建築基準法 第60条(特定街区)
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- 特定街区内においては、建築物の容積率及び高さは、特定街区に関する都市計画において定められた限度以下でなければならない。
- 2.特定街区内においては、建築物の壁又はこれに代わる柱は、建築物の地盤面下の部分及び国土交通大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するものを除き、特定街区に関する都市計画において定められた壁面の位置の制限に反して建築してはならない。
- 3.特定街区内の建築物については、第五十二条から前条まで並びに第六十条の三第一項及び第二項の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
特定街区とは何ですか?
定義特定街区とは、建築基準法第60条に定められた規定で、「特定街区内においては、建築物の容積率及び高さは、特定街区に関する都市計画において定められた限度以下でなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 建築基準法第60条(特定街区)は、日本の建築基準法に含まれる条文です。
- 建築基準法第60条の条文原文は「特定街区内においては、建築物の容積率及び高さは、特定街区に関する都市計画において定められた限度以下でなければならない。」で始まります。
- 建築基準法第60条は第四節 建築物の敷地及び構造に置かれています。
- 建築基準法の公布日は昭和25年5月24日です。
- 建築基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 建築基準法第60条の前の条は建築基準法第59条の2です。
- 建築基準法第60条の次の条は建築基準法第60条の2です。
- 建築基準法第60条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第60条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201 - 本サイト収録
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第60条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000201/60
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点建築基準法60条は、特定街区内の建築物の容積率と高さを都市計画の限度以下とし、壁面の位置の制限を課す一方、52条から59条の2までの形態規制を適用除外とする。
Q · 特定街区って、普通の容積率や日影規制はどうなるの?
52条〜59条の2が丸ごと外れ、都市計画の数値だけが効く
建築基準法60条3項により、特定街区内の建築物には第52条から第59条の2まで(容積率、建蔽率、斜線制限、日影規制など)が適用されません。代わりに効くのは、特定街区に関する都市計画で定められた容積率、高さの最高限度、壁面の位置の制限という三点だけです。ただし外れるのは形態規制のみで、用途制限(48条)、接道義務(43条)、防火地域の規制(61条)や構造・避難の単体規定は従来どおり適用されます。
解説
霞が関ビルディングが日本初の超高層として建ち上がった一九六八年、その足元を支えたのが特定街区という仕組みである。建築基準法60条は、特定街区に指定された区域では容積率と高さは都市計画で定めた限度以下でなければならず、壁も都市計画で定めた壁面の位置に反して建ててはならないと決める。ここまでは制限の話に見える。だが本条の破壊力は3項にある。52条から59条の2まで、つまり容積率も建蔽率も斜線制限も日影規制も、まるごと適用されない。あなたが普段「この土地にどれだけ建つか」を測っている物差しが、この街区の中では一本残らず消える。代わりに効くのは、都市計画に書き込まれた三つの数字だけだ。だから交渉の勝負は建築確認の窓口ではなく、都市計画が決まる前の段階ですでに終わっている。
法的な位置づけ
建築基準法60条は特定街区における形態規制の特則である。特定街区内の建築物は、容積率および高さが都市計画で定めた限度以下であることを要し、壁またはこれに代わる柱は都市計画で定めた壁面の位置の制限に従わなければならない。その反面、第52条から第59条の2までの一般的形態規制は適用が除外される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.都市計画決定の図書で三つの数値を確定する 計画地が特定街区内にあるか都市計画図で確認し、該当すれば自治体の都市計画課で決定図書を閲覧する。容積率の最高限度、高さの最高限度、壁面の位置の制限の三点を写しで押さえ、設計与件として最初に固定する
- 2.適用除外の射程と生きている規制を切り分ける 60条3項で外れる52条〜59条の2(容積率・建蔽率・斜線制限・日影規制等)と、外れない48条の用途制限、43条の接道義務、61条の防火地域、構造・避難の単体規定を一覧化し、設計条件表に落とす
- 3.壁面の位置の制限と除外規定を個別確認する 地下躯体、歩廊の柱、庇など制限線に触れる部位を洗い出し、60条2項の除外(地盤面下の部分、国土交通大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するもの)に当たるかを特定行政庁に事前相談で確認する
- 4.周辺住民として関与するなら縦覧期間内に動く 都市計画案の縦覧(都市計画法17条、2週間)の間に図書と日影検討図の写しを取得し、満了日までに意見書を提出する。公聴会が開かれる場合は発言して記録に残す
- 5.決定後に残る手段を確認する 都市計画決定後は指定自体の処分性が否定されるため、建築確認処分を争う道が中心になる。出訴期間は処分を知った日から6か月、処分の日から1年(行政事件訴訟法14条)。限度超過の建築物には9条の是正命令があり期間制限はない
よくある質問 AI による整理
Q1特定街区とは何ですか?
