受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年9月5日読了 7 分7 分7 分

労働基準法 第92条(法令及び労働協約との関係)

クイックジャンプ
  1. 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
  2. 2.行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。

この条文の基本情報

法令及び労働協約との関係とは何ですか?

定義法令及び労働協約との関係とは、労働基準法第92条に定められた規定で、「就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 労働基準法第92条(法令及び労働協約との関係)は、日本の労働基準法に含まれる条文です。
  2. 労働基準法第92条の条文原文は「就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。」で始まります。
  3. 労働基準法第92条は第九章に置かれています。
  4. 労働基準法の公布日は昭和22年4月7日です。
  5. 労働基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
  6. 労働基準法第92条の前の条は労働基準法第91条です。
  7. 労働基準法第92条の次の条は労働基準法第93条です。
  8. 労働基準法第92条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第92条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
  • 本サイト収録労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第92条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000049/92
裁判例 1件に引用されています

関連度の高い1件を表示しています

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点労働基準法92条は、就業規則が法令と労働協約に反してはならないと定める。反する条項は同意の有無にかかわらず無効で、行政官庁は就業規則の変更を命じることができる。

Q · 就業規則にサインしたら、書いてある条項には全部従わないとダメ?

法令や労働協約に反する条項は同意しても無効です

労働基準法92条1項により、就業規則は法令および当該事業場に適用される労働協約に反してはなりません。反する条項は、あなたが入社時に同意のサインをしていても無効です。無効になった部分は労働契約法12条・13条により、空白ではなく法令や労働協約の基準まで自動的に引き上げられます。さらに2項では、労働基準監督署などの行政官庁が、法令・労働協約に反する就業規則の変更を会社に命じることができます。会社のルールブックの上に、より強い規範が二段重なっている構造です。

解説

会社から渡される分厚い就業規則。そこに書いてあることは絶対だと思い込んでいないだろうか。労働基準法92条はその思い込みを根底から崩す。就業規則は「法令」と「その事業場に適用される労働協約」に反してはならない、と定めている。優先順位は、法律が一番上、次に労働組合が会社と結んだ労働協約、その下にようやく就業規則が来る。あなたが入社時に「同意します」とサインした就業規則の条項でも、残業代を法律より低く設定していたり、労働協約で約束された手当を削っていたりすれば、その部分は最初から無効だ。さらに2項では、行政官庁(労働基準監督署など、役所が会社に直接出す指示)が、法令や労働協約に反する就業規則の変更を会社に命令できる。あなたの同意の有無は関係ない。会社のルールブックの上に、もっと強いルールが二段重なっている。

法的な位置づけ

労働基準法92条は就業規則の効力の限界を定める規定であり、就業規則は法令および当該事業場に適用される労働協約に反してはならず、これに反する部分は無効となる旨を規定する。さらに行政官庁は、法令または労働協約に牴触する就業規則の変更を使用者に命ずることができる。就業規則を法令と労働協約という上位規範の枠内に位置づける条文である。

手順

  1. 1.不利な就業規則条項を特定して上位規範と照合 不利だと感じた条項を抜き出し、対応する法令(残業・有給・退職などの労基法規定)と、その事業場に適用される労働協約と一つずつ照合する。どちらかに反していれば、その条項は労基法92条1項で無効になる
  2. 2.無効部分の正しい基準を確認して差額を計算 無効になった部分は労働契約法12条・13条により法令・労働協約の基準まで引き上げられる。残業代や手当の差額を、正しい基準で過去にさかのぼって計算する。賃金請求権の時効は当面3年(労基法115条)
  3. 3.会社へ書面で請求・是正を申し入れる 『当該条項は労働基準法92条に反するため無効と考える』旨を書面で会社に伝え、差額の支払いや条項の是正を求める。書面で残すことで後の証拠になり、人事に対する最初のジャブとして効く
  4. 4.応じなければ労働基準監督署へ申告 会社が応じない場合、労働基準監督署に申告する。92条2項により行政官庁は就業規則の変更を命じることができる。申告を理由とする不利益取扱いは労基法104条2項で禁止されており、匿名相談も可能

よくある質問 AI による整理

Q1就業規則とは何ですか?

使用者が職場の労働条件や服務規律を一律に定めた職場のルールブックです。常時10人以上を使用する事業場では作成・届出義務があり(労基法89条)、その効力は労基法92条で法令・労働協約の枠内に限定されます。

Q2就業規則と労働協約はどちらが優先しますか?

