要点労働基準法85条は、災害補償の認定や金額に異議のある者が行政官庁へ審査・仲裁を申し立てられると定める。申立ては時効の完成猶予・更新につき裁判上の請求とみなされる。
Q · 会社の労災補償の提示に納得できないとき、裁判するしかないの?
いいえ、裁判の前に労基署へ審査や仲裁を申し立てられます
労働基準法85条により、業務上の負傷・疾病・死亡の認定や補償金額の決定その他補償の実施に異議のある者は、行政官庁(実務では所轄の労働基準監督署長)に対して審査又は事件の仲裁を申し立てることができます。行政官庁は必要なら医師に診断・検案をさせることもできます(4項)。さらに第5項により、この申立ては時効の完成猶予及び更新について裁判上の請求とみなされ、補償請求権の時効(原則2年)の進行を止められます。ただし同じ事件で民事訴訟が提起されると、行政官庁は審査・仲裁をしません(3項)。
工場のプレス機に指を挟まれた、配送中に追突されて腰を痛めた、過労で倒れて入院した。業務中の怪我や病気をめぐって、会社が「それは業務上のものではない」「補償額はこれで十分だ」と言ってきたとき、あなたが取れる道は裁判だけではない。労働基準法 85 条は、補償の認定や金額に異議がある者は、行政官庁(実務では所轄の労働基準監督署長)に対して審査または仲裁を申し立てられると定める。裁判より速く、費用も抑えられる行政ルートだ。そして見落とされがちな切り札が第 5 項にある。この申立てをした瞬間、それは裁判上の請求とみなされ、補償請求権の時効(原則 2 年)の進行が止まる。会社と交渉しているうちに時効が来てしまう、その悪夢を一通の申立書が止める。多くの被災労働者は、この制度の存在すら知らないまま、会社の言い値に印鑑を押している。
労働基準法85条は災害補償に関する不服申立て手続を定める規定であり、業務上の負傷・疾病・死亡の認定や補償金額の決定その他補償の実施に異議のある者が、行政官庁に対して審査又は事件の仲裁を申し立てられる旨を規定する。第5項は、この申立てを時効の完成猶予及び更新について裁判上の請求とみなす。
AI 輔助整理,以條文原文為準
災害補償の認定や金額に異議のある者が、行政官庁(所轄の労働基準監督署長)へ審査又は事件の仲裁を申し立てられると定めた規定です。申立ては時効の完成猶予・更新につき裁判上の請求とみなされます。
行政官庁、実務では災害発生地を管轄する所轄の労働基準監督署長に対して申し立てます。労災保険給付の請求と並行して進めるのが一般的です。
災害補償請求権の時効は原則2年です(労働基準法115条、最新の改正状況は要確認)。85条5項の審査・仲裁の申立てで完成猶予・更新の効果が生じます。
行政官庁への審査・仲裁は訴訟より軽い簡易手続として設計され、訴訟費用や高額な弁護士費用を要さず利用できる点が利点です。
同じ事件で民事訴訟が提起されると、行政官庁はその事件の審査・仲裁をしません(85条3項)。まず行政で事実を固め、不服なら訴訟という順番が定石です。
過労によるうつ病・適応障害など精神疾患も「業務上の疾病」として補償対象になりえます。会社の一方的な「業務外」認定には審査申立てで争えます。
審査・仲裁の結果に不服がある場合は、最終的に裁判所での民事訴訟で権利義務を確定できます。行政手続が司法の道を奪うものではありません。
できます。85条2項により、行政官庁は必要があると認める場合、職権で審査又は事件の仲裁を開始できます。
できる場合があります。労災保険給付がある範囲では使用者の災害補償義務は免れます(労基法 84 条)が、労災保険は治療費や休業補償をカバーする一方、慰謝料は含みません。精神的損害や保険の上乗せ分は安全配慮義務違反として会社に民事請求(民法 415 条)できます。業界裏話ヒント:弁護士は「労災保険=終わり」とは考えず、保険給付で固めた業務起因性をそのまま使って会社への慰謝料請求に進みます。保険の決定通知は、次の戦いの強力な証拠になる
二つ動かせます。一つは所轄労基署への労災保険給付の請求で、監督署が業務起因性を判断します。もう一つが 85 条の審査・仲裁の申立てで、第 4 項により医師に診断・検案をさせることもできます。業界裏話ヒント:実務では労災保険の認定が先に出ると、その判断が会社との交渉でも事実上の物差しになります。会社の「業務外」という主張は、監督署が業務上と認定した瞬間に説得力を失う。まず行政の判断を取りにいくのが定石
まだ間に合う可能性があります。85 条 5 項により、審査または仲裁の申立てをすれば、それは裁判上の請求とみなされ、補償請求権の時効の進行が止まります(完成猶予・更新)。業界裏話ヒント:内容証明での催告(民法 150 条)が稼げる猶予は六か月だけですが、85 条の申立ては「裁判上の請求」級の効果を持つ。時効が迫ったら催告で粘るより、この申立てを打つほうが格段に強い。多くの人がこの差を知らずに権利を失っている
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 85条:補償をめぐる不服の審査・仲裁手続 | — |
| 時効との関係 | 5項で申立てを裁判上の請求とみなし時効の完成猶予・更新 | — |
| 労災保険との関係 | 保険でカバーされない部分の争いで実益 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。