労働基準法 第91条(制裁規定の制限)
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就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
この条文の基本情報
制裁規定の制限とは何ですか?
定義制裁規定の制限とは、労働基準法第91条に定められた規定で、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働基準法第91条(制裁規定の制限)は、日本の労働基準法に含まれる条文です。
- 労働基準法第91条の条文原文は「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を…」で始まります。
- 労働基準法第91条は第九章に置かれています。
- 労働基準法の公布日は昭和22年4月7日です。
- 労働基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 労働基準法第91条の前の条は労働基準法第90条です。
- 労働基準法第91条の次の条は労働基準法第92条です。
- 労働基準法第91条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第91条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 - 本サイト収録
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第91条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000049/91
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働基準法91条は減給の制裁に二重の上限を課す。一回は平均賃金一日分の半額まで、総額は一賃金支払期の賃金総額の十分の一まで。これを超える減給は無効。
Q · 遅刻の罰として給料を減らされたけど、いくらまでが合法なの?
原則、超過分の減給は無効で取り戻せます
労働基準法91条により、就業規則に基づく減給の制裁には二重の上限があります。一回の減給額は平均賃金一日分の半額まで、同一賃金支払期(通常は一か月)の減給総額は賃金総額の十分の一までです。日給1万円なら一回5,000円、月給30万円なら月合計3万円が上限。これを超えた減給は無効で、超過分は賃金として請求できます。ただし遅刻・欠勤で働かなかった時間分の控除(ノーワーク・ノーペイ)は制裁ではなく、この上限の対象外です。
解説
給与明細に『減給3万円』の一行。上司は『連続遅刻の罰だ』と言う。理不尽に感じるのに、いくらまでが合法なのか分からず、喉につかえたまま飲み込んでしまう。だが労働基準法91条を握っていれば、その金額が法を超えているかをその場で計算できる。本条は就業規則による『減給の制裁』に二重の天井をかける。第一に、一回の減給額は平均賃金(過去3か月の賃金から算出する一日あたりの平均額)の一日分の半額まで。第二に、月内に何度制裁を重ねても、合計は一賃金支払期(通常は一か月)の賃金総額の十分の一までだ。日給1万円なら一回の減給は最大5,000円、月給30万円なら一か月の減給合計は最大3万円。これを超えた分は無効になり、取り戻せる。多くの会社の人事担当者すら、この二段構えの計算を正確にできていない。天井を知るあなたは、不当な減給に『それ、91条違反です』と一言返せる側に立つ。
法的な位置づけ
労働基準法91条は、就業規則に基づく減給の制裁の限度を定める規定である。一回の減給額は平均賃金一日分の半額を超えてはならず、同一賃金支払期における減給の総額は、その賃金支払期の賃金総額の十分の一を超えてはならない。働かなかった時間分の賃金控除とは区別される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.減給か控除かを切り分ける まず『これは規律違反への制裁(減給)か、遅刻・欠勤で働かなかった分の控除か』を確認する。制裁なら91条の射程に入り、ノーワーク・ノーペイの控除なら上限の対象外。給与明細の名目ではなく実質で判断する
- 2.平均賃金と一回上限を計算する 直前3か月の賃金総額をその総暦日数で割り平均賃金一日分を出す(労働基準法12条)。その半額が一回の減給上限。実際の減給額がこれを超えていないか検算する
- 3.月の総額上限を確認する 同一賃金支払期に複数の減給が重なる場合、合計額が当該賃金支払期の賃金総額の十分の一を超えていないか確認する。回数を重ねた総額違反こそ見落とされやすい
- 4.書面で計算根拠の開示を請求する 超過の疑いがあれば、就業規則の懲戒規定と平均賃金の算定根拠を会社に書面で開示請求する。会社が91条の二段階計算を示せなければ処分の正当性が揺らぐ
- 5.労基署申告・未払賃金請求で回収する 撤回されなければ、超過分を未払賃金として請求し、労働基準監督署へ申告する。総額違反の証拠が累積した段階でまとめて申告すると是正勧告が下りやすい
よくある質問 AI による整理
Q1減給の上限はいくらまでですか?
一回は平均賃金一日分の半額まで、同一賃金支払期の総額は賃金総額の十分の一までです(労働基準法91条)。両方の天井を同時に満たす必要があります。
Q2平均賃金とは何ですか?
