保健師助産師看護師法 第38条
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助産師は、妊婦、産婦、じよく婦、胎児又は新生児に異常があると認めたときは、医師の診療を求めさせることを要し、自らこれらの者に対して処置をしてはならない。ただし、臨時応急の手当については、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保健師助産師看護師法第38条は、日本の保健師助産師看護師法に含まれる条文です。
- 保健師助産師看護師法第38条の条文原文は「助産師は、妊婦、産婦、じよく婦、胎児又は新生児に異常があると認めたときは、医師の診療を求めさせることを要し、自らこれらの者に対して処置をしてはならない。ただし、…」で始まります。
- 保健師助産師看護師法第38条は第四章 業務に置かれています。
- 保健師助産師看護師法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 保健師助産師看護師法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 保健師助産師看護師法第38条の前の条は保健師助産師看護師法第37条の4です。
- 保健師助産師看護師法第38条の次の条は保健師助産師看護師法第39条です。
- 保健師助産師看護師法第38条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第38条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000203 - 本サイト収録
保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第38条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000203/38
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保健師助産師看護師法38条は、助産師が妊産婦や新生児の異常を認めたとき医師の診療を求めさせる義務を定める。自ら処置することは禁止され、臨時応急の手当のみ例外。
Q · 助産師さんがお産の途中で異常に気付いたら、そのまま自分で対応してもいいの?
だめ。医師につなぐ義務があり、自分で治療はできない
保健師助産師看護師法38条により、助産師は妊婦、産婦、じょく婦、胎児又は新生児に異常があると認めたときは、医師の診療を求めさせなければならず、自ら処置をしてはなりません。許されるのは、医師に引き継ぐまで命をつなぐための臨時応急の手当だけです。正常なお産は助産師が単独で扱えますが、異常という一線を越えた時点で役割は「医師へつなぐ人」に切り替わります。助産所が嘱託医師と嘱託医療機関を定めておく義務(医療法19条)も、この引き継ぎを前提にしています。
解説
正常なお産であれば、助産師は医師の指示がなくても最初から最後まで一人で取り上げることができる。日本でそれが許されている医療職は、ほぼ助産師だけだ。その大きな自由とセットで置かれたブレーキが本条である。妊婦、産婦、じょく婦(産後まもない母親)、胎児、新生児のどこかに「異常」を認めた時点で、助産師の役割は「自分で治す人」から「医師へつなぐ人」に切り替わる。自分で処置してはならず、医師の診療を受けるよう求めさせなければならない。例外は、医師に引き継ぐまで命をつなぐための臨時応急の手当だけである。助産院や自宅での出産を考えているなら、見るべきは部屋の雰囲気ではない。異常が起きたとき、どの病院へ何分で運ぶのかという段取りである。お産が予想外の結果に終わったときも同じで、記録の中で問われるのは「いつ異常に気付き、いつ医師につないだか」という時刻のつながりだ。
法的な位置づけ
保健師助産師看護師法第38条は、助産師の業務範囲の限界を定める規定であり、妊婦、産婦、じょく婦、胎児又は新生児に異常を認めた場合に、医師の診療を求めさせる義務と、自ら処置することの禁止を課す。臨時応急の手当は例外とされ、正常産を担う助産師と異常に対応する医師との役割分担を画する。
手順
- 1.妊婦健診の初期に搬送体制を書面で確認 助産院や自宅出産を選ぶなら、契約前の段階で嘱託医師の名前、嘱託医療機関の名前、搬送の基準、搬送にかかる時間を書面で出してもらう。陣痛が始まってから聞いても答えは曖昧になりやすい
- 2.分娩計画で異常時の動きを家族と共有 誰が救急要請や病院への連絡をするのか、どの病院へ何分で運ぶのか、母子手帳や保険証を誰が持つのかを、パートナーや家族と事前に決めておく
- 3.異常のサインを家族も把握する 破水した羊水の色(緑色や茶色の濁り)、産後の出血量の増加、赤ちゃんの肌の黄色さや哺乳不良など、医師の診察が必要になりうるサインを家族も知っておき、気付いたらすぐ助産師に伝えて医療機関受診の判断を確かめる
- 4.結果に疑問が残れば記録の開示を早めに求める お産の結果に納得できない点があれば、記憶が書き換わる前に助産録、カルテ、胎児心拍の記録(CTG)の開示を求め、異常に気付いた時刻と医師へ連絡した時刻を時系列表にまとめる。助産録の保存義務は5年(本法42条)
よくある質問 AI による整理
Q1助産師ができる医療行為の範囲とは?
正常な妊娠・分娩・産後と新生児のケアは助産師が単独で担えます。異常があれば医師へつなぐ義務があり(保助看法38条)、医師の指示のない医療行為は37条で原則禁止されています。
Q2臨時応急の手当とは何ですか?
医師に引き継ぐまで母子の生命や健康を守るために、緊急でやむを得ず行う一時的な処置です。医師への連絡を始めずに処置だけを続けることまでは含まれないと解されています。
Q3助産院から病院へ搬送されるのはどんなとき?
