確定給付企業年金法 第71条(資産管理運用機関の行為準則)
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資産管理運用機関(契約金融商品取引業者を含む。)は、法令及び資産管理運用契約を遵守し、加入者等のため忠実にその業務を遂行しなければならない。
この条文の基本情報
資産管理運用機関の行為準則とは何ですか?
定義資産管理運用機関の行為準則とは、確定給付企業年金法第71条に定められた規定で、「資産管理運用機関(契約金融商品取引業者を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 確定給付企業年金法第71条(資産管理運用機関の行為準則)は、日本の確定給付企業年金法に含まれる条文です。
- 確定給付企業年金法第71条の条文原文は「資産管理運用機関(契約金融商品取引業者を含む。」で始まります。
- 確定給付企業年金法第71条は第七章 行為準則に置かれています。
- 確定給付企業年金法の公布日は平成13年6月15日です。
- 確定給付企業年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 確定給付企業年金法第71条の前の条は確定給付企業年金法第70条です。
- 確定給付企業年金法第71条の次の条は確定給付企業年金法第72条です。
- 確定給付企業年金法第71条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)第71条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000050 - 本サイト収録
確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)第71条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/413AC0000000050/71
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点確定給付企業年金法71条は、信託銀行などの資産管理運用機関に、法令と契約を守り加入者等のため忠実に業務を行う義務を課す。忠実義務の相手は事業主ではなく加入者等である。
Q · 会社の年金を運用している信託銀行は、会社の言うことを聞けばいいんじゃないの?
違う。忠誠の相手は会社ではなく加入者等です
確定給付企業年金法71条は、信託銀行・生命保険会社・投資一任の運用会社などの資産管理運用機関に、法令と資産管理運用契約を守り、「加入者等のため」忠実に業務を行う義務を課しています。契約を結ぶのは事業主ですが、忠実義務の宛先は加入者等です。加入者の利益を害する指図に漫然と従ったり、系列商品を合理的根拠なく優先したりすれば、本条に照らして問題になりえます。
解説
会社の退職金規程に「確定給付企業年金」と書いてあっても、その積立金を実際に預かり、運用しているのは会社ではない。信託銀行、生命保険会社、投資一任の運用会社である。確定給付企業年金法71条は、こうした資産管理運用機関(年金資産を預かって管理・運用するプロの金融機関)に対し、法令と契約を守り、「加入者等のため」忠実に業務を行う義務を課している。ここで注目すべき点は、忠誠を尽くす相手が契約相手である会社ではなく、年金をもらうあなたと明記されていることだ。会社が「系列の運用会社に手数料の高い商品を買わせたい」と言っても、加入者の利益に反するなら運用機関はそれに従う理由を失う。自社商品の押し込み、利益相反取引、運用状況の説明の手抜きは、この一文に照らして問題になる。あなたの老後資金には、法律上、会社とは別の見張り役が付いているのである
法的な位置づけ
確定給付企業年金法第71条は、年金資産の管理・運用を受託する信託会社、生命保険会社、契約金融商品取引業者等の資産管理運用機関について、法令及び資産管理運用契約の遵守義務と、加入者等に対する忠実義務を定める規定である。企業年金における受託者責任の中核をなし、利益相反行為を規律する根拠となる。
手順
- 1.年金規約と周知資料を入手する 人事・年金担当に、確定給付企業年金の規約と業務概況の周知資料、運用報告を具体名で請求する。社内ポータルに掲載されている場合は保存場所を確認する
- 2.運用機関と手数料を確認する 資料から資産管理運用機関の名称、運用方針、手数料水準、系列商品の組入比率を抜き出し、一覧にまとめる
- 3.疑問点を書面で質問する 系列商品の採用理由、代替案との比較、利益相反の管理方法について、人事・年金担当に書面で質問し、回答を保存する。給付減額の説明会がある場合はその場でも質問する
- 4.加入者代表や専門家に相談する 回答に納得できない場合は、労働組合や加入者代表を通じて説明を求める。損害が疑われるときは、年金・信託に詳しい弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1資産管理運用機関とは何ですか?
