不動産登記法 第88条(抵当権の登記の登記事項)
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- 抵当権(根抵当権(民法第三百九十八条の二第一項の規定による抵当権をいう。以下同じ。)を除く。)の登記の登記事項は、第五十九条各号及び第八十三条第一項各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
- 一利息に関する定めがあるときは、その定め
- 二民法第三百七十五条第二項に規定する損害の賠償額の定めがあるときは、その定め
- 三債権に付した条件があるときは、その条件
- 四民法第三百七十条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め
- 五抵当証券発行の定めがあるときは、その定め
- 六前号の定めがある場合において元本又は利息の弁済期又は支払場所の定めがあるときは、その定め
- 2.根抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号及び第八十三条第一項各号(第一号を除く。)に掲げるもののほか、次のとおりとする。
- 一担保すべき債権の範囲及び極度額
- 二民法第三百七十条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め
- 三担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、その定め
- 四民法第三百九十八条の十四第一項ただし書の定めがあるときは、その定め
この条文の基本情報
抵当権の登記の登記事項とは何ですか?
定義抵当権の登記の登記事項とは、不動産登記法第88条に定められた規定で、「抵当権(根抵当権(民法第三百九十八条の二第一項の規定による抵当権をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第88条(抵当権の登記の登記事項)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第88条の条文原文は「抵当権(根抵当権(民法第三百九十八条の二第一項の規定による抵当権をいう。」で始まります。
- 不動産登記法第88条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第88条の前の条は不動産登記法第87条です。
- 不動産登記法第88条の次の条は不動産登記法第89条です。
- 不動産登記法第88条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第88条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第88条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/88
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法88条は抵当権と根抵当権の登記事項を定める。抵当権は利息と損害賠償額を登記するが、根抵当権は債権額を登記せず、担保すべき債権の範囲と極度額を登記する。
Q · 登記事項証明書の乙区に並んでいる「利息」「損害金」「極度額」って、法律のどこに根拠があるんですか?
抵当権は利息と損害金、根抵当権は極度額を登記します
不動産登記法88条が根拠です。1項により、抵当権では利息の定め、民法375条2項の損害賠償額の定め、債権に付した条件、民法370条ただし書の別段の定め、抵当証券発行の定めが登記事項になります。2項により、根抵当権では債権額を登記せず、担保すべき債権の範囲と極度額、元本確定期日の定めが登記事項になります。登記されていない定めは第三者に対抗できないため、契約書に書いてあっても後順位担保権者や買受人には主張できません。
解説
住宅ローンの契約書に判を押した数週間後、登記事項証明書が届く。権利部乙区に「利息 年1.2%」「損害金 年14.5%」と並んでいるあの数行が、不動産登記法88条の正体である。ただの記録ではない。競売になったとき、配当表を組み立てる計算式にそのまま打ち込まれる数字だ。逆に、登記されていない定めは第三者に対抗できない。抵当権者が「契約書には年18%と書いてある」と言っても、登記簿に載っていなければ、後順位の債権者や買受人に対しては主張できない。さらに1項と2項で世界が分かれる。普通の抵当権は債権額を登記し、利息は民法375条により満期後最後の2年分しか優先弁済を受けられない。根抵当権は債権額を登記せず、極度額を登記する。極度額の枠内なら、利息も遅延損害金も年数の制限なく優先弁済の対象になる。あなたが事業者なら、この差が資金調達の条件そのものを決めている。
法的な位置づけ
不動産登記法88条は、抵当権と根抵当権の登記事項を定める規定である。1項は抵当権について、利息の定め、民法375条2項の損害賠償額の定め、債権に付した条件、民法370条ただし書の別段の定め、抵当証券発行の定めを登記事項とする。2項は根抵当権について、債権額を除外し、担保すべき債権の範囲および極度額を登記事項とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書を取得し権利部乙区を開く 法務局窓口またはオンライン請求で登記事項証明書を取得し、権利部乙区(所有権以外の権利)を確認する。抵当権と根抵当権が両方設定されている物件もあるため、順位番号ごとに一件ずつ読む
- 2.抵当権か根抵当権かを登記事項で判別する 債権額の記載があれば88条1項の抵当権、極度額と「担保すべき債権の範囲」の記載があれば88条2項の根抵当権と判別する。担保される利息・損害金の範囲が根本的に変わるため、ここを取り違えない
- 3.利息・損害金・別段の定めの有無を一つずつ拾う 88条1項各号に沿って、利息の定め、民法375条2項の損害賠償額の定め、債権に付した条件、民法370条ただし書の別段の定め、抵当証券発行の定めの記載を確認する。記載のない定めは第三者に対抗できない
- 4.抹消・決済に必要な額を決済日基準で試算する 登記された損害金利率をもとに、決済日を基準として抵当権抹消に必要な額を司法書士に計算させる。決済が延期された場合の増加分を誰が負担するかを売買契約書に明記しておく
- 5.根抵当権なら極度額の妥当性を設定前に交渉する 極度額の枠内に利息と遅延損害金がすべて含まれる(民法398条の3)ため、金融機関に算出根拠を説明させる。後順位担保権者が現れると変更に承諾が必要になる(民法398条の5)ので、交渉は設定登記前に終わらせる
よくある質問 AI による整理
Q1抵当権の登記事項とは何ですか?