胎児心拍の低下、羊水混濁、分娩停止、産後の多量出血、新生児の呼吸や黄疸の異常など、正常の範囲を外れたと認められたときです。保助看法38条により医師へつなぐ必要があります。
Q4助産師が「異常」と判断する基準はありますか?
条文には具体的な基準は書かれていません。実務では日本助産師会の「助産業務ガイドライン」などが、医師との連携や搬送の目安を示しています。最終判断は現場の助産師に委ねられます。
Q5自宅出産は違法ですか?
違法ではありません。助産師が立ち会う自宅出産は認められています。ただし保助看法38条は自宅でも同じように適用され、異常があれば医師への引き継ぎと搬送が必要になります。
Q6院内助産でも保助看法38条は適用されますか?
適用されます。病院内で助産師が主体となって正常産を扱う院内助産でも、異常を認めた時点で医師の診療へ切り替える義務があります。医師がすぐ近くにいるので、引き継ぎを速くしやすいのが特徴です。
Q7助産師のミスで損害賠償を請求できますか?
異常に気付くべきなのに見落とした、または医師への引き継ぎが遅れたなどの過失があれば、民法709条(不法行為)または415条(債務不履行)に基づいて損害賠償を請求できる可能性があります。
Q8嘱託医療機関とは何ですか?
助産所の開設者が、異常時の受け入れ先としてあらかじめ定めておく病院または診療所です。医療法19条が嘱託医師とあわせて定めるよう求めており、保助看法38条による引き継ぎの受け皿になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1助産院で産むのって、法律的には大丈夫なの?
制度としては認められている。医療法19条により助産所は嘱託医師と嘱託医療機関を定める義務があり、異常が起きれば本条によって医師へ引き継ぐ仕組みになっている。実務のポイント:嘱託の取り決めが書類上だけで、実際の受け入れ実績が少ない施設もありうる。見学のときに「昨年、何件搬送しましたか」と聞くと、施設側の答え方で連携の実態がかなり見えてくる
Q2助産師さんがお産のときに薬を使うのはアリなの?
医師の指示がないまま医薬品を与えたり指示したりすることは、本法37条で原則として禁止されている。例外は臨時応急の手当と、助産師の業務に当然ついてくる行為である。異常があるときの処置は本条でも禁止されている。実務のポイント:産後の大量出血時の薬剤使用など、どこまでが臨時応急の手当に入るかは実務上、解釈が分かれている。院内助産では、医師とあらかじめ取り決めを交わして整理していることが多い
Q3もし違反したら、助産師さんはどうなるんですか?
本法の罰則規定(第45条)で、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、あるいはその両方が科されうる(最新の改正状況をご確認ください)。さらに第14条による戒告、業務停止、免許取消の対象になりうる。結果が重大であれば、刑法211条の業務上過失致死傷や民事の賠償責任も重なる。実務のポイント:実際に重くのしかかるのは罰則そのものより、民事賠償と原因分析報告書の中での指摘である
間違えやすい点 AI による整理
- 「異常に気付かなかったのなら本条違反にはならない」と考える人がいる。しかしその問いの立て方自体がずれている。条文は「異常があると認めたとき」と書いているため、刑事罰の場面では認識の有無が論点になりうる。一方で民事の損害賠償では、プロの助産師なら当然気付くべきだったかという注意義務の水準で判断される。「気付かなかった」は免罪符にならず、むしろ過失の中身として扱われる(どこまでを認識の問題とするかは、実務上、解釈が分かれている)
- 助産院は医師がまったく関わらない場所だと思われがちだが、実際は違う。医療法19条は、助産所の開設者に嘱託する医師と病院または診療所を定めておくよう求めている。本条と組み合わせることで、助産院は最初から「医師へ引き継ぐ前提の場所」として法的に設計されている
- 「応急処置ならやってもいい」という例外は、多くの人が知っている。知られていないのは、その例外の狭さである。臨時応急の手当は、医師に引き継ぐまでの橋渡しとして許されるものであり、医師への連絡を始めずに応急処置だけを続けることまで正当化するものではない、と理解するのが自然だ。橋渡しのつもりの処置が独自の治療に変わった時点で、例外の枠からはみ出す
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 38条:異常を認めたときの医師への引き継ぎ義務と自己処置の禁止 | 37条:医師の指示のない医療行為(診療機械の使用、医薬品の授与など)の制限 医療法19条:助産所の嘱託医師・嘱託医療機関を定める義務 |
| 義務を負う者 | 助産師 | 保健師・助産師・看護師・准看護師 助産所の開設者 |
| 発動の条件 | 妊婦・産婦・じょく婦・胎児・新生児に異常があると認めたとき | 主治の医師・歯科医師の指示がないとき 助産所を開設するとき(平時の体制整備) |
| 例外 | 臨時応急の手当 | 臨時応急の手当、へその緒を切る・浣腸など助産師の業務に当然付随する行為 なし(体制整備の義務) |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾でも助産人員は異常を発見した際に医師へ連絡する義務を負い、医師に引き継ぐまでの必要な応急処置が認められる構造で、日本と考え方が近い