労働協約が優先します。労基法92条1項により就業規則は労働協約に反してはならず、反する部分は無効です。優先順位は法令、労働協約、就業規則、個別労働契約の順になります。

Q3就業規則が法律に違反するとどうなりますか?

違反する条項は無効です(労基法92条1項)。無効になった部分は労働契約法12条・13条により、空白になるのではなく法令や労働協約の基準まで引き上げられ、労働者に有利な水準に置き換わります。

Q4就業規則の変更命令とは何ですか?

労基法92条2項に基づき、行政官庁(労働基準監督署など)が、法令や労働協約に反する就業規則を変更するよう会社に命じる行政処分です。無視すると是正勧告、さらに送検に至る可能性があります。

Q5就業規則が無効なら残業代の差額は請求できますか?

請求できます。残業代を法定より低く定めた条項は無効となり、法定基準で計算した差額をさかのぼって請求できます。賃金請求権の消滅時効は労基法115条により当面3年です(支払日が起算点)。

Q6就業規則は何人以上の会社で作成義務がありますか?

常時10人以上の労働者を使用する事業場で作成・届出義務があります(労基法89条)。10人未満でも任意に作成でき、作成した場合は労基法92条の効力制限が同様に及びます。

Q7就業規則と個別の労働契約はどちらが強いですか?

原則は就業規則が下限です。労働契約が就業規則を下回る部分は労契法12条で無効となり就業規則の水準に引き上げられますが、就業規則を上回る有利な個別契約はそのまま有効です。

Q8ブラック企業の独自ルールは違法ですか?

固定残業代での青天井労働、有給を取らせない運用などが就業規則に書かれていても、法令に反すれば労基法92条1項で無効です。多くの『会社のルール』は法的根拠が弱く、労基署へ申告できます。

この条文についての質問 AI による整理

Q1就業規則に同意のサインをしてしまったんですが、もう不利な条項に従うしかないですか?

従う必要はありません。労基法92条1項により、法令や労働協約に反する就業規則の条項は、あなたが同意していても無効です。無効になった部分は労働契約法12条で法律・協約の基準まで引き上げられます。実務のポイント:会社は「同意書にサインしただろう」と迫ってきますが、サインは無効な条項を有効にはできません。むしろ会社が同意を盾にしてくる時点で、その条項の法的根拠が弱い可能性が高い。サインの有無に怯まず、条項そのものが法律に反していないかを先に確認する

Q2労働組合に入っていないんですが、労働協約は自分にも関係ありますか?

関係する場合があります。その事業場の同種労働者の4分の3以上が同じ労働協約の適用を受けると、組合員でないあなたにも協約が拡張適用されることがあります(労働組合法17条、一般的拘束力)。そして92条により就業規則はその協約に反せません。実務のポイント:多くの人は「組合員じゃないから協約は無関係」と思っていますが、4分の3要件を満たせば非組合員も協約の恩恵を受ける。自社に労働協約があるか、その適用範囲はどうかを一度確認する価値があります

Q3うちの就業規則、明らかに違法っぽいんですが、どこに言えばいいですか?

労働基準監督署に申告できます。92条2項により、行政官庁は法令や労働協約に反する就業規則の変更を会社に命令できます。申告すれば監督署が調査し、必要なら是正指導や変更命令を出します。実務のポイント:申告したことを理由に会社が不利益な扱いをするのは労基法104条2項で禁止されています。匿名での情報提供も受け付けてくれるので、報復が怖い場合は名前を伏せて相談する手もある。まず証拠(就業規則・給与明細)を確保してから動くのが鉄則です

間違えやすい点 AI による整理

  • 「就業規則にサインしたから従うしかない」と思っているが、法令や労働協約に反する条項は、あなたの同意の有無に関係なく無効。あなたのサインは、無効な条項を有効にはできない
  • 就業規則が法律に反すると無効になることは知っていても、その「無効」が及ぶ範囲の深刻さを見落としている。無効になった部分は労働契約法12条により、空白になるのではなく、法律や労働協約の基準まで自動的に引き上げられる。つまりあなたに有利な水準に置き換わる
  • あなたから見れば「会社が決めたルール」だが、法律から見れば「法令と労働協約という上位規範の枠内でしか効力を持たない下位規範」。この落差を知らないまま不利な条項に従い続けると、本来取り戻せたはずの権利を毎月手放すことになる
比較の観点この条文ほかの条文
規律する関係92条:就業規則 vs 法令・労働協約(上位規範との関係)13条:労働契約 vs 法律(労基法を下回る契約の無効)
91条:就業規則の減給制裁の上限(内容の制限)
違反した場合の効果反する就業規則の条項が無効、行政官庁が変更命令可労基法を下回る契約部分が無効、労基法の基準で補充
上限を超える減給条項が無効
無効部分の埋め方労契法12条・13条で法令・労働協約の基準まで引上げ労基法13条後段でこの法律の基準による
労基法91条の上限(1回半日分・総額1割)で頭打ち

