労働基準法 第75条(療養補償)
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- 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
- 2.前項に規定する業務上の疾病及び療養の範囲は、厚生労働省令で定める。
この条文の基本情報
療養補償とは何ですか?
定義療養補償とは、労働基準法第75条に定められた規定で、「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働基準法第75条(療養補償)は、日本の労働基準法に含まれる条文です。
- 労働基準法第75条の条文原文は「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。」で始まります。
- 労働基準法第75条は第八章に置かれています。
- 労働基準法の公布日は昭和22年4月7日です。
- 労働基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 労働基準法第75条の前の条は労働基準法第74条です。
- 労働基準法第75条の次の条は労働基準法第76条です。
- 労働基準法第75条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第75条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 - 本サイト収録
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第75条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000049/75
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働基準法75条は、業務上の負傷・疾病について使用者が過失の有無を問わず療養費用を負担すると定める。対象範囲は厚生労働省令が定める。
Q · 仕事中の怪我の治療費って、自分のミスでも会社が払ってくれるの?
業務上の災害なら過失を問わず会社が全額負担します
労働基準法75条により、労働者が業務上負傷し又は疾病にかかった場合、使用者は自己の費用で必要な療養を行い、又はその費用を負担する義務を負います。これは無過失責任で、労働者の不注意による怪我でも対象です。健康保険ではなく労災として処理し、会社が非協力的なら労働基準監督署に直接請求できます。第2項により、何が「業務上の疾病」かは厚生労働省令(労働基準法施行規則別表)が定め、うつ病や腰痛は認定基準を満たすかで結論が分かれます。
解説
工場で機械に指を挟まれた。営業中に交差点で追突された。長時間労働の末にうつ病を発症した。一見バラバラなこれらの事態に共通する問いがある。治療費を誰が払うのか、だ。労働基準法75条の答えは明快で、業務上の負傷や疾病なら全額が会社負担。しかも会社に落ち度があったかどうかは一切問われない。あなたが操作を誤ったせいでも、会社は「その費用で必要な療養」をする義務を負う。これが無過失責任と呼ばれる仕組みで、相手の過失立証を被害者に課す民法709条の損害賠償とは正反対の世界だ。さらに第2項が生死を分ける。何が「業務上の疾病」に当たるかは厚生労働省令(労働基準法施行規則の別表)が定める。あなたの腰痛やうつ病がそのリストと認定基準に乗るかどうかで、補償を受ける側か泣き寝入りする側かが分かれる。この認定の攻防こそ、労災の最前線である。
法的な位置づけ
労働基準法75条は療養補償を定める規定であり、労働者が業務上負傷し又は疾病にかかった場合に、使用者が自己の費用で必要な療養を行い又はその費用を負担すべき義務を規定する。使用者の過失を要件としない無過失責任を採り、補償対象たる業務上の疾病及び療養の範囲は厚生労働省令に委任される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.病院で「労災です」と明確に伝える 受診時に窓口で業務上の災害である旨を伝え、健康保険証は出さない。健保で処理すると後の切替手続きが重くなるため、最初の一手で労災と宣言するのが分水嶺になる
- 2.会社に労災申出と請求手続きを依頼 会社に業務災害である旨を申し出て、療養補償給付の請求(様式第5号など)の証明を依頼する。会社は労災を嫌い健保へ誘導しがちだが、これに従う義務はない
- 3.業務起因性の証拠を早期確保 タイムカード、作業日報、医師の診断書、ハラスメントのメモなど、業務と負傷・発病の因果関係を示す証拠を発生直後から確保する。精神障害は発病前おおむね6か月の負荷が争点になる
- 4.会社が非協力なら労基署へ直接請求 会社が労災を認めない、証明印を拒む場合、証明欄を空欄のままその理由を記載して労働基準監督署に直接請求する。監督署が職権で調査する
- 5.休業補償・障害補償も併せて請求 治療費(75条)に加え、働けない間の休業補償(76条)、後遺障害が残れば障害補償(77条)も漏れなく請求する。各給付はセットで動く
よくある質問 AI による整理
Q1療養補償とは何ですか?
業務上の負傷・疾病について、使用者が必要な療養を行うか費用を負担する制度です。労働基準法75条が根拠で、使用者の過失を問わない無過失責任です。
Q2労災と健康保険どっちを使うべきですか?
業務上の災害には労災を使います。健康保険は本来不適切で、後から労災へ切り替える手続きが必要になります。病院では最初に「労災です」と伝えるのが正解です。
Q3会社が労災保険に入っていない場合はどうなりますか?
保険未加入でも75条の補償義務は免れません。会社は治療費を直接負担する義務を負い、加えて保険料の遡及徴収やペナルティを受けます。
Q4労災は会社を通さず申請できますか?