都市計画で指定する地域地区の一つで、街区単位に容積率・高さの最高限度・壁面の位置の制限を個別に定める制度です。建築基準法60条が建築規制面の効果を規定します。
Q2特定街区では日影規制はかかりますか?
かかりません。建築基準法60条3項が52条から59条の2までを適用除外とし、日影規制(56条の2)もこの範囲に含まれます。運用上は都市計画決定の段階で日影の検討図が審査されます。
Q3特定街区の容積率はどこで確認できますか?
用途地域の指定容積率ではなく、当該特定街区に関する都市計画決定の図書に記載されています。自治体の都市計画課で決定図書を閲覧・写しの交付を受けて確認します。
Q4特定街区と総合設計制度の違いは?
特定街区は都市計画決定で規制を置き換える制度、総合設計(59条の2)は特定行政庁の許可で緩和する制度です。後者は行政処分なので取消訴訟で争えます。
Q5特定街区では用途制限も外れますか?
外れません。60条3項が外すのは形態規制のみです。用途地域の用途制限(48条)、接道義務(43条)、防火地域の規制(61条)、構造・避難の単体規定はすべて適用されます。
Q6特定街区の都市計画に意見は言えますか?
言えます。都市計画法17条により案は2週間公衆の縦覧に供され、その期間満了の日までに意見書を提出できます。提出された意見書は都市計画審議会に付議される資料になります。
Q7壁面の位置の制限に例外はありますか?
あります。60条2項は建築物の地盤面下の部分と、国土交通大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するものを除外しています。地下躯体や公開歩廊の柱は制限線を越えても違反になりません。
Q8特定街区の指定を裁判で争えますか?
困難です。地域地区の指定は一般に処分性が否定され、直接の取消訴訟は原則できません。都市計画に適合する申請を建築主事は拒めない(6条)ため、確認処分を争う道も狭くなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1特定街区の隣に住んでいます。日影規制で守られないって本当ですか?
本当である。60条3項は52条から59条の2までを一括で適用除外にし、日影規制(56条の2)もその中に含まれる。ただし都市計画を決める段階で周辺への影響は審査され、自治体の運用基準で日影の検討図を提出させるのが通例である。実務のポイント:その検討図は案の図書として縦覧に供されるため、縦覧期間中に写しを求めれば、事業者が作成した日影図をそのまま入手できる。
Q2特定街区って、要するに容積率を買えるってことですか?
正確ではない。特定街区は公開空地の提供などに応じて都市計画で高い容積率を定める制度であり、他人の未利用容積を買い取る制度ではない。未利用容積の移転は特例容積率適用地区(57条の2)の話である。実務のポイント:ただし特定街区は複数の街区を一体で指定でき、街区間で容積を配分できる。結果が似るため、実務では両制度を必ず並べて比較検討する。
Q3建築確認を取り消せば止められますよね?
難しい。都市計画に適合していれば建築主事は確認を拒めない(6条)。加えて地域地区の指定そのものは一般に処分性が否定されており(最判昭和57.4.22)、都市計画決定を直接争う道はほぼ閉じている。実務のポイント:同じ高さ緩和でも総合設計(59条の2)は特定行政庁の許可という処分なので取消訴訟で争え、周辺住民の原告適格が認められた例もある(最判平成14.1.22)。どちらの制度で建つかで住民の武器の有無が変わる。
Q4壁を一ミリでも線から出したらアウトですか?
