要点弁護士法 30 条の 19 は弁護士法人の社員の競業避止義務を定め、他の社員の承諾なく法人の業務範囲の業務を行うと、得た利益の額が法人の損害額と推定される。
Q · 弁護士法人の社員が、こっそり個人で案件を受けたらどうなるの?
儲けた額がそのまま法人への損害額と推定されます
弁護士法 30 条の 19 第 2 項により、社員は他の社員の承諾がなければ法人の業務範囲に属する業務を行えません。官公署の委嘱事項だけが例外です。無断で競業した場合、第 3 項により、社員または第三者がその業務で得た利益の額が、そのまま法人に生じた損害額と推定されます。つまり法人側は損害額を一から立証する必要がなく、社員が儲けた額を示せば、それが損害として通ります。この立証責任の裏返しが本条最大の牙です。
弁護士法人に社員として加わった日、あなたが署名した定款の裏では、三重の縛りが静かに効き始める。第一に、別の弁護士法人や弁護士・外国法事務弁護士共同法人へ二重に社員として加わることはできない。第二に、他の社員全員の承諾がなければ、自分のためでも第三者のためでも、その法人の業務範囲に属する仕事を勝手に受けてはならない。官公署からの委嘱事項だけが例外だ。そして第三項が本当の牙である。承諾なしに競業してしまえば、あなたや第三者がそれで得た利益の額が、そのまま法人に生じた損害額と推定される。つまり法人側は損害がいくらかを一から立証しなくていい。あなたが儲けた額を突きつければ、それが損害として通る。この立証責任の裏返しを知らずに個人案件を受ける社員は、後で儲け全額を持っていかれる。
弁護士法 30 条の 19 は、弁護士法人の社員の競業避止義務を定める規定である。社員は他の弁護士法人または弁護士・外国法事務弁護士共同法人の社員となることが禁じられ、他の社員の承諾がなければ自己または第三者のために法人の業務範囲に属する業務を行えない。違反した場合、当該業務によって得た利益の額が法人に生じた損害の額と推定される。
従業員や役員・社員が、所属する組織と競合する業務を勝手に行わない義務です。弁護士法人では 30 条の 19 が社員に課し、他の社員の承諾が必要とされます。
法人の業務範囲に属さない活動は可能ですが、範囲に属する業務は他の社員全員の承諾が必要です。弁護士業務は包括的なため、副業が範囲内と判断されやすい点に注意が必要です。
刑事罰の定めはありませんが、第 3 項により得た利益の額が損害額と推定され、損害賠償責任を負います。さらに脱退・除名など法人内の規律問題に発展し得ます。
第 2 項は『他の社員の承諾』を要求し、一人でも反対すれば競業できません。実質的に社員全員の同意が必要で、書面で取るのが実務上の安全策です。
はい。第 2 項ただし書により、法令により官公署が委嘱した事項を行う場合は、他の社員の承諾なしに行うことができます。
脱退後は社員資格に基づく本条の競業避止義務は消滅します。ただし在籍中の無断競業による損害賠償責任は残り、別途の合意があればそれに従います。
なれません。第 1 項は他の弁護士法人または弁護士・外国法事務弁護士共同法人の社員となることを正面から禁じ、実際に活動したかを問わず資格の二重保有自体が違反です。
第 3 項は推定にすぎないため、得た利益の額が実際の損害額と異なることを示す反証は可能です。ただし立証責任は社員側に裏返っており、覆すのは容易ではありません。
条文上、承諾の方式に書面の限定はないが、二項は『他の社員の承諾』を要求し、一人でも反対すれば競業はできない。口頭だと後で争いになり、承諾を得ていないと見られた側が不利になる。業界裏話ヒント:実務では受任のたびに全員の書面承諾を取るのが安全策で、定款や社員間契約に承諾手続が定められていることが多い。入所時にそこを読むかどうかで、後のトラブルの帰趨が変わる。
法人が定款に掲げる業務と、現に行っている法律事務が中心になる。同じ分野の訴訟・顧問・法律相談を個人で受ければ範囲内とみられやすく、範囲外と言い切れる仕事は実際には限られる。業界裏話ヒント:弁護士業務は包括的なので、『これは法人の仕事と別だ』という線引きは思うほど立たない。迷ったら範囲内と仮定して承諾を取るのが、三項の推定に巻き込まれないコツだ。
そこが本条三項の急所だ。社員や第三者が競業で得た利益の額が、そのまま法人の損害額と推定される。法人側は損害の発生や金額を一から立証しなくてよい。業界裏話ヒント:だから争いの主戦場は『損害がいくらか』ではなく『相手がいくら儲けたか』に移る。相手の報酬額や入金記録の開示をどこまで取れるかが勝負で、ここを早く押さえた側が交渉を支配する。
| dimension | thisArticle | alternatives |
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| 規律対象 | 弁護士法 30 条の 19:弁護士法人の社員の競業 | — |
| 違反の効果 | 得た利益の額を法人の損害額と推定(三項) | — |
| 承諾の要否 | 他の社員の承諾が必要(官公署委嘱は例外) | — |
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