労働基準法 第115条(時効)
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この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
この条文の基本情報
時効とは何ですか?
定義時効とは、労働基準法第115条に定められた規定で、「この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働基準法第115条(時効)は、日本の労働基準法に含まれる条文です。
- 労働基準法第115条の条文原文は「この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。」で始まります。
- 労働基準法第115条は第十二章に置かれています。
- 労働基準法の公布日は昭和22年4月7日です。
- 労働基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 労働基準法第115条の前の条は労働基準法第114条です。
- 労働基準法第115条の次の条は労働基準法第115条の2です。
- 労働基準法第115条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第115条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 - 本サイト収録
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第115条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000049/115
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働基準法115条は、賃金の請求権を5年、災害補償その他の請求権を2年で時効消滅すると定める。ただし附則143条により賃金は当分の間3年に短縮されている。
Q · 残業代の時効って、条文に5年と書いてあるのに本当に3年なんですか?
原則5年だが、経過措置で当分の間は3年しか取れない
労働基準法115条本文は賃金の請求権の時効を5年と定めますが、同法の附則143条3項が「当分の間、五年とあるのは三年とする」と上書きしています。令和2年4月1日以後に支払日が到来する賃金は実質3年、それ以前は2年です。一方、災害補償その他の請求権(年次有給休暇を含む)は2年で時効消滅します。起算点は各賃金支払日ごとなので、毎月の給料が一か月分ずつ古い順に時効で消えていきます。
解説
労働基準法115条には、賃金の請求権は「五年間」行使しなければ時効で消える、と書いてある。だが今あなたが実際に取り返せるのは三年分だけだ。なぜか。同じ法律の143条という経過措置が「当分の間、五年とあるのは三年とする」と、こっそり本文を上書きしているからだ。条文の数字だけ見て「5年いける」と思った人は、4年前の未払い残業代を取りに行って門前払いを食らう。しかも時効の起算点は給料日ごと、つまり毎月の給料が一か月分ずつ、古い順に静かに消えていく。災害補償や年次有給休暇など賃金以外の請求権は二年で消滅する。本当の怖さは、あなたが「まだ大丈夫」と思っている間に、毎月一回ずつ請求権が音もなく死んでいくことだ。
法的な位置づけ
労働基準法115条は、同法に基づく請求権の消滅時効を定める規定であり、賃金の請求権は行使できる時から5年、災害補償その他の請求権は2年で時効消滅すると規定する。ただし附則143条3項の経過措置により、令和2年4月1日以後に支払日が到来する賃金の時効は、当分の間3年に短縮されている。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.未払い額を月別に一覧化し時効を逆算 給与明細を月別に並べ、各賃金支払日を起点に「あと何か月で3年(または2年)の壁を越えるか」を逆算する。一番古い月分から順に時効の崖に近いことを可視化する
- 2.在職中に証拠を確保 タイムカード、シフト表、業務指示の LINE やメール、給与明細を在職中にコピーして手元に残す。退職後は社内資料に手が届かなくなるため、辞める前が最後のチャンス
- 3.時効が迫る月分は内容証明で催告 あと一か月で3年の壁を越える月分があれば、内容証明郵便で「催告」を打つ。これで時効の完成が6か月猶予され(民法150条)、証拠固めの時間を確保できる
- 4.6か月以内に労働審判・訴訟へ 催告から6か月以内に労働基準監督署への申告、または労働審判・訴訟を起こして時効を確定的に止める。残業代なら114条の付加金で同額上乗せを狙える
よくある質問 AI による整理
Q1賃金請求権の時効は何年ですか?
労働基準法115条で原則5年ですが、附則143条3項の経過措置により、令和2年4月以降の賃金は当分の間3年、それ以前は2年です。
Q2時効はいつから数え始めますか?
各賃金の支払日(行使できる時)から起算します。給料日ごとに別々に進行するため、古い月分から順番に時効で消えていきます。
Q3退職金の時効は何年ですか?
退職手当(退職金)の請求権の時効は5年です。通常の賃金が当分の間3年なのと異なり、退職金は経過措置の短縮対象外で5年が維持されています。
Q4災害補償の時効は何年ですか?
