不動産登記法 第83条(担保権の登記の登記事項)
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- 先取特権、質権若しくは転質又は抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
- 一債権額(一定の金額を目的としない債権については、その価額)
- 二債務者の氏名又は名称及び住所
- 三所有権以外の権利を目的とするときは、その目的となる権利
- 四二以上の不動産に関する権利を目的とするときは、当該二以上の不動産及び当該権利
- 五外国通貨で第一号の債権額を指定した債権を担保する質権若しくは転質又は抵当権の登記にあっては、本邦通貨で表示した担保限度額
- 2.登記官は、前項第四号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、共同担保目録を作成することができる。
この条文の基本情報
担保権の登記の登記事項とは何ですか?
定義担保権の登記の登記事項とは、不動産登記法第83条に定められた規定で、「先取特権、質権若しくは転質又は抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第83条(担保権の登記の登記事項)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第83条の条文原文は「先取特権、質権若しくは転質又は抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。」で始まります。
- 不動産登記法第83条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第83条の前の条は不動産登記法第82条です。
- 不動産登記法第83条の次の条は不動産登記法第84条です。
- 不動産登記法第83条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第83条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第83条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/83
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法83条は、抵当権など担保権の登記事項として、債権額、債務者の氏名・住所、目的となる権利、二以上の不動産の表示、外貨建て債権の円貨担保限度額を定める。
Q · 登記簿の抵当権の欄には、いったい何が書かれているんですか?
担保権の登記に何を書くかを定めた条文です
不動産登記法83条は、抵当権などの担保権を登記するときに記録すべき事項を定めます。具体的には債権額、債務者の氏名又は名称及び住所、所有権以外の権利を目的とするときはその権利、二以上の不動産を目的とするときは当該不動産及び権利、外貨建て債権の場合は本邦通貨で表示した担保限度額です。これらは同法59条の共通登記事項に上乗せされる項目であり、登記官は複数不動産の担保関係を明らかにするため共同担保目録を作成することができます(2項)。
解説
住宅ローンを組んだとき、あなたの土地建物の登記簿には抵当権の登記が刻まれる。その中身を決めているのが本条だ。債権額、債務者の氏名・住所、担保の目的となる権利、複数不動産にまたがる場合はその全部。ここで見落とされがちなのが第二号「債務者の氏名又は名称及び住所」である。この債務者欄は、あなたが物件を担保に出しただけの物上保証人であっても、実際に借りた人の名前がそこに公示されることを意味する。つまり登記簿を取れば、誰がいくら借りているかが第三者に丸見えになる。逆に言えば、あなたが不動産を買おうとするとき、その登記簿の抵当権の債権額と債務者名を見るだけで、売主の資金繰りの実態がかなり読める。そして第五号、外貨建て債権の担保限度額の登記。円建てしか想定していない人は、この一行の存在すら知らない。
法的な位置づけ
不動産登記法83条は、先取特権、質権若しくは転質又は抵当権の登記について、同法59条各号の共通登記事項に加えて記録すべき事項を定める規定である。登記事項は、債権額、債務者の氏名又は名称及び住所、所有権以外の権利を目的とする場合のその権利、二以上の不動産に関する権利を目的とする場合の当該不動産及び権利、外貨建て債権を担保する場合の本邦通貨で表示した担保限度額であり、担保権の内容を第三者に公示する機能を担う。
手順
- 1.共同担保目録付きで登記事項証明書を請求する 法務局窓口またはオンラインで登記事項証明書を請求し、請求書の「共同担保目録」欄を必ず指定する。指定を忘れると83条2項の目録が付かず、売主の他の担保物件が把握できない
- 2.乙区の債権額と債務者欄を読み解く 乙区の各抵当権について、債権額(1項1号)と債務者の氏名・住所(1項2号)、抵当権者名、設定年月日を並べる。設定順位、金融機関の種別、金額の大小から資金調達の履歴を読む。債権額は設定時の元本であり残債ではない点に注意
- 3.目的となる権利と共同担保の広がりを確認する 所有権以外の権利(地上権・賃借権等)が目的になっていないか(1項3号)、共同担保目録に他の物件が並んでいないか(1項4号)を確認する。目録に複数物件があれば、部分解除の交渉が必要になる可能性を織り込む
- 4.債務者の表示不一致を決済前に洗い出す 登記された債務者の氏名・住所が現在の住民票・商業登記と一致するかを照合する。不一致があれば変更登記が前提手続として必要になる場合があるため、決済日から逆算して司法書士に確認する
- 5.共同担保の部分解除・抹消の段取りを前倒しで組む 一部物件だけ売却する場合、金融機関との部分解除交渉と抹消書類の準備を決済の2か月以上前に開始する。共同担保目録があると他物件の担保状況も同時に検討され、交渉が長期化しやすい
よくある質問 AI による整理
Q1抵当権の登記事項は何ですか?
不動産登記法83条により、債権額、債務者の氏名又は名称及び住所、所有権以外の権利を目的とするときはその権利、二以上の不動産を目的とするときは当該不動産、外貨建て債権なら円貨での担保限度額です。
Q2登記事項証明書はどこで取れますか?
