人事訴訟法 第34条の4(判決前の親子交流の試行的実施)
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- 裁判所は、第三十二条第一項の子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分(子の監護に要する費用の分担に関する処分を除く。)の申立てがされている場合において、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がなく、かつ、事実の調査のため必要があると認めるときは、当事者に対し、子との交流の試行的実施を促すことができる。
- 2.裁判所は、前項の試行的実施を促すに当たっては、交流の方法、交流をする日時及び場所並びに家庭裁判所調査官その他の者の立会いその他の関与の有無を定めるとともに、当事者に対して子の心身に有害な影響を及ぼす言動を禁止することその他適当と認める条件を付することができる。
- 3.裁判所は、第一項の試行的実施を促したときは、当事者に対してその結果の報告(当該試行的実施をしなかったときは、その理由の説明)を求めることができる。
この条文の基本情報
判決前の親子交流の試行的実施とは何ですか?
定義判決前の親子交流の試行的実施とは、人事訴訟法第34条の4に定められた規定で、「裁判所は、第三十二条第一項の子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分(子の監護に要する費用の分担に関する処分を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 人事訴訟法第34条の4(判決前の親子交流の試行的実施)は、日本の人事訴訟法に含まれる条文です。
- 人事訴訟法第34条の4の条文原文は「裁判所は、第三十二条第一項の子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分(子の監護に要する費用の分担に関する処分を除く。」で始まります。
- 人事訴訟法第34条の4は第二節 附帯処分等に置かれています。
- 人事訴訟法の公布日は平成15年7月16日です。
- 人事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 人事訴訟法第34条の4の前の条は人事訴訟法第34条の3です。
- 人事訴訟法第34条の4の次の条は人事訴訟法第35条です。
- 人事訴訟法第34条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第34条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000109 - 本サイト収録
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第34条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000109/34_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点人事訴訟法34条の4は、子の監護に関する処分の申立てがある離婚訴訟で、裁判所が当事者に子との交流の試行的実施を促し、条件を付け、結果報告を求めることができると定める。
Q · 離婚裁判で裁判所から子どもとの交流を試しにやってみてと言われたら、断ってもいいの?
断っても制裁はないが、理由の説明を求められ判断資料になる
人事訴訟法34条の4は、裁判所が当事者に子との交流の試行的実施を「促す」ことができると定めるにとどまり、命令ではないため、応じなくても過料や強制執行はありません。ただし同条3項により、裁判所は実施しなかった理由の説明を求めることができ、その説明は監護者指定などの判断に向けた事実の調査の資料となります。また2項により、交流の方法・日時・場所・立会い・禁止事項を条件として定められるため、全面拒否ではなく条件付きで応じる選択肢もあります。
解説
離婚訴訟の期日で、裁判官がふいに切り出すことがある。「判決の前に、一度お子さんと交流してみませんか」。令和6年(2024年)改正で新設された本条は、この打診に法的根拠を与えた。ただし条文の動詞は「促す」であって「命ずる」ではない。応じなくても過料も強制執行もない。多くの人はここで安心する。問題はその先で、3項が「実施しなかったときは、その理由の説明」を求める権限を裁判所に与えている点だ。あなたが断った理由は記録に残り、監護者を誰にするかを決める事実の調査の材料になる。さらに2項は、立会い・場所・日時・禁止事項を裁判所が条件として付けられると定める。「応じる/断る」の二択ではなく、「この条件でなら応じる」という第三の答えが、条文上すでに用意されている。
法的な位置づけ
人事訴訟法34条の4は、令和6年改正で新設された親子交流の試行的実施に関する規定であり、子の監護に関する処分の申立てがある人事訴訟において、裁判所が事実の調査の一環として当事者に子との交流の試行を促し、その方法・日時・場所・立会い等の条件を定め、結果の報告または不実施理由の説明を求める権限を定めるものである。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.前提となる申立ての確認 人事訴訟法32条1項の附帯処分として、監護者の指定など費用分担以外の子の監護に関する処分の申立てが出ているかを訴訟記録で確認する。養育費のみなら本条は使えない
- 2.打診を受けたら即答せず検討時間を確保 期日で試行的実施を打診されたら、その場で応否を答えず次回期日までの検討を求める。子の状態、安全上の懸念、支援機関の利用可能性を整理する
- 3.条件案または不実施理由を書面化 応じる場合は交流の方法・日時・場所・立会い・禁止事項を具体化した条件付き受諾案を、応じない場合は診断書や相談記録を添えた不実施理由書を次回期日前に提出する
- 4.定められた条件どおりに実施 裁判所が定めた方法・日時・場所・立会いに従って交流を行い、禁止された言動は一切しない。送迎や受渡しの状況も含めて事実を記録する
- 5.結果の報告 3項に基づき結果の報告を求められたら、実施日時、子の反応、条件の遵守状況を客観的に書面で報告する。評価や相手方への非難より事実の記載を優先する
よくある質問 AI による整理
Q1親子交流の試行的実施とは?
