労働基準法 第13条(この法律違反の契約)
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この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
この条文の基本情報
この法律違反の契約とは何ですか?
定義この法律違反の契約とは、労働基準法第13条に定められた規定で、「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働基準法第13条(この法律違反の契約)は、日本の労働基準法に含まれる条文です。
- 労働基準法第13条の条文原文は「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。」で始まります。
- 労働基準法第13条は第二章 労働契約に置かれています。
- 労働基準法の公布日は昭和22年4月7日です。
- 労働基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 労働基準法第13条の前の条は労働基準法第12条です。
- 労働基準法第13条の次の条は労働基準法第14条です。
- 労働基準法第13条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第13条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 - 本サイト収録
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第13条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000049/13
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働基準法13条は、法定基準に達しない労働条件を無効とし、無効部分を同法の基準で補充する。労働者の同意があっても基準以下の合意は効力を持たない。
Q · 契約書にサインした残業代や時給が法律の最低基準より低かったら、もう諦めるしかないの?
いいえ、基準以下の部分は無効で法定基準に置き換わります
労働基準法13条により、法律の定める最低基準に達しない労働条件は、契約書にサインしていても、その部分が無効になります(強行的効力)。さらに無効になった部分には法定基準が自動的に適用されるため(直律的効力)、再交渉せずに法定基準どおりの賃金や労働条件を請求できます。最低賃金や残業代の割増、年次有給などが基準を下回っていれば、差額をさかのぼって請求可能です。
解説
ブラック企業の入社契約書に、残業代の固定額が低く書かれている。最低賃金を下回る時給で「これで合意したよね」と念押しされる。有給は「うちにはない」と言われる。多くの人はサインした以上、自分が同意した以上、もう縛られると思い込む。労働基準法13条は、その思い込みを根こそぎ覆す。法律の定める基準に達しない労働条件を定めた部分は、そもそも無効になる。それだけではない。無効になった空白には、法律の基準が自動的に流れ込んで穴を埋める。あなたが交渉する必要も、合意し直す必要もない。契約書に何が書いてあろうと、最低基準を下回る部分は最初から存在しなかったことになり、法定基準にすり替わる。これを直律的効力と呼ぶ。さらに重要なのは片面性だ。法律を上回る好条件の合意は有効なまま残る。つまり、この条文はあなたを守る方向にだけ働く一方通行の盾である。
法的な位置づけ
労働基準法13条は、同法の定める最低基準に達しない労働条件を定めた労働契約の当該部分を無効とし(強行的効力)、無効となった部分を同法の基準で置き換える(直律的効力)規定である。基準を上回る合意は有効に存続する片面的強行性を有する。
手順
- 1.証拠を確保する 労働契約書、就業規則、給与明細、タイムカードやシフト記録、求人票のスクショを集める。退職前後を問わず、原本またはコピー・撮影で確保しておく
- 2.自分の労働条件を法定基準と照合する 最低賃金、残業の割増計算(労基法37条)、年次有給、休憩時間を一項目ずつ法定基準と突き合わせ、下回る項目を特定する
- 3.差額を月ごとに計算する 下回る部分は13条で無効、法定基準に置き換わる。法定基準で再計算した賃金から実支払額を差し引き、月ごとに差額を算出する
- 4.会社へ請求し、応じなければ公的手続へ まず内容証明郵便で是正と差額支払いを請求。応じなければ労働基準監督署への申告、労働審判または少額訴訟へ進む。付加金(労基法114条)を上乗せできる場合もある
よくある質問 AI による整理
Q1強行的効力とは何ですか?
当事者の合意があっても、法律の基準を下回る労働条件をその部分について無効にする効力です。労働基準法13条前段が根拠で、サインの有無に関係なく無効になります。
Q2直律的効力とは何ですか?
無効になった部分に法律の基準が自動的に充填される効力です。労働基準法13条後段が根拠で、労働者は法定基準を改めて合意し直さなくても請求できます。
Q3労働基準法13条で無効になるのはどの部分ですか?
契約全体ではなく、最低基準を下回る条項だけが部分的に無効になります。残りの有効な部分や、基準を上回る好条件はそのまま存続します。
Q4未払い賃金の時効は何年ですか?
