人事訴訟法 第34条の3(情報開示命令)
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- 裁判所は、第三十二条第一項の子の監護に関する処分(子の監護に要する費用の分担に関する処分に限る。)の申立てがされている場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。
- 2.裁判所は、第三十二条第一項の財産の分与に関する処分の申立てがされている場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。
- 3.前二項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
この条文の基本情報
情報開示命令とは何ですか?
定義情報開示命令とは、人事訴訟法第34条の3に定められた規定で、「裁判所は、第三十二条第一項の子の監護に関する処分(子の監護に要する費用の分担に関する処分に限る。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 人事訴訟法第34条の3(情報開示命令)は、日本の人事訴訟法に含まれる条文です。
- 人事訴訟法第34条の3の条文原文は「裁判所は、第三十二条第一項の子の監護に関する処分(子の監護に要する費用の分担に関する処分に限る。」で始まります。
- 人事訴訟法第34条の3は第二節 附帯処分等に置かれています。
- 人事訴訟法の公布日は平成15年7月16日です。
- 人事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 人事訴訟法第34条の3の前の条は人事訴訟法第34条の2です。
- 人事訴訟法第34条の3の次の条は人事訴訟法第34条の4です。
- 人事訴訟法第34条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第34条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000109 - 本サイト収録
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第34条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000109/34_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点人事訴訟法34条の3は、養育費・財産分与の審理で裁判所が当事者に収入や財産の情報開示を命じられる規定。職権でも発令でき、不開示や虚偽は10万円以下の過料となる。
Q · 離婚裁判で相手が収入を隠していたら、裁判所に開示させてもらえる?
できる。拒否や虚偽は10万円以下の過料の対象
人事訴訟法34条の3により、養育費又は財産分与の附帯処分が申し立てられている離婚訴訟では、裁判所は必要と認めるとき、申立て又は職権で、当事者に収入・資産や財産の状況に関する情報の開示を命じることができます。正当な理由なく開示しない、又は虚偽の情報を開示した当事者には十万円以下の過料が科されます。命令の相手は当事者本人であり、銀行等への照会は事実の調査(同法34条)や調査嘱託など別の手続によります。
解説
離婚訴訟で養育費と財産分与を争うとき、結論を左右するのは法律論ではなく、相手の収入と資産をどこまで数字で押さえられるかだ。長年家計を握っていた側は相手の通帳残高まで把握しているのに、あなたは配偶者の年収すら正確に言えない。この情報格差を裁判所が正面から埋めにくるのが本条である。養育費(子の監護に要する費用の分担)の申立てがあれば収入及び資産の状況について、財産分与の申立てがあれば財産の状況について、裁判所は当事者に開示を命じることができる。注目すべきは二点。申立てがなくても職権で命じられること、そして正当な理由なく開示しない、あるいは虚偽の情報を出した当事者には十万円以下の過料が科されることだ。金額は軽い。だが本当の効き目は別の場所にある。開示を拒んだという事実は、養育費の額を決める裁判官の心証にそのまま残り続ける。
法的な位置づけ
情報開示命令とは、人事訴訟法第34条の3に基づき、養育費又は財産分与の附帯処分の審理において、裁判所が必要と認めるときに当事者本人に対し収入・資産又は財産の状況に関する情報の開示を命じる裁判である。申立て又は職権により発令され、正当な理由のない不開示や虚偽の開示は十万円以下の過料の対象となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手の収入・資産の手がかりを一覧化する 給与明細の写し、過去の通帳記帳、保険証券、勤務先名や役職、確定拠出年金や持株会の加入状況など、把握している断片を時系列で整理する
- 2.相手の説明の不自然さを主張書面に書く 「資料は追って提出」のまま提出がない経過や、預金解約・名義移動の時期など、相手の説明の不自然な点を具体的に主張書面へ記載する
- 3.情報開示命令を申し立てる 養育費なら収入及び資産の状況、財産分与なら財産の状況と、開示を求める対象を明示して、争点整理の早い段階で本条に基づく申立てを行う
- 4.開示内容を検証し不足を記録に残す 開示された内容と手元の資料を突き合わせ、不足や矛盾があれば記録化し、事実の調査や調査嘱託の申立てにつなげる
よくある質問 AI による整理
Q1情報開示命令とは何ですか?
