仲裁法 第8条(仲裁地が定まっていない場合における裁判所の関与)
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- 裁判所に対する次の各号に掲げる申立ては、仲裁地が定まっていない場合であって、仲裁地が日本国内となる可能性があり、かつ、申立人又は被申立人の普通裁判籍(最後の住所により定まるものを除く。)の所在地が日本国内にあるときも、することができる。この場合においては、当該各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める規定を適用する。
- 一第十六条第三項の申立て同条
- 二第十七条第二項から第五項までの申立て同条
- 三第十九条第四項の申立て第十八条及び第十九条
- 四第二十条の申立て同条
- 2.前項の場合における同項各号に掲げる申立てに係る事件は、第五条第一項の規定にかかわらず、次に掲げる裁判所の管轄に専属する。
- 一前項に規定する普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所
- 二東京地方裁判所及び大阪地方裁判所
この条文の基本情報
仲裁地が定まっていない場合における裁判所の関与とは何ですか?
定義仲裁地が定まっていない場合における裁判所の関与とは、仲裁法第8条に定められた規定で、「裁判所に対する次の各号に掲げる申立ては、仲裁地が定まっていない場合であって、仲裁地が日本国内となる可能性があり、かつ、申立人又は被申立人の普通裁判籍(最後の住所…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第8条(仲裁地が定まっていない場合における裁判所の関与)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第8条の条文原文は「裁判所に対する次の各号に掲げる申立ては、仲裁地が定まっていない場合であって、仲裁地が日本国内となる可能性があり、かつ、申立人又は被申立人の普通裁判籍(最後の住所…」で始まります。
- 仲裁法第8条は第一章 総則に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第8条の前の条は仲裁法第7条です。
- 仲裁法第8条の次の条は仲裁法第9条です。
- 仲裁法第8条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第8条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第8条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/8
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法8条は、仲裁地が未定でも日本が仲裁地となる可能性があり、当事者の一方の普通裁判籍が日本にあれば、仲裁人の数の決定・選任・忌避・解任を日本の裁判所に申し立てられると定める。
Q · 仲裁地が契約で決まっていないと、日本の裁判所に仲裁人を選んでもらうことはできないの?
条件を満たせば、仲裁地未定でも日本の裁判所に頼める
仲裁法8条により、仲裁地が未定でも、①仲裁地が日本になる可能性があり、②申立人か被申立人の普通裁判籍(最後の住所によるものを除く)が日本にあれば、仲裁人の数の決定(16条3項)、選任(17条2項〜5項)、忌避(19条4項)、解任(20条)を日本の裁判所に申し立てられます。管轄は普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所か、東京・大阪地方裁判所に専属します。
解説
契約書に「紛争は仲裁により解決する」とだけ書かれ、仲裁地が決まっていない。これは国際取引でよく見かける、いわば欠陥のある仲裁条項(実務では「病的仲裁条項」と呼ぶ)である。紛争が起きると、相手方は仲裁人を選ばず、仲裁地の話し合いにも応じなくなる。仲裁地が決まらなければどこの裁判所に助けを求めればよいかも決まらず、手続は止まる。相手はこの空白を引き延ばしに使う。仲裁法8条はこの空白を埋める規定である。仲裁地がまだ決まっていなくても、仲裁地が日本になる可能性があり、あなたか相手方のどちらかが日本に普通裁判籍(裁判を起こされる基本の場所。個人なら住所、会社なら本店)を持っていれば、日本の裁判所に次の四つを申し立てられる。仲裁人の数の決定(16条3項)、仲裁人の選任(17条2項から5項)、忌避(仲裁人を外す手続)についての裁判(19条4項)、職務を果たさない仲裁人の解任(20条)である。管轄は専属で、普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所か、東京地方裁判所・大阪地方裁判所に限られる。相手が黙っていても仲裁廷は立ち上げられる。そう知っていれば、相手の沈黙に付き合う必要はない
法的な位置づけ
仲裁法8条は、仲裁地が未定の段階における裁判所の関与を定める規定である。仲裁地が日本国内となる可能性があり、かつ当事者の一方の普通裁判籍(最後の住所により定まるものを除く)が日本国内にある場合に限り、仲裁人の数の決定、選任、忌避及び解任の四類型の申立てを日本の裁判所に認め、その管轄を所在地の地方裁判所並びに東京地方裁判所及び大阪地方裁判所に専属させる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.仲裁条項の空白を確認する 契約書の仲裁条項を読み、仲裁地・仲裁機関・仲裁規則の指定が本当に空欄かを確認する。仲裁機関規則で仲裁地が決まる場合は8条の前提を欠くため、規則の確認も同時に行う
- 2.相手方に仲裁人選任を書面で催告する 相手方に仲裁人を選任するよう書面で催告し、到達日を証明できる方法(国際宅配便の受領記録、メール受信確認など)で送付する。この到達日が30日の起算点になる
- 3.30日経過を確認し管轄裁判所を選ぶ 催告到達から30日以内に選任がなければ、自社又は相手方の普通裁判籍(最後の住所によるものを除く)の所在地を管轄する地方裁判所か、東京地裁・大阪地裁のいずれかを申立先に選ぶ
- 4.仲裁人選任の申立書を作成・提出する 申立書に、仲裁合意の存在、仲裁地が未定であること、日本が仲裁地となる可能性を基礎づける事情(交渉地・履行地・使用言語・証拠の所在等)、催告と期間経過を具体的に記載し提出する
- 5.仲裁廷成立後に仲裁地を確定させる 仲裁廷が構成されたら、当事者間の合意がなくても仲裁廷に仲裁地を定めてもらう(仲裁法28条2項)。以後の裁判所の関与は仲裁地を基準に判断される
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁地が決まっていない仲裁条項は無効ですか?
