要点地方自治法 180 条は、議会が議決で指定した軽易な事項について、長が議会の議決を経ず専決処分できると定める。長は専決後に議会へ報告する義務を負う。
Q · 市が議会の議決なしに少額の和解金を払ったら、それは違法じゃないの?
議会が事前指定した範囲内なら適法な専決処分です
地方自治法 180 条により、議会がその議決で特に指定した軽易な事項は、長が議会の議決を経ずに専決処分できます。少額の和解や損害賠償が指定範囲内であれば、市長一人の決裁でも完全に適法です。ただし指定範囲を一円でも超えれば権限なき違法支出となり、住民監査請求・住民訴訟の対象になります。179 条の緊急時専決とは別物で、180 条は議会が平時に自ら委ねた効率化装置です。長は専決後、議会に報告する義務を負います(2 項)。
市役所が起こした軽微な公用車事故の和解金 8 万円、これを誰が決めたか調べると議会の議事録には出てこない。市長が一人で決裁したからだ。違法ではない。地方自治法 180 条が、議会の権限に属する『軽易な事項』のうち、議会があらかじめ議決で指定したものについては、長が単独で専決処分(議会の議決を経ずに長が代わって処理する決定)できると定めているからだ。ここで誤解してはならないのは、これは長が権限を奪ったのではなく、議会自身が『この程度は長に任せる』と先に決めている点だ。179 条の『議会が開けないときの緊急専決』とは全く別物で、180 条は平時の効率化装置である。そして第 2 項、長は専決処分したことを議会に報告しなければならない。報告は事後でよいが、怠れば議会のチェック機能が空洞化する。あなたの自治体が何を長に丸投げしているかは、その指定の議決を見れば全部分かる。
地方自治法 180 条は、普通地方公共団体の長による専決処分のうち、議会が議決によりあらかじめ指定した軽易な事項に関するものを定める規定である。議会の権限に属する事項を長が議会の議決を経ずに処理することを可能にし、長は専決処分をしたときは議会への報告義務を負う。179 条の緊急時専決とは異なり、平時における事務処理の効率化を目的とする。
長が議会の議決を経ずに、議会の権限に属する事項を代わって処理する決定です。180 条は議会が事前指定した軽易事項、179 条は議会が開けない緊急時を対象とします。
議会が指定した範囲を超えて専決した場合です。指定範囲内なら適法ですが、一円でも超えると権限なき違法支出となり、住民監査請求・住民訴訟の標的になります。
できます。指定範囲を超えた専決や違法な専決は、地方自治法 242 条の住民監査請求の対象です。原則として行為または報告を知った日から 1 年以内に請求します。
議員が議会で発議できます。指定議決は一度通すと放置されがちで、何年も前の広すぎる委任が残ることが多いため、改選期の棚卸し提案が有効です。
2 項の議会報告の記録と、根拠となる指定議決を情報公開請求で入手すれば確認できます。指定の範囲と実際の専決内容を照合することが第一歩です。
法律上の一律の上限はありません。各自治体が指定議決で「一定額以下の和解・損害賠償」などと線引きしており、その額は自治体ごとに異なります。
市の少額の賠償や和解を、議会を通さず市長一人が決められる仕組みです。ただし議会が前もって許可した範囲に限られ、超えれば違法になります。
まず住民監査請求を行為等を知った日から 1 年以内に行い、その監査結果に不服なら住民訴訟(242 条の 2)へ進みます。請求期間を過ぎると正当な理由がない限り門前払いです。
別物です。180 条は議会があらかじめ『この軽易な事項は長に任せる』と指定した平時の委任で、179 条は議会が開けない・議決しない緊急時に長が代わって決める非常装置です。報道で炎上する『専決処分の濫用』はほぼ 179 条の話。業界裏話ヒント:両者を区別せず批判する記事や議員が多いが、180 条の専決を 179 条のつもりで叩くと『議会が自分で委任したのに何を今さら』と逆に足元をすくわれる
決めるのは議会です。180 条 1 項は『議会の議決により特に指定した』ものに限ると定めており、長が勝手に範囲を広げることはできません。多くの自治体が『一定額以下の和解・損害賠償』などと指定議決で線引きしています。業界裏話ヒント:この指定議決は一度通すと何十年も見直されないことが多く、物価や財政規模に合わない古い金額のまま残っている自治体が珍しくない。指定の中身を調べると、その議会のチェック意識の高さがそのまま見える
原則として無効にはなりません。報告は事後の手続的義務で、報告漏れがあっても専決処分そのものの効力は維持されるというのが通説・実務です。ただし報告を怠れば議会のチェックを潜脱したとして政治的・法的責任を問われます。業界裏話ヒント:報告漏れ自体より、報告された後に議会が追認だけして実質審議しない運用のほうが表面化しにくく、しかし二元代表制を空洞化させる本丸はそこにある
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