要点健康保険法 88 条は、主治医が必要と認めた居宅療養者が指定訪問看護事業者から訪問看護を受けた費用に、訪問看護療養費を支給すると定める。要介護認定は要件ではない。
Q · 要介護認定を受けていないのに、看護師に家へ来てもらうことはできるんですか?
要介護認定がなくても、主治医の指示書があれば訪問看護は健康保険で受けられる
健康保険法 88 条により、疾病または負傷で居宅療養中の被保険者は、主治医が厚生労働省令の基準に適合すると認めれば、指定訪問看護事業者から訪問看護を受け、その費用について訪問看護療養費が支給されます。年齢や要介護認定は要件ではなく、0 歳でも 40 歳未満でも対象です。自己負担は 4 項により 74 条の割合(原則 3 割、義務教育就学前 2 割、70 歳以上は所得に応じ 2 割または 1 割)で、6 項の代理受領があるため、窓口で支払うのは最初からその割合分だけです。
退院の日、主治医から「自宅で点滴の管理が必要ですね」と言われたとする。多くの人はここで、看護師が家に来るサービスは介護保険のもので、要介護認定を受けていない自分には縁がないと思い込む。それが最大の取りこぼしだ。健康保険法 88 条は、要介護認定とは無関係に、健康保険から訪問看護の費用を給付する仕組みを定めている。がん末期、難病、精神疾患、人工呼吸器の管理、褥瘡の処置。主治医が「訪問看護指示書」を出しさえすれば、あなたは 0 歳児でも 40 歳未満でも、自宅で看護師の医療処置を受けられる。しかも 4 項の計算式により、自己負担は 74 条の割合、つまり原則 3 割(義務教育就学前は 2 割、70 歳以上は所得に応じ 2 割または 1 割)に抑えられる。6 項の代理受領があるから、あなたが窓口で払うのは最初からその 3 割だけ。全額を立て替えて後で請求する必要はない。この条文を知らない家族は、自費のヘルパーを月十数万円で雇い続ける。
健康保険法 88 条は訪問看護療養費を定める規定であり、疾病または負傷により居宅で継続して療養を受ける状態にある被保険者が、指定訪問看護事業者から居宅において看護師等による療養上の世話または必要な診療の補助を受けた場合に、その費用を保険給付として支給する旨を規定する。指定訪問看護は 63 条 1 項の療養の給付には含まれない(12 項)。
健康保険法 88 条に基づく保険給付で、居宅療養中の被保険者が指定訪問看護事業者から看護師等の訪問看護を受けた費用を、健康保険が負担する仕組みです。介護保険とは別ルートです。
主治医に交付を依頼します。88 条 1 項括弧書きは、主治医が省令の基準に適合すると認めた者に限ると定めており、この指示書が給付の唯一の入口です。退院前に依頼するのが実務上の要点です。
年齢制限はありません。88 条は要介護認定も年齢も要件としていないため、0 歳児でも 40 歳未満の現役世代でも、主治医の指示があれば健康保険で訪問看護を受けられます。
急性増悪などで頻回の訪問看護が必要な場合に主治医が交付する指示書です。交付期間は原則 14 日間で、この間は介護保険ではなく医療保険の訪問看護に切り替わり、回数制限も緩みます。
使えません。12 項は指定訪問看護を 63 条 1 項の療養の給付に含まれないものとし、1 項も保険医療機関等・介護老人保健施設・介護医療院によるものを除いています。入退院日をまたぐ日程設計に注意が必要です。
精神科医の指示による精神科訪問看護は 88 条の指定訪問看護に含まれ、医療保険から給付されます。要介護認定も年齢も問わないため、通院が途切れがちな人の在宅支援の入口になります。
対象です。訪問看護療養費の自己負担も 115 条の高額療養費の算定に含まれます。4 項は 75 条の 2 の一部負担金の減免・猶予措置が採られるべき場合の調整も組み込んでいます。
健康保険法 193 条により、療養を受けた日の翌日から 2 年で時効消滅します。6 項の代理受領で受けている限り自ら請求する場面はなく、自費で立て替えた場合にこの 2 年が効いてきます。
利用者から見ればどちらも看護師が自宅に来る点は同じだが、財布と上限が違う。介護保険は要介護認定と支給限度額の枠内で、他のサービスと枠を食い合う。健康保険 88 条は年齢も認定も問わず、限度額の枠外だ。業界裏話ヒント:末期がん、厚生労働大臣が定める疾病等(ALS、多発性硬化症など)、急性増悪時、精神科訪問看護は、要介護認定があっても医療保険が優先される。この優先ルールを把握していないケアマネジャーも実在するので、主治医に直接確認するのが早い
医療保険の訪問看護は原則として週 3 回まで、1 日 1 回、1 か所の事業所からが基本だ。ただし厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合や、特別訪問看護指示書が出ている期間(原則 14 日)は、この制限が外れて毎日でも複数事業所でも入れる。業界裏話ヒント:「週 3 回まで」で説明が止まる窓口が多いが、外れる類型を知っているかどうかが分岐点。褥瘡が悪化した、退院直後で状態が不安定、といった局面で主治医に特別訪問看護指示書を求める発想があるかどうかで、在宅の維持可否が変わる
3 項は「自己の選定する指定訪問看護事業者から」と明記しており、選択権は利用者側にある。24 時間対応体制の有無、緊急時訪問、看取りの実績、精神科・小児対応の可否は事業所ごとに大きく違う。業界裏話ヒント:夜間の急変時に電話が繋がるかどうかで、在宅療養が続くか救急搬送で終わるかが決まる。契約前に「夜間の連絡先は携帯か、コールセンターか、実際に看護師が来るのか」を具体的に聞く。ここで言葉を濁す事業所は、実質的に日中のみの体制と考えてよい
6 項の代理受領により、保険者が残り 7 割相当を事業者へ直接支払う仕組みになっている。7 項でそれが被保険者への支給とみなされるため、あなたが立て替えて後から請求する手間は生じない。業界裏話ヒント:この現物給付方式が働くのは指定訪問看護事業者から受けた場合だけ。指定を受けていない事業者や、自費のサービスを混ぜて契約すると、その部分は 10 割自己負担になる。契約書に「保険適用外」と書かれた行がないか、署名前に確認する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 給付の性質 | 88 条:居宅での指定訪問看護に要した費用の給付(6 項の代理受領で現物給付化) | — |
| 入口の要件 | 主治医が省令基準に適合と認定(1 項)+保険者の必要性認定(2 項)+指定訪問看護事業者(1 項) | — |
| 自己負担 | 4 項:74 条 1 項の割合を控除した額を保険が給付(原則 3 割負担、75 条の 2 の措置があれば調整) | — |
| 重複給付の遮断 | 12 項:63 条 1 項の療養に含まれない。入院中・介護老人保健施設等入所中は不支給 | — |
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