労災の休業補償などの災害補償その他の請求権は2年です。賃金より短いため、気付いた時には消えていることがあります。
Q5時効を止めるにはどうすればいいですか?
内容証明郵便で催告すれば完成を6か月猶予でき(民法150条)、その間に労働審判や訴訟を起こせば確定的に止まります。催告だけでは6か月後に消えます。
Q6令和2年改正で何が変わりましたか?
賃金請求権の時効が2年から5年に延長されました。ただし附則143条3項の経過措置で、当分の間は3年に抑えられています。
Q7時効が完成した残業代はもう請求できませんか?
相手が時効を援用(民法145条)すれば請求できません。ただし相手が援用しない、または債務を承認すれば支払われる余地はあります。
Q8業務委託でも残業代の時効の保護は受けられますか?
契約名目が業務委託でも、実態が労働者なら115条が適用されます。偽装請負と認められれば、3年分を遡って請求できることがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1もう辞めた会社の残業代、今からでも取れますか?
支払日から3年以内の分なら取れます(115条+附則143条3項、令和2年4月以降の賃金)。それより古い月分は時効で消えています。退職していること自体は障害になりません。実務のポイント:37条違反の未払い残業代を裁判で争うと、114条の付加金として同額の上乗せを裁判所が命じることがあります。つまり100万円の未払いが最大200万円になりうる。会社が任意で払わず訴訟まで粘ると、かえって倍払いのリスクを負うという構造を、交渉カードにできる
Q2条文に5年って書いてあるのに、なんで3年しか取れないんですか?
115条本文は確かに5年ですが、同じ労働基準法の附則143条3項が「当分の間、五年とあるのは三年とする」と上書きしているからです。令和2年の改正で2年から5年へ引き上げる際、急な負担増を避けるため経過措置として3年に抑えました。実務のポイント:これは将来5年へ戻る前提の暫定措置です。検索で「労基法 残業代5年」とだけ見て安心せず、必ず附則143条をセットで読む。本文だけ信じて4年前の分を請求すると確実に弾かれる
Q3有給休暇って2年で消えるって本当ですか?
本当です。年次有給休暇の請求権は賃金以外の「その他の請求権」として115条の2年時効が適用されます(39条で発生、115条で消滅)。発生から2年で時効消滅するため、翌年度に繰り越しても2年で打ち切られます。実務のポイント:会社が買い取る義務は原則ありません。だからこそ消える前に計画的に取得するのが唯一の防衛策です。退職時にまとめて消化する人が多いのは、辞める瞬間が時効前に権利を使い切る最後のタイミングだから
間違えやすい点 AI による整理
- 「条文に五年と書いてあるから残業代は5年分取れる」と思い込んでいる人が多いが、附則143条3項の経過措置で当分の間3年に短縮されている。本文だけ読んで動くと、取れると思った4年前、5年前の分は最初から存在しないものとして弾かれる
- 時効は「請求して初めて止まる」ものだと知っていても、その止め方の効力の弱さを知らない人が多い。口頭やメールで「払ってください」と言っただけの催告は、時効の完成を6か月猶予するだけで、確定的に止めるには6か月以内に労働審判や訴訟へ進む必要がある(民法150条)。催告したから安心、で放置するとそのまま消える
- 「賃金も労災補償も同じ労働基準法だから時効も同じ」と思いがちだが、賃金は5年(当分3年)、災害補償その他は2年と倍以上違う。あなたが守ろうとしている請求権がどちらの箱に入っているかで、残り時間がまるで違う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 115条:請求権の消滅時効の原則(賃金・災害補償) | 114条:付加金の請求(除斥期間) 143条:賃金時効の経過措置 |
| 期間 | 賃金5年・災害補償その他2年 | 違反時から5年(当分の間3年) 賃金を当分の間3年に短縮 |
| 機能 | 権利消滅の原則を定める本文 | 未払いと同額の制裁的上乗せ 本文の「五年」を暫定的に上書き |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では工資請求権は「一年以下の定期給付債権」として民法126条の5年短期消滅時効が適用される。労働法に独自の時効規定を置く日本とは立法構造が異なる
韓国は労働基準法に明文で賃金債権の時効3年を規定。日本の経過措置後の3年と結果的に一致する
ドイツは賃金債権も民法の通常消滅時効3年(regelmäßige Verjährungsfrist)に服する。労働協約で短縮されることもある
