要点個人情報の保護に関する法律172条は、個人情報保護委員会が外国執行当局に職務遂行に資する情報を提供できると定める。刑事事件への転用には委員会の同意と両大臣の確認が必要となる。
Q · 個人情報保護委員会が、私のデータを海外の役所に渡すことって本当にあるの?
提供はできるが刑事転用には大臣二人の確認が要る
個人情報の保護に関する法律172条により、個人情報保護委員会は外国執行当局にその職務遂行に資する情報を提供できます。ただし提供情報は当該当局の職務以外に使えず、外国の刑事捜査への転用には委員会の同意が必要です。委員会は、政治犯罪であるとき、日本の法令で罪に当たらないとき(双方可罰性なし)、相互主義の保証がないときは同意を拒めます。同意前には、政治犯罪と双方可罰性について法務大臣、相互主義について外務大臣の確認が前置されます。
あなたの個人データを預かった日本企業が、ある日、海外の規制当局から調査を受けたとする。その外国当局が「日本の個人情報保護委員会が持っている情報を渡してほしい」と要請してきたら何が起きるか。172条は、委員会が外国の同種の当局に、その職務遂行に資する情報を提供できると定めている。ここまでなら単なる国際協力の話だ。だが本当の読みどころは2項以降にある。提供した情報は原則としてその当局の職務以外に使えず、外国の刑事捜査や審判に使うには、あなたの知らないところで三つの関門が課される。政治犯罪でないこと、日本の法律でも犯罪になること(双方可罰性)、相手国が同じ要請に応じる保証があること。しかも刑事転用に同意する前に、法務大臣と外務大臣、二人の大臣の確認が要る。プライバシー保護法の片隅に、逃亡犯罪人引渡法とそっくりの安全装置が埋め込まれている。
個人情報の保護に関する法律172条は、外国執行当局への情報提供を定める規定であり、個人情報保護委員会が同種の外国当局にその職務遂行に資する情報を提供できる旨を規律する。提供情報の目的外使用および刑事事件への転用には、目的外使用の禁止、政治犯罪の除外、双方可罰性、相互主義の保証、法務・外務両大臣の確認という多層の関門が課される。
AI 輔助整理,以條文原文為準
個人情報保護法に相当する外国の法令を執行する外国の当局を指します(172条1項)。日本の個人情報保護委員会に相当する規制当局で、刑事捜査機関そのものではありません。
問題の行為が日本国内で行われたと仮定した場合に日本の法令でも罪に当たること。これがなければ委員会は刑事転用への同意を拒めます(172条3項2号)。
渡せます。172条1項で、外国執行当局の職務遂行に資する情報を提供できます。本人の同意は要件ではありませんが、提供範囲は委員会の職務に相当する事項に限られます。
原則使えません。172条2項で目的外使用が禁じられ、刑事事件の捜査等への使用には委員会の別途の同意が必要です。同意には両大臣の確認が前置されます。
止まります。対象犯罪が政治犯罪であるとき、または政治犯罪捜査目的の要請と認められるとき、委員会は同意できません(172条3項1号)。逃亡犯罪人引渡法と同じ発想です。
日本が行う同種の要請に相手国が応じる旨の保証のことです。これがなければ委員会は刑事転用に同意できません(172条3項3号)。外務大臣が確認します。
172条1項の情報提供に本人同意は要件ではありません。ただし提供対象は主に企業監督で得た情報で、狙いは執行協力です。刑事転用には委員会の同意が別途必要です。
刑事転用の同意前に、政治犯罪・双方可罰性は法務大臣、相互主義は外務大臣が確認します(172条4項)。国際刑事協力の統制を主管省庁に分担させる仕組みです。
あります。172条は、委員会が外国の同種の規制当局に、その職務遂行に資する情報を提供できると定めており、あなた個人の同意は要件ではありません。ただし提供情報はその当局の職務以外に使えず、刑事事件への転用には別の関門がかかります。業界裏話ヒント:ここで渡るのは主に企業への監督で得た情報で、狙いは執行協力です。あなた個人を狙い撃ちする制度ではないが、調査対象企業のデータにあなたが含まれれば巻き込まれうる。自分より、取引先企業がどの国の当局に睨まれているかを見る方が実態に近い
外国当局が提供情報を自国の刑事事件に使いたいと要請しても、その行為が日本の法令では罪にならなければ、委員会は同意を拒めます(172条3項2号)。つまり日本で犯罪でない行為で、あなたが外国の刑事手続に巻き込まれるのを止める盾です。業界裏話ヒント:この双方可罰性と政治犯罪の除外は、逃亡犯罪人引渡法2条の引渡し制限とそっくりの発想。プライバシー法の条文を読んでいるつもりが、実は国際刑事協力の基本原則をなぞっている。だから争うなら刑事・国際協力に強い弁護士の視点が効く
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| 条文の役割 | 172条:外国執行当局への情報提供と刑事転用の統制 | — |
| 主な作用 | 委員会が同種外国当局へ情報を提供・刑事転用に同意 | — |
| 個人への影響 | 自社データが委員会経由で国境を越えうる/刑事転用に関門 | — |
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