ドイツでは分娩介助に助産師の立会いを必須とする(Hinzuziehungspflicht)一方、異常時の医師招致は各州の職業規則で定められる
フランスでは母体・胎児・新生児に病理的状態がある場合や難産の場合、sage-femme は医師を呼ばなければならないとされ、日本と同じく「正常は助産師、異常は医師」の分担をとる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 助産院で陣痛が続くなか、胎児の心拍が何度も下がっているのに「もう少し様子を見ましょう」と言われ続けたら、どうなる? 異常を認めながら医師につながなかったのであれば、本条違反の問題になる。結果が重ければ、民事責任と刑事責任の入口にもなる
- あなたは開業助産師で、産後2時間で出血が増えてきた。子宮底のマッサージなどで止血を試みることは、臨時応急の手当として説明しやすい。ただ、それで出血が落ち着いたからといって嘱託医療機関への連絡を後回しにすると、その空白の時間があなたの責任を問う論点に変わる
- 生後10日の新生児訪問で、赤ちゃんの肌が黄色かった。助産師は「おっぱいを増やせば大丈夫」とだけ言って帰った。それで済む話ではない。
- 深夜2時、自宅出産を予定していた友人から「破水したけど水が緑っぽい」と LINE が届いた。羊水が濁っているのは、胎児の状態が悪くなっているサインとされる。残された時間は分単位だ。担当助産師がすぐに医療機関への搬送を判断しているかを確かめるよう、あなたは伝えなければならない
- 子どもが脳性麻痺と診断され、産科医療補償制度の原因分析報告書が届いた。報告書には「搬送の判断が遅れた可能性」と一行書かれている。その一行が、助産所と話し合いを始めるときの起点になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 助産録、カルテ、胎児心拍の記録(CTG)の開示を早めに求め、異常の兆候が出た時刻と医師へ連絡した時刻を時系列表にまとめる2. 子に脳性麻痺などがある場合は、産科医療補償制度の対象になるかを分娩した施設に確認し、原因分析報告書を入手する3. 医療過誤を扱う弁護士に相談し、民法709条または415条のどちらで請求するかを検討する4. 感情的な抗議の前に記録を確保することを優先する
訴えられた側:1. 異常を認めた時点、実施した応急処置、医師や嘱託医療機関へ連絡した時刻を、事後の補足だと分かる形で正確に記録する。改ざんは決定的に不利になる2. 加入している助産師賠償責任保険の窓口と弁護士にすぐ連絡する3. 処置が臨時応急の手当の範囲内だったことを、医師に引き継ぐまでの橋渡しだったという流れで説明できるよう準備する4. 行政処分(第14条)の可能性も視野に入れて対応する
時効(請求できる期限):本条違反そのものに特有の時効はない。民事では、不法行為による生命・身体侵害は損害と加害者を知った時から5年、行為時から20年(民法724条、724条の2)。契約責任は知った時から5年、権利を行使できる時から20年(民法166条、167条)。刑事の公訴時効は、業務上過失致死が10年、業務上過失致傷が5年(刑事訴訟法250条)。産科医療補償制度の補償申請は、原則として子の満5歳の誕生日まで(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的な理解:本条は正常産を助産師の独立業務としつつ、異常時には医師の医業独占(医師法17条)へ切り替える境界規定と理解されている。臨時応急の手当は医師への引き継ぎまでの橋渡しに限られ、独自の治療の継続は例外に含まれないと解される
改正沿革 AI による整理
- 平成13年(2001年)改正、平成14年(2002年)施行 法律名が保健婦助産婦看護婦法から保健師助産師看護師法に改められ、本条の「助産婦」も「助産師」へ置き換えられた。規律の中身は昭和23年(1948年)の制定以来おおむね維持されているとみられるが、改正履歴の詳細は人による確認が必要
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:保健婦助産婦看護婦法の制定とともに設けられ、助産婦が異常を認めたときの医師への引き継ぎ義務と自己処置の禁止を定めた
- 2.平成13年(2001年) 改正:法律名が保健師助産師看護師法に改められ(平成14年施行)、本条の「助産婦」も「助産師」に置き換えられた。規律の中身はおおむね維持されている
- 保健師助産師看護師法 第3条助産師の定義、業務範囲の出発点
- 保健師助産師看護師法 第37条医師指示のない医療行為の制限と応急例外
- 保健師助産師看護師法 第42条助産録の記載と5年保存義務
- 保健師助産師看護師法 第14条戒告・業務停止・免許取消の行政処分
- 保健師助産師看護師法 第45条本条違反の罰則(現行効力を要確認)
- 医療法 第19条助産所の嘱託医師・嘱託医療機関の確保義務
- 医師法 第17条医業の医師独占、異常時処置の帰属先
- 母子保健法 第11条新生児訪問指導での助産師の関与
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