米国 FLSA は未払賃金請求の出訴期限を原則2年、使用者の故意(willful)違反なら3年とする。日本の賃金時効と近い水準
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 辞めた会社で固定残業代の名目でサービス残業をさせられていた。退職して半年、過去の明細を見返すと月40時間超の未払いがある。今動けば直近3年分はまとめて請求できるが、4年前の分はもう手が届かない。動き出すのが一か月遅れるたびに、一番古い一か月分が時効の崖から落ちる
- あなたが小さな店の経営者で、辞めたパートから「未払い残業代を払え」と内容証明が届いたら? 「もう何年も前の話だろう」と思っても、令和2年4月以降の賃金なら3年分は生きている。さらに114条の付加金で同額の上乗せを裁判所に命じられる可能性まである
- 労災で休業した分の休業補償、会社が払ってくれないまま2年が過ぎた。賃金より時効が短い。気付いたときには請求権そのものが消えている
- 有給休暇を取れないまま今年も終わりそうだ。「来年使えばいい」と思っているうちに、2年前に発生した有給は時効で消滅する。残された猶予はあと数か月、という年休があなたの手元にも眠っているかもしれない
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず証拠を確保:給与明細、タイムカード、シフト表、業務指示の LINE やメールを、在職中ならコピーして手元に残す2. 未払い額を月別に一覧化し、各賃金支払日から起算してどの月分があと何か月で時効かを逆算する3. 時効が迫る月分があれば、まず内容証明郵便で催告を打ち、完成を6か月猶予させる(民法150条) 4. 6か月以内に労働基準監督署への申告、または労働審判・訴訟へ。残業代なら114条の付加金で同額上乗せを狙える
訴えられた側:1. 請求された賃金の支払日を確認、令和2年4月1日より前の分は当分の間2年、以後の分は3年が境目2. 各月分について時効が完成しているかを精査し、消滅している部分は時効を援用(民法145条)して支払義務を否定する3. 労働者性そのものを争えるか、固定残業代の有効性で争えるかを並行検討4. 付加金は裁判所の裁量、誠実な対応と早期の任意支払いが付加金回避の鍵になる
時効(請求できる期限):賃金の請求権は行使できる時(各賃金支払日)から5年。ただし附則143条3項の経過措置により、当分の間3年(令和2年4月1日以後に支払日が到来する賃金が対象、それ以前は2年)。退職手当の請求権は5年。災害補償その他の請求権(年次有給休暇を含む)は2年(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:労働基準法115条は民法の一般消滅時効(166条)に対する特則であり、賃金請求権の時効は各賃金支払日ごとに個別に進行する。令和2年改正で2年から5年へ延長されたが、附則143条3項により当分の間3年とされ、労働者保護を段階的に強める立法判断と理解される。
改正沿革 AI による整理
- 令和2年(2020年)改正、令和2年4月1日施行 賃金請求権の消滅時効を2年から5年へ延長。ただし附則143条3項で「当分の間、五年とあるのは三年とする」と経過措置を置き、令和2年4月1日以後に支払日が到来する賃金について実質3年とした。114条の付加金請求の除斥期間も同様に延長された。災害補償その他の請求権は2年のまま据え置き
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:労働基準法制定時に、賃金その他の請求権の消滅時効を2年(退職手当は別途)と定める
- 2.令和2年(2020年) 改正:令和2年4月1日施行。賃金請求権の消滅時効を2年から5年へ延長。ただし附則143条3項で「当分の間、五年とあるのは三年とする」と経過措置を置き、実質3年とした。退職手当は5年、災害補償その他は2年で据え置き
- 労働基準法 第24条賃金全額払いの原則、未払賃金請求の実体的根拠
- 労働基準法 第37条時間外・休日労働の割増賃金、未払残業代の根拠
- 労働基準法 第39条年次有給休暇の請求権、2年時効の代表例
- 労働基準法 第114条付加金、未払いと同額の上乗せ命令
- 労働基準法 第143条経過措置、賃金の時効を当分の間3年に短縮
- 民法 第166条債権の一般消滅時効、労基法115条が排除する普通法
- 民法 第150条催告による時効の完成猶予の手段
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