刑事訴訟法 第350条の8
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被告人以外の者の供述録取書等であつて、その者が第三百五十条の二第一項の合意に基づいて作成したもの又は同項の合意に基づいてされた供述を録取し若しくは記録したものについて、検察官、被告人若しくは弁護人が取調べを請求し、又は裁判所が職権でこれを取り調べることとしたときは、検察官は、遅滞なく、合意内容書面の取調べを請求しなければならない。この場合においては、前条第二項及び第三項の規定を準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第350条の8は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第350条の8の条文原文は「被告人以外の者の供述録取書等であつて、その者が第三百五十条の二第一項の合意に基づいて作成したもの又は同項の合意に基づいてされた供述を録取し若しくは記録したものに…」で始まります。
- 刑事訴訟法第350条の8は第二編 第一審に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第350条の8の前の条は刑事訴訟法第350条の7です。
- 刑事訴訟法第350条の8の次の条は刑事訴訟法第350条の9です。
- 刑事訴訟法第350条の8には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の8 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の8(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/350_8
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法350条の8は、協議・合意制度に基づく他人の供述調書が証拠調べされるとき、検察官に合意内容書面の取調べ請求を義務付け、取引の存在を法廷に開示させる規定である。
Q · 共犯者の供述が証拠に出てきたら、その裏の「取引」は法廷で分かるの?
検察官に取引内容を書面で開示させる規定です
刑事訴訟法350条の8により、協議・合意制度に基づく被告人以外の者の供述調書等が証拠調べされるとき、検察官は遅滞なく合意内容書面の取調べを請求しなければなりません。これにより、供述者が不起訴や軽い求刑と引き換えに供述した可能性、つまり嘘をつく動機(引き込みの危険)が法廷に開示されます。書面が出ていなければ、弁護人はその証拠調べの段階で直ちに異議を述べる必要があります。
解説
法廷で、あなたに不利な証拠として共犯者とされる人物の供述調書が読み上げられる。詳細で、具体的で、あなたを追い詰める内容だ。だがあなたが気付いていないかもしれないのは、その人物が検察官と「合意」を結んでいた可能性である。2018年に始まった日本版の司法取引(協議・合意制度)は、自分の処分を軽くする代わりに「他人の犯罪」について供述する仕組みだ。つまり、あなたを売ることが、その人の不起訴や軽い求刑と引き換えになっている場合がある。刑訴法350条の8は、こうした合意に基づく供述調書(被告人以外の者のもの)が証拠調べされるとき、検察官に「遅滞なく合意内容書面の取調べを請求しなければならない」と義務付ける。なぜこれがあなたの命綱なのか。その書面こそ、供述者に嘘をつく動機があったことを法廷に突きつける証拠だからだ。取引の存在を隠したまま、買われた供述だけがあなたを断罪することを、この条文は許さない。
法的な位置づけ
刑事訴訟法350条の8は、協議・合意制度に基づく被告人以外の者の供述録取書等が証拠調べされる場合に、検察官へ合意内容書面の取調べ請求を義務付ける手続規定である。合意供述の証拠利用を許す一方で、その供述が生まれた取引内容を開示させ、事実認定者が信用性を割り引いて評価できる仕組みを担保する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.供述調書の証拠請求時に合意内容書面の有無を確認 共犯者とされる人物の供述調書が証拠請求されたら、弁護人を通じて合意内容書面が同時に提出されているかをその場で確認する。出ていなければ350条の8違反として証拠調べに異議を述べる
- 2.合意内容書面から供述者の利益を精査 入手した合意内容書面で、供述者が得た利益(不起訴か、軽い求刑か、どの訴因か)を特定する。これが供述者に嘘をつく動機があったことの客観的証拠になる
- 3.利益を軸に反対尋問を組み立てる 供述者が得た具体的利益を示しながら「あなたはこの取引のためにそう言っているのではないか」と問い詰める尋問を準備する。書面という裏付けがあるからこそ一撃が効く
- 4.補強証拠の有無を主張に反映 合意供述を裏付ける客観的な補強証拠が乏しい場合、引き込みの危険を指摘し、合意供述だけで有罪認定すべきでないと主張する
よくある質問 AI による整理
Q1協議・合意制度とは何ですか?
