労働契約法 第15条(懲戒)
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使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
この条文の基本情報
懲戒とは何ですか?
定義懲戒とは、労働契約法第15条に定められた規定で、「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働契約法第15条(懲戒)は、日本の労働契約法に含まれる条文です。
- 労働契約法第15条の条文原文は「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通…」で始まります。
- 労働契約法第15条は第三章 労働契約の継続及び終了に置かれています。
- 労働契約法の公布日は平成19年12月5日です。
- 労働契約法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 労働契約法第15条の前の条は労働契約法第14条です。
- 労働契約法第15条の次の条は労働契約法第16条です。
- 労働契約法第15条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第15条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128 - 本サイト収録
労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第15条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/419AC0000000128/15
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働契約法15条は、懲戒が客観的に合理的な理由を欠くか社会通念上相当でない場合、権利の濫用として無効になると定める。就業規則に懲戒規定があるだけでは処分は有効にならない。
Q · 就業規則に「懲戒解雇できる」と書いてあれば、その懲戒処分は絶対に有効なの?
いいえ。重すぎたり手続を欠く懲戒は無効になります
労働契約法15条により、懲戒に客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当でない場合、その懲戒は権利の濫用として無効です。就業規則に懲戒の根拠があることは出発点にすぎません。行為の重さに対する処分の均衡(相当性)、弁明の機会などの手続、過去の同種事案との平等取扱いをすべて満たして初めて有効になります。一度の軽微なミスへの懲戒解雇は、規定があっても無効と判断され得ます。
解説
遅刻が続いただけで懲戒解雇された。休日に SNS で会社の愚痴を書いたら出勤停止を命じられた。多くの人は「就業規則に書いてあるし、自分にも非があるから仕方ない」と処分を受け入れる。だが、それは手元にある盾を自分から捨てる行為だ。労働契約法15条が定めるのは、たとえ懲戒事由があっても、その処分が「行為の性質及び態様その他の事情」に照らして客観的に合理的な理由を欠くか、社会通念上重すぎる場合、その懲戒は無効になるという原則だ。鍵は二段構えになっている。第一に、就業規則に懲戒の種類と事由が定められ周知されていること。第二に、その違反に対して処分が重すぎないこと(相当性)。さらに弁明の機会を与えたか、同じ違反に同じ処分をしているか、過去に同じ行為を一度罰していないか。これら手続と均衡のどれか一つでも欠ければ、あなたを縛ったはずの処分は、法的にはただの紙切れになる。
法的な位置づけ
労働契約法15条は懲戒権濫用法理を定める規定であり、使用者の懲戒が、労働者の行為の性質・態様その他の事情に照らして客観的に合理的な理由を欠くか、社会通念上相当と認められない場合に、その懲戒を権利の濫用として無効とする。判例で確立した法理を平成19年に明文化したものである。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.処分通知書はその場でサインせず受領のみ 懲戒処分の通知書を渡されても、内容に同意したと取られかねない署名はせず、受領した事実だけを残す。日付と渡された状況をメモする
- 2.就業規則の懲戒規定を入手して根拠を確認 就業規則の懲戒の種類・事由・手続規定のコピーを請求し、処分の根拠条項が存在し周知されているかを確認する。根拠規定がなければ懲戒そのものができない
- 3.相当性・手続・平等取扱いを時系列で記録化 弁明の機会が与えられたか、過去の同種違反への処分とのバランス、同一行為への二重処罰の有無を時系列でメモにまとめ、メールやチャットなどの客観証拠を保全する
- 4.減給なら労働基準法91条の上限超過を確認 減給処分の場合、1回の額が平均賃金1日分の半額を超えていないか、総額が一賃金支払期の10分の1を超えていないかを給与明細で確認する(最新の改正状況をご確認ください)
- 5.懲戒解雇なら速やかに相談先・労働審判へ 懲戒解雇は解雇日から速やかに、総合労働相談コーナー・法テラス・合同労組などへ相談し、必要に応じて労働審判または地位確認訴訟、賃金仮払いの仮処分を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1懲戒処分とは何ですか?
企業秩序に違反した労働者に対し、使用者が就業規則の根拠に基づいて科す制裁です。戒告・けん責・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇などの種類があります。
Q2懲戒処分の種類にはどんなものがありますか?
軽い順に戒告・けん責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇が一般的です。重い処分ほど相当性の審査が厳格になり、軽い処分で足りる事案に重い処分をぶつけると無効になります。
Q3懲戒解雇と普通解雇の違いは何ですか?
懲戒解雇は制裁としての解雇で退職金不支給など不利益が大きく、労働契約法15条の審査を受けます。普通解雇は能力不足等を理由とし16条の解雇権濫用法理で判断されます。
Q4懲戒処分に時効はありますか?
懲戒処分の無効主張自体に時効はありませんが、減給・出勤停止による賃金差額の請求は賃金請求権として消滅時効にかかります(最新の改正状況をご確認ください)。
Q5懲戒処分を受けたら退職金はもらえますか?
