少年法 第32条の3(抗告裁判所の事実の取調べ)
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- 抗告裁判所は、決定をするについて必要があるときは、事実の取調べをすることができる。
- 2.前項の取調べは、合議体の構成員にさせ、又は家庭裁判所の裁判官に嘱託することができる。
この条文の基本情報
抗告裁判所の事実の取調べとは何ですか?
定義抗告裁判所の事実の取調べとは、少年法第32条の3に定められた規定で、「抗告裁判所は、決定をするについて必要があるときは、事実の取調べをすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 少年法第32条の3(抗告裁判所の事実の取調べ)は、日本の少年法に含まれる条文です。
- 少年法第32条の3の条文原文は「抗告裁判所は、決定をするについて必要があるときは、事実の取調べをすることができる。」で始まります。
- 少年法第32条の3は第四節 抗告に置かれています。
- 少年法の公布日は昭和23年7月15日です。
- 少年法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 少年法第32条の3の前の条は少年法第32条の2です。
- 少年法第32条の3の次の条は少年法第32条の4です。
- 少年法第32条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第32条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000168 - 本サイト収録
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第32条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000168/32_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点少年法32条の3は、少年保護事件の抗告裁判所が、決定をするについて必要があるときに事実の取調べをできると定める。実施するかどうかは高裁の裁量に委ねられている。
Q · 少年事件で高裁に抗告したら、新しい証拠や証人を調べてもらえるの?
高裁が必要と判断すれば調べてもらえるが、義務ではない
少年法32条の3第1項により、抗告裁判所(高等裁判所)は決定をするについて必要があるときは、証人尋問や書類の取調べなど事実の取調べをすることができます。ただし「できる」規定であり、実施は高裁の裁量です。抗告審は原則として家庭裁判所の記録を点検する事後審的な審理のため、抗告申立書で記録だけでは判断できない理由と取り調べてほしい証拠を具体的に示すことが重要です。取調べは受命裁判官や家庭裁判所の裁判官への嘱託でも行えます(同条2項)。
解説
高等裁判所での抗告審は、原則として「紙の上の裁判」である。家庭裁判所が作った記録を読み、決定に誤りがあったかを後から点検する。少年本人の声を直接聞く場面も、新しい証人が呼ばれる場面も、自動的には用意されていない。例外が本条である。抗告裁判所は「必要があるとき」に、自ら事実の取調べ(証人の話を聞く、書類や物を調べるなど、判断材料を新たに集めること)ができる。担当は合議体の裁判官の一人に任せてもよいし、家庭裁判所の裁判官に頼んでもよい。ただし条文は「できる」であり、「しなければならない」ではない。取調べをするかどうかは高裁の裁量で決まり、少年側に取調べを求める権利が保障されているわけではない。だから、抗告申立書に「なぜ記録だけでは足りないのか」を具体的に書き、新しい証拠を添えて出すことが大切になる。紙の束で原決定の結論をひっくり返すのは難しい。本条はその状況に風穴を開ける、ほぼ唯一の手段である。
法的な位置づけ
少年法32条の3は、少年保護事件の抗告審における事実の取調べを定める規定である。抗告裁判所は決定をするについて必要があるときに限り、裁量により事実の取調べを行うことができ、その取調べを合議体の構成員(受命裁判官)に行わせ、又は家庭裁判所の裁判官に嘱託することができる。記録中心の事後審査を補完する例外的な手段として位置づけられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.決定当日に付添人と抗告の方針を協議する 保護処分決定の告知を受けたら、その日のうちに付添人と抗告するかどうかを話し合う。抗告期間は告知から2週間しかなく、少年院送致は抗告しても執行が止まらない(少年法34条)ことを前提に動く
- 2.原審記録の欠落を洗い出す 記録を検討し、共犯者供述の変化、アリバイ、家庭環境の変化など、原審で確認されていない事実や、付添人が申請したのに採用されなかった証拠調べを特定する
- 3.新証拠と証人の情報を固める 新たに得た手紙、示談書、就職先の内定書などを整理し、証人の氏名・連絡先・立証予定事項を一覧にする
- 4.抗告申立書で事実取調べの必要性を具体的に書く 抗告理由とあわせて、なぜ記録だけでは判断できないのか、どの証拠を取り調べれば結論に影響しうるのかを特定して記載し、期限内に提出する
よくある質問 AI による整理
Q1少年事件の抗告審とは何ですか?
家庭裁判所の保護処分決定に不服がある場合に、高等裁判所が原決定の当否を審査する手続です。記録を中心に審理する事後審的な性格が基本です。
Q2少年事件の抗告審で事実の取調べをしてもらう方法は?
抗告申立書で、原審記録のどこが不足しているか、どの証拠・証人を調べれば判断が変わりうるかを具体的に示し、取調べを促します。
Q3少年法の抗告審で証人尋問はできる?
抗告裁判所が必要と認めれば、事実の取調べとして証人尋問を行うことができます(少年法32条の3)。当事者に請求権が保障されているわけではありません。
Q4少年事件の抗告審の結果が出るまでどれくらい?
事案によりますが、記録中心の審理のため比較的短期間で決定が出ることが多いとされます。事実取調べを行えばその分長くなる傾向があります。
Q5受命裁判官とは何ですか?
合議体の裁判所が、その構成員の裁判官の一人に特定の手続を任せた場合の当該裁判官です。本条2項では事実の取調べを担当させることができます。
Q6抗告審で家庭裁判所の裁判官に嘱託するのはなぜ?