2018年6月に始まった日本版の司法取引で、検察官との合意により自分の処分を軽くする代わりに、他人の犯罪の捜査・公判に協力する制度です(刑訴法350条の2)。
Q2合意内容書面とは何ですか?
協議・合意制度で検察官と協力者が結んだ合意の内容を記載した書面です。供述者がどんな利益を得たかが分かり、供述の信用性を吟味する手がかりになります。
Q3司法取引の対象になる犯罪は何ですか?
対象は限定列挙されており、主に贈収賄・談合・独占禁止法違反・金融商品取引法違反などの財政経済犯罪と、薬物・銃器犯罪です。殺人などには使えません。
Q4合意に基づく虚偽の供述をしたらどうなりますか?
刑訴法350条の15により、合意に基づく虚偽供述や証拠偽造には5年以下の拘禁刑が科されます。合意による保護は虚偽供述には及びません。
Q5引き込みの危険とは何ですか?
協力者が自分の処分を軽くするため、無関係な他人を巻き込む虚偽供述をする危険のことです。だからこそ合意内容書面の開示と虚偽供述罪が用意されています。
Q6合意内容書面が開示されないとどうなりますか?
検察官が合意供述の取調べ請求と同時に合意内容書面を出さなければ350条の8違反です。弁護人はその証拠調べの段階で直ちに異議を述べる必要があります。
Q7協議・合意制度はいつから始まりましたか?
平成28年(2016年)改正で新設され、平成30年(2018年)6月1日に施行されました。本条も同時に新設された比較的新しい制度です。
Q8弁護人なしで司法取引できますか?
できません。協議には弁護人の関与が必須要件とされており、単独で検察官と取引を進めることは認められていません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1共犯者が私のことを話したら、その証言だけで有罪になりますか?
原則として、合意に基づく供述だけで有罪認定するのは危険視されています。引き込みの危険があるため、裁判所は補強となる客観証拠を慎重に求めます。だからこそ350条の8は合意内容書面の開示を義務付けています。実務のポイント:合意供述には他の証拠以上に高い信用性吟味が求められるのが実務の相場です。弁護人はまず「この人物は何を得たのか」を合意内容書面から特定し、そこを突き崩すことを最初の戦略に据えます。動機が見えれば供述の見え方は一変する
Q2司法取引って日本にもあるんですか?
あります。2018年6月から協議・合意制度として始まりました。ただし米国型とは違い、自分の罪を認めて減刑してもらう自己負罪型ではなく、他人の犯罪の捜査・公判に協力する型に限定されています(刑訴法350条の2)。実務のポイント:対象犯罪も限定列挙で、主に財政経済犯罪と薬物銃器犯罪です。つまり殺人のような事件には使えない。報道で「司法取引」と聞いたら、まず企業犯罪か組織犯罪かを疑うのが実務感覚に近い
間違えやすい点 AI による整理
- 「日本に司法取引はない」と多くの人が信じているが、その前提そのものが誤りだ。2018年から協議・合意制度が動いている。ただし米国型と違い、自分の罪だけを認めて軽くしてもらう自己負罪型ではなく、他人の犯罪について協力する型に限られる。この違いを知らないと、共犯者の供述の意味を読み違える
- 共犯者が自分に不利な供述をしたことは知っていても、その供述を法律自身がどれほど警戒しているかを知る人は少ない。引き込み(他人を巻き込む虚偽供述)の危険を防ぐため、合意に基づく虚偽供述には5年以下の拘禁刑(350条の15)が用意され、さらに取引書面の開示まで義務付けられている。法律は最初からこの供述を疑ってかかっている
- あなたの目には「仲間の裏切り」と映るが、法律の目から見ればそれは「信用性に値札が付いた証拠」だ。だからこそ取引内容の開示が義務付けられている。この落差を理解しないまま感情的に反論すると、本来攻めるべき動機の問題を見逃す
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 350条の8:合意供述の証拠調べ時に合意内容書面の開示を義務付け | 350条の2:合意の対象犯罪と内容を定義(前提規定) 350条の15:合意に基づく虚偽供述・証拠偽造を犯罪化(罰則) |
| 守る価値 | 透明性・防御権(取引の開示) | 制度の適用範囲の画定 引き込みの危険の抑止 |