賃金請求権の消滅時効は当面3年です(労基法115条、2020年改正の経過措置。本則は5年、退職金は5年)。各賃金の支払日ごとに起算します。
Q5付加金とは何ですか?
割増賃金などの未払いに対し、裁判所が未払額と同額を上限に支払いを命じることができる制裁的な金銭です(労基法114条)。実質的に倍額請求できる場合があります。
Q6労働条件が法律を上回る場合はどうなりますか?
13条は片面的に働くため、法定基準を上回る好条件の合意は有効なまま残ります。下回る合意だけが無効化され、有利な特約は守られます。
Q7労働基準法違反の罰則はありますか?
条文ごとに罰則が定められ、最低賃金割れや割増賃金の不払いには罰金や懲役が科される場合があります。労基署の是正勧告や付加金の対象にもなります。
Q8未払い賃金はどこに相談すればいいですか?
まず会社へ内容証明郵便で請求し、応じなければ労働基準監督署への申告、労働審判、少額訴訟などの手段があります。証拠を確保してから動くのが定石です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1契約書にサインしちゃったんですけど、もう諦めるしかないですよね?
諦める必要はありません。労基法13条により、法定基準を下回る部分はサインの有無に関係なく無効で、その部分は自動的に法律の基準に置き換わります。あなたの同意は無効な条項を有効化しません。実務のポイント:会社側は交渉で必ず「合意したじゃないか」と言ってきますが、これは13条で完全に崩せます。労務に詳しい担当者ほど、この条文を出された瞬間に態度を軟化させる。知っているかどうかで、同じ未払いでも回収できる人とできない人に分かれる
Q2最低賃金より低い時給で働いてたけど、自分から納得して始めたのでダメですよね?
あなたの納得は関係ありません。最低賃金を下回る合意は労基法13条と最低賃金法4条で無効になり、最低賃金額が契約に直接適用されます。差額を請求できます。実務のポイント:これは「片面的強行性」と呼ばれ、あなたを下に引っ張る合意だけが無効になります。逆に、最低賃金を上回る好条件の特約は有効なまま残る。だから自分に有利な約束まで一緒に諦めてはいけない。下回る部分だけを切り捨てて、有利な部分は主張するのが正しい立ち回り
Q3残業代が月いくらと固定で決められていて、いくら残業しても増えないと言われました。これは合法ですか?
固定残業代(みなし残業)自体は適法ですが、固定額が実際の法定割増賃金(労基法37条)を下回った月は、その差額部分が13条で無効になり、法定額が適用されます。差額を請求できます。実務のポイント:固定残業代が有効とされるには、通常賃金と割増部分が明確に区分され、固定額を超えた分を別途支払う運用が前提です。この区分が曖昧な契約は、固定額の定め全体が無効と判断された裁判例もある。給与明細の手当の内訳が割増と区分されているか、まずそこを確認する
間違えやすい点 AI による整理
- 「契約書にサインした以上、その条件に縛られる」と誰もが思っている。だが13条はその逆を定める。最低基準を下回る部分は、あなたの同意があっても無効。サインは無効な条項を有効にする魔法ではない。あなたが立てた「サインしたからもう無理」という問いそのものが間違っている
- 「無効になったら、その条件は空白のまま宙に浮く」と考えがちだが、ここに13条の本当の威力がある。無効になった部分には法律の基準が自動的に充填される(直律的効力)。あなたは法定基準を勝ち取る交渉をする必要すらない。最初からそこにあるものとして請求できる
- 13条は労使双方を平等に縛ると思われているが、実際は片面的にしか働かない。法律を上回る好条件の合意は有効なまま残る。つまりこの条文は、あなたを下に引きずる合意だけを破壊し、上に持ち上げる合意は守る。一方通行の保護であることを知らないと、自分に有利な特約まで諦めてしまう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 労働契約 vs 法定基準(労基法13条) | 就業規則 vs 法令・労働協約(労基法92条) 労働契約 vs 就業規則(労働契約法12条) |
| 効果 | 基準以下の部分を無効化し、法定基準を自動充填(直律的効力) | 法令に反する就業規則の効力を否定 就業規則の基準に達しない労働契約を無効化し、就業規則基準を充填 |
| 片面性 | あり:基準を上回る合意は有効に存続 | —(上位規範性の問題) あり:就業規則を上回る労働契約は有効に存続 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も強制規定に違反する労働契約を無効とする。日本13条の「無効部分を法定基準で補充」する直律的効力に相当する明文も運用上認められる
