人事訴訟法 第35条(事実調査部分の閲覧等)
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- 訴訟記録中事実の調査に係る部分(以下この条において「事実調査部分」という。)についての民事訴訟法第九十一条第一項、第三項又は第四項の規定による閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下この条において「閲覧等」という。)の請求は、裁判所が次項又は第三項の規定により許可したときに限り、することができる。
- 2.裁判所は、当事者から事実調査部分の閲覧等の許可の申立てがあった場合においては、その閲覧等を許可しなければならない。ただし、当該事実調査部分中閲覧等を行うことにより次に掲げるおそれがあると認められる部分については、相当と認めるときに限り、その閲覧等を許可することができる。
- 一当事者間に成年に達しない子がある場合におけるその子の利益を害するおそれ
- 二当事者又は第三者の私生活又は業務の平穏を害するおそれ
- 三当事者又は第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、又はその者の名誉を著しく害するおそれ
- 3.裁判所は、利害関係を疎明した第三者から事実調査部分の閲覧等の許可の申立てがあった場合においては、相当と認めるときは、その閲覧等を許可することができる。
- 4.第二項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
- 5.前項の規定による即時抗告が人事訴訟に関する手続を不当に遅延させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。
- 6.前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
- 7.第三項の申立てを却下した裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
- 8.事実調査部分については、民事訴訟法第百三十三条の二及び第百三十三条の三の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
事実調査部分の閲覧等とは何ですか?
定義事実調査部分の閲覧等とは、人事訴訟法第35条に定められた規定で、「訴訟記録中事実の調査に係る部分(以下この条において「事実調査部分」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 人事訴訟法第35条(事実調査部分の閲覧等)は、日本の人事訴訟法に含まれる条文です。
- 人事訴訟法第35条の条文原文は「訴訟記録中事実の調査に係る部分(以下この条において「事実調査部分」という。」で始まります。
- 人事訴訟法第35条は第二節 附帯処分等に置かれています。
- 人事訴訟法の公布日は平成15年7月16日です。
- 人事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 人事訴訟法第35条の前の条は人事訴訟法第34条の4です。
- 人事訴訟法第35条の次の条は人事訴訟法第36条です。
- 人事訴訟法第35条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第35条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000109 - 本サイト収録
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第35条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000109/35
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点人事訴訟法35条は、訴訟記録のうち事実調査部分の閲覧等を裁判所の許可制とする。当事者の申立ては原則許可だが、子の利益等を害するおそれのある部分は相当と認めるときに限る。
Q · 離婚裁判で、家庭裁判所調査官の報告書は当事者が見られるの?
見られるが裁判所の許可が必要。原則許可、例外あり
人事訴訟法35条1項により、調査官報告書などの事実調査部分は、裁判所の許可がなければ当事者でも閲覧・謄写できません。当事者が許可を申し立てた場合、裁判所は原則として許可しなければなりません(同条2項本文)。ただし、未成年の子の利益、当事者や第三者の私生活・業務の平穏、重大な秘密を害するおそれのある部分は、相当と認めるときに限り許可されます。却下された場合は1週間以内に即時抗告ができます(同条4項)。