直前3か月の賃金総額をその期間の総暦日数で割った一日あたりの金額です(労働基準法12条)。減給上限の計算基礎になります。
Q3就業規則に書いてあれば減給は自由にできますか?
できません。就業規則に明記されていても、91条の二つの上限を超える減給は無効です。労働基準法が就業規則より上位にあります。
Q4違法な減給はどうやって取り戻しますか?
超過分は未払賃金として会社に請求できます。応じなければ労働基準監督署への申告や、賃金支払請求の労働審判・訴訟で回収します。
Q5減給された分の請求はいつまでできますか?
賃金請求権の消滅時効は当分の間3年です(労働基準法115条、原則5年へ移行中)。各賃金支払日から進行するため早めの行動が必要です。
Q6出勤停止で給料が出ないのも減給の上限にかかりますか?
原則かかりません。出勤停止中の賃金不支給は制裁の付随結果とされ、91条の半額・十分の一の上限の対象外と解されています。
Q7アルバイトやパートにも減給の上限は適用されますか?
適用されます。労働基準法は雇用形態を問わず労働者に及ぶため、アルバイト・パートの減給制裁にも91条の上限がかかります。
Q8罰金やペナルティという名目なら上限はかかりませんか?
名目ではなく実質で判断されます。実質が規律違反への制裁であれば、罰金・ペナルティと呼んでも91条の上限がかかります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1遅刻や早退で給料が引かれるのも、この減給の上限にひっかかりますか?
原則かかりません。遅刻・早退・欠勤で働かなかった時間分のカットは『ノーワーク・ノーペイ』であって制裁ではなく、労働基準法91条の上限の対象外です。本条が縛るのは、規律違反への『罰』として行う減給だけ。実務のポイント:会社が『罰金』『ペナルティ』という名目で実質は制裁の減給を、控除を装って上限なく引くケースがあります。名目ではなく実質で判断されるので、『これは働いていない分か、罰か』を見抜くことが分かれ目です
Q2減給と一緒に『始末書』も書かされました。これも罰のうちに入りますか?
始末書や戒告・譴責そのものは金銭的不利益を伴わないため、91条の減給の上限とは別枠です。上限の計算に入るのは減給という財産的不利益の部分だけ。実務のポイント:会社が91条を回避するために、減給ではなく『出勤停止』を使うことがあります。出勤停止中に賃金が支払われないのは制裁の付随結果であって減給制裁ではないとされ、91条の半額・十分の一の上限がかからない、という抜け道です。停止日数が長ければ減給より重い不利益になりうる点に注意
Q3ボーナスから懲戒分を引かれました。これも月給の十分の一までですか?
賞与も労働基準法上の『賃金』に含まれうるため、それが制裁としての減給であれば91条の対象になります。ただし賞与は『一賃金支払期』の捉え方が月例給と異なり、上限計算が複雑です。実務のポイント:実務では『懲戒による賞与減額』が91条の減給制裁にあたるか、それとも査定の範囲内かで見解が分かれます(解釈が分かれている論点)。査定と称した大幅減額でも、規律違反を理由にしているなら制裁性を主張して争う余地がある、というのは知る人ぞ知る論点です
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社が就業規則に書いていれば、いくらでも減給できる」と思われがちだが、規則に明記してあっても91条の二つの天井は超えられない。就業規則の文言より労働基準法が上位にあり、超過部分は当然に無効になる
- 減給に上限があることは知っていても、その上限が『一回』と『総額』の二段構えだと知らない人が多い。一回5,000円の制限を守っても、月内に何度も繰り返して合計が月給の十分の一を超えれば、やはり違法。回数を重ねたときこそ危ない、という深刻さが見落とされている
- 「減給されたか、欠勤控除されたか」を同じものと考えて『上限超えだ』と抗議する人がいるが、問いの立て方そのものがずれている。遅刻や欠勤で働かなかった時間分の賃金カット(ノーワーク・ノーペイ)は制裁ではなく、91条の上限はかからない。あなたがまず争うべきは『これは制裁か、単なる控除か』の線引きだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する対象 | 91条:制裁としての減給の上限 | 16条:違約金・損害賠償額予定の禁止 89条:制裁を就業規則に定める義務 |
| 制限の中身 | 一回は平均賃金の半額、総額は賃金の十分の一 | 違約金・賠償額の事前約定そのものを禁止 制裁の種類・程度を就業規則に記載しなければ実施不可 |