できます。会社が証明を拒んでも、その理由を記載して労働基準監督署に直接請求すれば、監督署が職権で調査します。
Q5腰痛は労災になりますか?
重量物取扱いなど業務起因性が認められれば労災になります。ただし会社が加齢を主張することが多く、作業内容の記録と医師の診断書が立証の鍵です。
Q6療養補償の請求に時効はありますか?
療養の費用を支出した時から2年で時効消滅します(労働基準法115条)。長期療養では費目ごとに時効が進行するため注意が必要です。
Q7在宅勤務中の怪我も労災になりますか?
業務遂行性が認められれば対象になりえます。テレワークでは私的行為との線引きが争点となり、業務との関連を示す記録が重要です。
Q8労災隠しとは何ですか?
会社が労災を健康保険で処理させたり、報告を怠ったりする行為です。労働安全衛生法違反として処罰対象となり、労働者は監督署に直接相談できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1自分の不注意で怪我したんですが、それでも会社に治療費を請求できますか?
できます。労働基準法75条は無過失責任で、あなたの過失の有無を問いません。業務上の災害であれば、不注意による怪我でも療養補償の対象です。実務のポイント:会社は「自己責任だから労災じゃない」と言いがちですが、これは法的に誤りで、過失相殺は労災補償には適用されません。会社の言い分を鵜呑みにせず、まず労働基準監督署に確認するのが正解です
Q2会社が労災を認めず「健康保険を使って」と言われました。従うべきですか?
従う必要はありません。業務上の災害に健康保険を使うのは本来不適切で、後で労災へ切り替える手続きが必要になります(労働基準法75条、労災保険法)。実務のポイント:会社が労災を嫌がるのは、保険料率の上昇(メリット制)や労基署の調査を避けたいから。これを労災隠しと呼び、それ自体が違法です。あなたは会社を通さず労基署に直接請求でき、会社が証明を拒んでもその旨を書いて出せば監督署が調査します
Q3うつ病になったんですが、これも労災になりますか?
なりえます。精神障害も業務上の疾病として認定基準があり、発病前おおむね6か月の心理的負荷(長時間労働やハラスメント等)が「強」と評価されれば労災です(労働基準法75条2項、認定基準は最新版をご確認ください)。実務のポイント:精神障害の認定基準は近年改定され、パワハラの評価が明確化されました。一人で抱え込まず、心療内科の受診記録、残業の証拠、ハラスメントのメモを早期から残すことが、認定の成否を分けます
Q4治療費だけですか? 働けない間の給料は出ないんですか?
75条が定めるのは治療費の補償です。働けない間の収入は、別条の休業補償(労働基準法76条、平均賃金の6割)でカバーされます。労災保険を使えば休業補償給付として給付基礎日額の8割相当(特別支給金含む)が出ます。実務のポイント:75条と76条はセットで動きます。健保で処理すると治療費は3割自己負担、傷病手当金も賃金の3分の2どまり。最初に労災を選ぶ経済的メリットは、想像以上に大きいのです
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分のミスで怪我したのだから会社には請求できない」と思い込んで泣き寝入りする人が多い。だが75条は無過失責任。あなたに不注意があっても、業務中の災害である限り療養補償は受けられる。過失相殺(民法722条)の発想を労災に持ち込むのが、最大の誤解だ
- 「労災を取るか、会社に損害賠償を請求するか」と二択で悩む人がいるが、問いの立て方そのものが誤っている。労災補償(75条以下)と民法上の損害賠償(709条、415条)は両立する。労災で治療費と休業補償を受け取りつつ、慰謝料や逸失利益の不足分を会社に別途請求できる。二択ではなく、二段構えだ
- 「業務上の病気が労災になる」ことは知っていても、その認定がどれほど狭き門かを知らない人が多い。うつ病や過労死は、厚生労働省の認定基準(心理的負荷や時間外労働の量)を満たさなければ門前払い。別表に載っている病名でも、業務起因性の立証は別の戦いだ。知っているのと、認定されるのは、別世界である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 補償の対象 | 75条:療養(治療費)の補償 | 76条:休業補償(療養中の収入) 77条:障害補償(後遺障害) |
| 発生する場面 | 業務上の負傷・疾病にかかった時点 | 療養のため労働できず賃金を受けない時 治癒後に身体に障害が残った時 |
| 金額の性質 | 必要な療養の実費(全額) | 平均賃金の60%(労災保険なら給付基礎日額の8割相当) 障害等級に応じた定率補償 |
| 共通する性質 | 無過失責任、労働者の過失を問わない | 無過失責任、75条とセットで適用 無過失責任、治癒・症状固定が前提 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も使用者の無過失補償を採るが、労工保険給付との抵充規定を設ける点で日本の労災保険調整と類似
