相続財産について破産手続開始の決定があったときは、相続人の債権者は、破産債権者としてその権利を行使することができない。
要点破産法 233 条は、相続財産が破産手続開始の決定を受けたとき、相続人の債権者は破産債権者として権利を行使できないと定める。清算原資は相続債権者と受遺者のために引き当てられる。
Q · お金を貸した相手が遺産を相続しても、その遺産が破産したら回収できないの?
相続財産が破産すると相続人の債権者は配当を受けられません
破産法 233 条により、相続財産について破産手続開始の決定があると、相続人個人に対する債権を持つ者は、その破産手続で破産債権者として権利を行使できません。相続財産は相続債権者と受遺者のための清算原資となり、相続人の債権者は配当に参加できません。回収の可能性は、相続債権者への弁済後に剰余が生じ、それが相続人の固有財産に流入した場合に限られます。
知人に三百万円を貸しているとする。その相手の親が亡くなり、まとまった不動産を相続したと聞けば、これで回収できると安堵するだろう。ところが、その遺産には親自身の借金がそれを上回るほど積み上がっていた。債権者の申立てで相続財産そのものが破産すると、破産法233条が立ちはだかる。相続財産の破産では、亡くなった人にお金を貸していた相続債権者と受遺者が先に弁済を受け、相続人個人にお金を貸したあなたは、破産債権者として一円も手を挙げられない。理由は財産分離。死んだ人の財産と、相続した人自身の財産は、別の財布として扱われる。あなたの債務者は相続人本人であって、亡くなった人ではない。だから亡くなった人の財布(相続財産)の清算手続に、あなたは参加資格を持たない。残るのは、相続債権者への弁済が終わってなお剰余が出れば、それが相続人の固有財産に流れ込み、そこでようやくあなたの番が回ってくるという順番だけだ。
破産法 233 条は、相続財産の破産手続における相続人の債権者の地位を定める規定である。相続財産について破産手続開始の決定があった場合、相続人自身に対する債権を有する者は、その破産手続において破産債権者として権利を行使することができず、配当への参加資格を持たない。財産分離の原則を破産手続上に反映した規律といえる。
『人』ではなく亡くなった人が遺した相続財産そのものを対象に清算する破産手続です(破産法 222 条以下)。相続財産が債務超過のときに用いられます。
相続財産について破産手続開始の決定があったとき、相続人の債権者は破産債権者として権利を行使できないと定める規定です。相続人個人の貸し手を清算から締め出します。
財産分離の原則により、相続財産は相続債権者と受遺者への引き当てだからです。相続人個人に融資した債権者は、相続人の固有財産だけを引き当てにしたと扱われます。
単純承認していると債務も承継し、固有財産で負債を負う恐れがあります。相続財産破産や限定承認・相続放棄で切り離すことを検討すべきです。
まず相手が単純承認か限定承認・放棄かを確認します。相続財産が破産すればその清算には入れないため、相手本人の固有財産を早めに調査・保全します。
相続債権者・受遺者への弁済後に剰余が出れば、それが相続人の固有財産に流入します。そこで初めて相続人の債権者が回収を狙える入口となります。
限定承認又は財産分離をすることができる間に制約されます(破産法 224 条)。申立時期を逃すと相続財産破産という選択肢自体が閉じます。
いずれも相続財産の清算原資から弁済を受けますが、相続債権者が受遺者に優先します。相続人個人の債権者はいずれの後にも配当対象外です。
相続財産が破産していなければ、相続人の固有財産と一体化するので取り立て可能です。しかし相続財産破産が始まると、破産法233条で相続人の債権者は破産手続に参加できません。狙えるのは相続債権者への弁済後の剰余だけです。業界裏話ヒント:実務では、相手が遺産を相続したと聞いた瞬間が勝負。相続財産破産や限定承認の手続が動く前に固有財産を仮差押えできるかどうかで、回収率がまるで変わる。手続が始まってからでは壁の向こうだ
通常の破産は『人』が破産しますが、相続財産破産は『亡くなった人が遺した財産そのもの』が破産します(破産法222条以下)。配当を受けるのは亡くなった人の債権者(相続債権者)と受遺者で、相続人個人の債権者は233条で排除されます。業界裏話ヒント:相続人にとって、相続財産破産は限定承認に近い防御策になる。プラスもマイナスも個人財産から切り離せるので、債務超過の遺産を相続してしまったら、単純承認する前にこの手続を検討する価値がある
相続放棄すると初めから相続人でなかったことになり(民法939条)、遺産は次順位へ移るので、あなた自身の債権者はその遺産に手を出せません。では『黒字の遺産を自分の債権者から逃すための放棄』は取り消せるか。業界裏話ヒント:最高裁は相続放棄を身分行為と位置づけ、詐害行為取消(民法424条)の対象にならないと判断している(最判昭和49.9.20)。債務者が相続放棄してしまうと、たとえ黒字の遺産でも、その人の債権者は手も足も出ない。知らない債権者ほど深追いして時間を浪費する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の焦点 | 破産法 233 条:相続人の債権者の権利行使を排除 | — |
| 手続上の位置づけ | 配当参加資格の否定(誰が入れないか) | — |
| 保護される者 | 相続債権者・受遺者(引き当ての貫徹) | — |
| 効果 | 相続人の債権者は届出も個別執行も止まる | — |
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