直ちに無効とはなりません。仲裁合意自体は有効でありえ、仲裁廷が成立すれば仲裁地は合意がなくても仲裁廷が定めます(仲裁法28条2項)。
Q2仲裁人の選任を裁判所に申し立てる方法は?
相手方に選任を催告し、30日以内に選任されなければ、管轄の地方裁判所へ選任を申し立てます(仲裁法17条)。仲裁地未定なら8条が管轄の根拠になります。
Q3仲裁人選任の申立てはどこの裁判所にできる?
仲裁地未定の場合、当事者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所、又は東京地方裁判所・大阪地方裁判所に専属します(仲裁法8条2項)。
Q4相手が仲裁に応じない場合どうなる?
相手が仲裁人を選ばなくても、裁判所が代わって選任できます。仲裁廷ができれば相手が欠席しても仲裁手続は進められます。
Q5仲裁人を外したい場合はどうする?
まず仲裁廷に忌避を申し立て、退けられたら通知受領から30日以内に裁判所へ忌避の申立てができます(仲裁法19条4項)。
Q6仲裁人が手続を進めない場合 解任できる?
仲裁人が職務を行わない、又は不当に遅滞させる場合、当事者は裁判所に解任を申し立てられます(仲裁法20条)。仲裁地未定でも8条で可能です。
Q7海外企業同士の仲裁でも日本の裁判所に頼める?
原則としてできません。8条は申立人か被申立人の普通裁判籍が日本国内にあることを要件としているため、日本に拠点がない当事者同士では使えません。
Q8仲裁法8条はいつ改正された?
令和5年(2023年)の改正で、専属管轄裁判所に東京地方裁判所と大阪地方裁判所が加わり、令和6年(2024年)4月1日から施行されています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手は海外の会社で日本に支店もありません。うちが日本の会社なら、それだけで日本の裁判所に頼めますか?
条件を満たせば頼める。本条は「申立人又は被申立人」のどちらかの普通裁判籍が日本にあればよいとしており、あなたの会社の本店が日本にあれば足りる。ただし、仲裁地が日本になる可能性があることも必要である(仲裁法8条1項)。実務のポイント:申立書では、契約の交渉地、履行地、使用言語、証拠の所在など、日本が仲裁地として自然である事情を厚く書いておく。ここが薄いと「可能性」要件で争われやすい
Q2仲裁地が決まっていないなら、とりあえず日本で普通に訴訟を起こしてしまえばいいのでは?
それは危険である。仲裁合意がある以上、相手が妨訴抗弁を出せば訴えは却下される(仲裁法14条1項)。この規定は仲裁地が未定でも適用される(同3条)。実務のポイント:却下されるまでに数か月かかり、その間に相手は時間を稼げる。仲裁合意があるなら、本条で仲裁廷を立ち上げる方が結果的に早い
間違えやすい点 AI による整理
- 「仲裁地が決まらないうちは裁判所は何もしてくれない」と考えがちだが、そうではない。仲裁地が日本になる可能性があり、当事者の一方の普通裁判籍が日本にあれば、仲裁人の数の決定、選任、忌避、解任の四つについては日本の裁判所に申し立てられる
- 問いの立て方そのものがずれている場合がある。本条は「仲裁地が未定でも何でも裁判所に頼める」規定ではない。対象は列挙された四つの申立てだけである。仲裁合意があるのに訴訟を起こされたときの妨訴抗弁(14条1項)や裁判所の保全処分(15条)は、仲裁地がどこでも適用されるよう3条で別に手当てされている。本条で何でも解決しようとすると、申立ての根拠を誤る
- 当事者から見れば「日本に住所があったのだから日本で申し立てられる」となるが、法律から見れば話は違う。本条は「最後の住所により定まる」普通裁判籍を除外している。相手が日本から撤退し、現在の住所も居所も日本にない状態で、昔の住所だけを手がかりに申し立てても管轄は認められない。自社側の本店が日本にあるかどうかを先に確認すべきである
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される場面 | 仲裁法8条:仲裁地が未定の段階 | 仲裁法5条:仲裁地が定まっている通常の場面 仲裁法3条:仲裁地が日本国外又は未定の場合の適用範囲 |
| 対象となる申立て | 仲裁人の数の決定・選任・忌避・解任の四つに限定 | 仲裁関係事件全般 妨訴抗弁(14条1項)・保全処分(15条)などを仲裁地を問わず適用 |
| 日本との連結点 | 日本が仲裁地となる可能性+当事者の一方の普通裁判籍が日本(最後の住所を除く) | 仲裁地が日本国内にあること等 規定ごとに適用範囲を個別に定める |
| 管轄裁判所 | 普通裁判籍所在地の地方裁判所又は東京・大阪地裁に専属 | 合意した地方裁判所・仲裁地を管轄する地方裁判所等 管轄自体は定めない(適用範囲の規定) |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾でも当事者が仲裁人を選定しない場合、催告を経て法院による選定を求めることができる。仲裁地未定の場面に特化した規定は置かれていない