全国どこの法務局窓口でも取得でき、郵送請求やオンライン(登記情報提供サービス・かんたん証明書請求)も利用できます。物件の管轄外の法務局でも請求可能です。
Q3共同担保目録は請求書のどこで指定しますか?
交付請求書の「共同担保目録」欄で「現に効力を有するもの」等を指定します。指定しないと目録は付かず、売主の他の担保物件が見えません。
Q4根抵当権の登記事項は抵当権と同じですか?
違います。根抵当権は不動産登記法88条2項の特則により、債権額ではなく極度額、債権の範囲、確定期日などが登記事項になります。
Q5外貨建てのローンでも抵当権を登記できますか?
できます。83条1項5号により、外国通貨で債権額を指定した債権を担保する場合は、本邦通貨で表示した担保限度額を登記します。
Q6抵当権の債務者の住所変更登記は必要ですか?
抹消や移転の前提として求められる場合があり、放置すると決済時に手続が止まります。売却予定があるなら事前に司法書士へ確認してください。
Q7不動産登記法59条と83条の関係は?
59条は権利に関する登記の共通登記事項、83条は担保権に固有の上乗せ事項です。担保権の登記は両方が記録されます。
Q8登記された抵当権はいつ消えますか?
被担保債権を完済しても自動では消えません。抵当権者と共同で抹消登記を申請してはじめて登記簿から消えます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1登記簿に書いてある債権額って、今の残債と違うんですか?
違います。本条第一項第一号の債権額は抵当権設定時の元本額であり、返済が進んでも登記は自動で減りません。実際の残高は金融機関の残高証明書でしか分かりません。実務のポイント:不動産仲介の実務では、登記の債権額と築年数・購入時期から逆算して残債を推定します。設定から15年経った3,000万円の抵当権なら残債は2,000万円前後、という読み方です。売主が「値下げできない」と言う本当の理由が、この推定で見えることがある
Q2共同担保目録って何ですか、普通の登記簿と違うんですか?
本条第二項に基づき登記官が作成する、同じ債権を担保する複数の不動産をまとめた一覧です。登記事項証明書を請求するとき、共同担保目録付きを明示的に指定しないと付いてきません。実務のポイント:申請書の「共同担保目録」欄にチェックを入れるだけで、売主が他にどの物件を担保に入れているかが見えます。仲介業者がこれを取らずに話を進めるケースは珍しくない。買主が自分で法務局またはオンライン(登記情報提供サービス)で取れば、業者より先に売主の全体像を握れる
Q3抵当権の債務者が自分じゃないのに、なぜ自分の家が競売にかかるんですか?
あなたが物上保証人だからです。本条第一項第二号は債務者の氏名を登記事項としますが、抵当権の目的物はあなたの不動産です。債務者が返済を怠れば、抵当権者はあなたの不動産を競売にかけられます。実務のポイント:物上保証人は代位弁済すれば債務者に求償できます(民法372条、351条)。競売開始後でも、開札前なら弁済して競売を止められる。この期限を知らずに諦めて家を失う人が実際にいる
間違えやすい点 AI による整理
- 「抵当権の登記があるかどうか」だけを見て安心する人が多いが、問題は有無ではなく中身の深刻度である。債権額が数百万円でも、それが二番抵当でノンバンク名義であれば、一番抵当の銀行が既に追加融資を断った証拠になりうる。金額の小ささが、かえって危険信号であることがある
- 「登記されている債権額=現在の残債」と考えるのは前提そのものが誤っている。債権額は設定時の元本額であり、返済が進めば実際の残高はそれより少ない。逆に遅延損害金や利息が積み上がれば、抵当権の効力が及ぶ額は債権額を超えることもある(利息は民法375条により満期となった最後の二年分に制限されるが、これも例外がある)。登記簿の数字は残高証明ではない
- 物上保証人から見れば「自分は借りていないから関係ない」だが、登記から見れば、その不動産は債務者の借金の引当てそのものである。この落差が、債務者が滞納した瞬間に競売申立てという形であなたの生活を直撃する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する登記事項の範囲 | 不動産登記法83条:担保権に固有の上乗せ事項(債権額・債務者・目的権利・複数不動産・外貨建て限度額) | 不動産登記法59条:権利に関する登記の共通事項(登記の目的・申請受付年月日・登記名義人等) 不動産登記法88条:抵当権・根抵当権の特則(利息・損害金、根抵当権は極度額と債権の範囲) |
| 対象となる権利 | 先取特権、質権・転質、抵当権 | 権利に関する登記のすべて(所有権・用益権・担保権) 抵当権および根抵当権 |
| 金額の記録方法 | 債権額(設定時の元本額)、外貨建てなら円貨の担保限度額 | 金額の記録は規定しない 根抵当権は債権額ではなく極度額を記録 |
| 実務上のチェックポイント | 共同担保目録の有無、債務者表示の一致 | 登記名義人の表示と申請受付年月日・受付番号(順位の基礎) 利息・損害金の登記の有無、元本確定期日 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も抵押権設定登記に債権額・債務者・担保物件を記録する。共同担保に相当する制度もあるが、登記名義と実体権利の関係は台湾民法758条の登記生効主義に立つ点で日本の対抗要件主義と異なる
