労働基準法 第77条(障害補償)
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労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治つた場合において、その身体に障害が存するときは、使用者は、その障害の程度に応じて、平均賃金に別表第二に定める日数を乗じて得た金額の障害補償を行わなければならない。
この条文の基本情報
障害補償とは何ですか?
定義障害補償とは、労働基準法第77条に定められた規定で、「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治つた場合において、その身体に障害が存するときは、使用者は、その障害の程度に応じて、平均賃金に別表第二に定める日数を乗じ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働基準法第77条(障害補償)は、日本の労働基準法に含まれる条文です。
- 労働基準法第77条の条文原文は「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治つた場合において、その身体に障害が存するときは、使用者は、その障害の程度に応じて、平均賃金に別表第二に定める日数を乗じ…」で始まります。
- 労働基準法第77条は第八章に置かれています。
- 労働基準法の公布日は昭和22年4月7日です。
- 労働基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 労働基準法第77条の前の条は労働基準法第76条です。
- 労働基準法第77条の次の条は労働基準法第78条です。
- 労働基準法第77条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第77条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 - 本サイト収録
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第77条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000049/77
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働基準法77条は、業務上の負傷・疾病が治った後に障害が残った場合、使用者が障害の程度に応じた障害補償を行う義務を定める無過失責任の規定である。
Q · 仕事で怪我をして障害が残ったら、会社は補償してくれるの?
はい。会社の過失を問わない無過失責任です
労働基準法77条により、業務上の負傷・疾病が治った後に障害が残ったとき、使用者は障害の程度に応じて平均賃金に別表第二の日数を乗じた額の障害補償を行う義務を負います。会社の過失は不要な無過失責任です。実務では国の労災保険が肩代わりし、給付がなされた限度で会社は補償を免れます(労基法84条)。ただし労災保険も77条も慰謝料は一切含まないため、会社に安全配慮義務違反があれば慰謝料・逸失利益の差額を民事で別途請求できます。
解説
プレス機に左手を挟まれ、指が二本動かなくなった。治療は終わったが、もう元には戻らない。この瞬間、労基法77条があなたの背後に立っている。仕事で負った怪我や病気が「治った」あとに障害が残ったとき、会社はその障害の程度に応じて、平均賃金に別表第二の日数を掛けた金額の障害補償を支払う義務を負う。ここで知っておくべき核心が二つある。第一に、これは無過失責任だ。会社にミスがあろうがなかろうが、業務上の負傷・疾病による障害なら支払い義務が発生する。第二に、実務でこの条文を会社へ直接突きつける人は少ない。国の労災保険が肩代わりし、保険給付がなされた限度で会社は補償義務を免れるからだ(労基法84条)。だが労災保険が払うのは定型の補償だけで、精神的損害つまり慰謝料は一円も含まれない。あなたの本当の戦場は、その先にある会社への民事請求まで届くかどうかを見極めるところから始まる。
法的な位置づけ
労働基準法77条が定める障害補償とは、労働者が業務上の負傷または疾病の治癒後に身体障害が残存した場合に、使用者が障害の程度に応じて平均賃金に別表第二の日数を乗じた金額を支払う無過失の災害補償をいう。療養補償(75条)・休業補償(76条)と並ぶ災害補償の一類型である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.業務上の負傷・疾病であることを診療記録に残す 受診先で「仕事中/業務が原因の負傷・疾病」であることを医師に明確に伝え、カルテに業務起因性が分かる形で記録してもらう。後の労災認定と等級認定の土台になる
- 2.労働基準監督署で労災保険の請求手続を進める 会社が協力しなくても労働者本人が労災保険の給付請求を申請できる。会社が労災未加入でも給付は受けられ、国が後から会社へ費用を徴収する仕組みがある
- 3.症状固定の前に後遺症を医師へ漏れなく伝える 症状固定の診察で、痛み・可動域制限・しびれ・集中力低下などを具体的に伝え忘れない。後遺障害診断書の記載精度が障害等級を直接左右し、等級が一段違えば補償日数が数百日分動く
- 4.障害等級確定後、会社への民事請求の余地を検討する 障害等級が確定したら、会社の安全配慮義務違反(労働契約法5条)や過失(民法709条)の有無を検討し、労災が払わない慰謝料・逸失利益の差額請求を弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1障害補償とは何ですか?
業務上の負傷・疾病が治った後に障害が残ったとき、使用者が障害の程度に応じて平均賃金に別表第二の日数を乗じた額を支払う無過失の災害補償です(労基法77条)。
Q2障害補償の請求はいつまでにすればいいですか?
