労働基準法 第80条(葬祭料)
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労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、葬祭を行う者に対して、平均賃金の六十日分の葬祭料を支払わなければならない。
この条文の基本情報
葬祭料とは何ですか?
定義葬祭料とは、労働基準法第80条に定められた規定で、「労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、葬祭を行う者に対して、平均賃金の六十日分の葬祭料を支払わなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働基準法第80条(葬祭料)は、日本の労働基準法に含まれる条文です。
- 労働基準法第80条の条文原文は「労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、葬祭を行う者に対して、平均賃金の六十日分の葬祭料を支払わなければならない。」で始まります。
- 労働基準法第80条は第八章に置かれています。
- 労働基準法の公布日は昭和22年4月7日です。
- 労働基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 労働基準法第80条の前の条は労働基準法第79条です。
- 労働基準法第80条の次の条は労働基準法第81条です。
- 労働基準法第80条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第80条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 - 本サイト収録
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第80条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000049/80
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働基準法80条は、労働者が業務上死亡した場合に、使用者が葬祭を行う者へ平均賃金60日分の葬祭料を支払うと定める。受取人は遺族ではなく葬式を出した者である。
Q · 職場で家族が亡くなったら、葬祭料はだれが、どこからもらえるの?
葬式を出した人が平均賃金60日分を受け取れます
労働基準法80条により、労働者が業務上死亡したとき、使用者は葬祭を行う者に平均賃金の60日分の葬祭料を支払わなければなりません。受取人は遺族ではなく、実際に葬式を執り行った者です。実務では労災保険から葬祭料が給付されるのが通常で、その範囲では同法84条により会社の補償義務が免除されます。労災の葬祭料は「31万5千円+給付基礎日額30日分」と「給付基礎日額60日分」の高い方で、会社の60日分より多くなることが多く、遺族は会社を通さず労働基準監督署へ直接請求できます。
解説
職場で家族が亡くなった。労災の手続きは会社がやってくれるものだと思い込んでいないか。労働基準法80条は、労働者が業務上死亡したとき、使用者は葬祭を行う者に対して平均賃金の60日分の葬祭料を支払わなければならないと定める。ここに見落とされがちな急所が二つある。第一に、受取人は「遺族」ではなく「葬祭を行う者」だ。喪主が戸籍上の家族でなくても、実際に葬式を出した人が受け取る。第二に、この使用者の補償責任は労災保険でカバーされるのが通常で、84条により会社は労災給付がある範囲で補償義務を免れる。そして労災保険の葬祭料は「31万5千円+給付基礎日額30日分」と「給付基礎日額60日分」の高い方なので、労基法の60日分より多くなることが多い。会社任せにせず、自分で労働基準監督署に請求できると知っているかどうかで、受け取る額もスピードも変わってくる。
法的な位置づけ
労働基準法80条は業務上の死亡に対する葬祭料を定める規定であり、使用者は葬祭を行う者に対して平均賃金の60日分を支払う義務を負う。受取人は遺族補償(79条)と異なり、実際に葬祭を執り行った者である。無過失の災害補償責任の一環として位置づけられ、労災保険による補償と調整される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.死亡が「業務上」かを確認する 事故死だけでなく過労死・職業病も「業務上の死亡」に含まれうる。判断に迷う場合は所轄の労働基準監督署に相談し、業務起因性の見込みを確認する
- 2.葬儀費用の領収書と喪主の立場を証明する資料を確保 葬祭料の受取人は「葬祭を行う者」。葬儀直後に費用の領収書、喪主であることを示す資料をまとめて確保しておくと、後の請求が一発で通る
- 3.労災保険の葬祭料請求書を所轄労基署へ提出 葬祭料請求書(労災保険様式第16号)に必要事項を記入し、所轄の労働基準監督署へ提出する。会社の証明欄が得られなくても、葬祭を行った者から直接請求できる
- 4.会社の協力が得られない場合は労基署へ直接相談 会社が労災申請に消極的なときは「労働基準監督署に直接請求します」と伝える。労災隠しは労働安全衛生法違反の犯罪であり、会社が協力姿勢に転じることが多い
よくある質問 AI による整理
Q1労働基準法80条の葬祭料とは何ですか?
労働者が業務上死亡したとき、使用者が葬祭を行う者に平均賃金の60日分を支払う補償です。遺族補償とは別の補償で、葬式を出した人が受け取ります。
Q2労災の葬祭料はいくらもらえますか?
