確定給付企業年金法 第53条
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故意の犯罪行為により給付対象者を死亡させた者には、遺族給付金は、支給しないものとする。給付対象者の死亡前に、その者の死亡によって遺族給付金を受けるべき者を故意の犯罪行為により死亡させた者についても、同様とする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 確定給付企業年金法第53条は、日本の確定給付企業年金法に含まれる条文です。
- 確定給付企業年金法第53条の条文原文は「故意の犯罪行為により給付対象者を死亡させた者には、遺族給付金は、支給しないものとする。」で始まります。
- 確定給付企業年金法第53条は第六節 給付の制限に置かれています。
- 確定給付企業年金法の公布日は平成13年6月15日です。
- 確定給付企業年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 確定給付企業年金法第53条の前の条は確定給付企業年金法第52条です。
- 確定給付企業年金法第53条の次の条は確定給付企業年金法第54条です。
- 確定給付企業年金法第53条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)第53条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000050 - 本サイト収録
確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)第53条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/413AC0000000050/53
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点確定給付企業年金法53条は、給付対象者を故意の犯罪行為で死亡させた者、及び先順位の遺族を故意の犯罪行為で死亡させた者に遺族給付金を支給しないと定める。
Q · 家族を死なせた人でも、会社の企業年金の遺族給付金はもらえるの?
故意の犯罪で死なせた者は不可。過失なら対象外
確定給付企業年金法53条により、給付対象者(加入者等)を故意の犯罪行為で死亡させた者には遺族給付金が支給されません。給付対象者の死亡前に、先順位の遺族を故意の犯罪行為で死亡させ、順位を繰り上げようとした者も同じです。本条は民法891条の相続欠格と異なり、文言上「刑に処せられた」ことを要件としていません。一方、過失による死亡や正当防衛など犯罪が成立しない行為は対象外です。
解説
会社の確定給付企業年金(DB)には、加入者や受給者が亡くなったときに家族へ支払われる「遺族給付金」がある。本条はその例外を一つだけ定める。給付対象者を故意の犯罪行為で死なせた者には、遺族給付金を払わない。さらに、自分より先の順位にいる遺族を、給付対象者が亡くなる前に故意の犯罪行為で死なせて、順位を繰り上げようとした者も同じく受け取れない。ポイントは、民法891条の相続欠格と要件が違うことだ。相続欠格は「刑に処せられた」ことを求めるが、本条の文言は「故意の犯罪行為により死亡させた」だけで、刑の確定までは書いていない。一方、正当防衛のように犯罪が成立しない行為や、過失による死亡は対象外である。遺族給付金は相続財産ではなく、規約が定める遺族が自分の権利として受け取るお金だ。この違いを押さえておくと、身内の死亡をめぐる揉め事で、どの手続きで何を主張すればよいかが見えてくる。
法的な位置づけ
確定給付企業年金法第53条は、遺族給付金の支給制限を定める規定である。給付対象者を故意の犯罪行為により死亡させた者、及び給付対象者の死亡前に遺族給付金を受けるべき先順位者を故意の犯罪行為により死亡させた者を受給から除外する。刑の確定を要件とせず、過失による死亡を対象としない点で、民法第891条の相続欠格と要件を異にする。
よくある質問 AI による整理
Q1確定給付企業年金の遺族給付金とは?
加入者や受給者が亡くなったとき、規約で定める遺族に支払われる給付です。相続財産ではなく、遺族が固有の権利として受け取ります。
Q2遺族給付金がもらえないのはどんな場合?
給付対象者を故意の犯罪行為で死亡させた場合と、先順位の遺族を故意の犯罪行為で死亡させた場合です(確定給付企業年金法53条)。
Q3正当防衛で家族を死なせた場合、遺族給付金は止まる?
正当防衛が認められれば犯罪は成立しないため、「故意の犯罪行為」に当たらず、本条による支給制限は受けないのが原則です。
Q4殺人未遂でも遺族給付金は支給制限される?