労基法上の災害補償請求権は治癒(症状固定)日から2年で時効消滅します(労基法115条)。労災保険の障害補償給付は5年です(労災保険法42条)。
Q3障害補償の金額はどう計算しますか?
平均賃金(1日あたり)に、障害等級ごとの別表第二の補償日数(第1級1340日〜第14級50日)を乗じて算出します。等級が一段違うだけで数百日分変わります。
Q4労災と障害補償は同じものですか?
労基法77条が使用者の補償義務、労災保険が国による肩代わりです。労災保険給付がなされた限度で使用者の77条補償義務は免除されます(労基法84条)。
Q5うつ病などの精神障害も障害補償の対象になりますか?
業務起因性が認められれば精神障害も「疾病」として77条の射程に入りえます。労災の精神障害認定基準に沿って判断されます。
Q6障害補償は一時金ですか年金ですか?
労基法77条の災害補償は一時金です。労災保険の障害補償給付は第1〜7級が年金、第8〜14級が一時金として支給されます。
Q7症状固定とは何ですか?
これ以上治療を続けても改善が見込めないと医師が判断する状態です。障害補償はこの症状固定後に残った障害について行われ、等級認定の基準時にもなります。
Q8障害等級に納得できない場合はどうすればいいですか?
労災の障害等級認定に不服があれば、審査請求・再審査請求の不服申立てができます。別の専門医のセカンドオピニオンを取る人もいます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1労災保険から障害の一時金をもらいました。これとは別に会社にも請求できるんですか?
できる場合があります。労災保険や労基法77条の補償は定型の損害填補で、慰謝料を含みません。会社に安全配慮義務違反(労働契約法5条)や過失(民法709条)があれば、慰謝料と逸失利益の不足分を民事で別途請求できます。実務のポイント:労災で受け取った給付のうち慰謝料に対応する部分は存在しないため、慰謝料は丸ごと上乗せで取れる余地があります。労災の窓口担当者はこの民事請求の話を積極的にはしてくれない。等級確定後に労災に強い弁護士へ相談するかどうかで、最終回収額が数百万円変わることがある
Q2うちの会社は労災保険に入っていないみたいです。怪我したら補償されないんですか?
補償されます。労基法77条は会社の無過失責任なので、保険加入の有無に関係なく会社が直接支払う義務を負います。会社が未加入でも、労働者は労働基準監督署で労災保険の給付を受けられる仕組みがあります。実務のポイント:会社が労災未加入だと、国は給付したうえで会社から費用を徴収し、さらに遡って保険料も追徴します。「労災を使うと会社に迷惑がかかる」という遠慮は不要で、迷惑がかかるのは未加入だった会社側の自己責任。あなたが請求をためらう理由にはならない
Q3後遺障害の等級って、誰がどうやって決めるんですか? こっちで何かできることはありますか?
労災では労働基準監督署が、医師の後遺障害診断書をもとに障害等級(1級から14級)を認定します。等級ごとに補償日数(別表第二)が定まります(労基則40条が等級の細目を規定)。実務のポイント:等級認定で最も効くのは診断書の記載精度です。症状固定の診察で痛み・可動域制限・しびれを具体的に伝え忘れると、実態より軽い等級になりがち。認定に納得できなければ審査請求・再審査請求の不服申立てができる。最初の認定で諦めず、必要なら別の専門医のセカンドオピニオンを取る人が等級を引き上げている
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社に過失がなければ補償されない」と思っている人が多いが、77条は無過失責任だ。業務上の負傷・疾病で障害が残れば、会社のミスの有無を問わず障害補償義務が生じる。過失を立証する必要がないこと自体が、被災者にとって最大の武器である
- 労災保険の障害補償給付を受け取れば全部終わりだと思い込んでいる人が大半だが、ここに深い落とし穴がある。労災保険も77条の定型補償も、慰謝料を一切含まない。会社に安全配慮義務違反があれば、慰謝料と逸失利益の不足分を民事で別途請求できる。労災で受け取った額は、その損害賠償から控除される範囲が限られるため、トータルの回収額が大きく変わる
- 「会社と補償額を交渉しなければ」と考えて会社に掛け合う人がいるが、その問いの立て方自体がずれている。まず動かすべきは国の労災保険であり、会社が労災に加入していれば窓口は労働基準監督署だ。会社の顔色をうかがう前に、公的給付の請求が先。順番を間違えると、会社の言い値に飲まれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 補償のタイミング | 77条 障害補償:治癒後に障害が残ったとき | 75条 療養補償:治療中の療養費 76条 休業補償:療養のため働けない期間の所得 |
| 算定基準 | 平均賃金 × 別表第二の日数(障害等級ごと) | 必要な療養の費用(実費) 平均賃金の60%(休業1日あたり) |
| 前提 | 症状固定し障害が残存していること | 業務上の負傷・疾病で療養を要すること 療養のため労働できず賃金を受けないこと |
