使用者は、支払能力のあることを証明し、補償を受けるべき者の同意を得た場合においては、第七十七条又は第七十九条の規定による補償に替え、平均賃金に別表第三に定める日数を乗じて得た金額を、六年にわたり毎年補償することができる。
要点労働基準法 82 条は、使用者が支払能力を証明し被災者の同意を得た場合に限り、障害補償・遺族補償を 6 年間の分割払いにできると定める。同意がなければ一括払いが原則となる。
Q · 会社から「労災補償は 6 年の分割で払いたい」と言われたら、従うしかないの?
会社の分割提案は、あなたが同意しなければ成立しません
労働基準法 82 条により、使用者が補償を分割払いにできるのは「支払能力があることを証明し」かつ「補償を受けるべき者の同意を得た場合」に限られます。つまり分割は会社の一方的な権利ではなく、あなたが拒否すれば第 77 条の障害補償・第 79 条の遺族補償は原則どおり一括で支払う義務が会社に残ります。同意を検討する場合は、会社の支払能力の証明(決算書・資金計画)を書面で求め、6 年後まで支払い続ける体力があるかを見極めることが分水嶺になります。
工場のプレス機で指を失った。あるいは、家族が現場の事故で亡くなった。労災の補償が認められ、会社が支払う段になって、こう切り出してくる。「まとまった額は厳しいので、毎年少しずつ、6年に分けて払わせてほしい」。一見すると譲歩を迫られているように感じるが、労働基準法82条はあなたに決定的な一札を握らせている。この分割払いは、あなたの同意がなければ一円もずらせない。さらに会社は「支払能力があること」を証明しなければならない。つまり、払う気はあるが今はキャッシュが苦しい会社が、あなたの首を縦に振らせて初めて成立する仕組みだ。第77条の障害補償、第79条の遺族補償、本来なら一括で受け取れる金額を、別表第三の日数に従って毎年分割する。あなたが「いいえ」と言えば、会社は原則どおり一括で払うしかない。問題は、その「いいえ」を言える立場にあることを、被災した本人がほとんど知らないという点だ。
労働基準法 82 条は分割補償を定める規定であり、使用者が支払能力を証明し補償権利者の同意を得た場合に限り、第 77 条の障害補償または第 79 条の遺族補償に替えて、平均賃金に別表第三の日数を乗じた金額を 6 年間毎年分割して補償することを認める例外規定である。同意を欠く分割は法的に成立しない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
労災補償の一括払いに替えて、平均賃金に別表第三の日数を乗じた額を 6 年間毎年支払う方式です。労基法 82 条が根拠で、支払能力の証明と被災者の同意が成立要件です。
労働基準法に付属する表で、障害補償・遺族補償を分割する際の各年の補償日数を定めたものです。この日数に平均賃金を乗じて各年の補償額が決まります。
原則として事由発生日以前 3 か月間に支払われた賃金総額を、その期間の総日数で除して算定します(労基法 12 条)。分割補償の各年の金額計算の基礎になります。
障害補償(77 条)は労働者本人に後遺障害が残った場合、遺族補償(79 条)は労働者が死亡した場合に遺族へ支払われます。どちらも 82 条で 6 年分割の対象になり得ます。
打切補償は療養が長期化した際に平均賃金 1200 日分を支払って以後の補償を打ち切る制度、分割補償は障害・遺族補償の支払方法を 6 年分割にする制度で、目的が異なります。
労基法 115 条により災害補償を受ける権利の消滅時効は原則 5 年です(経過措置にご留意ください)。分割補償は各年の支払期日がそれぞれ時効の起算点になり得ます。
決算書、資金繰り表、資金計画など、6 年間分割を履行できる客観的資料を指します。証明がなければ 82 条の分割提案は法的に成立しません。
平均賃金に別表第三が定める各年の日数を乗じて算定します。総額が一括補償額と均衡するよう年ごとの日数が配分されています。
断っても不利にはなりません。労基法82条の分割補償は「補償を受けるべき者の同意」が成立要件なので、あなたが拒否すれば会社は第77条や第79条に基づき原則どおり一括で払う義務を負います。業界裏話ヒント: 会社が分割を持ちかけるのは資金繰りが苦しいサインであることが多い。本当に支払能力があるなら一括で払えるはずです。だから分割提案を受けたら、まず会社の財務状態を疑ってかかるのが実務的な姿勢です
原則として残額は破産手続の中で一般債権として扱われ、満額回収は難しくなります。一括で受け取っていればこのリスクはありませんでした。だからこそ82条は会社に「支払能力があること」の証明を課しています。業界裏話ヒント: 同意する前に必ず証明資料を書面で取り、可能なら保証人や担保を求める。証明書を残しておけば、後で支払いが滞ったときに強制執行の根拠になります。口約束の分割同意が一番危ない
原則として二重には受け取れません。労働者災害補償保険法による給付がある範囲で、会社の労基法上の補償義務は免れます(労基法84条)。82条の分割補償が会社の直接負担として問題になるのは、労災保険でカバーされない部分などに限られます。業界裏話ヒント: まず労災保険の手続が動いているかを確認するのが先決。会社が「うちから分割で払う」と言ってきたとき、それが労災保険と別枠の上乗せ補償なのか、保険適用外の特殊事情なのかを切り分けないと、損得の計算自体を間違えます
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 82 条:障害・遺族補償を 6 年分割払いにする支払方法の特則 | — |
| 成立要件 | 支払能力の証明 + 補償権利者の同意(二重の関門) | — |
| 被災者の決定権 | 同意が成立要件、拒否すれば一括払いに戻る | — |
| 倒産時のリスク | 残額が破産債権に落ち満額回収困難、6 年間リスクを負う | — |
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