要点労働基準法 84 条は、労災保険から相当の給付がある場合に使用者の災害補償義務を免じ、補償した価額の限度で民法上の損害賠償責任も免れると定める。慰謝料は対象外。
Q · 労災保険をもらったら、もう会社には何も請求できないの?
労災が出ても慰謝料は会社に別途請求できる
労働基準法 84 条で会社が免れるのは、労災保険給付と「同一の事由」「その価額の限度」での損害賠償だけです(2 項)。療養費や休業損害のように項目が重なる部分は控除されますが、慰謝料は労災保険給付に含まれず「同一の事由」に当たらないため、労災を受け取った後でも会社に別途請求できます。休業補償で填補されない給与のおよそ 2 割部分や逸失利益の不足分も残ります。
工場で機械に手を挟まれ、労災保険から療養補償と休業補償を受け取った。会社の担当者は「労災で出たんだから、もう会社への請求はないですね」と言う。それを鵜呑みにすると、あなたは取れるはずの金を取り損ねる。労働基準法 84 条は二段構えの調整ルールだ。1 項は、労災保険から災害補償に相当する給付が出る場合、使用者は労基法上の災害補償義務を免れると定める。2 項は、使用者が補償を行った場合、その価額の限度で民法上の損害賠償責任も免れるとする。ここで多くの人が見落とすのは「同一の事由」「その価額の限度」という縛りだ。労災保険は療養費や逸失利益はカバーするが、慰謝料はカバーしない。つまり慰謝料は「同一の事由」に当たらず、労災給付を受けても会社に別途請求できる。会社が払いたくない部分こそ、この条文の隙間に残っている。
労働基準法 84 条は、労災保険給付と労基法上の災害補償・民法上の損害賠償との重複を調整する規定である。1 項は労災保険等から災害補償に相当する給付がある場合の使用者の災害補償義務の免責を、2 項は使用者が補償した場合に同一の事由についてその価額の限度で民法上の損害賠償責任が免責されることを定める。
AI 輔助整理,以條文原文為準
慰謝料は労災保険では支給されず、会社や加害者への損害賠償で請求します。後遺障害等級や死亡かにより数百万〜数千万円の幅があり、入通院慰謝料は別途算定されます。
損害賠償額から、同一の損害について別途填補を受けた利益を差し引く調整です。労災の療養費・休業損害は控除されますが、慰謝料は控除対象外とされます。
労災給付と損害賠償の対象項目が重なる範囲を指します。療養費・休業損害・逸失利益は重なりますが、精神的損害である慰謝料は含まれません。
債務不履行として権利を行使できると知った時から 5 年・行使できる時から 20 年が原則です。人の生命・身体侵害は時効期間が伸長されます。最新の改正状況をご確認ください。
休業補償給付が給付基礎日額の 60%、休業特別支給金が 20% で、実質的に約 8 割相当です。残り約 2 割は会社への損害賠償で請求できる余地があります。
どちらも使えますが順序で手取りが変わります。労災を先に使うと保険者が加害者に求償します(労災保険法 12 条の 4)。事案により有利な順序を弁護士に確認すべきです。
労災認定で遺族補償が出たうえで、安全配慮義務違反(民法 415 条)により慰謝料や逸失利益の差額を別途請求できます。差額は 84 条 2 項の価額限度を土台に算定します。
療養補償・休業補償給付は 2 年、障害補償・遺族補償給付は 5 年で、各支給事由発生日から起算します(労災保険法 42 条)。最新の改正状況をご確認ください。
請求できます。84 条 2 項で会社が免れるのは「同一の事由」の損害賠償だけで、その範囲は労災給付と同じ項目に限られます。慰謝料は労災保険給付に含まれないため「同一の事由」に当たらず、別途請求できます。業界裏話ヒント:会社の総務は「労災で出たでしょう」と言いがちで、慰謝料や逸失利益の差額が残っていることはまず自分からは言いません。支給決定通知の内訳を持って弁護士に相談すれば、取り損ねを防げる
違法ではありません。84 条 2 項の調整は「同一の事由・同一項目」についてのみ働きます。療養費・休業損害など重なる項目は二重取りできませんが、慰謝料や、休業補償が填補しない給与のおよそ 2 割部分は重複しないので両方受け取れます。業界裏話ヒント:「二重取り」という言葉に怯んで請求を諦める人が多いが、控除されるのは重複項目だけ。内訳ごとに「これは控除、これは残る」と仕分けできる人だけが満額に近づく
84 条 1 項により、労災保険から災害補償に相当する給付が出れば、会社は労基法上の災害補償義務を免れます。さらに 2 項で、会社が補償した価額の限度で民法上の損害賠償も免れます。ただし慰謝料部分は労災で填補されないため免責されません。業界裏話ヒント:安全配慮義務違反(民法 415 条)があると、労災・労基補償で足りない差額を会社が負う。労災保険に入っているから安心ではなく、安全配慮を尽くした記録(教育・点検)を残すことが本当の防御になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 84 条:労災・労基補償・民法賠償の重複調整 | — |
| 填補の範囲 | 同一の事由・その価額の限度でのみ免責 | — |
| 慰謝料の扱い | 同一の事由に当たらず別途請求可 | — |
| 残請求の根拠 | 民法 415 条・709 条で差額請求 | — |
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