地方税法 第11条の8(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)
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滞納者の地方団体の徴収金につき滞納処分をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合において、その不足すると認められることが、当該地方団体の徴収金の法定納期限の一年前の日以後に滞納者がその財産につき行つた政令で定める無償又は著しく低い額の対価による譲渡(担保の目的でする譲渡を除く。)、債務の免除その他第三者に利益を与える処分に基因すると認められるときは、これらの処分により権利を取得し、又は義務を免れた者は、これらの処分により受けた利益が現に存する限度(これらの者がその処分の時にその滞納者の親族その他滞納者と特殊の関係のある個人又は同族会社(これに類する法人を含む。)で政令で定めるものであるときは、これらの処分により受けた利益の限度)において、当該滞納に係る地方団体の徴収金の第二次納税義務を負う。
この条文の基本情報
無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務とは何ですか?
定義無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務とは、地方税法第11条の8に定められた規定で、「滞納者の地方団体の徴収金につき滞納処分をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合において、その不足すると認められることが、当該地方団体の徴収金の法定…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 地方税法第11条の8(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)は、日本の地方税法に含まれる条文です。
- 地方税法第11条の8の条文原文は「滞納者の地方団体の徴収金につき滞納処分をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合において、その不足すると認められることが、当該地方団体の徴収金の法定…」で始まります。
- 地方税法第11条の8は第四節 第二次納税義務に置かれています。
- 地方税法の公布日は昭和25年7月31日です。
- 地方税法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 地方税法第11条の8の前の条は地方税法第11条の7です。
- 地方税法第11条の8の次の条は地方税法第11条の9です。
- 地方税法第11条の8には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第11条の8 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226 - 本サイト収録
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第11条の8(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000226/11_8
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点地方税法11条の8は、滞納者が法定納期限の1年前の日以後に行った無償・著しい低額の譲渡等で徴収不足が生じた場合、利益を受けた者に第二次納税義務を負わせる規定。
Q · 親から土地を安く譲ってもらったら、親の住民税の滞納を払わされるって本当?
滞納処分で不足し、期間内の低額譲渡が原因なら払う義務がある
地方税法11条の8により、滞納者の財産を差し押さえても税額に足りず、その不足が法定納期限の1年前の日以後に行われた無償または著しく低い対価の譲渡などに基因する場合、譲り受けた人は第二次納税義務を負います。限度は原則として今も手元に残る利益ですが、親族や同族会社など政令で定める特殊関係者は、使い切った分も含めて受けた利益の全額が限度になります。善意か悪意かは問われません。
解説
親から格安で譲られた土地、兄から放棄してもらった借金、廃業する父の会社からタダで引き取った営業車。どれも家族内の円満なやり取りに見えるが、譲った側に住民税や固定資産税の滞納があれば話は変わる。地方税法11条の8により、市役所や県税事務所はその「得をした側」に直接、滞納税の支払いを求めることができる。適用には条件がある。①滞納者の財産を差し押さえて売っても税額に届かないこと、②その不足が、法定納期限の1年前の日以後に行われた無償・著しい低額の譲渡、債務の免除など、第三者に利益を与える処分から生じていること。責任の上限にも差がある。赤の他人なら「受けた利益が現に存する限度」(今も手元に残っている分)までで済む。ところが親族や同族会社など政令で定める特殊関係者なら、使い切っていても「受けた利益の限度」まで全額が対象になる。民法の詐害行為取消権(424条)のように裁判を起こす必要はなく、役所は納付通知書一枚で請求してくる。善意か悪意かも問われない。「贈与だから税務署(国税)の話」という思い込みが、地方税の世界ではいちばん危ない。
