不動産工事の先取特権の保存の登記においては、第八十三条第一項第一号の債権額として工事費用の予算額を登記事項とする。
要点不動産登記法 85 条は、不動産工事の先取特権の保存登記において、債権額として工事費用の予算額を登記事項とすると定める。着工前に登記しなければ効力は保存されない。
Q · 工事の先取特権を登記するとき、債権額の欄には何を書くの?
工事費用の予算額を書く。着工前でなければ効力は保存されない
不動産登記法 85 条により、不動産工事の先取特権の保存登記では、確定した債権額ではなく工事費用の予算額を債権額として登記します。請負代金債権は着工前にはまだ発生していないためです。この登記は工事に着手する前に行わなければ効力が保存されず(民法 338 条 1 項)、予算額を超える部分に先取特権は及びません。登記されれば抵当権にも優先しますが(民法 339 条)、配当時の優先枠は工事による増価額に限られます(民法 327 条 2 項)。
注文住宅の代金が焦げ付いたとき、工務店に残された手は驚くほど少ない。建物は施主名義、土地には銀行の抵当権。ところが民法338条と本条を組み合わせると、その順位が引っくり返る。不動産工事の先取特権は、着工前に工事費用の予算額を登記しておけば、先に登記された抵当権にも優先して行使できる(民法339条)。本条が定めるのは、その登記に書き込む「債権額」の正体だ。通常の担保権登記なら確定した債権額を書くが、着工前の時点であなたの請負代金債権はまだ発生していない。だから予算額をもって債権額とする。ここに落とし穴がある。実際の工事費用が予算額を超えたとき、超過分に先取特権は及ばない(民法338条1項後段)。見積書に書いた数字一つが、あなたが優先弁済を受けられる上限を、その場で永久に固定する。
不動産登記法 85 条は、不動産工事の先取特権の保存の登記における登記事項の特則である。担保権の登記では確定した債権額を登記するのが原則であるが(同法 83 条 1 項 1 号)、本条は工事着手前に登記を要する不動産工事の先取特権について、工事費用の予算額をもって債権額とする旨を定める。
AI 輔助整理,以條文原文為準
工事の請負人が、その工事で価値が増えた不動産から代金を優先的に回収できる法定担保です。民法 327 条が定め、着工前の登記で効力が保存されます。
申請期限の日付はありません。工事に着手する前という一点だけが条件です(民法 338 条 1 項)。着工後は何日以内でも登記できなくなります。
請負人と所有者(施主)の共同申請が原則です。施主の協力が得られないと登記できないため、請負契約の段階で協力条項を入れておくのが実務です。
登記簿に抵当権より優先する担保が載るため、住宅ローンの融資審査で不利に働くことがあります。融資契約に設定禁止条項がある場合は事前確認が必要です。
本条の登記はできませんが、請負代金債権を被保全債権とする仮差押え、商事留置権、目的物の引渡拒絶など別ルートでの保全を検討します。
不動産登記法 83 条 1 項各号の担保権共通事項を書きますが、債権額だけは本条により工事費用の予算額に置き換わります。
共同申請ができず、事実上この担保は使えません。着工前という時間制限もあるため、契約書に登記協力義務を明記しておくことが唯一の対策です。
既存建物の工事でも可能です。ただし優先弁済の枠は工事による増価額に限られるため(民法 327 条 2 項)、内装中心の工事では回収額が小さくなりがちです。
発生と効力の保存は別問題です。不動産工事の先取特権は、工事に着手する前に費用の予算額を登記しなければ効力を保存できず(民法338条1項)、登記して初めて抵当権に優先します(民法339条)。本条はその登記で書くべき債権額の中身を定めています。業界裏話ヒント:この登記の実例が極端に少ない最大の理由は、施主との共同申請が必要だからです。だから契約書の段階で協力義務を明記した業者だけが、実際にこの武器を抜ける
当初の登記を後から増額しても、超過部分に先取特権は及びません(民法338条1項後段)。追加工事について保存したいなら、その追加工事に着手する前に改めて登記する必要があります。業界裏話ヒント:設計変更が読める工事では、当初から変更予備費を上乗せした予算額で登記しておくのが定石です。登録免許税は債権金額を基準にした比較的小さな率で計算されるため、回収不能リスクと比べれば保険料として安い(税率は最新の改正状況をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 債権額として登記する内容 | 不動産登記法 85 条:工事費用の予算額(未発生の債権を予算で代替) | — |
| 登記できるタイミング | 工事に着手する前のみ(民法 338 条 1 項) | — |
| 手続の担い手 | 請負人と所有者の共同申請 | — |
| その後に必要な手続 | 工事完了後の権利実行、増価額の立証 | — |
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