第七十五条の規定によつて補償を受ける労働者が、療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の千二百日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。
要点労働基準法81条は、業務災害の療養開始から3年経っても治らない場合、使用者が平均賃金1200日分の打切補償を払えば以後の補償を打ち切れると定める。同時に解雇制限も外れる。
Q · 療養が3年続いたら、会社は打切補償を払って補償をやめられるの?
業務災害で3年治らなければ可能。解雇制限も外れる
労働基準法81条により、75条の療養補償を受ける労働者が療養開始後3年を経過しても治らない場合、使用者は平均賃金1200日分の打切補償を支払えば、以後この法律に基づく補償を打ち切れます。重要なのは、この支払いが19条の解雇制限を同時に解除する点です。最高裁(専修大学事件)は、労災保険から療養補償給付を受けている労働者についても、打切補償相当額の支払いで解雇制限が外れると判断しました。ただし解雇には別途20条の予告や労働契約法16条の合理性が必要です。
業務中に腰を壊し、もう何年も治療を続けている労働者にとって、労働基準法81条は静かに刻まれた時限装置である。75条で会社が払い続けてきた療養補償(治療費や療養中の生活を支える金)が、永遠に続くと思っていると足元をすくわれる。療養開始から3年。この日を境に、会社は平均賃金の1,200日分(約3.3年分の給料)を一度に支払えば、それ以降この法律に基づく補償を一切打ち切れる。打切補償と呼ばれる仕組みだ。だがあなたが本当に知るべきことは別の場所に潜んでいる。労基法19条は、業務災害で療養中の労働者の解雇を禁じている。ところが、この81条の打切補償を払った瞬間、その解雇制限の鎖が外れる。1,200日分の支払いは、補償の終了であると同時に、解雇への扉を開ける鍵でもある。会社が突然「打切補償を払う」と言い出したとき、それはあなたを切る準備が整ったという合図かもしれない。
打切補償とは、業務災害の療養補償(労働基準法75条)を受ける労働者が療養開始後3年を経過しても傷病が治らない場合に、使用者が平均賃金1200日分を一度に支払うことで以後の災害補償義務を免れる制度をいう。この支払いは同法19条の解雇制限を解除する効果を併せ持つ。
AI 輔助整理,以條文原文為準
業務災害の療養補償を受ける労働者が療養開始後3年経っても治らない場合、使用者が平均賃金1200日分を払って以後の災害補償を打ち切る制度です(労基法81条)。
使用者(会社)です。労災保険ではなく会社が能動的に平均賃金1200日分を支払って初めて効力が生じます。会社が動かなければ補償義務は続きます。
なりません。3年経過は要件の一つで、使用者が平均賃金1200日分を実際に支払って初めて効力が生じます。自動で補償が消える制度ではありません。
打切補償(81条)は3年治らない場合に補償を打ち切る一時金、障害補償(77条)は症状固定後に残った障害の程度に応じて支払う補償で、根拠も目的も異なります。
なりません。81条は75条の業務災害の療養補償が前提で、通勤災害は対象外です。会社側が制度を誤解しているケースもあります。
労働基準法上の災害補償その他の請求権は、行使できる時から2年で時効消滅します(労基法115条)。打切補償をめぐる金銭請求もこの期間に服します。
労災保険法19条により、傷病補償年金を3年受け続けると打切補償を支払ったとみなされ、会社が一銭も出さなくても解雇制限が外れる場合があります。
不要にはなりません。打切補償は19条の解雇制限を外すだけで、解雇には別途20条の予告(または予告手当)と労働契約法16条の合理性が必要です。
できます。労基法19条は療養中の解雇を禁じていますが、81条の打切補償を払えばその制限が外れます(19条1項但書)。ただし解雇制限が外れるだけで、解雇そのものには20条の予告と労働契約法16条の合理性が別途必要です。業界裏話ヒント:打切補償を払った=自由に解雇できる、ではありません。実務では打切補償後の解雇が「解雇権の濫用」として無効になった例もある。会社が打切補償だけを根拠に解雇してきたら、解雇の合理性を別途争う余地が残っている
できる、というのが最高裁の立場です(専修大学事件、最判平成27.6.8)。労災保険から療養補償給付を受けている労働者についても、会社が打切補償相当額を支払えば19条の解雇制限は外れると判断されました。業界裏話ヒント:この判決を知らない労働者は「労災をもらっているから解雇されない」と油断しがちです。実際は逆。さらに労災保険法19条では、傷病補償年金を3年受け続けると打切補償を支払ったとみなされ、会社が一銭も出さなくても解雇制限が外れる場合がある
平均賃金(労基法12条)の1,200日分です。平均賃金は原則として直前3か月間に支払われた賃金総額を、その期間の暦日数で割って算出します。3か月を超える期間ごとに支払われる賞与は算定基礎から除かれます。業界裏話ヒント:算定の起算日や、休業期間・育休期間などの控除を会社が誤ると、提示額が数十万円ずれることがある。提示された金額をそのまま受け取る前に、直近の給与明細を持って労基署か社労士に検算してもらうと、取りこぼしを防げる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 発生する場面 | 81条 打切補償:療養開始後3年経っても治らない | — |
| 金額の基準 | 平均賃金の1200日分(一時金) | — |
| 解雇制限(19条)への効果 | 支払えば解雇制限が外れる | — |
| 使用者の負担の終点 | 以後の労基法上の補償義務が消滅 | — |
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