要点不動産登記法 88 条は抵当権と根抵当権の登記事項を定める。抵当権は利息と損害賠償額を登記するが、根抵当権は債権額を登記せず、担保すべき債権の範囲と極度額を登記する。
Q · 登記事項証明書の乙区に並んでいる「利息」「損害金」「極度額」って、法律のどこに根拠があるんですか?
抵当権は利息と損害金、根抵当権は極度額を登記します
不動産登記法 88 条が根拠です。1 項により、抵当権では利息の定め、民法 375 条 2 項の損害賠償額の定め、債権に付した条件、民法 370 条ただし書の別段の定め、抵当証券発行の定めが登記事項になります。2 項により、根抵当権では債権額を登記せず、担保すべき債権の範囲と極度額、元本確定期日の定めが登記事項になります。登記されていない定めは第三者に対抗できないため、契約書に書いてあっても後順位担保権者や買受人には主張できません。
住宅ローンの契約書に判を押した数週間後、登記事項証明書が届く。権利部乙区に「利息 年1.2%」「損害金 年14.5%」と並んでいるあの数行が、不動産登記法88条の正体である。ただの記録ではない。競売になったとき、配当表を組み立てる計算式にそのまま打ち込まれる数字だ。逆に、登記されていない定めは第三者に対抗できない。抵当権者が「契約書には年18%と書いてある」と言っても、登記簿に載っていなければ、後順位の債権者や買受人に対しては主張できない。さらに1項と2項で世界が分かれる。普通の抵当権は債権額を登記し、利息は民法375条により満期後最後の2年分しか優先弁済を受けられない。根抵当権は債権額を登記せず、極度額を登記する。極度額の枠内なら、利息も遅延損害金も年数の制限なく優先弁済の対象になる。あなたが事業者なら、この差が資金調達の条件そのものを決めている。
不動産登記法 88 条は、抵当権と根抵当権の登記事項を定める規定である。1 項は抵当権について、利息の定め、民法 375 条 2 項の損害賠償額の定め、債権に付した条件、民法 370 条ただし書の別段の定め、抵当証券発行の定めを登記事項とする。2 項は根抵当権について、債権額を除外し、担保すべき債権の範囲および極度額を登記事項とする。
AI 輔助整理,以條文原文為準
不動産登記法 88 条 1 項により、59 条各号・83 条 1 項各号のほか、利息の定め、損害賠償額の定め、債権に付した条件、民法 370 条ただし書の別段の定め、抵当証券発行の定めが登記事項です。
88 条 2 項が 83 条 1 項 1 号(債権額)を除外しているためです。中身が入れ替わる継続的取引を前提とするため、債権額ではなく極度額という天井だけを公示します。
当事者間では契約書が効力を持ちますが、第三者に対抗できるのは登記された定めだけです。登記より高い利率を後順位債権者や買受人に主張することはできません。
抵当権の効力が付加一体物に及ぶ原則を、当事者の特約で排除する定めです。88 条 1 項 4 号・2 項 2 号により、登記しなければ第三者に対抗できません。
88 条 1 項 5 号の登記事項として制度上は残っていますが、実務での抵当証券の利用はきわめて限定的で、通常の住宅ローンの登記で目にすることはほとんどありません。
88 条 2 項 3 号は「定めがあるときは、その定め」としています。定めない運用も多く、登記簿に記載がなければ確定期日を定めていないという意味になります。
権利部乙区の登記の目的欄と、債権額が書かれているか極度額が書かれているかで判別できます。極度額と「担保すべき債権の範囲」があれば根抵当権です。
抵当権自体は当事者間で有効ですが、登記されなかった定めは第三者に対抗できません。競売の配当では、登記された範囲でしか優先弁済を受けられなくなります。
遅延したときの利率で、民法375条2項の損害賠償額の定めにあたります。ただし抵当権として優先弁済を受けられるのは、利息と通算して満期後最後の2年分まで。超えた分は無担保の債権として残ります。業界裏話ヒント:この2年分の制限は後順位抵当権者など他の利害関係人を守る規定と解されており、そうした第三者がいない案件では制限が働かないとされる。安心する前に、乙区に他の担保が並んでいるかを見る
極度額の枠内なら元本も利息も遅延損害金も全部が優先弁済の対象になるからです(民法398条の3第1項)。抵当権の2年分制限は根抵当権には及ばない。だから金融機関は将来の利息と損害金を見込んで枠を厚くします。業界裏話ヒント:極度額を下げる変更には後順位抵当権者などの承諾が必要(民法398条の5)。後から担保が付くと事実上動かせない。交渉できるのは設定時だけ
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定する登記事項の範囲 | 88 条:抵当権・根抵当権に固有の事項(利息、損害賠償額、極度額等) | — |
| 債権額の扱い | 88 条 2 項は 83 条 1 項 1 号を除外し、根抵当権では債権額を登記しない | — |
| 適用される担保権 | 抵当権(1 項)と根抵当権(2 項)に限定 | — |
| 実務上の読み方 | 配当計算の入力値(利率・極度額)を読み取る条文 | — |
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