要点保険法 88 条は、傷害疾病定額保険の解除は将来効にとどまり、告知義務違反等で解除されても、その事実と因果関係のない傷害疾病の給付は免責されないと定める。
Q · 告知義務違反で保険を解除されたら、保険金はもう一円も出ないの?
解除されても因果関係のない傷病の保険金は請求できます
保険法 88 条により、傷害疾病定額保険の解除は将来に向かってのみ効力を生じます(1 項)。さらに 2 項の但書により、告知義務違反(84 条)・危険増加(85 条)・重大事由(86 条)で解除されても、隠した事実や危険増加の原因と因果関係のない傷害疾病については、保険者は給付責任を免れません。高血圧の告知漏れで解除されても、無関係な骨折の治療費は請求できます。解除の成否と給付の免責は別問題であり、因果関係を突けば審査を再開させられます。
医療保険やがん保険の申込書で、過去の通院歴を書き忘れた。数年後に入院給付金を請求したら、保険会社から「告知義務違反により契約を解除します」という通知が届く。ここで多くの人が「じゃあ保険金はゼロだ」と肩を落とす。だが保険法88条を読むと景色が一変する。まず解除は「将来に向かってのみ」効力を持つ(1項)。過去にさかのぼって契約がまるごと無かったことにはされない。そして2項の但書がこの条文の心臓だ。告知義務違反で解除されても、あなたが隠した事実と因果関係のない傷害・疾病については、保険会社は支払いを拒めない。高血圧の告知を忘れて解除されても、階段で転んで折った骨の治療費は、高血圧と無関係であれば支払われる。「解除イコール全部パー」という思い込みそのものが、本来もらえるはずの保険金をあなたに捨てさせている。
保険法 88 条は、傷害疾病定額保険契約の解除の効力を定める規定である。1 項は解除が将来に向かってのみ効力を生ずる旨を、2 項は告知義務違反・危険増加・重大事由による解除の場合に免責される給付の範囲を規定し、但書で解除原因と因果関係のない傷害疾病を免責の対象から除外する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
傷害や疾病を対象に、実損害額ではなく契約で定めた定額を給付する保険です。医療保険・がん保険・傷害保険・所得補償保険が該当し、解除の場面では保険法 88 条のルールが適用されます。
生命保険協会・日本損害保険協会の裁定審査会(ADR)に無料で申立てできます。因果関係不存在などを主張し、それでも解決しなければ訴訟へ移行します。
まず解除理由(告知義務違反・危険増加・重大事由のどれか)を特定し、今回の傷病がその原因と医学的に無関係かを主治医に確認します。因果関係不存在なら 88 条 2 項但書で給付を請求できます。
権利を行使できる時から 3 年で時効消滅します(保険法 95 条)。解除を争っている間も時効は進むため、内容証明郵便などで完成猶予措置をとる必要があります。
告知義務違反による解除権は、解除原因を知った時から 1 か月、契約締結時から 5 年で消滅します(保険法 84 条の除斥期間)。通知の日付を確認しましょう。
因果関係不存在の立証責任の所在は実務上解釈が分かれます。契約者側でも主治医の意見書など医学的資料を積極的に準備しておくのが安全です。
通知義務がある危険増加を告げないと 85 条で解除される場合があります。ただし 88 条 2 項 2 号の但書で、その危険と無関係なケガの給付は守られます。
保険法は契約者と保険会社の権利義務を定める契約法で主管は法務省、保険業法は保険会社の免許・監督を定める業規制で主管は金融庁です。88 条は保険法(契約法)の規定です。
いいえ。保険法88条2項1号の但書により、あなたが告知しなかった事実と因果関係のない傷害・疾病については、解除されても保険会社は支払いを拒めません。高血圧の告知漏れで解除されても、無関係な骨折の治療費は請求できます。業界裏話ヒント: 保険会社の不払い通知には、この因果関係の但書の検討結果が書かれていないことがほとんど。「解除しました」の一文で諦める人が大半だが、通知に但書の判断が示されていなければ、そこを突くと支払審査が動き出す
なりません。88条1項が「将来に向かってのみ」効力を生じると定めており、解除前に契約が有効だった期間は消えません。だから解除前に発生した給付事由は、2項の免責に該当しない限り支払対象です。業界裏話ヒント: 民法545条の一般原則では契約解除は遡及効(最初からなかった扱い)ですが、保険はこれを意図的に修正している。だから既払保険料が全額戻るわけではない一方、過去の正当な給付は守られる。解除は没収ではない
重大事由解除(保険法86条)は、保険金詐欺の企てや信頼関係の破壊など、契約を続けられない重大な背信行為が理由です。88条2項3号により、重大事由が生じた時から解除までに発生した給付事由が免責されます。業界裏話ヒント: 「いつ重大事由が生じたか」の時点認定がすべてを左右する。その時点より前に発生した給付事由は原則として守られるので、保険会社が主張する重大事由の発生時期が本当に正しいのか、時系列を精査する価値がある
そのケガが「危険増加の原因」と因果関係があるかで決まります。保険法88条2項2号の但書により、告げなかった危険増加と無関係なケガは、85条で解除されても支払対象です。業界裏話ヒント: 例えばスカイダイビングを黙っていても、自宅の階段で転んだケガはスカイダイビングと無関係。危険増加解除が免責できるのは「その危険が現実化した事故」だけで、生活上の別の事故まで巻き込むことはできない
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 保険法 88 条:解除の効力(将来効)と免責範囲・因果関係不存在特則 | — |
| 免責の基準時 | 解除原因ごとに 88 条 2 項各号が定める(解除時まで/危険増加時から解除時まで/重大事由発生時から解除時まで) | — |
| 因果関係の扱い | 隠した事実・危険増加の原因と因果関係のない傷病は但書で免責されない | — |
| 権利行使の期限 | 給付請求権は 3 年で時効(保険法 95 条) | — |
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