確定給付企業年金の積立金を預かり、管理・運用する信託会社、生命保険会社、投資一任契約を結んだ金融商品取引業者などの金融機関の総称です。
Q2確定給付企業年金の忠実義務とは?
資産管理運用機関が、自社や第三者の利益ではなく加入者等の利益を優先して業務を行う義務です。確定給付企業年金法71条が定めています。
Q3確定給付企業年金と確定拠出年金の違いは?
確定給付は給付額があらかじめ決まり、運用リスクを事業主が負います。確定拠出は掛金が決まり、運用結果で受取額が変わるため加入者がリスクを負います。
Q4企業年金の受託者責任ガイドラインとは?
厚生労働省が示す、資産運用関係者の役割と責任を具体化した指針です。忠実義務や注意義務の実務上の中身を理解する手がかりになります。
Q5契約金融商品取引業者とは何ですか?
事業主等と投資一任契約を結び、年金資産の運用を任された金融商品取引業者を指します。71条のかっこ書きで資産管理運用機関に含まれると明記されています。
Q6確定給付企業年金の給付は減額できる?
規約変更により減額は可能ですが、法令で定める理由と、加入者・受給者の同意取得などの手続要件を満たす必要があります。会社の一存では決められません。
Q7事業主は運用機関に運用の指図ができる?
資産管理運用契約に基づき運用方針を示すことはできます。ただし加入者の利益を害する指図に運用機関が漫然と従うことは、71条に照らし問題となりえます。
Q8確定給付企業年金の監督官庁はどこ?
制度全体は厚生労働省(地方厚生局を含む)が所管します。信託銀行や運用会社など金融機関としての業務は、金融庁の監督も受けます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社の年金、どこの銀行が運用してるかって普通教えてもらえるんですか?
確定給付企業年金では、事業主は加入者に業務の概況を周知する義務を負い(確定給付企業年金法73条、現行効力を要確認)、資産の運用状況も周知の対象に含まれる。実務のポイント:周知資料は社内ポータルの奥に置かれているだけ、ということが多い。人事に「年金の業務概況の周知資料はどこにありますか」と具体名で聞くと、話が一気に早くなる
Q2運用で大損したら、信託銀行を訴えられるんですか?
損失が出たというだけでは難しい。71条が求めるのは加入者のための忠実な業務遂行であり、市場リスクによる損失は義務違反とは限らない。問題になるのは利益相反や契約違反など過程の欠陥である。実務のポイント:加入者個人が運用機関を直接訴えられるかは実務上、解釈が分かれている。まず事業主や基金を通じて責任追及を求めるルートが現実的である
Q3系列の投資信託に入れてるのって、そもそもダメなんじゃないの?