本条の文言は「死亡させた」ことを要件としています。未遂で相手が亡くならなかった場合、本条の支給制限の対象にはなりません。
Q5遺族給付金に相続税はかかる?
DB の遺族一時金は、相続税の計算上みなし相続財産(退職手当金等)として扱われ、非課税枠の対象になると解されています。最新の取扱いを確認してください。
Q6遺族給付金の請求先はどこ?
故人の勤務先が加入していた企業年金基金、または規約型の場合は事業主・資産管理機関です。まず勤務先の人事部門に加入状況を問い合わせます。
Q7遺族給付金は年金でもらう?一時金でもらう?
支給方法は各制度の規約で定められます。年金・一時金のどちらになるか、選べるかどうかは、基金や事業主に規約の内容を確認してください。
Q8厚生年金や国民年金にも同じ支給制限はある?
あります。遺族厚生年金は厚生年金保険法76条、遺族基礎年金は国民年金法71条に同じ趣旨の支給制限があり、制度ごとに別々に判断されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1兄が父を死なせて捕まりました。父の会社の年金は誰がもらえるんですか?
本条により、兄は遺族給付金を受け取れません。受給者は規約が定める遺族の範囲と順位(本法48条)で決まります。次の順位の遺族に権利が移るかどうかも、規約の定め方次第です。実務のポイント:基金は、事件を知らないまま上位の遺族に払ってしまうことがあります。そうなると返還請求の手間が増えます。次順位の人から早めに知らせるのが一番の防御策です
Q2事故で家族を死なせてしまった場合も、遺族給付金はもらえなくなりますか?
過失による事故(過失運転致死など)は「故意の犯罪行為」に当たらないため、本条による支給制限は受けないのが原則です。実務のポイント:同じ交通事故でも、危険運転致死罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条)のように故意の危険運転を前提とする罪で起訴されると、評価が変わる可能性があります。罪名の選択が年金にまで響くので、刑事弁護人とこの点も共有しておきましょう
Q3相続欠格にならなかったら、遺族給付金ももらえるんじゃないですか?
そうとは限りません。相続欠格(民法891条1号)は「刑に処せられた」ことが要件で、執行猶予の扱いなどには解釈上の議論もあります。本条は文言上、刑の確定を求めていません。二つの制度は別々に判断されます。実務のポイント:遺族給付金は相続財産ではないので、遺産分割協議に含めても基金はその合意に拘束されません。遺産の話し合いとは別の窓口で処理しましょう
間違えやすい点 AI による整理
- 「相続放棄すれば、会社の年金の遺族給付も受け取れない」と思われがちだが、遺族給付金は相続財産ではない。規約が定める遺族が、固有の権利として受け取るものである。相続を放棄しても、遺族給付金の受給権は原則として残る。逆に、相続欠格にならなくても、本条で遺族給付金だけ止まる場面はありうる
- 「殺人でなければ関係ない」という理解は浅い。本条が問題にするのは殺意ではなく「故意の犯罪行為」である。傷害致死のように、傷害の故意があって死亡という結果が生じた場合も含むと解されるのが一般的だ(範囲には解釈の余地がある)。他方、過失運転致死のような過失犯は含まれない。線を引くのは「故意か過失か」である
- 「有罪判決が出るまでは誰も何もできない」と考えるのは、本条の文言から見て前提がずれている。相続欠格(民法891条1号)と違い、本条は「刑に処せられた」ことを要件にしていない。そのため、基金が事実関係から支給制限を判断する余地がある。ただし実務では、刑事手続の結果を見て判断する運用が慎重な対応とされる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる給付・財産 | 確定給付企業年金の遺族給付金 | 民法891条:相続財産(相続権そのもの) 厚生年金保険法76条:遺族厚生年金 |
| 除外の要件 | 故意の犯罪行為により死亡させたこと(文言上、刑の確定は不要) | 故意に死亡させ又は死亡させようとして刑に処せられたこと等(1号) 被保険者等を故意に死亡させたこと(条文の文言は要確認) |
| 順位繰上げ目的の加害 | 給付対象者の死亡前に先順位の受給予定者を死亡させた者も除外 | 先順位・同順位の相続人を故意に死亡させた場合も欠格(1号) 受給権者となるべき者を故意に死亡させた者も除外 |