離婚訴訟で養育費や財産分与を決めるため、裁判所が当事者に収入・資産や財産の状況を開示するよう命じる裁判です。人事訴訟法34条の3が根拠です。
Q2離婚裁判で相手の年収を知る方法は?
情報開示命令の申立てのほか、事実の調査(人事訴訟法34条)や勤務先への調査嘱託があります。まず開示命令で本人に言わせるのが出発点です。
Q3情報開示命令に従わないとどうなる?
正当な理由なく開示しない場合や虚偽を開示した場合、裁判所は決定で十万円以下の過料に処します。加えて不開示の態度が認定に不利に働き得ます。
Q4財産分与で財産隠しをされたらどうする?
財産の状況について開示命令を申し立て、預金の解約や移動の経緯を相手本人に説明させます。裏付けは調査嘱託等で別途取ります。
Q5情報開示命令はいつまでに申し立てる?
事実審の口頭弁論終結前までに申し立てる必要があります。結審が近いと活用しにくいため、争点整理の早い段階での申立てが有効です。
Q6情報開示命令は職権でも出る?
出ます。本条1項・2項は「申立てにより又は職権で」と明記しており、当事者が申し立てなくても裁判所の判断で発令できます。
Q7情報開示命令の過料は前科になる?
なりません。過料は刑罰ではなく秩序罰であり、罰金とは性質が異なります。ただし判決後の財産開示手続の虚偽陳述は刑事罰の対象です。
Q8養育費の開示命令は離婚しない場合も使える?
本条は離婚訴訟等の附帯処分が対象です。離婚前の婚姻費用や調停・審判では家事事件手続法の同趣旨の規定を確認する必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1開示命令を無視されたら、結局こっちは泣き寝入りですか?
いいえ。過料十万円(本条3項)は制裁にすぎず、金額の算定は別に進みます。裁判所は開示を拒んだ態度も含めて収入や財産を認定できます。実務のポイント:判決前の制裁は過料ですが、判決確定後の財産開示手続で虚偽の陳述をすると民事執行法213条の刑事罰(6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)に跳ね上がります。段階が上がれば制裁の質が変わるという事実を相手方に伝えるだけで、開示姿勢が変わることがある
Q2調停や審判でも同じように命令を出してもらえますか?
出せます。離婚訴訟の附帯処分については本条、家庭裁判所の調停・審判については家事事件手続法152条の2が並行して用意されています。実務のポイント:調停段階は相手の任意提出に頼る実務が根強く、出さない相手に何か月も粘るより、不成立にして審判や訴訟へ進めた方が資料が揃うことがある。粘り続けること自体が不利益になる局面がある、と知っているかどうかで進め方が変わる
Q3正当な理由って何ですか。プライバシーを理由に断れますか?
条文は定義しておらず、実務上、解釈が分かれています。単に見られたくないという理由では足りず、DV事案で現在の居所が特定される危険など、具体的な不利益が必要と考えられています。実務のポイント:この種の事案では「開示するかしないか」で争うより、住所や勤務先を伏せた形での開示など「開示の方法」を提案する方が通りやすい。全面拒否は過料と心証悪化の二重の損を招く
間違えやすい点 AI による整理
- 「開示命令が出れば裁判所が相手の口座を調べてくれる」という前提そのものが誤っている。命令の名宛人は相手本人であり、銀行でも税務署でも勤務先でもない。裁判所は相手に言わせるだけで、その内容の裏を取るには事実の調査(人事訴訟法34条)や調査嘱託といった別の手続が要る。命令は真実を取り出す機械ではなく、嘘をつくコストを引き上げる装置である
- 過料十万円と聞いて「その程度か」と思う人は、制裁の本体を見落としている。金銭的には確かに軽い。だが正当な理由なく開示しなかったという事実は、養育費の額と財産分与の割合を書く裁判官の目の前に残る。「この人の申告は信用できない」と思われた状態で算定に入るコストは、十万円ではとても収まらない
- 「こちらが申し立てなければ裁判所は動かない」と思われがちだが、本条は職権での発令を明記している。相手が隠していると裁判所が気付けば、あなたが何も言わなくても命令は出うる。裏を返せば、相手の説明の不自然さを主張書面に書き込むこと自体が、実質的な申立てとして機能する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰に向けた手続か | 人訴法34条の3:当事者本人に開示を命じる | 人訴法34条:裁判所自ら事実を調査(家裁調査官等) 人訴法32条:附帯処分の申立て自体(開示命令の前提) |
| 不履行・虚偽への制裁 | 十万円以下の過料(3項) | 固有の制裁規定なし 制裁規定なし |