「31万5千円+給付基礎日額30日分」と「給付基礎日額60日分」の高い方です。労基法80条の60日分より多くなることが多く、労災請求のほうが得になりやすいです。
Q3葬祭料の請求はいつまでにすればいいですか?
労災保険の葬祭料の時効は2年で、起算点は労働者が死亡した日の翌日です。労基法の災害補償請求権も時効2年と短いため、早めの請求が必要です。
Q4通勤途中の事故で死亡した場合も葬祭料は出ますか?
通勤災害は労基法80条の対象外ですが、労災保険の葬祭給付(労災保険法22条の5)でカバーされます。入口は違いますが葬祭費用は補償されます。
Q5会社が労災を認めない場合はどうすればいいですか?
労災かどうかを認定するのは会社ではなく労働基準監督署です。会社の協力がなくても、遺族は労基署へ直接葬祭料を請求できます。会社の同意は要件ではありません。
Q6内縁の妻や友人が喪主でも葬祭料はもらえますか?
もらえます。条文の受取人は「葬祭を行う者」です。戸籍上の家族でなくても、実際に葬式を執り行い費用を負担した人が請求できます。
Q7過労死でも葬祭料の対象になりますか?
脳・心臓疾患や精神障害による死亡が「業務上」と認定されれば対象です。業務起因性の認定が壁となり、認定されれば遺族補償年金も連動します。
Q8一人親方やフリーランスは葬祭料を請求できますか?
原則対象外ですが、建設業などで労災保険に特別加入していれば、業務上の死亡で葬祭料の対象になります。特別加入の有無が分かれ目です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1葬祭料って、結局だれがもらえるんですか?遺族ですか?
受取人は「葬祭を行う者」です(労基法80条)。実際に葬式を執り行い費用を負担した人で、遺族とは限りません。内縁の配偶者や友人が喪主なら、その人が請求できます。実務のポイント:遺族補償(79条)は遺族に、葬祭料は葬祭を行った者に、と受取人の決め方が分かれています。家族間で葬儀費用を立て替えた人がいるなら、その人名義で領収書を残しておくと請求が通りやすい
Q2労災保険からも葬祭料が出ると聞きました。会社の分と両方もらえるんですか?
両方は出ません。労災保険から葬祭料が支給されると、その範囲で使用者は労基法80条の補償義務を免れます(84条)。実務上は労災保険からの支給が基本です。実務のポイント:労災の葬祭料は『31万5千円+給付基礎日額30日分』と『給付基礎日額60日分』の高い方。労基法の60日分より多くなるのが普通なので、会社が60日分だけ提示してきたら、労災請求のほうが得かを必ず確認する(最新の改正状況をご確認ください)
Q3会社が『労災じゃない』と言って手続きしてくれません。泣き寝入りですか?
いいえ。労災かどうかを決めるのは会社ではなく労働基準監督署です。遺族は会社の協力なしに、労基署へ直接労災請求(葬祭料を含む)ができます。実務のポイント:会社が労災の発生を隠す『労災隠し』は労働安全衛生法違反の犯罪です。『労基署に直接相談します』と伝えるだけで会社の態度が変わることが多い。協力を拒む会社ほど安全配慮義務違反など別の問題を抱えていることが多く、それが民事賠償の入口にもなる
間違えやすい点 AI による整理
- 「葬祭料は遺族がもらうもの」と思われているが、条文の受取人は『葬祭を行う者』だ。実際に葬式を出した人が遺族でなければ、その人が受け取る。遺族に支払われる遺族補償(79条)とは、受取人の決め方そのものが違う
- 労災保険に入っていれば安心、とは知っていても、その安心の中身まで知る人は少ない。労災の葬祭料は「31万5千円+給付基礎日額30日分」と「給付基礎日額60日分」の高い方で、労基法80条の60日分より多くなるのが通常。会社の60日分だけで納得して労災請求を怠ると、もらえたはずの差額を捨てることになる(最新の改正状況をご確認ください)
- 「会社が労災を認めてくれない、もう諦めるしかない」という問いの立て方そのものが誤っている。労災かどうかを認定する権限は会社ではなく労働基準監督署にある。会社が非協力でも、遺族は労基署へ直接請求できる。会社の同意は請求の要件ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 補償の対象・受取人 | 80条:葬祭料 — 葬祭を行う者(葬式を出した人) | 79条:遺族補償 — 遺族 75条:療養補償 — 負傷・疾病の労働者本人 |
| 金額の基準 | 平均賃金の60日分 | 平均賃金の1000日分 必要な療養費の全額 |
| 労災保険との調整 | 84条により労災給付の範囲で使用者は免責 | 84条により労災給付の範囲で使用者は免責 84条により労災給付の範囲で使用者は免責 |