法的な位置づけ
地方税法11条の8は、無償譲受人等の第二次納税義務を定める規定である。滞納者の財産に滞納処分をしても徴収金に不足し、その不足が法定納期限の1年前の日以後に行われた無償または著しく低い対価による譲渡、債務の免除その他第三者に利益を与える処分に基因する場合、利益を受けた者が現存利益(特殊関係者は受けた利益)の限度で納税義務を負う。
手順
- 1.通知書の日付を確認し期限を記録する 「第二次納税義務者」と記載された納付通知書の日付を確認し、審査請求の期限(処分を知った日の翌日から原則3か月)を手帳やカレンダーに記録する。
- 2.譲渡の日付と対価を示す資料を集める 登記事項証明書、売買契約書、振込記録などを集め、譲渡日が法定納期限の1年前の日より前かどうか、実際に支払った対価がいくらかを確認する。
- 3.時価と利益額を検証する 役所が算定した時価が路線価や固定資産税評価額を機械的に使っていないか確認する。建物の劣化や借地権の負担などを反映した鑑定評価を取り、利益額の過大を指摘する材料にする。
- 4.審査請求書を期限内に提出する 要件の欠如(期間外の譲渡、担保目的の譲渡、対価が著しく低くないこと、特殊関係者に当たらないこと等)を主張する審査請求書を、処分庁を管轄する地方団体の長に提出する。
- 5.納付方法を並行して相談する 争うかどうかとは別に、徴収担当窓口で分割納付や換価の猶予の可否を相談し、差押えに進む前に条件交渉の余地を確保する。
よくある質問 AI による整理
Q1第二次納税義務とは何ですか?
本来の納税者から税を取り切れないとき、法律が定める一定の関係者に代わりに納付させる義務です。地方税法11条の8は、無償・低額の譲受人などを対象にしています。
Q2「法定納期限の1年前の日以後」とはいつからですか?
滞納となった税の本来の納期限から、ちょうど1年さかのぼった日以後を指します。この日より前に行われた譲渡は、本条の対象になりません。
Q3特殊関係者とはどんな人ですか?
親族のほか、滞納者と特殊な関係のある個人や同族会社などで、政令で定める者です。該当すると、責任の限度が現存利益ではなく受けた利益の全額になります。
Q4離婚の財産分与で受け取った家も対象になりますか?
相当な額の財産分与は原則として無償譲渡に当たらないと解されています。ただし不相当に過大で、財産隠しと評価される場合は対象になりえます。
Q5第二次納税義務の請求は拒否できますか?
要件を満たせば拒否はできませんが、要件の欠如や限度額の誤りは審査請求で争えます。通知を受けた日の翌日から原則3か月以内に申し立てる必要があります。
Q6担保のために財産を移した場合も対象ですか?
対象外です。条文は「担保の目的でする譲渡を除く」と明記しており、融資の担保としての譲渡は本条の処分に含まれません。
Q7国税の第二次納税義務と何が違いますか?
国税は国税徴収法39条が同じ仕組みを定めています。地方税法11条の8はその地方税版で、住民税・固定資産税・事業税などの滞納が対象です。
Q8第二次納税義務はいつまで請求されますか?
主たる徴収金の徴収権は法定納期限の翌日から5年で時効消滅します(地方税法18条)。時効の進み方は個別事情で変わるため、通知書の日付を必ず確認してください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親が滞納してたなんて全然知らなかったんですけど、それでも払わなきゃダメなんですか?
本条(地方税法11条の8)は、譲り受けた側が善意か悪意かを要件にしていない。知らなかったことは原則として免責理由にならない。ただし、親族などの特殊関係者でなければ、責任は今も手元に残っている利益の範囲に限られる。実務のポイント:争点は善意かどうかより「対価が本当に著しく低いか」に置くほうが現実的である。不動産鑑定書で時価を下げる方向の証拠を出すと、利益額そのものが縮むことがある
Q2「著しく低い額」って、時価の何割以下のことなんですか?
条文に数字は書かれていない。国税の同旨規定(国税徴収法39条)の運用では、時価のおおむね2分の1未満が一つの目安とされるが、上場株式のように相場が明確な財産では、それより小さな差でも著しく低いと判断されうる。地方税の実務もこの運用を参考にしている。実務のポイント:役所の時価評価は路線価や固定資産税評価額を機械的に使っていることが多い。建物の傷みや借地権の負担を反映した鑑定を出すだけで、利益額の計算が大きく変わる場合がある
Q3通知が来たってことは、もう自分の給料とか口座がすぐ差し押さえられるんですか?
