労働基準法 第84条(他の法律との関係)
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- この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)又は厚生労働省令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行なわれるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。
- 2.使用者は、この法律による補償を行つた場合においては、同一の事由については、その価額の限度において民法による損害賠償の責を免れる。
この条文の基本情報
他の法律との関係とは何ですか?
定義他の法律との関係とは、労働基準法第84条に定められた規定で、「この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)又は厚生労働省令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働基準法第84条(他の法律との関係)は、日本の労働基準法に含まれる条文です。
- 労働基準法第84条の条文原文は「この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)又は厚生労働省令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給…」で始まります。
- 労働基準法第84条は第八章に置かれています。
- 労働基準法の公布日は昭和22年4月7日です。
- 労働基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 労働基準法第84条の前の条は労働基準法第83条です。
- 労働基準法第84条の次の条は労働基準法第85条です。
- 労働基準法第84条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第84条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 - 本サイト収録
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第84条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000049/84
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働基準法84条は、労災保険から相当の給付がある場合に使用者の災害補償義務を免じ、補償した価額の限度で民法上の損害賠償責任も免れると定める。慰謝料は対象外。
Q · 労災保険をもらったら、もう会社には何も請求できないの?
労災が出ても慰謝料は会社に別途請求できる
労働基準法84条で会社が免れるのは、労災保険給付と「同一の事由」「その価額の限度」での損害賠償だけです(2項)。療養費や休業損害のように項目が重なる部分は控除されますが、慰謝料は労災保険給付に含まれず「同一の事由」に当たらないため、労災を受け取った後でも会社に別途請求できます。休業補償で填補されない給与のおよそ2割部分や逸失利益の不足分も残ります。
解説
工場で機械に手を挟まれ、労災保険から療養補償と休業補償を受け取った。会社の担当者は「労災で出たんだから、もう会社への請求はないですね」と言う。それを鵜呑みにすると、あなたは取れるはずの金を取り損ねる。労働基準法84条は二段構えの調整ルールだ。1項は、労災保険から災害補償に相当する給付が出る場合、使用者は労基法上の災害補償義務を免れると定める。2項は、使用者が補償を行った場合、その価額の限度で民法上の損害賠償責任も免れるとする。ここで多くの人が見落とすのは「同一の事由」「その価額の限度」という縛りだ。労災保険は療養費や逸失利益はカバーするが、慰謝料はカバーしない。つまり慰謝料は「同一の事由」に当たらず、労災給付を受けても会社に別途請求できる。会社が払いたくない部分こそ、この条文の隙間に残っている。
法的な位置づけ
労働基準法84条は、労災保険給付と労基法上の災害補償・民法上の損害賠償との重複を調整する規定である。1項は労災保険等から災害補償に相当する給付がある場合の使用者の災害補償義務の免責を、2項は使用者が補償した場合に同一の事由についてその価額の限度で民法上の損害賠償責任が免責されることを定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.労災保険給付を確定し内訳を保管 まず労災保険給付を申請・確定させ、支給決定通知の内訳(療養・休業・障害・遺族の各項目と金額)を保管する。これが「すでに填補された部分」を立証する土台になる
- 2.残っている請求項目を仕分けして計算 慰謝料、休業補償で填補されない給与の約2割部分、逸失利益の不足分を切り分けて計算する。労災と項目が重なる部分(控除される)と重ならない部分(残る)を明確にする
- 3.会社へ差額を内容証明で請求 安全配慮義務違反(民法415条)または不法行為(709条)を根拠に、労災で填補されない差額を内容証明郵便で請求する。会社が「労災で済んだ」と主張したら84条2項の「同一の事由」の範囲を示して反論する
- 4.示談前に労災給付分を留保 示談書にサインする前に「労災保険給付分は含まない」と明記する。会社が示談金に労災相当額を紛れ込ませて全部清算しようとするのを防ぐ。一行の留保で後から労災給付を満額受けられる
よくある質問 AI による整理
Q1労災の慰謝料の相場はいくらですか?
慰謝料は労災保険では支給されず、会社や加害者への損害賠償で請求します。後遺障害等級や死亡かにより数百万〜数千万円の幅があり、入通院慰謝料は別途算定されます。
Q2損益相殺とは何ですか?
損害賠償額から、同一の損害について別途填補を受けた利益を差し引く調整です。労災の療養費・休業損害は控除されますが、慰謝料は控除対象外とされます。
Q3「同一の事由」とは労災では何を指しますか?