不動産登記法88条1項により、59条各号・83条1項各号のほか、利息の定め、損害賠償額の定め、債権に付した条件、民法370条ただし書の別段の定め、抵当証券発行の定めが登記事項です。
Q2根抵当権の登記に債権額が書かれていないのはなぜ?
88条2項が83条1項1号(債権額)を除外しているためです。中身が入れ替わる継続的取引を前提とするため、債権額ではなく極度額という天井だけを公示します。
Q3契約書の利息と登記簿の利息が違うときどっちが優先?
当事者間では契約書が効力を持ちますが、第三者に対抗できるのは登記された定めだけです。登記より高い利率を後順位債権者や買受人に主張することはできません。
Q4民法370条ただし書の別段の定めとは?
抵当権の効力が付加一体物に及ぶ原則を、当事者の特約で排除する定めです。88条1項4号・2項2号により、登記しなければ第三者に対抗できません。
Q5抵当証券発行の定めは今でも登記されますか?
88条1項5号の登記事項として制度上は残っていますが、実務での抵当証券の利用はきわめて限定的で、通常の住宅ローンの登記で目にすることはほとんどありません。
Q6元本確定期日は必ず登記されるのですか?
88条2項3号は「定めがあるときは、その定め」としています。定めない運用も多く、登記簿に記載がなければ確定期日を定めていないという意味になります。
Q7抵当権と根抵当権は登記簿でどう見分けますか?
権利部乙区の登記の目的欄と、債権額が書かれているか極度額が書かれているかで判別できます。極度額と「担保すべき債権の範囲」があれば根抵当権です。
Q8登記事項に漏れがあるとどうなりますか?
抵当権自体は当事者間で有効ですが、登記されなかった定めは第三者に対抗できません。競売の配当では、登記された範囲でしか優先弁済を受けられなくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1登記簿に「損害金 年14.6%」って書いてあるんですけど、これ本当に払わされるんですか?
遅延したときの利率で、民法375条2項の損害賠償額の定めにあたります。ただし抵当権として優先弁済を受けられるのは、利息と通算して満期後最後の2年分まで。超えた分は無担保の債権として残ります。実務のポイント:この2年分の制限は後順位抵当権者など他の利害関係人を守る規定と解されており、そうした第三者がいない案件では制限が働かないとされる。安心する前に、乙区に他の担保が並んでいるかを見る
Q2根抵当権の極度額って、なんで借りる額より大きく設定されるんですか?
極度額の枠内なら元本も利息も遅延損害金も全部が優先弁済の対象になるからです(民法398条の3第1項)。抵当権の2年分制限は根抵当権には及ばない。だから金融機関は将来の利息と損害金を見込んで枠を厚くします。実務のポイント:極度額を下げる変更には後順位抵当権者などの承諾が必要(民法398条の5)。後から担保が付くと事実上動かせない。交渉できるのは設定時だけ
間違えやすい点 AI による整理
- 抵当権を付けられると借金の額だけ持っていかれる、というところまでは多くの人が知っている。知られていないのは、その先の深刻度と、意外な救いである。優先弁済を受けられるのは登記された定めの範囲に限られ、しかも利息と遅延損害金は民法375条により満期後最後の2年分までしか担保されない。長期の滞納で膨らんだ損害金は、そのままの額で不動産から回収されるわけではない。ただしその制限は無担保債権として消えることを意味せず、請求自体は残る
- あなたから見れば「極度額3000万」は、3000万も背負わされる重さに見える。法律から見れば、それは債権者が3000万までしか優先弁済を受けられないという天井である。同じ数字が、一方には負担の大きさ、他方には回収可能額の上限として映る。この落差を理解しないまま設定に応じると、銀行にとっての天井を、あなたが自分の負債総額だと誤解したまま10年を過ごすことになる
- 「登記簿に書いてある利率が、いま自分が払っている利率だ」という前提そのものが誤っている。登記されるのは設定時の定めであり、その後の金利改定や条件変更で自動的に書き換わるわけではない。変動金利のローンなら、登記簿の数字と現実の返済額はとうに乖離している。登記簿は現在の残高証明ではなく、第三者に対して主張できる枠の記録である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定する登記事項の範囲 | 88条:抵当権・根抵当権に固有の事項(利息、損害賠償額、極度額等) | 83条1項:担保権全般に共通する事項(債権額、債務者等) 59条:権利に関する登記に共通する事項(順位番号、登記原因等) |
| 債権額の扱い | 88条2項は83条1項1号を除外し、根抵当権では債権額を登記しない | 83条1項1号として債権額の登記を要求 債権額は規律対象外 |
| 適用される担保権 | 抵当権(1項)と根抵当権(2項)に限定 | 先取特権・質権を含む担保権全般 所有権を含む権利に関する登記すべて |
| 実務上の読み方 | 配当計算の入力値(利率・極度額)を読み取る条文 | 誰にいくらの債権があるかを読み取る条文 順位(民法373条・不登法4条)を読み取る条文 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も最高限額抵押權で極度額(最高限額)を登記する点は日本の根抵当権と同構造。ただし台湾民法758条は登記を物権変動の成立要件とするため、登記の意味が日本の対抗要件主義より重い
