要点労働基準法 83 条は、災害補償を受ける権利が労働者の退職によって変更されず、譲渡も差押えもできないと定める。裁判所の差押命令も及ばず、補償金は全額が保護される。
Q · 労災の補償金って、会社を辞めたり借金があったりすると取り上げられるんですか?
いいえ、退職でも消えず差押えもできません
労働基準法 83 条 1 項により、災害補償を受ける権利は労働者の退職によって変更されません。在職中のケガや病気が業務上のものなら、辞めた後でも補償を請求できます。さらに同 2 項により、補償を受ける権利は譲渡も差押えもできません。裁判所の差押命令も及ばないため、借金があっても債権者に取り上げられることはありません。補償金は被災労働者の治療と生活の最後の砦として、法律で固定されています。
工場のプレス機に手を挟まれた、現場で足場から落ちた、過労で倒れた。仕事中の事故やケガで会社から受け取る災害補償(療養費、休業中の生活費、障害が残ったときの障害補償)には、世間が知らない二重の鎧が着せてある。第一に、あなたが会社を辞めても、この補償を受ける権利は一円も減らない。「退職したんだから補償は打ち切り」という会社側の常套句は、労働基準法 83 条 1 項の前で崩れる。第二に、この補償金はあなたから取り上げられない。他人に譲り渡すこともできなければ、借金取りや税務署が差し押さえることもできない(同 2 項)。なぜここまで守るのか。補償金はあなたの治療と生活の最後の砦であり、それを他人の手に渡せば、ケガをした本人が路頭に迷うからだ。あなたが今まで「会社の都合で消える金」と思っていたものは、法律が鎖で固定した、誰にも外せない金庫の中身だった。
労働基準法 83 条は、災害補償請求権の保護を定める規定である。第 1 項は補償を受ける権利が労働者の退職によって変更されない旨を、第 2 項は当該権利を譲渡し又は差し押さえてはならない旨を規定し、被災労働者の生活保障を担保する譲渡禁止・差押禁止債権としての性格を明文化する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
業務上の負傷・疾病・障害・死亡に対し、使用者が労働者やその遺族に支払う補償です。療養補償(75 条)、休業補償(76 条)、障害補償(77 条)、遺族補償(79 条)などがあり、83 条がこれらの権利を保護します。
補償を受ける権利は全額が差押禁止です(83 条 2 項)。賃金が原則 4 分の 1 までしか差押えできないのと異なり、災害補償は裁判所の差押命令も及ばず全額が守られます。
災害補償を受ける権利は原則として行使できる時から 2 年で時効消滅します(労働基準法 115 条)。給付の種類により起算点が異なるため早めの手続きが安全です。
労災保険給付がなされるべき場合、使用者は労働基準法上の補償責任を免れます(84 条)。実務では労災保険から給付されるのが通常で、会社へ直接請求する場面は限定されます。
受けられます。派遣社員も労働者であり、業務上の災害なら労災保険の対象です。契約満了直前でも、ケガをした時点で発生した補償請求権は退職や契約終了で変更されません。
譲れません。補償を受ける権利は譲渡禁止です(83 条 2 項)。ただし本人が亡くなった場合の遺族補償(79 条)は、法律が定めた遺族の範囲・順位で受給者が決まります。
労働基準法の災害補償は「業務上」の災害が対象です。通勤災害は労災保険法の通勤災害給付の枠で扱われ、こちらも譲渡・差押禁止の保護があります(労災保険法 12 条の 5)。
差押禁止は「受け取る前の権利」に及びます。口座に振り込まれた後の現金は預金債権として差押えの対象になりうるため、入金の出所を記録しておくと対抗しやすくなります。
できます。補償を受ける権利は退職によって変更されない(83 条 1 項)ので、ケガや病気が業務上のものなら、退職後でも療養補償や障害補償を請求できます。請求先は会社経由ではなく労働基準監督署です。業界裏話ヒント:会社が「退職したらもう無理」と言うのは法的根拠のない揺さぶりで、退職金を上乗せする代わりに労災申請を諦めさせようとするケースが実際にあります。退職条件の交渉と労災補償は完全に別物として、両方とも取りに行くのが正解
差し押さえられません。補償を受ける権利は差押えが禁止されており(83 条 2 項)、裁判所の差押命令も及びません。給料が原則 4 分の 1 まで差押え可能なのとは守りの厚さが違います。業界裏話ヒント:いったん口座に振り込まれた後の現金は、口座残高として差押えの対象になりうるという落とし穴があります。補償金を受け取ったら、生活費として速やかに使うか、差押禁止財産だと立証できるよう入金の出所を記録しておくと、後で口座差押えに対抗しやすい
原則できません。補償を受ける権利は譲渡が禁止されており(83 条 2 項)、本人から他人へ権利そのものを移すことはできません。本人が亡くなった場合の遺族補償(79 条)は、法律が定めた遺族の範囲・順位で受給者が決まります。業界裏話ヒント:『権利』は譲れなくても、本人が受け取った後の『現金』は自由に贈与・相続できます。譲渡禁止が効くのは受け取る前の段階だけ、という線引きを知っていると、家族間でのお金のやり取りで混乱しなくて済む
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 差押えの可否 | 災害補償請求権(83 条):全額が差押禁止、差押命令も及ばない | — |
| 譲渡の可否 | 譲渡禁止(83 条 2 項) | — |
| 退職の影響 | 退職によって権利は変更されない(83 条 1 項) | — |
| 保護の根拠・趣旨 | 被災労働者の治療・生活の最後の砦としての生存権保障 | — |
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