系列商品の採用自体が直ちに違法になるわけではない。問われるのは、加入者にとって合理的な選択だったかという点である(71条)。手数料、運用実績、代替案との比較が鍵になる。実務のポイント:厚生労働省のガイドラインは資産運用関係者の受託者責任を具体化している。質問するときに「受託者責任ガイドラインに照らして」と添えると、担当者の回答姿勢が変わりやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「年金は会社のお金だから、運用先は会社の言いなりだ」と考えがちだが、会社は契約当事者にすぎない。運用機関が忠実義務を負う相手は加入者等であり、加入者の利益を害する指図に漫然と従うことは、それ自体が義務違反と評価されうる
- 忠実義務は知っていても、その射程の広さは見落とされやすい。明白な横領や背任だけが問題になるのではない。系列商品の優先、割高な手数料体系の放置、利益相反の説明不足など、「違法とまでは言えないが加入者より自社を優先した」グレーゾーンこそが本条の主戦場である
- 「運用で損をしたら運用機関の責任だ」という問いの立て方自体がずれている。市場で損をしたこと自体は忠実義務違反ではない。問われるのは結果ではなく過程、つまり誰の利益を優先して判断したか、法令と契約に沿った手続を踏んだかである
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 義務を負う者 | 71条:資産管理運用機関(信託会社・生保・契約金融商品取引業者等) | 69条:事業主 70条:企業年金基金の理事 |
| 遵守対象 | 法令及び資産管理運用契約 | 法令、厚生労働大臣の処分及び規約 法令、厚生労働大臣の処分、規約及び代議員会の議決 |
| 忠実義務の宛先 | 加入者等(契約相手の事業主ではない) | 加入者等 基金(加入者等の利益のため) |
| 典型的な問題場面 | 系列商品の優先、割高な手数料、利益相反の説明不足 | 運用機関の選定や指図における自社都合の優先 基金の資産運用における理事の利益相反 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の旧制退職金は雇用主が退職準備金を積み立て、公的機関が運用する仕組みで、日本の DB と構造が異なる。民間受託者の忠実義務は信託業法が一般的に定める
韓国の退職年金制度も DB 型・DC 型を持ち、退職年金事業者に加入者のための義務を課す点で日本と類似する
ドイツは企業年金の実施形態が複数あり、運用機関の義務は保険監督法の規律に委ねられる部分が大きい
米国は受託者に「参加者及び受益者の利益のためだけに」行動する義務を課し、本条の直接の参照モデルとされる。受託者の個人責任や参加者の訴権も明文で定める
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 会社から「年金の予定利率を引き下げ、給付を減額したい」という説明会の案内が届いた。背景に運用成績の不振があるなら、確認すべきは減額の手続だけではない。運用機関が加入者のために忠実に運用していたのか、手数料や商品の選び方に偏りがなかったのかも問える
- 2012年の AIJ 投資顧問事件では、厚生年金基金を中心に巨額の年金資産が消えた。自分の会社の年金は大丈夫なのか。運用を任されている機関がどこで、どんな商品に投資しているか、あなたは一度でも確認したことがあるだろうか
- あなたは信託銀行の年金営業担当である。親会社グループの投資信託を組み入れれば、今期のノルマが達成できる。だがその商品が加入者にとって最善でないなら、71条の忠実義務に抵触しうる。社内の数字と加入者の利益がぶつかった瞬間、どちらを選んだか記録が残る
- 退職まであと1年。一時金で受け取るか年金で受け取るかを決める前に、制度の財政状況と運用報告を見ておきたい。加入者向けの業務概況の周知は事業主の義務である。黙っていれば、誰も資料を渡してくれない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 年金規約、加入者向けの業務概況の周知資料、運用報告を入手する2. 運用機関の名称、運用方針、手数料、系列商品の比率を確認する3. 疑問点は人事・年金担当に書面で質問し、回答を保存する4. 労働組合や加入者代表を通じて説明を求める5. 損害が疑われる場合は、社会保険労務士ではなく、年金・信託に詳しい弁護士に相談する。加入者が運用機関に直接請求できるかは実務上、解釈が分かれている
訴えられた側:1. 運用判断の過程(検討資料、比較した代替案、利益相反の確認記録)を時系列で保全する2. 系列商品を採用した場合は、手数料と運用実績が他社商品と比べて合理的だった根拠を整理する3. 事業主の指図に従った場合は、指図の内容と加入者利益への影響を検討した記録を確認する4. 社内の法務・コンプライアンス部門を通じて早期に対応方針を決め、監督官庁への報告の要否を検討する
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。不法行為構成なら損害及び加害者を知った時から3年、行為時から20年(民法724条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
有力説:本条の忠実義務は、善管注意義務とは区別される義務であり、受託者が加入者等の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図ることを禁ずる点に中核がある。利益相反の管理と説明が実務上の焦点となる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成13年(2001年) 新設:確定給付企業年金法の制定により、資産管理運用機関の忠実義務として新設。事業主(69条)、基金理事(70条)とあわせて、企業年金の受託者責任を明文化した
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