| 違反の効果 | 超過分の減給が無効、超過分を請求可 | 約定が無効 記載のない減給は実施できない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は賃金からの前差引(違約金・賠償目的)を禁止し、懲戒は就業規則に委ねる。日本のような半額・十分の一の数値上限の形は採っていない
韓国は日本とほぼ同一で、感給は1回が平均賃金1日分の半額、総額が1賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはならないと定める
フランスは制裁としての罰金・金銭的制裁(amendes / sanctions pécuniaires)を全面的に禁止する。上限ではなく禁止という最も厳格な立場
米国は懲戒減給の一般的上限はないが、控除によって最低賃金や残業代を下回ることは制限される。州法でさらに規制する例がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 遅刻を3回して、就業規則どおり一回1万円ずつ計3万円減給された。これ、全部払わなきゃいけないの? 日給1万円なら一回の上限は5,000円。3回でも1万5,000円までしか減給できない。残り1万5,000円は取り戻せる
- アルバイト先でレジの金が合わず、罰として一か月分の給与を削られた。それは減給の制裁。月の賃金総額の十分の一を超えていないか、まず電卓で叩く。超えていれば超過分は無効
- あなたが店長で、部下の重大ミスに就業規則どおり減給処分を下す側になった。一回で日給の半額を超えれば、罰したはずのあなたの処分が、労基署の是正勧告の対象になる。会社が違反者の側に回る
- 減給された月の給与日から、賃金請求権の消滅時効が静かに進んでいる。当面は3年(労働基準法115条、改正で5年へ移行中、最新の改正状況をご確認ください)。気づいたときには取り戻す窓が閉じかけていた、という相談は後を絶たない
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず『これは減給の制裁か、欠勤・遅刻の控除か』を確認、制裁なら91条の射程に入る2. 平均賃金(直近3か月の賃金÷暦日数、労働基準法12条)を計算し、一回の減給が日給の半額を超えていないか検算3. 月内の制裁を合計し、賃金総額の十分の一を超えていないか確認4. 超過があれば就業規則と計算根拠の書面開示を会社に請求、撤回されなければ労働基準監督署へ申告。超過分は無効な賃金控除として請求できる
訴えられた側:1. 減給を下す前に、就業規則に懲戒事由と減給が明記されているか確認(労働基準法89条、定めがなければ減給自体ができない) 2. 一回の額を平均賃金の半額以内に収める3. 同一賃金支払期に複数の制裁が重なる場合、総額が賃金総額の十分の一を超えないよう翌期に繰り延べる4. 処分の重さが行為に見合うか(労働契約法15条の懲戒権濫用)も併せて検証、相当性を欠けば減給自体が無効
時効(請求できる期限):賃金請求権の消滅時効は、当分の間3年(労働基準法115条、2020年改正で原則5年へ移行中、最新の改正状況をご確認ください)。起算点は各月の賃金支払日。違法な減給分は支払日ごとに時効が進むため、古い月の分から順に取り戻せなくなる
学説
通説:91条の上限がかかるのは規律違反への制裁としての減給に限られ、遅刻・欠勤・出勤停止に伴う賃金不支給はノーワーク・ノーペイの結果として上限の対象外と解する。名目ではなく実質で制裁性を判断する。
実務上の論点:懲戒事由を理由とする賞与の大幅減額が91条の減給制裁にあたるか、それとも人事査定の範囲内かについては見解が分かれる。制裁性が認められれば上限がかかる余地がある。
改正沿革 AI による整理
- 要検証 減給制裁の上限(一回は平均賃金一日分の半額、総額は一賃金支払期の賃金総額の十分の一)という核心部分は1947年(昭和22年)の制定以来、実質的に維持されているとみられるが、条文番号・字句の改正履歴の正確な回数は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:労働基準法の制定に伴い新設。減給の制裁に『一回は平均賃金一日分の半額』『総額は一賃金支払期の賃金総額の十分の一』という二重の上限を明文化した
- 労働基準法 第12条減給上限の算定基礎となる平均賃金の定義
- 労働基準法 第89条制裁を就業規則に定める義務
- 労働基準法 第90条就業規則作成時の過半数代表の意見聴取
- 労働基準法 第16条違約金・損害賠償予定の禁止という隣接制限
- 労働基準法 第115条違法減給分を取り戻す賃金請求権の時効
- 労働契約法 第15条懲戒権濫用法理による減給処分の有効性審査
- 労働契約法 第12条就業規則が法定基準を下回る部分の無効
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