| 発動のきっかけ | 申立て又は職権(必要があると認めるとき) | 裁判所の職権 当事者の申立て |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には過料付きの専用開示命令はなく、職権調査と文書提出命令不遵守時の真実擬制で対応する
韓国は財産明示・財産照会制度を家事訴訟に備え、不履行には過料を科す点で日本の本条と近い
ドイツは扶養事件で裁判所が当事者や第三者(使用者・税務署等)に収入情報を求める権限を持ち、日本より射程が広い
カリフォルニア州は離婚当事者に資産・負債の相互開示を義務付け、違反には制裁がある。州ごとに制度が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相手の代理人が「源泉徴収票は手元にない、追って提出する」と言ったまま三か月が過ぎたとしたら、どうなる? 次回期日まであと二週間。ここで情報開示命令を申し立てるか、相手の自己申告ベースの低い年収で算定表に当てはめられるか。この分岐だけで養育費の月額は数万円動き、その差は子が二十歳になるまで毎月積み上がる
- あなたが開示を命じられた側に立つこともある。自営業で売上が不安定な年の確定申告書を出せば実態より低く見え、良かった年の分を出せば高すぎる養育費が固定される。どちらを出すか迷って何も出さない、それが最悪手だ。正当な理由のない不開示は過料の対象であり、しかも裁判官の手元には「隠した人」という印象だけが残る。出し方を工夫する方が、出さないより常に安全である
- 相手が別居直前に定期預金を解約し、実家の親名義の口座へ移した。財産の状況について開示命令が出れば、その解約と移動を相手は自分の口から説明する義務を負う。沈黙も虚偽も、どちらも過料の射程内にある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手の収入・資産について、自分が把握している断片(給与明細の写し、過去の通帳記帳、保険証券、社名と役職)を時系列で一覧化する2. 主張書面に「相手の説明のどこが不自然か」を具体的に書く。これが職権発令の呼び水になる3. 争点整理の早い段階で本条の申立てを行い、養育費なら収入及び資産、財産分与なら財産の状況と対象を明示する4. 開示が不十分なら、その不十分さ自体を記録に残し、事実の調査や調査嘱託の申立てにつなげる
訴えられた側:1. 黙秘は最悪手。正当な理由なき不開示は過料十万円の対象であり、加えて裁判官の心証を確実に損なう2. 開示の範囲や方法に不安がある場合(DVで現住所が割れる、事業の取引先が特定されるなど)は、開示を拒むのではなく開示の方法について裁判所に申し出る3. 自営業なら直近複数年の確定申告書を揃え、変動の理由を説明する資料を同時に出す4. 過料の決定が出た場合、不服申立ての期間は極めて短い。決定書の教示欄をその日のうちに読む
時効(請求できる期限):本条に固有の消滅時効はない。ただし申立ては事実審の口頭弁論終結までに行う必要があり、結審後は命令を出す余地が消える。また養育費は請求した時点以降の分しか認められない運用が一般的で、申立ての遅れがそのまま金額の損失になる。過料の決定に対する不服申立ては期間が非常に短いため、決定書に記載された教示欄を必ず確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 令和元年(2019年)改正により新設、令和2年(2020年)4月1日施行 養育費の履行確保を強化する一連の制度改正の一環として、人事訴訟の附帯処分審理における情報開示命令と十万円以下の過料が新設された。家事事件手続法にも同趣旨の規定が同時に設けられ、判決前の資料収集と判決後の財産開示手続が連続した制度として整えられた
改正の年表
- 1.令和6年(2024年) 新設:民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)による養育費履行確保策の一環として新設されたとみられる。家事事件手続法にも同趣旨の情報開示命令が設けられた。公布日・施行日は e-Gov の改正履歴で要照合
- 人事訴訟法 第32条本条の前提となる附帯処分の申立て
- 人事訴訟法 第34条事実の調査、開示内容を裏付ける別ルート
- 人事訴訟法 第20条職権探知主義、職権発令を支える原理
- 家事事件手続法 第152条の2調停・審判手続における同趣旨の情報開示命令
- 民事訴訟法 第247条自由心証主義、不開示を弁論の全趣旨として評価
- 民事執行法 第213条判決後の財産開示手続における虚偽陳述への刑事罰
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