| 判断する主体 | 企業年金基金・事業主(規約に基づく裁定) | 当然に欠格(争いがあれば民事訴訟で確定) 日本年金機構(不服は審査請求) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は相続権喪失として規律する。企業年金の遺族給付に特化した同種の支給制限規定の有無は要確認
韓国も故意に被相続人や先順位者を死亡させた者を相続欠格とする
ドイツは相続欠格(Erbunwürdigkeit)を取消訴訟により主張する構造で、当然欠格の日本とは異なる
米国は Slayer Rule として相続・保険金・一部の給付に適用。企業年金は ERISA との関係で州法の適用が問題になりうる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父を刺して死なせた兄が、父の勤務先の企業年金基金に遺族給付金を請求してきたら、どうなる? 本条によって、兄は受給資格を失う。問題は、それを基金がいつ、何を根拠に判断するかである
- 介護疲れの末に夫を死なせてしまった妻。刑事では執行猶予が付く見込みだが、夫の DB 遺族給付金は本条で止まる。情状が酌量されても、故意の犯罪行為であることに変わりはない。刑事の量刑と年金の支給制限は、別の物差しで測られる
- 年金基金の給付担当者の立場になると、受給権者が加害者として逮捕された段階で、支給を止めるのか、判決を待つのかという判断を迫られる。そこで払ってしまった後に有罪が確定すれば、返還を求める手続きが一つ増える
- 口論中に突き飛ばした相手が、頭を打って亡くなった。殺意はなかった。傷害致死は故意の犯罪行為(傷害)が死亡という結果を招いたものなので、本条に当たると解する立場が有力である。過失致死とは扱いが大きく変わる
- 遺族給付金の請求期限が迫るなか、第一順位の遺族が加害者として捜査対象になった。次の順位の遺族であるあなたは、自分に権利が回ってくるかどうかを基金と規約で早く確認しないと、請求の段取りが止まってしまう
取るべき行動
被害を受けた側:1. 故人の勤務先または企業年金基金に、DB の加入状況と遺族給付金の有無を問い合わせる2. 規約で定める遺族の範囲と順位(本法48条・規約)を確認する3. 上位順位の遺族が加害者と疑われる場合は、起訴状や報道など客観資料を添えて基金へ書面で知らせ、支給の保留を求める4. 厚生年金・国民年金の遺族給付でも、年金事務所に同じように伝える5. 相続の場面では、民法891条の相続欠格を別途主張する
訴えられた側:1. 犯罪が成立しない事情(正当防衛・緊急避難)や、故意ではなく過失だったことを刑事手続で争うことが、本条の適用を避ける前提になる2. 基金から支給制限の通知を受けたら、判断の根拠と規約の条項を書面で求める3. 刑事で無罪や過失犯として確定した場合は、確定の記録を添えて改めて請求する4. 公的年金の不支給決定には審査請求という不服申立ての道がある。期限が短いので注意する
時効(請求できる期限):本条に特定の時効はない。一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用されるが、給付を受ける権利の時効や請求期限は本法と規約の定めを優先して確認すること(最新の改正状況をご確認ください)。公的年金の不支給決定への審査請求は、知った日の翌日から3か月以内
学説
一般的な理解(解釈の余地あり):「故意の犯罪行為」は故意犯の成立を前提とし、過失犯や違法性阻却事由のある行為を含まない。傷害致死のように傷害の故意に基づき死亡結果が生じた場合を含むとする理解が一般的だが、範囲には議論の余地がある。
改正沿革 AI による整理
- 平成13年(2001年)制定 確定給付企業年金法の制定(平成13年法律第50号)とともに規定された。その後、本条の文言が改正されたかどうかは人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成13年(2001年) 新設:確定給付企業年金法(平成13年法律第50号)の制定とともに規定された。その後の本条の文言改正の有無は要確認。
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