韓国も근저당권では채권최고액(極度額)を登記する。韓国民法186条が成立要件主義を採るため、未登記の担保権はそもそも成立しない
ドイツの Höchstbetragshypothek は極度額を登記する点で根抵当権に近い。ただしドイツ実務の主流は付従性のない Grundschuld であり、被担保債権を登記簿に現さない運用が広い
米国は州ごとの記録法制で、記録の効力も race / notice / race-notice に分かれる。極度額型担保は open-end mortgage や line of credit mortgage が機能的に対応する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、決済の3日前に売主の住宅ローンに滞納があると判明したら? 乙区に登記された「損害金 年14.6%」は日割りで積み上がり、抵当権抹消に必要な額が毎日動く。決済が1週間ずれれば、売主が用意すべき現金も数万円単位で変わる。残り3日で司法書士に精算額を再計算させ、延期時の負担を誰が持つかを契約書に書き込めるかどうかが分かれ目になる
- 取引先に運転資金1000万円を貸し、担保として根抵当権を設定した。極度額も貸した額ぴったり1000万円にした。相手が飛んだとき、遅延損害金の分は極度額の枠をはみ出し、その部分は1円も優先弁済を受けられない
- 銀行から「極度額は3000万でお願いします」と言われた。借りたいのは2000万なのに、なぜ1.5倍なのか。担当者は「慣行です」としか言わない。ここで根拠を聞き返せるかどうかで、あなたがその後10年間その不動産に縛られる枠の大きさが決まる。設定登記が終わったあとに枠を縮めようとしても、後順位の債権者が現れた瞬間、事実上動かせなくなる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 契約前に登記事項証明書の権利部乙区を取り、利息・損害金・極度額・元本確定期日の有無を一つずつ確認する2. 根抵当権を設定されるなら、極度額の算出根拠を金融機関に説明させ、下げる交渉は設定時に終わらせる(後は民法398条の5で承諾が要る) 3. 買主の立場なら、抹消に必要な額を決済日基準で司法書士に計算させ、決済が延びた場合の増加分を誰が負担するか契約書に明記する
訴えられた側:1. 契約書に書いた利息・損害金・特約は、登記しなければ第三者に対抗できない。申請時の登記事項に漏れがないか、民法370条ただし書の別段の定めまで含めて点検する2. 根抵当権なら、極度額は元本だけでなく想定される利息と遅延損害金を織り込んで設定する3. 債務者に相続が起きたら、6か月の合意登記期限を最優先で押さえる
時効(請求できる期限):本条自体に時効はなく、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)の対象でもない。ただし関連する期限は厳格である。根抵当権の元本確定期日を定める場合、その期日は定めまたは変更した日から5年以内でなければならない(民法398条の6第3項)。債務者について相続が開始した場合、相続開始後6か月以内に指定債務者の合意の登記をしないと、担保すべき元本は相続開始の時に確定したものとみなされる(民法398条の8第4項)。この6か月は延長できない
学説
通説:88条の登記事項は限定列挙であり、列挙されない特約は登記できず、当事者間で有効であっても第三者には対抗できないと解される。根抵当権について債権額の登記を外し極度額に置き換えた2項は、公示の粒度を落とす代わりに上限を絶対的に固定する立法的調整と説明される
実務通説(登記実務):88条2項3号の元本確定期日は「定めがあるとき」の任意的登記事項であり、登記簿に記載がなければ確定期日を定めていないことを意味する。期日を定める場合は民法398条の6第3項により定めまたは変更の日から5年以内でなければならない
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 不動産登記法の全部改正により、旧法下で分散していた抵当権・根抵当権の登記事項規定が再編され、現行の88条として1項(抵当権)と2項(根抵当権)に整理された。改正年以降の細部改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)により、旧法下で分散していた抵当権・根抵当権の登記事項規定が再編され、現行88条として1項(抵当権)と2項(根抵当権)に整理された。改正年以降の細部改正の有無は人的検証が必要
- 2.昭和46年(1971年) 新設:民法改正により根抵当権に関する規定(民法398条の2以下)が新設され、これに対応して旧不動産登記法にも根抵当権固有の登記事項が置かれた。現行88条2項の淵源にあたる
- 不動産登記法 第59条権利に関する登記の共通登記事項
- 不動産登記法 第83条担保権全般の登記事項、債権額と債務者
- 不動産登記法 第89条抵当権の順位変更の登記手続
- 不動産登記法 第4条権利の順位は登記の前後による原則
- 民法 第375条利息と損害金の優先弁済を最後の2年分に制限
- 民法 第370条付加一体物への効力とその排除特約の根拠
- 民法 第398条の3極度額の枠内で利息損害金も全額担保
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