| 共通点 | いずれも無過失責任。労災給付の限度で免除(84条)。慰謝料は含まない | 同左 同左 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も使用者の無過失補償責任を規定し、労工保険による填補と併存する。慰謝料は別途民事請求による点も日本と類似。
韓国も使用者の障害補償義務と産災保険を併設。日本法の強い影響下で形成された制度構造を持つ。
ドイツは公的労災保険(Unfallversicherung)による障害年金が中心。使用者の個別補償義務は保険へ統合されている。
米国は州ごとの労災補償法で permanent disability benefits を規定。原則として労災補償が使用者に対する不法行為訴訟を排他的に代替する(exclusive remedy)点が日本と異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 建設現場の足場から転落し、腰椎を損傷。半年のリハビリを経て症状固定したが、重い物を持てない体になった。労基法77条と労災保険の障害補償給付で後遺障害等級に応じた一時金または年金が出る。だが等級認定の前に動かないと、診断書一枚で等級が一段下がり、補償が数百日分変わる
- もし、長時間労働でうつ病を発症し、寛解後も集中力が戻らない後遺症が残ったとしたら? 「デスクワークだから労災は無関係」と思い込む人が多いが、精神障害も業務上の「疾病」として77条の射程に入りうる。労災の精神障害認定基準を知らないだけで、本来受け取れる補償を捨てている
- 町工場の経営者であるあなたの従業員が、機械で指を失った。会社に過失はないと思っていても、業務上の負傷である以上、77条の障害補償義務は発生する。労災保険に未加入だと、会社が直接全額を支払う羽目になる。あと数日で症状固定、対応を誤れば後で民事賠償まで請求される
- 運送ドライバーが配送中の事故で右足に後遺障害。労災保険の障害補償給付が下りた。だがそれで終わりにしてはいけない。会社の車両整備不良や過密シフトに安全配慮義務違反があれば、労災では出ない慰謝料と逸失利益の差額を、会社に別途請求できる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず受診先で「業務上の負傷・疾病」であることを医師に明確に伝え、診療記録に残す。2. 治療と並行して労働基準監督署で労災保険の請求手続を進める。会社が協力しなくても本人申請が可能。3. 症状固定の前に、後遺症の状態を医師へ漏れなく伝え、後遺障害診断書の精度を上げる。等級が補償額を直結で決める。4. 障害等級が確定したら、会社の安全配慮義務違反の有無を検討し、慰謝料・逸失利益の差額請求(民法709条・労働契約法5条)を弁護士に相談する
訴えられた側:1. 業務上か否かを冷静に確認。業務外であれば77条の補償義務は生じない。2. 労災保険に加入していれば、保険給付がなされた限度で77条の補償義務を免れる(労基法84条)。未加入なら直接負担+遡及保険料・行政指導のリスクを試算。3. 被災者から民事の損害賠償を求められた場合、安全配慮義務を尽くしていたか、過失相殺の余地があるかを検証。4. 早期かつ誠実な補償対応が、後の民事訴訟の慰謝料額と紛争コストを大きく左右する
時効(請求できる期限):労基法上の災害補償請求権は2年で時効消滅(労働基準法115条)。一方、労災保険の障害補償給付を受ける権利は5年(労働者災害補償保険法42条)。いずれも起算点は原則として傷病が治った日(症状固定日)。会社への民事損害賠償(不法行為)は、損害および加害者を知った時から人の身体侵害として5年(民法724条の2)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:77条の障害補償は使用者の無過失責任に基づく定型的な損害填補であり、慰謝料を含まない。安全配慮義務違反や過失がある場合は、民法709条・労働契約法5条に基づく損害賠償によって慰謝料・逸失利益の差額を別途請求できると解する。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:労働基準法の制定により第8章「災害補償」に障害補償(77条)を規定。同年に労働者災害補償保険法を制定し、公的保険による肩代わりの枠組みを併設した。
- 労働基準法 第12条補償額算定の基礎となる平均賃金の定義
- 労働基準法 第75条療養補償、治癒前段階の補償との接続
- 労働基準法 第76条休業補償、療養中の所得補償との役割分担
- 労働基準法 第79条遺族補償、死亡時の補償との対比
- 労働基準法 第84条労災保険給付による補償義務の免除関係
- 労働者災害補償保険法 第15条障害補償給付による公的填補の特則
- 労働契約法 第5条使用者の安全配慮義務、民事損害賠償の根拠
- 民法 第709条不法行為に基づく損害賠償、定型補償を超える慰謝料請求の根拠
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