離婚訴訟の判決前に、裁判所の促しを受けて親子が試しに交流する手続です。人事訴訟法34条の4が根拠で、裁判所が監護に関する判断材料を集める事実の調査の一環です。
Q2試行的実施の規定はいつから?
令和6年(2024年)の民法等改正で新設され、共同親権の導入とあわせて2026年4月1日に施行されました。施行前の事件の扱いは附則を確認する必要があります。
Q3養育費だけの請求でも試行的実施を促される?
促されません。1項は子の監護に要する費用の分担に関する処分を明文で除外しており、監護者指定など費用以外の監護処分の申立てが前提です。
Q4試行的実施はどこで行われる?
裁判所が2項に基づき交流の場所を定めます。家庭裁判所の児童室、第三者機関の支援施設、公共の場所などが想定され、当事者から場所の案を出すこともできます。
Q5子どもが嫌がっていても試行的実施はある?
1項は子の心身の状態に照らして相当でない事情がないことを要件とします。子の拒否の強さや心身への影響を示す資料があれば、促し自体の相当性を争う材料になります。
Q6DVがある場合でも試行的実施を促される?
暴力の危険は相当でない事情に当たり得ます。保護命令や警察の相談記録などを提出し、促しを見送るか、立会いや接触分離の条件を付けるよう求めることが考えられます。
Q7試行的実施の結果は判決にどう影響する?
3項の結果報告は事実の調査の資料となり、監護者指定や親子交流の定めなど附帯処分の判断に使われます。交流の様子や条件の遵守状況が記録として残ります。
Q8試行的実施に弁護士は立ち会える?
立会いの有無と関与する者は裁判所が2項で定めます。家庭裁判所調査官のほか、その他の者の関与も条文上あり得るため、希望があれば意見として早めに申し出ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1断ったら親権を取られるって本当ですか?
34条の4に、断ったことへの制裁規定はない。拒否が直ちに親権の喪失につながるわけでもない。ただし3項で理由の説明を求められ、その内容は32条1項・2項の裁判に向けた事実の調査の資料になる。実務のポイント:実務家が見ているのは拒否そのものではなく、理由が子の心身のリスクに接続しているか、相手方への感情に留まっているかの一点。同じ「会わせません」でも、資料一枚の有無で記録の読まれ方が変わる
Q2家庭裁判所調査官がやる試行的面会交流とは違うんですか?
従来の試行的面会交流は、34条の事実の調査の一環として裁判所の児童室などで調査官が実施してきた。34条の4は当事者に実施を「促す」構成で、2項は調査官その他の者の立会いや関与の有無を裁判所が定めると規定する。つまり調査官が関与しない形もありうる。実務のポイント:新設規定のため実務上の位置づけは解釈が分かれている。立会いなしの打診が来たら、こちらから関与を求める意見書を出す余地がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「強制力がないから無視してよい」ことは、条文を読めば多くの人が気付く。知られていないのは、その無視が3項の理由説明を通じて記録化され、監護者指定や親権者指定に向けた事実の調査へ流れ込むという深刻さである。制裁がないことと、不利益がないことは別の話だ
- 「会わせるべきか、拒むべきか」という問いの立て方自体がずれている。2項は方法・日時・場所・立会い・禁止事項を条件として設定できると明記しており、実務上の勝負どころは可否の二択ではなく条件の設計にある
- あなたから見れば試行的実施は「相手方への譲歩」だが、1項が明記するとおり、法律から見ればこれは事実の調査のための手段、つまり裁判所が判断材料を集める行為である。譲歩と読み違えて交渉カードとして温存すると、判断材料を出さないまま口頭弁論が終結する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 人訴34条の4:当事者に交流の試行を促す権限 | 人訴34条:裁判所による事実の調査の一般規定 人訴32条:附帯処分の申立ての根拠 |
| 適用の前提 | 監護処分(費用分担を除く)の申立て+相当でない事情なし+調査の必要 | 附帯処分等の裁判をする場合 婚姻取消し・離婚の訴えに係る請求 |
| 当事者への拘束 | 促しのみで強制力なし、ただし結果報告・不実施理由の説明を求め得る | 調査官による調査等は裁判所主導で実施 申立てにより裁判所に判断義務が生じる |
| 当事者が動かせる余地 | 条件案の提出により方法・場所・立会いの設計に関与できる | 調査への協力と資料提出 申立ての有無と内容の選択 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾では裁判所が会面交往の方式と期間を定められ、実務上も審理中の試行的な会面交往が行われている。日本の本条は手続法上の促しとして明文化した点に特色がある