原則アウトだが例外がある。60条2項は、建築物の地盤面下の部分と、国土交通大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するものを除外している。地下躯体や公開歩廊の柱は壁面線を越えても違反にならない。実務のポイント:この除外があるため、壁面線の外側にピロティ状の歩行者空間を設け、街区の実質的な使い方を広げる設計が定番になっている。
間違えやすい点 AI による整理
- 特定街区は容積率が緩和される制度だと知っている人は多い。だが緩和の射程を正確に知る人は少ない。3項で外れるのは容積率だけではなく、建蔽率、敷地面積の最低限度、外壁の後退距離、斜線制限、日影規制、高度地区の制限まで一括で消える。残るのは都市計画に書かれた容積率、高さ、壁面の位置の三点だけである
- 「どうすれば建築確認を止められるか」という問いの立て方そのものが誤っている。都市計画に適合する申請を建築主事は拒めない(6条)。勝負は確認の前、案の縦覧二週間で決着している。止める話ではなく、書き込ませる話なのだ
- 何でも建てられる無法地帯になると思われがちだが、外れるのは形態規制だけである。用途地域の用途制限(48条)、接道義務(43条)、防火地域の規制(61条)、構造や避難といった単体規定は一切外れない。特定街区の中にパチンコ店が突然建てられるわけではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制を置き換える手段 | 60条:都市計画決定(特定街区)で容積率・高さ・壁面の位置を定める | 59条の2:特定行政庁の許可(総合設計)で容積率・高さを緩和 60条の2:都市計画決定(都市再生特別地区)で用途・容積等を定める |
| 外れる規制の範囲 | 52条〜59条の2並びに60条の3第1項・第2項が全面的に不適用 | 許可で認められた範囲の容積率・斜線制限・絶対高さのみ緩和 都市再生特別地区に関する都市計画で定めた範囲で置換 |
| 住民が争える場所 | 都市計画案の縦覧・意見書・公聴会(都市計画法17条)が中心、指定自体は処分性が否定されやすい | 許可は行政処分のため取消訴訟が可能、周辺住民の原告適格が認められた例がある 特定街区と同じく都市計画手続が中心 |
| 外れない規制 | 用途制限(48条)、接道義務(43条)、防火地域(61条)、単体規定 | 同左に加え、許可条件として付された事項 用途は都市計画で別途定められる場合がある |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾では細部計画において建蔽率・容積率・建築物高度・退縮距離を個別に定めることができ、都市更新の容積奨励と組み合わせて高度利用を実現する。街区単位で一般規制を置換する発想は特定街区と近いが、奨励は許可型の審議を経る点で手続構造が異なる
地区単位計画区域では建蔽率・容積率・高さ制限の緩和が可能で、公共施設の提供と引き換えに容積を上乗せする運用も行われる。都市計画決定手続で規制を置き換える点が特定街区と共通する
ドイツは Bebauungsplan(地区詳細計画)自体が条例(Satzung)として制定され、BauNVO の上限を超える定めには特別の正当化を要する。計画そのものを規範統制手続(§ 47 VwGO)で争える点が、指定の処分性が否定される日本と大きく異なる
フランスでは PLU(地方都市計画)が建築規則を定め、一定の場合に例外(dérogation)が認められる。PLU 自体が越権訴訟(recours pour excès de pouvoir)の対象となり、住民の司法的統制が計画段階で働く
米国では PUD や大規模開発地区の指定により、基準ゾーニングの bulk regulation を一括で置き換える。公開空地の提供に応じた容積ボーナス(incentive zoning)は特定街区の運用と機能的に極めて近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 自宅マンションの南側にある平面駐車場のフェンスに、都市計画案の縦覧のお知らせが貼られた。添えられた図面には高さ百五十メートルとある。縦覧はあと九日で終わる。この期間に意見書を出さなければ、あなたが日照について正式に何かを言える機会は、この先一度も来ない