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
労働基準法(台湾)第71条

工作規則が法令の強行規定・禁止規定または当該事業に適用される団体協約に反する場合は無効とする点で日本とほぼ同じ規範優先構造を取る

韓国
근로기준법 제96조

就業規則は法令・労働協約に反してはならず、雇用労働部長官が変更を命じうるとする点で日本92条と酷似する

ドイツ
Betriebsverfassungsgesetz § 77 Abs. 3・TVG § 4

労働協約優位(Tarifvorrang)と有利原則(Günstigkeitsprinzip)により、事業所協定は労働協約に劣後する。協約による集団的規律の優位を制度化する

アメリカ
NLRA に基づく collective bargaining agreement

随意雇用(at-will)が原則で法定の就業規則制度はないが、employee handbook は連邦法・州法・労働協約に劣後する点で機能的に類似する

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 就業規則に「退職は3か月前に申し出ること」とあり、会社が「規則違反だから辞めさせない」と引き止めてきた。期間の定めのない雇用なら民法627条で原則2週間前の申出により退職でき、これを大きく超える拘束は効力が制限されうる(実務上、解釈が分かれる部分もある)。あと数日で次の職場の入社日、会社の脅しに無条件で従う必要はない
  • もし、あなたの会社が労働組合と結んだ労働協約で「家族手当は月2万円」と決めているのに、就業規則を書き換えて1万円に下げてきたら? 労働協約に反する就業規則の条項は無効、あなたは協約どおりの2万円を主張できる
  • あなたが小さな会社の社長で、ネットで拾ったテンプレ就業規則をそのまま使っていたとする。そこに法定を下回る年次有給休暇の条項が紛れ込んでいれば、労働基準監督署が2項に基づき変更を命じてくる。命令を無視すれば是正勧告、さらに進めば送検もありうる
  • 残業代の計算方法が就業規則で法律より低く設定されていた。差額は過去にさかのぼって請求できる。就業規則の条項が無効でも、無効になった部分は法律の基準で埋まる
  • 同僚が「うちの就業規則、こんなの違法じゃない?」とあなたに相談してきた。あなたは「法律か労働協約に反していれば、その部分は最初から無効。労基署に申告もできる」と三分で説明できる

取るべき行動

被害を受けた側:1. 不利だと感じた就業規則の条項を特定し、対応する法律(労基法の残業・有給・退職規定など)や、その事業場の労働協約と照らし合わせる2. 反していれば、その部分は92条1項により無効、無効部分は労働契約法12条で法律・協約の基準まで引き上げられる3. 過去分の差額(残業代・手当など)は書面で会社に請求4. 会社が応じなければ労働基準監督署に申告、または労働局のあっせん・労働審判を検討。証拠として就業規則のコピーと給与明細を保管しておく

訴えられた側:1. 自社の就業規則を法令・労働協約と総点検、特にテンプレ流用部分に法定を下回る条項がないか確認2. 違反箇所があれば速やかに改定、労働者に有利な方向の修正なら手続の負担は軽い3. 労働基準監督署から変更命令(2項)が出たら、是正期限内に対応、無視は是正勧告・送検のリスク4. 改定時は労基法90条の意見聴取手続を踏み、89条の届出を忘れない

時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。ただし無効な就業規則に基づき支払われなかった賃金・残業代を取り戻す権利は、労働基準法115条により賃金請求権として3年(将来的に5年へ移行予定、最新の改正状況をご確認ください)、起算点は各賃金の支払日

学説

通説:就業規則が法令または当該事業場に適用される労働協約に反する部分は無効であり、無効となった部分は空白になるのではなく、労働契約法12条・13条を介して法令・労働協約の基準まで引き上げられる、と解されている。就業規則は上位規範の枠内でのみ効力を持つ下位規範である。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.昭和22年(1947年) 新設:労働基準法の制定により就業規則の効力制限規定が置かれ、就業規則は法令・労働協約に反してはならず、行政官庁が変更を命じうる旨が定められた。
  2. 2.平成19年(2007年) 改正:労働契約法の制定に伴い、就業規則と労働契約の関係を定めていた旧93条の規律が労働契約法(12条・13条等)へ移管され、就業規則の効力ルールが整理された。

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

労働基準法の全文を見る所属する編章節を開く:第九章

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›