解説
離婚訴訟で、家庭裁判所の調査官があなたの家に来て、子どもと話し、あなたの生活ぶりを見て、報告書を書く。その報告書には、子どもが調査官に語った本音、近隣や学校からの聞き取り、あなたの収入や生活状況の細部まで並んでいる。そして裁判官はそれを読んで親権者を決める。ここであなたが直面するのが人事訴訟法35条だ。通常の民事訴訟なら、当事者は訴訟記録を自由に閲覧できる(民事訴訟法91条1項)。だが事実の調査に係る部分だけは違う。裁判所の許可がなければ、当事者ですら一文字も見られない。しかも第2項本文は「許可しなければならない」と原則を立てながら、但書で子の利益、私生活の平穏、重大な秘密という三つの穴を開けている。あなたを不利にする材料が、あなたに見えないまま判断に使われる可能性がここにある。だから申立てのタイミングと、却下されたときの即時抗告(第4項)が、この条文の実戦部分になる。
法的な位置づけ
人事訴訟法35条は、人事訴訟の訴訟記録のうち事実の調査に係る部分について、民事訴訟法91条による閲覧・謄写等を裁判所の許可制とする規定である。当事者の申立てには原則許可義務を課しつつ、子の利益、私生活・業務の平穏、重大な秘密に関わる部分を例外とし、第三者には利害関係の疎明を要件とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.報告書の提出時期を書記官に確認する 調査官による調査が始まった段階で、担当書記官に調査報告書の提出予定時期を確認し、提出の連絡を受けたらすぐ動ける準備をする
- 2.閲覧等許可の申立書を提出する 人事訴訟法35条2項に基づき、閲覧・謄写を求める部分と、親権者の適格性や面会交流など争点との関係を具体的に書いた申立書を提出する。全部ではなく争点に直結する部分を特定するほうが通りやすい
- 3.相手方の申立てには但書に沿った意見書を出す 閲覧を止めたい側は、第2項但書1〜3号のどれに当たるかを特定し、閲覧後に生じる具体的な支障(子の板挟み、DV・付きまといの危険、第三者の秘密)を疎明する意見書を提出する
- 4.却下されたら1週間以内に即時抗告する 当事者の申立てが却下された場合、告知を受けた日から1週間以内に即時抗告状を提出する(35条4項、民事訴訟法332条)。どの部分がなぜ判断に不可欠かを具体的に書く
- 5.閲覧できた部分を謄写し反論する 許可を得た部分を謄写し、準備書面で記載の前提事実の誤りを一つずつ指摘する。必要に応じて反証資料を提出し、再調査を求める申出も検討する
よくある質問 AI による整理
Q1事実調査部分とは何ですか?
人事訴訟の訴訟記録のうち、家庭裁判所調査官の調査報告書など、裁判所が職権で行った事実の調査に関する部分を指します(人事訴訟法35条1項)。
Q2調査官報告書の閲覧許可の申立て方法は?
事件が係属する家庭裁判所に、閲覧・謄写を求める部分と理由を書いた申立書を出します。当事者の申立ては原則として許可されます(35条2項本文)。
Q3調査官報告書 閲覧 却下されたらどうする?
当事者の申立てが却下された場合、告知を受けた日から1週間以内に即時抗告ができます(35条4項、民事訴訟法332条)。期限を過ぎると争えません。
Q4調査官報告書 コピー(謄写)はできる?
できます。閲覧だけでなく謄写や謄本の交付も「閲覧等」に含まれ、同じく裁判所の許可が必要です(35条1項)。
Q5子どもが調査官に話した内容は親に開示される?
子の利益を害するおそれのある部分は、裁判所が相当と認めるときに限り開示されます(35条2項但書1号)。一律に秘密になるわけでも、必ず見られるわけでもありません。
Q6第三者が離婚訴訟の調査記録を見ることはできる?
利害関係を疎明し、裁判所が相当と認めた場合に限られます(35条3項)。却下されても不服申立てはできません(同条7項)。
Q7DV 被害者の住所が調査記録から相手に知られることはある?
私生活の平穏を害するおそれがある部分は閲覧を制限できます(35条2項但書2号)。事実調査部分には民訴法の秘匿決定の閲覧制限は適用されず、本条で判断されます(同条8項)。
Q8閲覧許可の即時抗告で引き延ばしはできる?
手続を不当に遅延させる目的の即時抗告は、原裁判所が却下しなければなりません(35条5項)。引き延ばし戦術は条文上封じられています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1調査官の報告書って、弁護士なら見られるんじゃないんですか?