| 時効 | 2年(労基法115条 / 労災保険法42条) | 5年(年金は支分権ごと) 2年 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は職業災害補償として喪葬費5か月分の平均賃金を定める。日本の60日分より基準が手厚く、雇用主の補償責任という構造は共通する。
韓国も使用者による장례비(葬礼費)を定め、産業災害補償保険法による社会保険給付と調整される点が日本と類似する。
ドイツは個別使用者の補償ではなく、法定災害保険(gesetzliche Unfallversicherung)による Sterbegeld として給付し、補償の社会化が徹底している。
米国は州ごとの労災補償法で burial/funeral benefits を定め、上限額が州法で設定される。連邦統一法はなく州により扱いが分かれる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 夫が建設現場の事故で亡くなった。葬儀の手配で頭がいっぱいの数日間に、労災の葬祭料請求の時効が静かに進み始めている。死亡日の翌日から2年。しかし会社とのやり取りや書類準備に追われ、気づけば1年が過ぎていることは珍しくない
- もし喪主を務めたのが内縁の妻や、亡くなった人の親友だったら、葬祭料は誰に支払われるのか。条文は「葬祭を行う者」と書く。実際に葬式を出し費用を負担した人が請求できる。遺族補償(79条)とは受取人の決まり方が分かれることがある
- あなたが小さな運送会社の経営者で、ドライバーが配送中の事故で亡くなった。労災保険に入っているから自分は何も払わなくていい、と思っているかもしれない。だが報告を怠り労災隠しに走れば、遺族から労基法80条・79条で直接請求され、さらに刑事罰のリスクも背負う
- 通勤途中の事故で亡くなった。これは「業務上」か。通勤災害は労基法80条の対象外だが、労災保険の葬祭給付(労働者災害補償保険法22条の5)がカバーする。入口の違いで請求ルートそのものが変わる
- 工場で長時間労働の末に倒れ、脳・心臓疾患で亡くなった家族。「業務上の死亡」と認められれば葬祭料の対象になるが、業務起因性の認定が最大の壁。労基署の認定を争う局面では、葬祭料だけでなく遺族補償年金も連動して決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 葬儀費用の領収書、自分が喪主であることを示す資料を確保2. 死亡が『業務上』か確認(過労死・職業病も含む)、不明なら所轄の労働基準監督署に相談3. 労災保険の葬祭料を請求(請求書を所轄労基署へ)、会社の協力が得られなくても葬祭を行った者から直接請求できる4. 労災が業務外と判断されても、会社に安全配慮義務違反があれば民法709条・415条で別途損害賠償を検討する
訴えられた側:1. 労働者の業務上死亡を確認したら、速やかに労災保険給付の手続きに協力(死亡の報告を怠ると労災隠しで処罰されうる) 2. 労災保険でカバーされる範囲は労基法80条の補償義務を免れる(84条) 3. 労災未加入や手続き遅延があれば、遺族から労基法80条・79条で直接補償を請求される4. 安全配慮義務違反が疑われる事案では、別途民事賠償のリスクを想定し、再発防止と誠実な対応を優先する
時効(請求できる期限):災害補償請求権の時効は2年(労働基準法115条)、労災保険の葬祭料も2年(労働者災害補償保険法42条)。起算点は労働者が死亡した日の翌日。賃金請求権の時効(5年、当面3年)とは別の短い時効なので注意(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:80条の葬祭料は使用者の無過失災害補償責任の一環であり、受取人は「葬祭を行う者」として遺族補償(79条)とは区別される。労災保険給付がある範囲では84条により使用者は補償義務を免れ、実務上は労災保険からの給付が中心となると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:労働基準法の制定により、災害補償体系(75条以下)の一部として葬祭料を定める80条が新設された。使用者の無過失補償責任として位置づけられた。
- 労働基準法 第75条療養補償、災害補償体系の起点
- 労働基準法 第79条遺族補償、死亡時の補償で受取人が異なる
- 労働基準法 第84条労災保険給付による補償義務の免責調整
- 労働基準法 第12条平均賃金の定義、葬祭料算定の基準
- 労働者災害補償保険法 第17条労災保険による葬祭料給付の特則
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