懲戒解雇でも退職金を一律に全額不支給にできるとは限りません。長年の功労を抹消するほどの重大な背信行為があった場合に限り、全部または一部の不支給が認められ得ます。
Q6出勤停止中の給料はどうなりますか?
懲戒処分としての出勤停止期間中は、原則として賃金が支給されません。ただし出勤停止自体が相当性を欠いて無効なら、その期間の賃金を遡って請求できます。
Q7懲戒処分の弁明書はどう書けばよいですか?
事実関係の認否、処分が重すぎる理由、過去の同種事案との不均衡、二重処罰の有無を時系列で具体的に記載します。弁明の機会を与えられなかった事実も記録しておきます。
Q8副業を理由に懲戒されることはありますか?
副業禁止規定違反でも、その副業が本業に具体的な支障を与えていなければ懲戒は無効になり得ます。副業解禁が進む現在、形式違反だけでの重い処分は相当性を欠きやすいです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1就業規則に「懲戒解雇できる」と書いてあるのに、無効になることなんて本当にあるんですか?
あります。15条では、就業規則に懲戒の根拠があることは前提条件にすぎず、そこから行為に照らして客観的に合理的か、社会通念上相当か、という二つの関門を通らないと有効になりません。一度の軽微なミスに懲戒解雇をぶつければ、規定があっても無効です。実務のポイント:会社が懲戒解雇に踏み切る前、人事は弁護士に相当性で勝てるかを必ず確認します。逆に言えば、労働者側がその場で相当性と弁明機会は満たしていますかと一言聞くだけで、会社は処分の見直しに動くことが多い
Q2減給の処分を受けました。いくらまでなら合法なんですか?
労働基準法91条が上限を定めています。1回の額が平均賃金1日分の半額を超えてはならず、複数回あっても総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはなりません。これを超える減給は超過部分が違法です(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:実は減給ではなく降格による賃金低下という形を取ると、この91条の枠を回避できてしまう。会社がこの手を使ってきたら、降格の人事権濫用として別途争う必要がある。名目が何かを必ず確認する
Q3休日に個人の SNS で会社の不満を書いたら懲戒されました。これは有効ですか?
私生活上の行為に対する懲戒は、企業の社会的評価を現実に毀損したか、企業秩序に具体的な影響を与えたと言える場合に限られます(関連する判例法理)。会社名を伏せた個人的な愚痴程度では、無効を主張できる余地が大きい。実務のポイント:会社は信用毀損を理由に挙げますが、実際に取引先が離れた等の具体的損害を立証できることは稀。あなたが具体的にどんな損害が出たのかと問い返すと、会社が立証できずに処分を撤回するケースは多い
Q4懲戒処分に納得いきませんが、弁護士費用が高そうで諦めかけています。
労働審判なら本人申立ても可能で、原則3回以内、約3か月で結論が出ます。地域の総合労働相談コーナーや法テラスの無料相談、合同労組の団体交渉という低コストの選択肢もあります。実務のポイント:会社は労働審判を申し立てられたというだけで、世間体と時間コストを嫌って和解に傾くことが多い。特に懲戒の手続に穴がある場合、申立書が届いた段階で和解金を提示してくる。費用を理由に諦めるのが一番もったいない
間違えやすい点 AI による整理
- 「就業規則に懲戒解雇できると書いてあるから、自分は争えない」と思い込んでいる。実際は逆で、就業規則の規定は懲戒の出発点にすぎず、そこから相当性、手続、平等取扱いの審査を全部くぐり抜けて初めて有効になる。書いてあることと、有効であることは別物だ
- 懲戒処分に相当性が必要なことは知っていても、その審査がどれほど厳格かを知らない人が多い。裁判所は、その違反に戒告で足りるのになぜ出勤停止なのか、という一段ずつの均衡まで踏み込む。最も軽い戒告ですら、理由が薄ければ無効と判断されることがある
- あなたから見れば「就業規則を破った自分が悪い」。だが法律から見れば、懲戒事由が存在することと、その懲戒処分が有効であることは完全に別の問題だ。非があることと、その処分を甘んじて受けることの間には、15条という分厚い壁がある。この落差を知らないと、本来覆せた処分をそのまま飲んでしまう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 労働契約法15条:懲戒処分の有効性(制裁としての処分全般) | 労働契約法16条:解雇の有効性(普通解雇・整理解雇) 労働契約法7条:就業規則の合理性と周知(懲戒の根拠) |
| 判断基準 | 客観的合理性 + 社会通念上の相当性(懲戒権濫用法理) | 客観的合理性 + 社会通念上の相当性(解雇権濫用法理) 労働条件が合理的 + 労働者へ周知されていること |
| 効果 | 要件を欠く懲戒は権利濫用として無効 | 要件を欠く解雇は権利濫用として無効 要件を満たせば就業規則が労働契約の内容になる |