労災給付と損害賠償の対象項目が重なる範囲を指します。療養費・休業損害・逸失利益は重なりますが、精神的損害である慰謝料は含まれません。
Q4安全配慮義務違反の損害賠償の時効はいつまでですか?
債務不履行として権利を行使できると知った時から5年・行使できる時から20年が原則です。人の生命・身体侵害は時効期間が伸長されます。最新の改正状況をご確認ください。
Q5労災の休業補償は給与の何割もらえますか?
休業補償給付が給付基礎日額の60%、休業特別支給金が20% で、実質的に約8割相当です。残り約2割は会社への損害賠償で請求できる余地があります。
Q6第三者行為災害では労災と自賠責のどちらを先に使いますか?
どちらも使えますが順序で手取りが変わります。労災を先に使うと保険者が加害者に求償します(労災保険法12条の4)。事案により有利な順序を弁護士に確認すべきです。
Q7過労死した家族の分を会社に請求できますか?
労災認定で遺族補償が出たうえで、安全配慮義務違反(民法415条)により慰謝料や逸失利益の差額を別途請求できます。差額は84条2項の価額限度を土台に算定します。
Q8労災保険の請求の時効は何年ですか?
療養補償・休業補償給付は2年、障害補償・遺族補償給付は5年で、各支給事由発生日から起算します(労災保険法42条)。最新の改正状況をご確認ください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1労災保険をもらったら、会社に慰謝料は請求できないんですか?
請求できます。84条2項で会社が免れるのは「同一の事由」の損害賠償だけで、その範囲は労災給付と同じ項目に限られます。慰謝料は労災保険給付に含まれないため「同一の事由」に当たらず、別途請求できます。実務のポイント:会社の総務は「労災で出たでしょう」と言いがちで、慰謝料や逸失利益の差額が残っていることはまず自分からは言いません。支給決定通知の内訳を持って弁護士に相談すれば、取り損ねを防げる
Q2労災と会社への請求、両方もらったら二重取りで違法では?
違法ではありません。84条2項の調整は「同一の事由・同一項目」についてのみ働きます。療養費・休業損害など重なる項目は二重取りできませんが、慰謝料や、休業補償が填補しない給与のおよそ2割部分は重複しないので両方受け取れます。実務のポイント:「二重取り」という言葉に怯んで請求を諦める人が多いが、控除されるのは重複項目だけ。内訳ごとに「これは控除、これは残る」と仕分けできる人だけが満額に近づく
Q3従業員が労災に遭った場合、会社は何を払えば免責されますか?
84条1項により、労災保険から災害補償に相当する給付が出れば、会社は労基法上の災害補償義務を免れます。さらに2項で、会社が補償した価額の限度で民法上の損害賠償も免れます。ただし慰謝料部分は労災で填補されないため免責されません。実務のポイント:安全配慮義務違反(民法415条)があると、労災・労基補償で足りない差額を会社が負う。労災保険に入っているから安心ではなく、安全配慮を尽くした記録(教育・点検)を残すことが本当の防御になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「労災が出たら会社にはもう請求できない」と思い込んでいるが、84条2項で会社が免れるのは労災給付と「同一の事由」の損害賠償だけ。慰謝料は労災保険給付に含まれないため、労災を受け取った後でも会社に別途請求できる
- 「労災と民法の両取りは二重取りで違法」という理解は半分しか正しくない。控除されるのは療養費・休業損害のように項目が重なる部分だけで、その深刻度を取り違えると、重ならない慰謝料や給与差額まで自分から放棄してしまう
- あなたから見れば「補償を受けた、これで完了」だが、法律から見れば「災害補償に相当する項目だけが填補された、慰謝料と逸失利益の不足分はまだ未填補」。この視角の落差に気付かない人が、残った請求権を取りこぼす
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 84条:労災・労基補償・民法賠償の重複調整 | 75条:療養補償(調整対象の給付) 76条:休業補償(給与の一部のみ填補) |
| 填補の範囲 | 同一の事由・その価額の限度でのみ免責 | 療養に要する費用の全額 平均賃金の60%(特別支給金で実質約8割) |
| 慰謝料の扱い | 同一の事由に当たらず別途請求可 | 補償対象外 補償対象外 |
| 残請求の根拠 | 民法415条・709条で差額請求 | 84条2項で価額限度免責 84条2項で価額限度免責 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も使用者が支払った職業災害補償金を、同一事故から生じた損害賠償額に充当できると定める。調整の発想は日本84条2項と類似