韓国も仲裁人の選任について法院の補充的関与を定め、管轄法院を別条で規律する。日本と同じくモデル法を基礎とする
中国では機関仲裁が原則で、当事者が仲裁人を選ばない場合は裁判所ではなく仲裁委員会主任が指定する。裁判所の支援という構造自体が異なる
仲裁地が未定でも、当事者の一方の住所又は常居所がドイツにあれば、仲裁人の選任・忌避・解任についてドイツの裁判所が管轄を持つ。日本の8条と同じ発想の規定
国際仲裁では、仲裁地が未定でも、フランス法の適用合意や裁判拒否のおそれがある場合に、パリの裁判所が支援裁判官(juge d'appui)として関与できる
合意に選任方法がない場合や当事者が選任を怠った場合、裁判所が仲裁人を選任できる。仲裁地未定に特化した要件はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 東京の部品メーカーであるあなたは、ベトナムの取引先との売買契約に「紛争は仲裁で解決する」と一行だけ入れていた。代金未払いで仲裁を申し立てたい。ところが相手は仲裁人の選任を求める催告から30日以上無視を続けている。あなたの本店は日本にあるので、東京地裁に仲裁人の選任を申し立てられる。仲裁地が未定だからといって止まる必要はない
- 仲裁人の一人が相手方の顧問先と取引関係にあると分かった。仲裁地が決まっていないのに、忌避の裁判をどこへ申し立てればいいのか? 本条により、日本の地方裁判所に申し立てる道がある。仲裁廷が忌避を退けた通知から30日が勝負になる
- 海外企業の側に立つと、構図は逆になる。日本企業と結んだ仲裁条項で仲裁地が空欄だった場合、日本企業は大阪地裁で仲裁人の選任を求めることができる。「仲裁地の協議に応じなければ手続は動かない」という読みは、ここで外れる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 仲裁合意の文言を確認し、仲裁地と仲裁機関の指定が本当に空欄かを確かめる2. 相手方に仲裁人選任の催告を書面で送り、到達日の証拠を残す3. 30日を過ぎても選任されなければ、自社または相手方の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所か、東京・大阪地裁へ選任を申し立てる4. 仲裁地が日本になりうる事情(当事者の所在、契約履行地、使用言語など)を申立書で具体的に示す
訴えられた側:1. 申立てを受けたら、まず要件を一つずつ点検する。仲裁地は本当に未定か、日本が仲裁地となる可能性はあるか、どちらかの普通裁判籍が日本にあるか(最後の住所によるものは数えない) 2. すでに合意や仲裁機関規則で仲裁地が決まっているなら、本条の前提を欠くと主張する3. 引き延ばしを続けても裁判所が仲裁人を選ぶだけで、自分に有利な人選の機会を失う。期限内に自ら仲裁人を選んでおく方が戦略上得である
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。ただし17条の選任申立ては、相手方が催告を受けた日から30日以内に選任しない場合(または当事者が選んだ二人の仲裁人が選任後30日以内に三人目を選ばない場合)に可能となる。19条4項の忌避の申立ては、忌避を理由なしとする仲裁廷の決定の通知を受けた日から30日以内にしなければならない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的な理解:UNCITRAL モデル法は仲裁地未定段階の裁判所支援を定めておらず、本条はその空白を補う補充規定と説明される。介入を仲裁廷の構成に関わる四類型に限り、仲裁廷成立後は28条による仲裁地決定に委ねる点で、当事者自治を最小限で補完する設計とされる
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)改正、令和6年(2024年)4月1日施行 国際仲裁の活性化を目的とする改正。第2項の専属管轄裁判所に、普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所に加えて東京地方裁判所及び大阪地方裁判所を追加した
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:仲裁法の制定により新設。仲裁地未定の段階でも、日本との連結点があれば仲裁人の選任等について日本の裁判所の関与を認めた
- 2.令和5年(2023年) 改正:国際仲裁の活性化を目的とする改正で、第2項の専属管轄裁判所に東京地方裁判所及び大阪地方裁判所を追加。令和6年(2024年)4月1日施行
- 仲裁法 第3条適用範囲、仲裁地未定時の本条適用
- 仲裁法 第5条仲裁関係事件の原則的管轄
- 仲裁法 第17条仲裁人の選任、裁判所による選任
- 仲裁法 第19条忌避の手続と裁判所への申立て
- 仲裁法 第28条仲裁地の決定方法
- 民事訴訟法 第4条普通裁判籍、本条の管轄連結点の基準
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