韓国も療養補償を無過失で定め、産業災害補償保険が実質的に使用者の補償義務を代替する構造は日本とほぼ同型
ドイツは1884年災害保険法以来の社会保険型労災制度の元祖。療養は労災保険の現物給付として提供され、使用者個別責任は保険に吸収される
米国は州ごとの労災補償法で no-fault 補償を採るが、その代償として使用者への不法行為訴訟を原則排除する exclusive remedy 原則を併用
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし残業続きでうつ病を発症したら、それは「業務上の疾病」として治療費が出るのか。答えは厚生労働省の認定基準(発病前おおむね6か月の心理的負荷や時間外労働の時間数)を満たすかどうかで決まる。同じ病気でも、タイムカードの記録一枚で結論がひっくり返る
- あなたが小さな会社の経営者で、従業員が作業中に転んで骨折した。「うちは労災保険に入っていないから」と思っても無駄だ。75条の補償義務は保険加入の有無と無関係に発生する。未加入なら治療費を直接払う義務に加え、保険料の遡及徴収とペナルティまで降りかかる
- 通勤途中ではなく、営業先への移動中に事故に遭った。これは業務遂行中の災害として75条の対象になる。自宅と会社を往復する通勤災害(労災保険法の別枠)とは、補償の入口が違う
- 病院の窓口で「労災ですか、健康保険ですか」と聞かれている。その場で答えを出さねばならない。健保を選ぶと、後から労災へ切り替える手続きに数か月かかる。残り数分の判断が、その後の煩雑さを丸ごと決める
- 腰痛が悪化して働けなくなった。重量物を運ぶ仕事が原因だと感じるが、会社は「加齢のせいだ」と言い張る。業務起因性の立証という重荷があなたの肩にのしかかる。医師の診断書と作業内容の記録が、勝負を分ける証拠になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 怪我や発病の直後、病院で「労災です」と明確に伝え、健康保険証は出さない2. 会社に労災である旨を申し出て、労災保険の請求手続き(療養補償給付の様式第5号など)を依頼3. 会社が非協力的なら労働基準監督署に直接請求、証明欄が空でも理由を記載すれば監督署が調査する4. 業務起因性の証拠(タイムカード、作業日報、医師の診断書、ハラスメントの記録)を早期に確保5. 治療費に加え、休業補償(76条)、後遺障害が残れば障害補償(77条)も合わせて請求する
訴えられた側:1. 従業員から労災の申出があれば、まず事実関係を記録、隠蔽は労災隠しとして処罰対象(労働安全衛生法違反) 2. 労災保険に加入していれば保険手続きを進め、未加入でも75条の補償義務は免れない3. 業務起因性に疑義があるなら、健保への誘導ではなく労基署の判断を仰ぐ正規ルートで対応4. 補償とは別に、安全配慮義務違反による損害賠償(民法415条)を請求される可能性に備え、再発防止策と安全管理の記録を整える
時効(請求できる期限):療養補償を受ける権利は、療養の費用を支出した時から2年で時効消滅する(労働基準法115条、労災保険法の療養補償給付も2年)。受傷・発病時ではなく各療養費の支出時から起算するため、長期療養では費目ごとに時効が進行する点に注意(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:75条の使用者の補償義務は無過失責任であり、危険を支配し利益を得る使用者がその危険の現実化による損失を負担すべきとする危険責任の思想に基づく。業務起因性は業務に内在する危険が現実化したという相当因果関係で判断される。
改正沿革 AI による整理
- 平成11-13年(1999-2001年)中央省庁再編 第2項の委任先が「労働省令」から「厚生労働省令」へ改められた。条文の実質的内容(無過失補償の構造)は変わらず、委任先官庁の名称変更にとどまる。全体の改正回数は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:労働基準法制定により、戦前の工場法上の扶助制度を発展させ、業務上の負傷・疾病に対する使用者の無過失療養補償義務を一般化
- 2.平成11-13年(1999-2001年) 改正:中央省庁再編に伴い、第2項の委任先が「労働省令」から「厚生労働省令」へ改められた。無過失補償の構造自体は不変
- 労働基準法 第76条休業補償、療養中の収入を補う配套規定
- 労働基準法 第77条障害補償、後遺障害が残った場合の補償
- 労働基準法 第84条労災保険給付がある場合の補償義務の免除・調整
- 労働基準法 第115条補償請求権の消滅時効(2年)
- 労働者災害補償保険法 第12条の8療養補償給付、使用者の補償義務を保険給付が実質的に代替
- 民法 第415条安全配慮義務違反による損害賠償との併存・調整
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