- もし、特定街区内の古い敷地を買って建て替えようとしたら? 容積率の限度は都市計画で個別に決まっているため、用途地域の指定容積率を見ても答えは出ない。都市計画決定の図書を取り寄せるまで、その土地にいくら建つのかを誰も正確に答えられない
- 隣のビルが建て替わる。日影規制の説明会がない。特定街区だから、そもそも規制が最初からかかっていない
- あなたがデベロッパーの開発担当で、街区の一角に公開空地を出す代わりに容積率の上乗せを狙っている。設計はまだ白紙でいい。先に固めるべきは都市計画の素案と周辺の合意で、図面はその後からついてくる
- テナントとして入居中のビルのオーナーが変わり、建て替えの話が出た。あなたの賃借権は都市計画とは無関係に守られるが、立退き交渉の相手が握っている「建て替え後の床がいくら増えるか」という数字の根拠は、この60条と都市計画決定の中にある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 縦覧中の都市計画案を役所で閲覧し、容積率・高さの最高限度・壁面の位置の三点と添付の日影図を写しで確保する2. 縦覧期間満了の日までに意見書を提出(都市計画法17条2項)、公聴会が開かれるなら必ず発言して記録に残す3. 決定後は建築確認処分を争う道しか残らないが、計画に適合する申請を主事は拒めない(6条)ため勝ち筋は薄い4. 日照や安全に具体的被害が及ぶ位置にいるなら、原告適格の主張材料として現況写真と日影シミュレーションを工事前に押さえておく
訴えられた側:1. 都市計画で定められた容積率・高さ・壁面の位置の三点を設計与件として最初に固定する。52条以下が外れる代わりに、この三つを超えた瞬間に確認が下りない2. 壁面線に触れる地下躯体と歩廊の柱が60条2項の除外に当たるか、国土交通大臣の指定範囲を個別に確認する3. 用途制限(48条)、接道(43条)、防火地域(61条)、単体規定は生きている前提で計画する4. 限度を超えて建てれば9条の是正命令の対象となり、こちらには期間の制限がない
時効(請求できる期限):本条自体に消滅時効はない。都市計画案の縦覧は二週間で、意見書はその満了日までに提出する必要がある(都市計画法17条)。建築確認処分を争うなら処分を知った日から6か月、処分の日から1年(行政事件訴訟法14条)。違反建築物に対する是正命令(9条)には期間制限がなく、完成後何年経っても対象になりうる
学説
通説:60条3項の適用除外は形態規制に限定され、用途規制・集団規定のうち接道義務や防火規制、および単体規定には及ばないと解される。特定街区は規制の解除ではなく、都市計画による個別設計への置換と理解される。
手続的統制論:実体的規制を外す代償として、都市計画法の縦覧・意見書・公聴会・審議会という手続的関与に周辺住民の保護が託されている。手続が形式化すると保護の均衡が崩れるとして、運用基準による日影検討図の提出等の実務的補完が重視される。
改正沿革 AI による整理
- 昭和36年(1961年) 特定街区制度が創設され、街区単位で容積率・高さの最高限度・壁面の位置の制限を都市計画で定め、一般の形態規制を外す仕組みが始まった。昭和43年(1968年)竣工の霞が関ビルディングが最初期の適用例として知られる
- 後続の地区制度新設に伴う3項の改正(年次は要検証) 3項が掲げる適用除外の範囲は、特例容積率適用地区や特定用途誘導地区など後発の地区制度が新設されるたびに書き換えられてきた。現行の3項が60条の3第1項及び第2項を掲げるのは特定用途誘導地区の新設に対応したものだが、各改正の年次と回数は原文照合が必要
改正の年表
- 1.昭和36年(1961年) 新設:特定街区制度が創設され、街区単位で容積率・高さの最高限度・壁面の位置の制限を都市計画で定め、一般の形態規制を外す仕組みが導入された
- 2.後続の地区制度新設に伴う改正(年次は要検証) 改正:3項が掲げる適用除外の範囲は、特例容積率適用地区や特定用途誘導地区など後発の地区制度が新設されるたびに書き換えられてきた。現行3項が60条の3第1項および第2項を掲げるのは特定用途誘導地区の新設に対応したものだが、各改正の年次は原文照合が必要
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