第二次納税義務者には、まず納付通知書で告知があり(地方税法11条)、期限までに納めなければ督促を経て滞納処分に進む。さらに原則として、第二次納税義務者の財産の換価は、主たる納税者の財産を換価した後でなければできない。実務のポイント:告知を受けた段階で分割納付や換価の猶予を相談すると、差押えの前に条件交渉ができることが多い。黙っていると、交渉材料を自分から手放すことになる
Q4親の住民税の金額自体がおかしい気がするんですが、そこも争えますか?
争える余地がある。国税の同旨規定について最判平成18.1.19は、第二次納税義務者が本来の納税者に対する課税処分を争う資格を認め、不服申立期間は告知を受けた日の翌日から数えるとした。地方税にも同じ考え方が及ぶと解されている。実務のポイント:告知処分の取消訴訟の中で主たる課税の違法を主張することは原則として認められない(最判昭和50.8.27)。主たる課税は別ルートで、期間内に争う必要がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「贈与税をきちんと払ったのだから、もう税の問題は片付いている」と考えるのは前提の取り違えである。贈与税は受け取った側自身の国税で、本条が問うのは譲った側が抱えていた地方税の滞納である。二つは別の帳簿にある。贈与税を納めても、第二次納税義務は一円も減らない
- 家族間の格安譲渡がまずいことは何となく知っていても、その重さまで分かっている人は少ない。他人なら「現に存する利益」が限度なので、使い切っていれば責任も縮む。ところが親族や同族会社は「受けた利益の限度」まで責任を負う。旅行や生活費で消えた分も含め、受け取った額そのものが請求の天井になる
- 受け取った側から見れば「親の厚意を受けただけ。何も悪いことはしていない」。法律から見れば、善意か悪意かは要件に入っていない。滞納の事実を知らなかったことは、ほとんど抗弁にならない。悪意を立証しなければならない民法424条の詐害行為取消権と比べると、役所側の負担ははるかに軽い
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 責任を負う者 | 地方税法11条の8:無償・著しい低額の譲受人、債務免除を受けた者など | 地方税法11条の3:解散法人の清算人、残余財産の分配を受けた者 民法424条:詐害行為の受益者・転得者(債権者が訴訟で取り消す) |
| 主な要件 | 滞納処分をしても不足+法定納期限の1年前の日以後の処分に基因 | 法人が地方税を納めないまま残余財産を分配・引渡し 債務者が債権者を害することを知って行った行為+受益者の悪意 |
| 責任の限度 | 現存利益(特殊関係者は受けた利益の全額) | 分配・引渡しを受けた財産の価額など 取消しの範囲は債権額の限度 |
| 実現の手段 | 納付通知書による告知(訴訟不要) | 納付通知書による告知(訴訟不要) 裁判所への詐害行為取消訴訟が必要 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾には無償譲受人に直接納税義務を課す第二次納税義務の制度はなく、租税債権の保全措置と、民法上の債権者取消権(訴訟が必要)で対応する。日本の方が徴収側の手続負担は軽い
韓国は債権者取消権を通じて詐害的な財産移転を取り消す構造。訴訟を要する点で、通知書で足りる日本の本条とは手続が異なる
中国は税務機関自らが民法上の代位権・撤銷権を行使できると定める。ただし裁判所への請求を要し、受益者に直接納税義務を課す日本型とは異なる
ドイツは租税通則法の責任決定(Haftungsbescheid)と債権者取消法を組み合わせる。無償給付の取消しは期間制限付きで、日本の時間の線と発想が近い
米国は譲受人責任(transferee liability)として、州の詐害的譲渡法を前提に IRS が譲受人から租税を徴収できる。受けた財産の価額が限度となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 事業に行き詰まった父親が、店を畳む直前に自宅の土地をあなたの名義に移した。父の事業税と固定資産税、計600万円が未納のまま。半年後、あなた宛てに県税事務所から「第二次納税義務者」と書かれた通知書が届く。登記簿の移転日が法定納期限の1年前の日より後なら、本条のど真ん中に立っていることになる