| 主に争う場面 | 減給・出勤停止・降格・懲戒解雇の重さや手続 | 普通解雇の理由の有無と相当性 そもそも懲戒の根拠規定が有効に存在するか |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も懲戒解僱の事由を法定しつつ、判例・行政解釈で懲戒の相当性(比例原則)と平等取扱いを要求し、過大な懲戒を権利濫用として無効とする運用が日本に近い
韓国は解雇・懲戒に『정당한 이유(正当な理由)』を要求し、相当性と手続的正義(弁明の機会)を欠く懲戒を無効とする点で日本と類似する
ドイツは即時解雇に重大事由を要求し、比例原則の下でより軽い手段(警告)で足りないかを審査する。日本の相当性審査の発想的源流の一つ
米国は employment-at-will が原則だが、団体協約下では懲戒に正当事由を要し、苦情処理・仲裁手続で処分の均衡が審査される。非組合員には保護が薄い点が日本と大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、入社三か月のあなたが一度の経費精算ミスでいきなり懲戒解雇されたら、それは有効だろうか? 答えはほぼ無効だ。一度の軽微なミスに最も重い処分をぶつけるのは相当性を欠く典型例で、退職金不支給まで連動して覆る可能性がある
- 休日に個人アカウントで上司への不満を書いたら、それを見つけた会社から出勤停止7日。だが投稿が会社名を出さず、企業の社会的信用に現実の損害を与えていなければ、私生活上の行為に対する懲戒として無効を主張できる余地が大きい
- あなたが管理職で、部下の無断欠勤に腹を立て即日で懲戒解雇の処分を出した。弁明の機会を与えず、就業規則の所定手続も飛ばした。この処分は後の労働審判でほぼ確実に覆り、会社は解雇期間中の賃金を遡って支払うことになる
- 同じ程度の遅刻を、A さんは口頭注意、B さんは減給。B さんだけ重いのはなぜか。合理的な理由のない不平等な懲戒は、平等取扱いの観点からそれだけで無効になりうる
- 懲戒解雇の通知を受け取った。離職票には重責解雇と書かれ、失業給付の給付制限がかかりそうだ。無効を争うなら解雇日から動き出すスピードが命。証拠保全と地位保全の仮処分を、今週中に専門家と詰めないと立場が固定されていく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 処分通知書はその場でサインせず受領のみとし、就業規則の懲戒事由、種類、手続規定のコピーを請求2. 弁明の機会を与えられたか、過去の同種違反への処分とのバランス、二重処罰の有無を時系列でメモ化3. 減給なら労働基準法91条の上限(1回が平均賃金1日分の半額、総額が一賃金支払期の10分の1)の超過を確認4. 懲戒解雇なら解雇日から速やかに労働審判または地位確認訴訟へ、賃金仮払いの仮処分も検討。総合労働相談コーナー、法テラス、合同労組は低コスト
訴えられた側:1. 懲戒前に就業規則の根拠規定の存在と周知を確認、なければ懲戒できない2. 弁明の機会を書面で付与し記録化、調査を尽くす3. 違反の重さに対し処分が過大でないか、過去の同種事案や他の従業員との均衡を点検4. 同一行為への二重処罰や遡及適用を避ける5. 懲戒解雇は最終手段、より軽い処分で足りないか先に検討。手続を一つ飛ばすだけで全部無効になり、解雇期間中の賃金を遡及負担するリスクがある
時効(請求できる期限):懲戒処分の無効自体に特定の時効はない。ただし減給や出勤停止による賃金差額の請求は賃金請求権として消滅時効にかかる(労働基準法115条、当分の間3年、本来5年、最新の改正状況をご確認ください)。懲戒解雇無効の地位確認には時効はないが、長期間争わず放置すると信義則上不利になるため、処分を知った時点から速やかに動くこと
学説
通説:労働契約法15条の懲戒は、就業規則上の根拠規定の存在・周知という前提に加え、客観的合理性と社会通念上の相当性を満たして初めて有効となる。相当性審査では処分の均衡、弁明等の手続、平等取扱い、二重処罰の有無が総合的に考慮される。
改正沿革 AI による整理
- 平成19年(2007年)労働契約法制定(平成20年3月1日施行) 判例で確立していた懲戒権濫用法理(ダイハツ工業事件 最判昭和58.9.16等)を明文化して新設。制定以来、本条本文の実質的改正はない
改正の年表
- 1.平成19年(2007年) 新設:労働契約法の制定(平成19年法律第128号、平成20年3月1日施行)により、判例で確立していた懲戒権濫用法理を15条として明文化した。
- 労働契約法 第16条解雇権濫用法理、懲戒解雇の有効性と重なる場面
- 労働契約法 第7条就業規則の合理性と周知、懲戒の根拠規定の要件
- 労働契約法 第3条労働契約の原則、信義則と権利濫用禁止の一般則
- 労働基準法 第89条制裁の定めをする場合の就業規則記載義務
- 労働基準法 第91条減給の制裁の額の上限規制
- 民法 第1条権利濫用の禁止の一般法理(懲戒権濫用の母法)
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