韓国は日本13条とほぼ同文で、基準未達の近労契約をその部分につき無効とし、無効部分を法定基準によると定める。継受関係が最も明確
ドイツは強行的労働者保護規範を労働者の不利には放棄できないとし(Günstigkeitsprinzip)、有利な合意のみ許す片面的強行性が日本と共通
米国は最低賃金・割増賃金の権利を労働者が放棄できないとし、私的合意による減免を認めない点で機能的に類似(Barrentine 判決等)
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし入社時の契約書に「残業代は月2万円の固定、超過分は支払わない」と書いてあったら、どうなる? その固定額が法定の割増計算(労基法37条)を下回る部分は無効。あなたは実際の残業時間で計算した差額を、契約の文言を無視して請求できる。会社が後から「合意済みだ」と言っても、その合意自体が無効
- あなたが小さな会社を経営する側で、人を雇うとき「うちは薄利だから時給は最低賃金より少し下で」と本人も納得して契約した。だが13条と最低賃金法4条により、その合意は無効。後から差額と付加金を請求され、労基署の是正勧告も来る。本人の同意は防波堤にならない
- 求人票には「月給25万円」とあったのに、入社後の契約書では各種手当を引いて実質的に最低賃金割れ。あなたが気付いたのは半年後の給与明細だった。過去にさかのぼって差額を取り戻せる
- 退職を決めたあなたに残された時間は、思っているより長い。賃金請求権の時効は当面3年。在職中に言い出せなかった未払い分も、辞めてから一括で請求できる。ただし古い月の分から順に時効で消えていくので、動き出すなら早いほどいい
取るべき行動
被害を受けた側:1. 証拠を確保する。労働契約書、就業規則、給与明細、タイムカードやシフト記録、求人票のスクショ。2. 自分の労働条件を法定基準と一項目ずつ照合する。最低賃金、残業の割増計算(労基法37条)、年次有給、休憩時間。下回る項目を特定する。3. 下回る部分は13条で無効、法定基準に置き換わる。差額を月ごとに計算する。4. まず会社に内容証明郵便で是正と差額支払いを請求。応じなければ労働基準監督署に申告、または労働審判・少額訴訟へ。付加金(労基法114条)を上乗せできる場合もある
訴えられた側:1. 雇用主側で「本人が同意した」を理由に最低基準割れを正当化するのは不可能。13条で同意ごと無効になると認識する。2. 全従業員の契約書と就業規則を法定基準と照合し、下回る条項を洗い出す。3. 自主的に是正して差額を遡及精算する方が、労基署の是正勧告や付加金、刑事罰(労基法120条)を待つより安く済む。4. 固定残業代を使うなら、固定額が法定割増を常に上回る設計に組み直し、超過分の別途精算条項を明記する
時効(請求できる期限):賃金請求権の消滅時効は当面3年(労基法115条、2020年4月改正。本則は5年だが経過措置で当面3年。退職金は5年)。起算点は各賃金の支払日ごと。古い月の分から順に時効で消えるため、未払いに気付いたら早期に着手すること(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:労基法13条前段は強行的効力、後段は直律的効力を定めるとするのが通説。基準を下回る合意は当事者の意思に関わらず無効となり、無効部分には法定基準が当然に適用される。さらに基準を上回る合意は有効に存続する片面的強行性を有すると解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 制定:労働基準法の制定(昭和22年法律第49号)に伴い、最低基準を下回る労働契約の強行的・直律的効力を明文化。条文自体は制定以来、実質的内容に大きな変更はない。
- 労働基準法 第1条労働条件は人たるに値する生活を営む必要を充たすべきとの原則
- 労働基準法 第2条労働条件は労使対等の立場で決定するとの原則
- 労働基準法 第92条就業規則は法令に反してはならないとする上位規範性
- 労働契約法 第12条就業規則の最低基準効、本条と同型の直律的効力を就業規則に適用
- 最低賃金法 第4条最低賃金を下回る定めの無効と最低賃金額への置換
- 民法 第90条公序良俗違反による無効、一部無効の一般法理に対する労働法上の特則
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