弁護士も当事者の訴訟代理人として動く以上、35条1項の許可制の枠内です。代理人だから自由に閲覧できるという例外規定はありません。実務のポイント:実務では、裁判官が期日で報告書の要旨を口頭で説明し、当事者側が事実上の心証を得る運用があります。許可申立てと並行して、期日で要旨の開示を求めておくと、抗告を待たずに輪郭がつかめることがある
Q2子どもが調査官に話したことは、親には絶対に知らされないんですか?
絶対ではありません。第2項本文の原則は許可であり、子の利益を害するおそれがある部分についてのみ、裁判所が相当と認めるときに限り許可となります(同項但書1号)。年齢や内容によって判断は分かれます。実務のポイント:子の陳述部分を強く求めるほど、裁判所に「子より自分の立証を優先する親」と映るリスクがある。求めるなら理由を子の福祉に接続して書く
Q3報告書の内容が事実と違ったら、どうやって争うんですか?
閲覧等の許可を得たうえで、該当部分の誤りを準備書面で具体的に指摘し、反証となる資料を提出します。調査官の再調査を求める申出も可能です。実務のポイント:報告書は証拠ではなく裁判所の職権調査の結果という位置づけのため、証拠の証拠能力を争う形ではなく、記載の前提事実の誤りを一つずつ潰す書き方の方が通りやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「訴訟記録は当事者なら全部見られる」という常識が、家事の領域では通用しない。民事訴訟法91条の原則は、人事訴訟法35条1項によって事実調査部分だけ切り取られ、許可制に置き換えられている。前提が違う以上、「見せろ」と窓口で言っても始まらず、申立書を出す話になる
- 第2項が「許可しなければならない」と書いてあるのを知っている人は多いが、但書の重さを見落としている。子の利益・私生活の平穏・重大な秘密という三つのおそれが認められた部分は、裁判所が相当と認めるときに限り許可となり、判断の主導権が完全に裁判所側へ移る。原則と例外の境界線上で何を主張するかが勝負どころになる
- 当事者から見れば「自分の事件の資料を見るだけ」だが、法律から見れば「子どもと第三者が調査官に本音を話せる環境を守るか否か」の問題である。この視点の落差を理解せずに閲覧を強く求めると、裁判所に「子の利益への配慮が欠けている当事者」という印象を与え、親権判断そのものを不利にしかねない
- 第三者の閲覧申立てが却下されても即時抗告できると思われがちだが、第7項は明確に不服申立てを封じている。当事者の却下(第4項)とは扱いが正反対で、ここを取り違えると無駄な抗告状を書くことになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる記録 | 人訴35条:人事訴訟記録のうち事実調査部分 | 民訴91条:民事訴訟記録全般 家事事件手続法47条:家事審判事件の記録 |
| 当事者の閲覧 | 裁判所の許可が必要、ただし原則許可(但書3類型は裁量) | 許可不要で閲覧請求できるのが原則 裁判所の許可制(例外事由あり) |
| 第三者の閲覧 | 利害関係の疎明+相当と認めるとき、却下に不服申立て不可 | 閲覧は原則何人も可、謄写は利害関係人 利害関係の疎明+相当と認めるとき |
| 却下への不服 | 当事者は即時抗告可(4項)、遅延目的は原裁判所が却下(5項) | 閲覧制限決定に対する不服申立ての規定あり 当事者は即時抗告可 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も家事調査官による調査制度を持ち、訴訟記録の閲覧は当事者の隠私・業務秘密を理由に制限できる。家事事件の調査報告の扱いは実務運用に委ねられる部分が大きい
韓国は訴訟記録閲覧の原則と、私生活上の秘密等を理由とする閲覧制限を民事訴訟法で定め、家事訴訟にも準用される
ドイツは家事事件の記録閲覧を当事者に原則認めつつ、関係者の重大な利益が対立する場合に制限できる構造で、日本の原則許可・例外裁量と類似する