韓国は面接交渉権を実体法で定め、家庭法院の手続の中で交流の実施が図られる。本条のような促し規定との対応関係は個別に確認を要する
ドイツの家庭裁判所は親の合意形成に向けて働きかける義務を負い、付添い付きの交流(begleiteter Umgang)も制度化されている
フランスでは裁判官が交流の場として面会交流施設(espace de rencontre)を指定できる
米国では州法に基づき監督付き面会(supervised visitation)が広く用いられ、州ごとに運用が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 裁判官から試行の打診を受け、次回期日まであと三週間。応じれば子が傷つくのではないか、断れば親権を失うのではないかと眠れない夜が続いたら、どうすればいい? 条文上、応じない選択に直接の制裁はない。ただし3項で理由の説明を求められたとき、診断書や警察の相談記録といった客観資料を添えられるかどうかで、その記録の読まれ方は正反対になる
- 二年会えていない側に立ったとき。34条の4の打診を裁判所から引き出したければ、「事実の調査のため必要」と裁判官に思わせる材料、つまり具体的な交流案と支援団体の受入可否を先に書面で出す
- 相手との直接接触には恐怖があるが、全面拒否もためらう。2項は立会いの有無、場所、日時、子の前での言動禁止を裁判所が条件にできると定める。第三者機関の支援施設を場所に指定してもらう案を、こちらから提出する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 打診を受けたら即答を避け、次回期日までの検討時間を求める2. 不安の根拠を客観資料へ変換:診断書、警察の相談記録、保護命令、児童相談所の関与履歴、子の様子の記録3. 全面拒否と全面受諾の間に、2項の条件付き受諾案(第三者機関の立会い、施設内、時間を区切る、送迎の分離、写真のSNS投稿禁止)を書面で提出4. 実施しない場合は、3項の説明を求められる前に不実施理由書を先に出す
訴えられた側:1. まず32条1項の申立て(子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分)が出ているか確認、養育費のみの申立てでは1項の要件を満たさない2. 「事実の調査のため必要」と裁判所に認めさせる材料として、具体的な交流案と支援団体の受入可否を先に提出3. 相手方が条件を付けてきたら原則として受け入れる、条件を飲んだ事実こそが記録に残る4. 2項の禁止事項に触れる言動は一度でも致命傷になる
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期間制限はない。実務上の締切は次回期日で、3項の報告や不実施理由の説明もその期日までに求められるのが通例。附帯処分の審理は口頭弁論の終結までが勝負であり、終結後に生じた事情は原則として判決に反映されない。なお本条を新設した令和6年改正法の施行状況については最新の情報をご確認ください
学説
立法趣旨:従来、家庭裁判所調査官による試行的面会交流として運用に委ねられていた判決前の親子交流について、裁判所の促し・条件設定・報告要求の権限を明文化し、子の安全に配慮しつつ監護判断の資料を充実させることを目的とする
改正沿革 AI による整理
- 令和6年(2024年)民法等の一部を改正する法律(法律第33号) 本条を新設。従来は家庭裁判所調査官による試行的面会交流として事実の調査の運用に委ねられていた判決前の親子交流について、裁判所が当事者に試行的実施を促す権限、条件を付する権限、結果報告と不実施理由の説明を求める権限を明文化した(施行状況は最新の情報を要確認)
改正の年表
- 1.令和6年(2024年) 新設:民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)により新設。離婚後の共同親権の導入とあわせ、判決前の親子交流の試行的実施を促す権限、条件を付する権限、結果報告・不実施理由の説明を求める権限を定めた
- 人事訴訟法 第32条本条の前提となる附帯処分の申立て
- 人事訴訟法 第34条本条が位置づけられる事実の調査の母体
- 人事訴訟法 第38条監護に関する裁判の履行勧告(現行効力を要確認)
- 民法 第766条親子交流を含む監護事項の実体的根拠
- 民法 第819条離婚後の親権者の定め、交流への姿勢が影響
- 家事事件手続法 第152条の3審判手続における並行規定(現行効力を要確認)
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