韓国も補償を受けた場合は同一の事由について損害賠償責任が調整される。労災保険(산재보험)との二重填補排除の構造は日本と近い
ドイツは法定労災保険が使用者・同僚の民事責任を原則として免責(Haftungsablösung)し、故意・通勤災害等の例外を除き損害賠償を排除する点で調整がより徹底
米国の労災補償は『排他的救済』が原則で、原則として使用者への別訴を排除する。日本のように慰謝料を切り分けて別請求する余地は限定的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 建設現場で足場から落ちて骨折、労災で療養費と休業補償が出た。これで会社への請求は終わり? いや、慰謝料と、休業補償では填補されない給与のおよそ2割部分は、まだ会社に請求できる余地がある。労災が出た時点で諦めた人と、内訳を仕分けした人とで、最終的な手取りは数百万円違う
- あなたが小さな町工場の経営者で、従業員が機械で負傷した。労災保険には加入している。だが従業員側の弁護士から「労災とは別に慰謝料を」と内容証明が届く。84条2項を知らないと、払わなくていい部分まで払うか、払うべき部分を拒んで訴訟になるか、判断を誤る
- 夫が過労で倒れ、労災認定が下りた。遺族補償年金が始まる。だが安全配慮義務違反の損害賠償には時効がある。動かないと差額請求権が消える
- 通勤中にトラックにはねられた。労災も使えるし、加害者の任意保険も使える。どちらを先に使うかで最終的な手取りが変わる。労災を先に使うと、労災保険が加害者に求償する(労災保険法12条の4)。順序を間違えると損をする
- 会社が「労災で出たぶん、退職金から相殺します」と言ってきた。これは84条2項の射程外で、原則として許されない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 労災保険給付を確定させ、支給決定通知の内訳(療養・休業・障害・遺族)を保管2. 慰謝料、休業補償で填補されない給与差額(休業補償は給付基礎日額の60% + 休業特別支給金20% で実質8割相当、残り2割分)、逸失利益の不足分を計算3. 会社に安全配慮義務違反(民法415条)または不法行為(709条)で差額を内容証明で請求4. 会社が「労災で済んだ」と主張したら、84条2項の「同一の事由」の範囲を示して反論する
訴えられた側:1. 労災保険の適用を確認、給付が出れば労基法上の災害補償義務は免れる(84条1項) 2. 従業員側が慰謝料・差額を請求してきたら、自社が支払った補償の価額を明示し、その限度で損害賠償が免責されると主張(84条2項) 3. ただし慰謝料は労災・労基補償で填補されず免責されないので、安全配慮を尽くした証拠(危険教育記録・設備点検記録)で過失を争う4. 従業員側に不注意があれば過失相殺(民法722条2項)を主張し賠償額を減らす
時効(請求できる期限):労災保険給付の請求時効は、療養・休業補償給付が2年、障害・遺族補償給付が5年(労働者災害補償保険法42条、各支給事由発生日から起算)。会社への損害賠償は、不法行為(民法709条)なら損害と加害者を知った時から5年(人の生命・身体侵害、724条の2)かつ行為時から20年、安全配慮義務違反(債務不履行)なら権利を行使できると知った時から5年・行使できる時から20年(民法166条1項)。最新の改正状況をご確認ください
学説
通説:84条2項の調整は同一の事由・同一項目についてのみ働くと解される。労災給付や災害補償が損害賠償から控除されるのは財産的損害の重複部分に限られ、慰謝料は性質を異にするため控除されず、別途請求が可能とするのが一般的理解である。
改正沿革 AI による整理
- 平成13年(2001年)中央省庁再編(要検証) 本条1項の委任先が「労働省令」から「厚生労働省令」へ改められたとみられるが、全改正回数および各改正の正確な内容は未確認。人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:労働基準法の制定により災害補償の調整規定として新設。同年制定の労働者災害補償保険法と連動し、労災保険給付がある場合の使用者の災害補償義務・損害賠償責任の調整を定めた
- 労働基準法 第75条療養補償、調整の対象となる災害補償
- 労働基準法 第76条休業補償、給与の一部のみ填補する給付
- 労働基準法 第77条障害補償、後遺障害に対する補償
- 労働基準法 第79条遺族補償、死亡時の補償
- 労働基準法 第80条葬祭料、調整対象の補償項目
- 労働者災害補償保険法 第12条の8災害補償に相当する保険給付を行う制度(84条1項の免責の前提)
- 民法 第709条労災・労基補償を超える損害(慰謝料等)の賠償根拠
- 民法 第415条安全配慮義務違反による損害賠償、差額請求の根拠
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