フランスは親権事件で enquête sociale(社会調査)を行い、報告書は当事者に開示されたうえで反対調査を求める余地がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 離婚訴訟の附帯処分で親権を争っている。家庭裁判所調査官の調査報告書が提出されたが、あなたの手元には届かない。相手方の主張だけが反映された内容かもしれないのに、反論する材料が見えない。まず35条2項の閲覧等許可の申立てを出す。本文は「許可しなければならない」と書いてあるので、原則はあなた側にある
- 調査報告書の閲覧が「子の利益を害するおそれ」を理由に一部却下された。あなたに残された手は即時抗告(第4項)。ただし提出期限は告知を受けた日から1週間(民事訴訟法332条)。この7日を逃せば、その部分は永遠にブラックボックスのまま判決の基礎になる
- もし、あなたが調査で調査官に打ち明けた内容が、DV を続けてきた配偶者にそのまま読まれるとしたらどうなる? 第2項但書2号の「私生活の平穏を害するおそれ」は、まさにその場面のための安全弁だ。閲覧を求める側だけでなく、閲覧を止めたい側にもこの条文は使える
- 報道機関の記者が、著名人の離婚訴訟の調査記録を見たいと申し立ててきた。第3項の第三者ルートだが、利害関係の疎明が必要で、しかも却下されても不服申立てができない(第7項)。事実上、部外者の目は入らない設計になっている
- 相手方が閲覧許可の却下を受けて即時抗告を連発し、期日が延び続けている。第5項は、訴訟の不当な遅延を目的とした即時抗告を原裁判所が却下できると定める。引き延ばし戦術には、条文レベルの対抗手段がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 調査官調査が始まった段階で、報告書の提出予定時期を担当書記官に確認する2. 提出後すぐ第2項に基づく閲覧等許可の申立てを書面で行い、争点(親権者の適格性、面会交流の可否など)と閲覧したい部分の対応関係を具体的に書く3. 一部却下された場合、告知から1週間以内に即時抗告(第4項、民事訴訟法332条) 4. 閲覧できた部分は謄写し、反論書面で個別に事実誤認を指摘する
訴えられた側:1. 相手方から閲覧許可の申立てが出たら、第2項但書のどの号に当たるかを特定して意見書を出す2. 子が調査官に語った内容が親に伝わると子が板挟みになる事情、DV や付きまといの経緯、職場や第三者の個人情報が含まれる事情を具体的に疎明する3. 抽象的な「見られたくない」では通らず、閲覧後に生じる具体的な支障の予測を書く4. 相手方の即時抗告が引き延ばし目的と見えるときは、第5項の却下を原裁判所に促す
時効(請求できる期限):却下決定に対する即時抗告は、決定の告知を受けた日から1週間の不変期間内(民事訴訟法332条)。閲覧等の許可申立て自体に特定の期限はないが、訴訟記録の保存期間と審理の進行に事実上拘束されるため、報告書提出後速やかに行うのが実務
学説
通説的理解:事実調査部分の許可制は、子や第三者が調査官に率直に供述できる環境の確保と、当事者が判断資料に反論する機会の保障との調整を図るもの。当事者に原則許可を義務付けることで手続保障に配慮している
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:人事訴訟法制定により、人事訴訟が家庭裁判所に移管され、家庭裁判所調査官による事実の調査の導入に伴い、事実調査部分の閲覧等を許可制とする本条が設けられた
- 人事訴訟法 第33条附帯処分における事実の調査の根拠
- 人事訴訟法 第34条家庭裁判所調査官による事実の調査
- 人事訴訟法 第22条人事訴訟における公開停止の特則
- 民事訴訟法 第91条訴訟記録の閲覧等の原則、本条が修正する対象
- 民事訴訟法 第332条即時抗告の期間は告知から1週間
- 民事訴訟法 第133条の2秘匿決定に伴う閲覧制限、第8項で適用除外
- 家事事件手続法 第47条家事審判の記録閲覧許可制、同趣旨の並行規定
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