韓国も債権額と債務者を登記事項とする点で日本と同構造。日本法を継受した経緯があり、条文の配列も近い
ドイツは債権者・債権額・利率等を Grundbuch に登記する。登記に公信力(§ 892 BGB)が認められる点が日本との決定的な差であり、登記簿の記載を信頼した第三者の保護範囲が広い
米国は州ごとに race / notice / race-notice の各主義が分かれ、登録は権利の対抗力を左右する。登記官が担保物件を横断する目録を作成する制度は一般的でない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 中古マンションの購入を検討していて、登記事項証明書を取ったら抵当権が二本ついていた。一本目は銀行、二本目はノンバンクで債権額が異様に小さい。この構図は売主の資金繰りが逼迫している典型的なサインで、決済時の抹消手続がスムーズにいかないリスクを事前に読める
- 親の家を担保に、あなたの事業資金を借りることになった。親は物上保証人、債務者はあなた。登記簿の債務者欄にはあなたの氏名と住所が刻まれ、その謄本は誰でも取得できる。親戚が謄本を取れば、あなたの借入額が知られる
- 会社が本社ビルと工場と社宅の三物件をまとめて担保に入れた。第一項第四号により三物件すべてが登記事項となり、登記官が共同担保目録を作成する(第二項)。一物件だけ売却したいとき、共同担保目録があると他の物件の担保状況が金融機関に一目瞭然になり、部分解除の交渉が難航する
- 外国銀行から米ドル建てで融資を受け、日本の不動産に抵当権を設定する。第五号により、円貨での担保限度額を登記しなければならない。為替が動いても登記された円建て限度額が上限になる。契約時のレート設定を甘くすると、円安局面で担保が足りなくなる
- 決済まであと5日。買主側の司法書士から「抵当権の債務者住所が住民票と一致しない」と指摘が入った。債務者の住所変更登記を先に入れないと抹消登記が通らない可能性があり、決済延期のリスクが現実になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の不動産に予期せぬ抵当権が設定されていないか、登記事項証明書を取得して債務者欄を確認2. 身に覚えのない設定であれば、設定契約書の押印の真正を争う余地があるため、印鑑証明書の発行履歴を市区町村に照会3. 物上保証人の立場であれば、債務者の返済状況を金融機関に確認する権利があるか契約書で確認、保証人であれば民法458条の2により情報提供を請求できる4. 競売開始決定が届いたら、その日から不服申立て期間が動くため即座に弁護士へ
訴えられた側:1. 抵当権設定者として登記事項に誤りがあると考えるなら、更正登記または抹消登記の手続を検討2. 債務者の氏名・住所が変わっている場合、変更登記をしないと将来の抹消手続で決済が止まるため、売却予定があるなら先に整備3. 共同担保の一部物件を売却したい場合、金融機関との部分解除交渉を決済の2か月以上前から開始4. 登記事項の争いは登記官への審査請求(不動産登記法156条)と民事訴訟の二経路があり、どちらを選ぶかで時間軸が変わる
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期限はない。ただし抵当権の被担保債権が時効消滅すれば抵当権も消滅し(民法396条の反対解釈および付従性)、債権の消滅時効は民法166条により権利行使できることを知った時から5年または権利行使できる時から10年。登記官の処分に対する審査請求は不動産登記法156条により処分の日から期間の制限なく可能だが、行政不服審査法の準用関係を要確認
学説
通説:本条の登記事項は、担保権の内容を第三者に公示して不動産取引の安全を確保する趣旨に基づく。登記事項は必要最小限に限定され、資金使途や返済能力といった信用情報そのものは登記対象外とされる
実務上の理解:登記された債権額は設定時の元本額であり残債務額の証明ではない。利息の担保範囲は民法375条により満期となった最後の2年分に制限されるため、登記簿の数字と実際の担保範囲は一致しないのが通常である
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.明治32年(1899年) 新設:旧不動産登記法(明治32年法律第24号)制定。ドイツ土地登記簿制度を範として、担保権の登記事項を法定する枠組みが成立
- 2.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法全部改正(平成16年法律第123号)。オンライン申請の導入と登記簿の電子化に伴い条文構成を全面的に再編し、担保権の登記事項を現行83条に整理
- 不動産登記法 第59条権利に関する登記の共通登記事項
- 不動産登記法 第88条根抵当権の登記事項の特則
- 不動産登記法 第84条抵当権の順位変更等に関する登記
- 不動産登記法 第119条登記事項証明書の交付、公示の実現手段
- 民法 第373条抵当権の順位は登記の前後による
- 民法 第375条登記された利息の担保範囲を二年分に制限
- 民法 第392条共同抵当における配当、共同担保目録の実務的意義
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