要点健康保険法 44 条は、通常の方法で報酬月額を算定できないときや、算定額が著しく不当なときに、保険者等が別の額を報酬月額とできると定める。年間平均による算定の根拠となる。
Q · 4月から6月の給与がたまたま高かっただけで、保険料が1年間高いままになるんですか?
実態とずれるなら年間平均で算定し直せる制度がある
健康保険法 44 条 1 項により、41 条から 43 条の 2 の規定で算定した報酬月額が著しく不当であると保険者等が認めるときは、別に算定した額を報酬月額とすることができます。これが実務でいう保険者算定で、業務の性質上例年 4 月から 6 月に報酬が偏る場合の年間平均による算定もこの規定を根拠とします。ただし自動では適用されず、事業主の申立書と被保険者本人の同意書を算定基礎届と同時に提出する必要があります。
毎年4月から6月に受け取った給与が、その年の9月から翌年8月までのあなたの健康保険料と厚生年金保険料を決めている。ここまでは知っている人も多い。問題はその先だ。41条の定時決定は3か月の平均という機械的な計算しかしない。だから4月に3月分の遅配分がまとめて振り込まれた人も、たまたま4月から6月だけが繁忙期だった人も、実態より高い等級に1年間固定される。44条は、その結果が「著しく不当」なとき、保険者が別の額で算定してよいと定める。実務でいう保険者算定であり、年間平均による算定はここを根拠にしている。ただし自動では動かない。事業主が出す申立書と、あなた自身の同意書が要る。誰も出さなければ、ずれたままの保険料を12か月払い続けることになる。
健康保険法 44 条は報酬月額算定の特例を定める規定であり、定時決定や随時改定等による算定が困難な場合、または算定額が著しく不当な場合に、保険者等が算定する額を報酬月額とすることを認める。健康保険組合が行う場合は算定方法を規約で定める必要があり、二以上の事業所で報酬を受ける者は各事業所の額を合算する。
健康保険法 44 条を根拠に、通常の計算方法では実態と合わない場合に、保険者等が別の方法で報酬月額を算定する仕組みです。年間平均による算定はその代表例です。
定時決定で決まった標準報酬月額は、その年の 9 月から翌年 8 月まで適用されます。途中で随時改定や保険者算定が入らない限り、12 か月固定です。
毎年 7 月 1 日から 10 日までが提出期間です。年間平均による保険者算定を使いたい場合も、申立書をこの届出と同時に出すのが原則です。
算定基礎届に加えて、事業主が作成する申立書と、被保険者本人の同意書が必要です。例年同時期に報酬が偏ることを示す複数年分の実績資料も添えます。
使えますが、健康保険法 44 条 2 項により、保険者が健康保険組合の場合は算定方法を規約で定める必要があります。規約に定めがなければ適用できません。
還付を受ける権利は 2 年で時効消滅します(健康保険法 193 条)。誤った等級に気付いても、2 年より前の期間の払い過ぎ分は戻りません。
産前産後休業終了時改定(43 条の 2)や育児休業等終了時改定により、復帰後の報酬に合わせて改定できます。その算定が困難な場合は 44 条の対象になります。
変わります。厚生年金の報酬比例部分は標準報酬月額の記録から計算されるため、等級を下げれば毎月の保険料は減りますが、将来の受給額も減ります。
可能性はある。健康保険法44条1項を根拠とする年間平均による算定は、前年7月から当年6月の平均で出した等級と、通常の4月から6月平均の等級に2等級以上の差があり、その差が業務の性質上例年発生している場合に使える。事業主の申立書と本人の同意書を算定基礎届と同時に出す。業界裏話ヒント:「今年はたまたま忙しかった」は対象外だ。要件は例年発生することなので、去年も一昨年も同じ時期に繁忙だった記録が残っている方が通りやすい。単発の残業増では通らない(最新の取扱いをご確認ください)
両方の事業所で被保険者資格が生じる場合、44条3項により各事業所で算定した額を合算したものが報酬月額になる。どちらの保険者を選ぶかを届け出て、保険料は各社の報酬額で按分される。届出は事実発生から10日以内が原則。業界裏話ヒント:分岐点は報酬額ではなく、それぞれの会社で被保険者資格が生じるかどうかだ。非常勤で報酬ゼロの役員なら資格自体が生じない。合算されるかどうかは、報酬の大小ではなく資格の有無で決まる
随時改定(43条)は固定的賃金の変動が要件なので、残業減や休職給への切替えでは原則動かない。ただし44条1項の「算定が困難」「著しく不当」に当たるとして、低額の休職給や一時帰休による休業手当のケースでは保険者算定の対象になりうる。業界裏話ヒント:等級を下げると傷病手当金の額(健康保険法99条、支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均が基礎)も連動して下がる。休職の理由が私傷病なら、下げない方が総額で得になる場合がある。先に手当の試算をしてから動く
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 発動する場面 | 44 条:算定が困難、または算定額が著しく不当なとき | — |
| 計算方法 | 保険者等が個別に算定(年間平均による算定など) | — |
| 誰が動かすか | 事業主の申立書+被保険者の同意書が必要(自動適用でない) | — |
| 健康保険組合の制約 | 44 条 2 項により算定方法を規約で定めていなければ使えない | — |
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