要点弁護士法 30 条の 30 は、弁護士法人が総社員の同意により合併できると定める。合併は主たる法律事務所での登記により効力を生じ、存続・新設法人が消滅法人の権利義務を承継する。
Q · 顧問先の法律事務所が合併したら、契約や預けたお金はどうなるの?
委任契約も預り金も新しい法人へ自動で承継されます
弁護士法 30 条の 30 第 4 項により、合併後に存続又は新設される弁護士法人は、消滅した法人の権利義務をそのまま承継します。委任契約、預り金、未払報酬、進行中の事件、守秘義務のすべてが新法人へ引き継がれるため、依頼者が契約を結び直す必要はなく、逆に未払報酬から逃れることもできません。合併が成立するには総社員の同意(1 項)が必要で、効力は主たる法律事務所での登記時に生じます(2 項)。
あなたが顧問契約を結ぶ法律事務所が、ある日「別の事務所と合併します」という通知を送ってきた。多くの依頼者はロゴと名前が変わるだけだと受け止める。だが弁護士法 30 条の 30 が動かしているのは、もっと深い層だ。合併後に存続する法人、または新設される法人は、消滅した側の法人の権利義務をまるごと承継する(4 項)。あなたの委任契約、未払いの報酬債務、預け金、進行中の事件、守秘義務、そのすべてが新しい法人へ自動的に流れ込む。だから「古い事務所と契約したのだから」と支払いを拒んでも通らないし、逆に事件記録が宙に浮くこともない。さらに合併は社員全員の同意がなければ成立せず(1 項)、効力が生じるのは合意の瞬間ではなく登記をした時だ(2 項)。看板が変わる前に、見えないベルトコンベアがすでに動いている。
弁護士法 30 条の 30 は弁護士法人の合併を定める規定であり、総社員の同意を成立要件とし(1 項)、主たる法律事務所の所在地における登記によって効力が生じる(2 項)と規定する。合併後に存続又は新設される法人は、消滅する法人の権利義務を当然に承継し(4 項)、登記後 2 週間以内に所属弁護士会及び日本弁護士連合会への届出を要する(3 項)。
弁護士が共同で設立する法人形態で、個人事務所と異なり法人格を持ちます。弁護士法 30 条の 2 以下が設立を定め、30 条の 30 が合併を規律します。
総社員の同意(1 項)を得たうえで、主たる法律事務所の所在地で登記をします(2 項)。さらに登記後 2 週間以内に弁護士会と日弁連へ届け出ます(3 項)。
条文上は弁護士会・日弁連への届出が義務(3 項)ですが、依頼者には弁護士職務基本規程上の信義則から事実上の通知が求められます。委任関係自体は当然承継されます。
合併後存続又は新設される法人の主たる法律事務所の所在地を管轄する登記所で行います。この登記をした時に合併の効力が生じます(2 項)。
合併で相手方当事者の事件情報を持つ法人と一体化した場合などです。利益相反に該当すると、担当弁護士が事件の途中で辞任を迫られることがあります。
合併は 2 法人が 1 つにまとまり権利義務が承継されます(30 条の 30)。解散は法人が消滅し清算手続に入る点が異なります(30 条の 22)。
4 項により存続・新設法人が権利義務を承継するため、預り金は新法人で引き継がれます。法人が消滅しても請求先は自動的に新法人になります。
合併自体は登記により有効に成立しますが、届出義務(3 項)の懈怠は会則上の懲戒リスクとなり得ます。効力発生要件ではない点に注意が必要です。
やり直しは不要です。弁護士法 30 条の 30 第 4 項により、消滅した法人の権利義務は存続法人または新設法人がそのまま承継します。委任契約も預け金も自動で引き継がれます。業界裏話ヒント:承継されるのは権利義務だけでなく、利益相反のチェック対象も広がります。合併で相手方の情報を持つ事務所と一体化した場合、弁護士職務基本規程上、担当弁護士が辞任せざるを得ないことがある。合併通知が来たら、相手方の代理人がどこの事務所かを照合しておくと安全です
押し切れません。30 条の 30 第 1 項は「総社員の同意」を要件としており、株式会社のような多数決とは違い社員全員の賛成が必要です。一人でも反対すれば合併は成立しません。業界裏話ヒント:この全員一致要件は、少数派社員にとって極めて強い交渉カードになります。合併を急ぐ多数派は、反対する社員の持分買取や処遇で譲歩せざるを得ない。同意を出す前が唯一にして最大の交渉局面で、同意後は条件を覆せません
届出日ではありません。30 条の 30 第 2 項により、効力は主たる法律事務所の所在地で登記をした時に生じます。所属弁護士会と日弁連への届出(3 項)は登記後 2 週間以内の事後手続で、効力発生要件ではありません。業界裏話ヒント:合意・登記・届出の三段階を混同すると、まだ別法人の段階で一体として動いてしまう事故が起きます。登記前は債務も責任も従来の法人に帰属するので、合併予定でも対外的には旧法人として処理するのが実務の鉄則です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 場面 | 合併:2 つの弁護士法人が 1 つにまとまる(30 条の 30) | — |
| 主な要件 | 総社員の同意 + 主たる事務所所在地での登記 | — |
| 権利義務の扱い | 存続・新設法人が消滅法人の権利義務を当然承継(4 項) | — |
| 効力発生時点 | 主たる法律事務所所在地での登記時(2 項) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。