少年や関係者の所在地に近い家庭裁判所に取調べを依頼すれば、遠方の高裁まで呼び出さずに話を聞けるためです。決定自体は抗告裁判所が行います。
Q7少年事件の抗告審で新しい証拠は出せる?
資料として提出することは可能です。ただし取り上げるかどうか、事実取調べを行うかどうかは抗告裁判所の判断に委ねられます。
Q8少年事件の抗告が認められたらどうなる?
抗告裁判所は原決定を取り消し、事件を家庭裁判所に差し戻すか移送するのが基本です(少年法33条)。高裁が自ら新たな処分を言い渡すわけではありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1高裁に抗告したら、子どもはもう一回裁判官と話せるんですか?
自動的には話せない。抗告審は原則として記録を読む審理であり、少年本人から話を聞くのは、高裁が必要と判断して事実取調べ(少年法32条の3)を行う場合に限られる。実務のポイント:本人から話を聞いてほしいなら、申立書に「本人に確かめなければ判断できない点」を特定して書く。「反省しているので会ってほしい」だけでは、必要性として弱い
Q2審判の後で示談が成立しました。高裁はそれを見てくれますか?
資料として提出することはできる。ただし、抗告理由である「処分の著しい不当」(少年法32条)を判断する際に原決定後の事情をどこまで考慮するかは、実務上解釈が分かれている。実務のポイント:示談書だけ出すより、原審の時点でその示談が進行中だったこと、つまり原審の判断材料が不十分だったことと結びつけて主張した方が、高裁は取り上げやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 抗告審は家庭裁判所の審判をもう一度やり直す場だと思われがちだが、実際は原決定に誤りがあるかを後から点検する事後審的な審理が基本である。本条の事実取調べは例外的に使われる道具であり、何もしなくても新しい証拠を拾ってもらえるわけではない
- 事実取調べの規定があることは知っていても、それが裁判所の裁量(「できる」)だという点の重みは見落とされやすい。取調べ請求を却下されても、それだけでは原則として独立に争えない。最初の申立書で必要性を説得できなければ、それで終わる
- 原決定の後に生じた事情、たとえば被害者との示談の成立や就職先の確保が抗告審でどこまで考慮されるかは、実務上解釈が分かれている。「後から有利な事情を出せば必ず処分が変わる」と考えて動くのは危険である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 少年法32条の3:抗告裁判所の事実の取調べ | 少年法32条の2:抗告裁判所の調査の範囲 少年法14条:家庭裁判所の証人尋問・鑑定等 |
| 審理の段階 | 抗告審(高等裁判所) | 抗告審(高等裁判所) 第一審(家庭裁判所) |
| 裁判所の権限の性質 | 必要があるときに取調べが「できる」裁量規定 | 抗告の趣意に含まれる事項を中心に調査する範囲の定め 審判のための証拠調べの権限 |
| 担当者 | 合議体構成員(受命裁判官)又は家裁裁判官への嘱託も可 | 抗告裁判所 家庭裁判所 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾でも少年法院の保護処分等に対する抗告制度が設けられている。抗告審における事実調査の具体的規律は同法及び準用規定の確認を要する
韓国少年法も保護処分決定に対する抗告を認める。抗告審の審理方式の詳細は別途確認を要する
ドイツでは抗告(Beschwerde)裁判所が自ら調査(Ermittlungen)を行い、又は命じることができるとされ、少年事件にも一般規定が準用される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 息子が少年院送致の決定を受けた。だが共犯とされた友人が、審判の後になって「主導したのは自分だ」と認める手紙を書いてきた。この手紙は家庭裁判所の記録には入っていない。抗告審で事実の取調べを求めなければ、手紙は高裁の目に一度も触れないまま終わる
- 決定の告知から、抗告できる期間は2週間しかない。付添人が抗告申立書を書く間にも、少年院送致は執行されている。抗告を申し立てても執行は止まらない(少年法34条)。新証拠を集める時間は、実質的に数日しかない
- 高裁は取調べを嘱託するだけで、何のために家裁の裁判官が関わるのか? 嘱託先の家庭裁判所が少年や関係者の住む地域に近ければ、本人や証人を遠くの高裁まで呼ばずに話を聞ける。ただし、嘱託を受けた裁判官が決定を下すわけではない
取るべき行動
被害を受けた側:事件の被害者には抗告する権利がない(少年法32条は少年・法定代理人・付添人に限る)。検察官関与事件であれば、検察官が抗告受理の申立て(32条の4)をするかどうかが焦点になるので、担当検察官に意見を伝える。家庭裁判所段階で記録の閲覧・謄写(5条の2)や意見陳述(9条の2)を使い、自分の意見を記録に残しておくことが、抗告審で記録が読まれる際の備えになる
訴えられた側:1. 決定の告知を受けたら、その日のうちに付添人と抗告するかどうかを協議する2. 原審記録に欠けている事実(共犯者の供述の変化、アリバイ、家庭環境の変化)を洗い出す3. 抗告申立書に、記録だけでは判断できない理由と、取り調べてほしい証拠・証人を具体的に書く4. 必要なら執行停止の申立てを検討する(34条ただし書)
時効(請求できる期限):抗告は決定の告知を受けてから2週間以内(少年法32条)。事実取調べの申出に独立の期限はないが、実務上は抗告申立書の提出時に合わせるのが原則。高裁決定に不服があれば、再抗告(35条、憲法違反・判例違反に限る)も2週間以内
学説
通説:抗告審は原決定の当否を記録に基づき審査する事後審的性格を基本とし、本条の事実取調べは、記録だけでは原決定の当否を判断できない場合に裁量で用いる補充的手段と解される。
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