座型の拠出制が中心。企業ごとの給付設計の自由は日本より狭い
韓国は確定給付型退職年金の給付水準に法定の下限を設けており、労使による設計の余地は日本より限定的
ドイツは企業年金の受給権の保全や調整義務を法律で定め、労働法上の平等取扱原則が給付設計の差別を規律する
米国は給付の積立ルールをERISAで、高額報酬者を優遇しない非差別要件を内国歳入法で定める。税制優遇と差別禁止を結びつける発想は日本の32条2項と共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 会社から「年金制度を見直すので、同意書に署名を」という書類が回ってきた。給付の減額につながる規約変更には、加入者の3分の2以上の同意などの手続が必要になる(最新の改正状況をご確認ください)。回答期限まであと5日。署名する前に、新旧の算定式と自分の試算額を比べた資料を要求できる
- もし、役員に近い一部の管理職だけ給付乗率が倍になっていたら、どうなる? 職責や給与の差として合理的に説明できなければ、32条2項の「不当に差別的」に当たる可能性がある
- あなたが人事部の担当者として、転職者の採用を増やすためにポイント制へ切り替える案を作っている。新制度が勤続の長い社員だけを不利にしていないか、政令が認める算定方法の枠内か。承認申請の段階で厚生局から指摘されれば、スケジュールは丸ごと後ろにずれる
- 定年退職の直前、会社に「年金と一時金、どちらで受け取るか」と聞かれた。額は規約の算定式で決まっているが、年金は雑所得、一時金は退職所得として課税されるので、手取りは受け取り方で変わる
- 転職先で「前の会社の企業年金、あれいくらだった?」と聞かれて答えられない。加入者期間と給与の記録が規約の計算式に入るので、自分の額は自分で検算できる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 人事部に規約(給付の額の算定方法の部分)の閲覧を求める。事業主には規約の内容を加入者に周知する義務がある2. 自分の加入者期間・給与の記録を入手し、算定式で検算する3. 特定の人だけ不自然に厚い、または薄い扱いがあれば、その合理的な根拠を書面で質問する4. 回答が不十分なら、労働組合または地方厚生局に相談する
訴えられた側:1. 給付設計の差はすべて、加入者期間・給与・職責で説明できるか点検する2. 減額に当たる変更は、法令上の理由と同意手続(加入者の3分の2以上の同意など)を満たしているか確認する(最新の改正状況をご確認ください) 3. 説明資料には新旧の試算額を個人別に示す4. 承認申請の前に、社会保険労務士や年金数理人と設計を検証する
時効(請求できる期限):32条自体に特定の時効はない。給付の支払を請求する権利には一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が基本となるが、規約や特則による扱いもありうるため、自社の規約で確認すること
学説
一般的理解:32条は給付設計を労使の規約に委ねつつ、政令の基準と算定方法、差別禁止によって枠をはめる構造をとる。税制上の優遇を受ける制度である以上、給付は加入者の勤続と報酬に対応した合理的なものでなければならないと理解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成13年(2001年)制定 確定給付企業年金法の制定とともに設けられ、平成14年(2002年)4月に施行された。その後に本条の文言が改正されたかどうかは人的検証が必要である
改正の年表
- 1.平成13年(2001年) 新設:確定給付企業年金法の制定により新設。平成14年(2002年)4月施行。適格退職年金の廃止と厚生年金基金の再編に伴う受け皿として、給付算定のルールを法定した
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める