| 防御側の使い方 | 書面が出ていなければ即異議、出ていれば動機の弾劾材料に使う | 対象犯罪に当たるか、合意要件を満たすかを争う 供述者の虚偽供述リスクを反対尋問で示す |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は協力者を免責・減刑する污點證人制度(證人保護法14条)と認罪協商を併用する。協力型の減免という機能は近いが、合意内容書面の開示を一条で義務付ける形ではない。
韓国は包括的な司法取引制度を持たず、特定犯罪の申告・協力者に対する刑の減免と保護で対応する。協議・合意制度のような正面からの合意供述開示の枠組みとは構造が異なる。
ドイツは重大犯罪の解明に協力した者の刑を減軽・免除する王冠証人規定を持つ。協力の見返りという力学は共通だが、合意内容書面の取調べ請求義務という日本固有の透明性装置は持たない。
米国は協力証人との取引(leniency)を証人の信用性に関わる情報として開示する義務を判例法(Brady/Giglio)で要求する。本条はこの開示義務を制定法上の手続として明文化した点で機能的に対応する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 贈収賄や談合の事件で、あなたを名指しする元同僚の詳細な供述が決定的証拠として出てきた。あなたはその人物が見返りに不起訴を得ていたことを知らない。弁護人を通じて合意内容書面の提出を求めるべき場面だ。利益と供述が紐づいた瞬間、その証拠の重みは一気に変わる
- もし、共犯とされていた人物がある日突然「全部正直に話します」と態度を変えたら、その裏で何が起きていると考えるべきか。検察官との合意が成立した可能性がある。態度の急変は、取引の存在を疑う最初のサインだ
- 証拠調べの当日、検察官が合意供述の調書だけを請求し、合意内容書面を出さなかった。弁護人はその場で直ちに350条の8違反を指摘しなければならない。後から気付いても、証拠は既に取り調べられている
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが共犯者の合意供述で不利な立場に置かれた被告人なら。1. 供述調書が証拠請求されたら、弁護人を通じて合意内容書面が提出されているか確認、なければ350条の8違反として証拠調べに異議を述べる2. 入手した合意内容書面で、供述者が得た利益(不起訴・軽い求刑・特定の訴因)を精査、これが嘘をつく動機の証拠になる3. その利益を軸に反対尋問を組み立て信用性を崩す4. 補強証拠が乏しければ、合意供述だけで有罪にはできないと主張する
訴えられた側:あなたが検察官と合意して供述する側なら。1. 協議には必ず弁護人を同席させる(弁護人の関与は合意の必須要件)、単独で取引してはならない2. 自分が供述すべき範囲と得られる利益を文書で明確化、口頭の口約束を信じない3. 虚偽供述や証拠の偽造は350条の15で5年以下の拘禁刑、合意による保護は虚偽供述には及ばない(最新の改正状況をご確認ください) 4. 引き込まれた相手から後に名誉や損害賠償を問われるリスクも想定する
時効(請求できる期限):特定の消滅時効が定まる規定ではなく、証拠調べ手続上の即時的な義務である。検察官は合意供述の取調べ請求と同時に「遅滞なく」合意内容書面を請求しなければならず、欠ければ弁護人はその証拠調べの段階で直ちに異議を述べる必要がある。本体事件の公訴時効は対象犯罪ごとに異なる(刑事訴訟法250条)。
学説
通説:合意に基づく供述は引き込みの危険を内包するため、本条による合意内容書面の開示を前提に、通常の供述以上に慎重な信用性吟味と客観的補強証拠が求められるとするのが一般的理解である。
改正沿革 AI による整理
- 平成28年(2016年)改正、平成30年(2018年6月1日)施行 協議・合意制度(日本版司法取引)の新設に伴い本条を新設。被告人以外の者の合意供述調書が証拠調べされる際、検察官に合意内容書面の取調べ請求を義務付け、取引の透明性を確保した
改正の年表
- 1.平成28年(2016年) 新設:刑事訴訟法等の一部改正により協議・合意制度(日本版司法取引)を導入。被告人以外の者の合意供述が証拠調べされる際の合意内容書面取調べ請求義務として本条を新設した。
- 2.平成30年(2018年) 改正:2018年6月1日に協議・合意制度が施行され、本条が現実に運用される手続として機能を開始した。
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