要点保険法 85 条は、傷害疾病定額保険で契約後に危険増加が生じた場合、約款の通知義務違反が故意または重大な過失によるときに限り、保険者に契約の解除権を認める規定である。
Q · 契約の途中で危ない仕事に変わったら、保険は自動的に解除されるの?
通知義務違反が故意・重過失のときだけ解除できます
保険法 85 条により、傷害疾病定額保険で契約後に危険増加が生じても、保険者が解除できるのは、①約款に遅滞なき通知義務が定められ、②保険契約者または被保険者が故意または重大な過失で通知を怠った、という二要件を満たす場合に限られます。単なる失念(軽過失)では解除できません。保険料を変更すれば契約を継続できる場合でも解除は可能ですが、解除権は保険者が原因を知った時から一か月、危険増加が生じた時から五年で消滅します。
転職した。事務職から建設現場の高所作業へ。保険会社には言っていない。三年後、現場で足場から落ちて骨折し、傷害保険を請求したとき、はじめてその一行が牙を剥く。保険法 85 条は、契約後に「危険増加」(告知した事項の危険度が上がり、今払っている保険料では足りない状態)が生じたとき、保険者に解除権を与える。だがあなたが握るべきは、その解除には二つの関門があるという事実だ。第一に、約款に「変更が生じたら遅滞なく通知せよ」と書かれていること。第二に、あなたが故意または重大な過失で通知しなかったこと。この二つが揃わなければ、保険者は解除できない。単なるうっかり(軽過失)では切れないのだ。そして保険料を上げれば契約を続けられる場合ですら、法は解除を認める。この非情さの裏返しとして、解除権には期限がある。保険者が事情を知った時から一か月、危険増加が生じた時から五年。この時計は、あなたのために回っている。
保険法 85 条は、傷害疾病定額保険契約における危険増加解除を定める規定である。危険増加とは、告知事項の危険が高まり、現行の保険料が当該危険を基礎に算出される保険料に不足する状態を指す。解除には、約款上の遅滞なき通知義務の定めと、保険契約者または被保険者の故意または重大な過失による通知懈怠という二要件を要し、解除権は一定期間の経過により消滅する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
告知事項の危険が高まり、現行の保険料では不足する状態をいいます(保険法 85 条 1 項)。単に危険が上がるだけでなく、保険料計算の基礎が崩れる点が要件です。
保険者が解除の原因を知った時から一か月、また危険増加が生じた時から五年で消滅します(85 条 2 項が準用する 84 条 4 項)。期間経過後の解除通知は効力がありません。
傷害や疾病を原因として、あらかじめ定めた一定額を支払う保険です。実損填補型ではなく定額給付型で、傷害保険や医療保険の多くがこれに当たります。
85 条は保険料の基礎が崩れる危険増加を対象とし、86 条は保険金詐取目的や信頼関係破壊など重大事由を対象とします。要件も効果も別個の解除制度です。
解除自体は将来効です(保険法 87 条)が、給付責任は危険増加が生じた時点まで遡って否定されます(88 条 2 項 2 号)。この二段構えが誤解されがちです。
あります。生命保険契約は保険法 56 条、損害保険契約は 29 条が対応します。85 条は傷害疾病定額保険についての規定です。
まず約款に通知義務条項があるかを確認し、次に保険者がいつ危険増加を知ったかを書面で照会します。知った時から一か月経過していれば解除権は消滅しています。
されます。85 条は「保険料を変更すれば契約を継続できるときであっても」解除できると明記しています。値上げで済むという期待は条文で否定されています。
まず自分の約款に通知条項があるかを見る。あれば遅滞なく通知する。なければ、危険増加を理由とする解除はできない(保険法 85 条 1 項 1 号)。傷害保険の多くは職業級別で保険料が決まるため、通知条項はほぼ確実に入っている。業界裏話ヒント:通知すると保険料は上がるが、契約は原則として継続する。黙っていれば数千円が浮く代わりに、事故時の数百万円が飛ぶ。この非対称を保険会社は説明しないし、聞かれない限り催促もしない
切れない。保険法 85 条 1 項 2 号は「故意又は重大な過失により」通知しなかったことを解除の要件にしている。単なる失念(軽過失)では解除権は発生しない。業界裏話ヒント:保険会社の解除通知は、この重過失の有無を丁寧に立証してから出されるわけではない。まず出して、争ってこない人は放置する。重過失かどうかは最終的に裁判所が判断する事実問題であり、争えば覆る余地は実際にある
出る場合がある。保険法 88 条 2 項 2 号は、危険増加が生じた時から解除までに起きた事故の給付責任を否定するが、ただし書で「危険増加をもたらした事由に基づかずに発生した保険事故」を除外している。高所作業に転職した人が休日に自宅の階段で転倒した怪我は、原則として給付対象だ。業界裏話ヒント:解除を認めた途端に全額諦める請求者が非常に多い。因果関係を切り離す主張は、解除の有効性を争うより勝率が高いことがある
保険法 85 条 1 項は通知義務者を「保険契約者又は被保険者」としており、団体保険では契約者は会社である。会社の故意・重過失が認定されれば保険者は解除できるが、給付を失うのは被保険者本人だ。業界裏話ヒント:この場合、被保険者は会社に対して債務不履行または不法行為(民法 415 条、709 条)で損害賠償を求める余地がある。保険会社を相手に争って敗れた後でも、この第二の請求先は残っている
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 解除の原因 | 保険法 85 条:契約後の危険増加+約款通知義務違反(故意・重過失) | — |
| 着目する時点 | 契約締結後に生じた環境変化 | — |
| 給付責任と因果関係 | 危険増加時まで遡って否定、ただし無関係な事故は給付(88 条 2 項 2 号) | — |
| 解除権の消滅 | 知った時から一か月・危険増加から五年(84 条 4 項準用) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。