- もし兄に貸していた300万円を「もういいよ」と免除してあげた側ではなく、免除してもらった側があなただったら、どうなる? 兄に住民税の滞納があり財産もなければ、その300万円の免除が「第三者に利益を与える処分」となり、あなたが兄の税を背負う可能性がある
- あなたは同族会社の社長。滞納中の取引先の社長から、時価800万円の機械を100万円で買い取った。相手は「急いで現金が欲しい」と言っていた。差額700万円が利益とみなされうるうえ、相手と特殊関係があれば、機械を転売して手元に何も残っていなくても限度額は減らない
- 納付通知書の日付から3か月が過ぎようとしている。審査請求の期限が近い。机の引き出しに入れたままの封筒を、今夜開けるべき理由はそれだけで十分だ
- 離婚に際して夫から自宅マンションを財産分与で受け取った。後になって、夫が市県民税を長期滞納していたと分かる。財産分与は原則として本条の「無償譲渡」に当たらないと解されているが、分与額が不相当に過大で、財産分与に名を借りた財産隠しと見られれば対象になりうる。実務上、境界線の判断は個別事情で分かれる
- 友人から「親の会社が潰れる前に、社用車を一台タダで譲ってもらった。何か問題ある?」とLINEが来た。答えは、譲った会社に地方税の滞納があるかどうか、そして譲渡がいつだったか次第である
取るべき行動
被害を受けた側:滞納分を取り立てる側の地方団体、または滞納者に債権を持つ立場から見た手順である。1. 滞納者の財産調査で、法定納期限の1年前の日以後の登記移転・預金移動・債権放棄を洗い出す2. 譲渡価額と時価を比べ、著しい低額といえるか評価資料をそろえる3. 譲受人が親族や同族会社など特殊関係者かを確認する。受けた利益の全額を限度にできる4. 本条が使えない私債権者は、民法424条の詐害行為取消権を検討する
訴えられた側:1. 通知書の日付を確認し、審査請求の期限(原則3か月)を手帳に書く2. 要件を一つずつ崩す:譲渡日は法定納期限の1年前の日より前か、対価は本当に著しく低いか、担保目的の譲渡ではないか、滞納処分をしても不足するといえるか3. 特殊関係者でなければ、現存利益の範囲へ減額を主張する4. 主たる納税者への課税そのものの誤りも争点にできる5. 地方税に強い税理士または弁護士に早めに相談する
時効(請求できる期限):告知(納付通知書)への審査請求は、処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)。取消訴訟は裁決を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。原則として審査請求前置(地方税法19条の12、最新の改正状況をご確認ください)。対象となる処分は、主たる徴収金の法定納期限の1年前の日以後に行われたもの。主たる徴収金の徴収権の消滅時効は、法定納期限の翌日から5年(地方税法18条)
学説
通説:第二次納税義務は主たる納税義務に対し補充性と付従性を持つ。主たる納税者への滞納処分が先行し、第二次納税義務者の財産の換価は原則として主たる納税者の財産の換価後に限られる。
通説:本条は詐害行為取消権の特則として位置づけられ、受益者の悪意を要件とせず、訴訟によらず行政処分で徴収できる点に特徴がある。その代わり期間と利益限度で対象が絞られている。
- 地方税法 第11条第二次納税義務者からの徴収手続と納付通知
- 地方税法 第18条地方税の徴収権の消滅時効
- 地方税法 第19条の12審査請求前置(現行効力を要確認)
- 地方税法 第11条の3清算人等の第二次納税義務、同系統の規定(現行効力を要確認)
- 民法 第424条詐害行為取消権、本条は訴訟不要の簡易な特則
- 国税徴収法 第39条国税における同旨規定、解釈の参照基準
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