地方税法 第689条(市町村法定外普通税に係る重加算金)
クイックジャンプ
- 前条第一項の規定に該当する場合において、納税者又は特別徴収義務者が課税標準額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、かつ、その隠蔽し、又は仮装した事実に基づいて納入申告書、修正申告書又は第二十条の九の三第三項に規定する更正請求書(次項において「更正請求書」という。)を提出したときは、市町村長は、政令で定めるところにより、前条第一項に規定する過少申告加算金額に代えて、その計算の基礎となるべき更正による不足金額又は修正申告により増加した税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算金額を徴収しなければならない。
- 2.前条第二項の規定に該当する場合(同項ただし書の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者又は特別徴収義務者が課税標準額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、かつ、その隠蔽し、又は仮装した事実に基づいて納入申告書の提出期限までにこれを提出せず、又は納入申告書の提出期限後にその提出をし、修正申告書を提出し、若しくは更正請求書を提出したときは、市町村長は、同項に規定する不申告加算金額に代えて、その計算の基礎となるべき税額に百分の四十の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算金額を徴収しなければならない。
- 3.前二項の規定に該当する場合において、次の各号のいずれか(第一項の規定に該当する場合にあつては、第一号)に該当するときは、前二項に規定する重加算金額は、これらの規定にかかわらず、これらの規定により計算した金額に、第一項の規定に該当するときは同項に規定する計算の基礎となるべき更正による不足金額又は修正申告により増加した税額に、前項の規定に該当するときは同項に規定する計算の基礎となるべき税額に、それぞれ百分の十の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。
- 一前二項に規定する課税標準額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されたものに基づき納入申告書の提出期限後のその提出、修正申告書の提出又は第六百八十六条第一項から第三項までの規定による更正若しくは決定があつた日の前日から起算して五年前の日までの間に、市町村法定外普通税について、不申告加算金等を徴収されたことがある場合
- 二納入申告書の提出期限後のその提出、修正申告書の提出又は第六百八十六条第一項から第三項までの規定による更正若しくは決定に係る市町村法定外普通税の納税義務又は特別徴収義務が成立した日の属する年の前年及び前々年に納税義務又は特別徴収義務が成立した市町村法定外普通税について、特定不申告加算金等を徴収されたことがあり、又は特定不申告加算金等に係る決定をすべきと認める場合
- 4.市町村長は、前二項の規定に該当する場合において、納入申告書又は修正申告書の提出について前条第六項に規定する事由があるときは、当該納入申告に係る税額又は修正申告により増加した税額を基礎として計算した重加算金額を徴収しない。
- 5.市町村長は、第一項又は第二項の規定により徴収すべき重加算金額を決定した場合には、遅滞なく、これを納税者又は特別徴収義務者に通知しなければならない。
この条文の基本情報
市町村法定外普通税に係る重加算金とは何ですか?
定義市町村法定外普通税に係る重加算金とは、地方税法第689条に定められた規定で、「前条第一項の規定に該当する場合において、納税者又は特別徴収義務者が課税標準額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、かつ、その隠蔽し、又は…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 地方税法第689条(市町村法定外普通税に係る重加算金)は、日本の地方税法に含まれる条文です。
- 地方税法第689条の条文原文は「前条第一項の規定に該当する場合において、納税者又は特別徴収義務者が課税標準額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、かつ、その隠蔽し、又は…」で始まります。
- 地方税法第689条は第九節に置かれています。
- 地方税法の公布日は昭和25年7月31日です。
- 地方税法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 地方税法第689条の前の条は地方税法第688条です。
- 地方税法第689条の次の条は地方税法第690条です。
- 地方税法第689条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第689条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226 - 本サイト収録
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第689条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000226/689
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点地方税法689条は、市町村法定外普通税で課税の基礎となる事実を隠蔽・仮装して申告した場合、過少申告加算金に代えて不足税額の35%(不申告は40%)の重加算金を課す。
Q · 市の独自税で売上を少なく申告したら、ペナルティはどれくらい?
隠蔽・仮装があれば不足税額の35%、無申告なら40%
地方税法689条により、市町村法定外普通税で課税の基礎となる事実を隠蔽・仮装して申告した場合、過少申告加算金(原則10%)に代えて不足税額の35% の重加算金が課されます。期限内に申告しなかった場合は40% です。過去5年以内に同種の税で不申告加算金等を徴収されていれば、さらに10% が加算されます。単なる計算ミスであれば重加算金ではなく前条の加算金にとどまり、前条6項の事由がある場合は重加算金は徴収されません。
解説
市町村が条例で独自に作る税(法定外普通税)は、使用済核燃料税、別荘等所有税、観光地の駐車場への課税など、全国でも数えるほどしかない。珍しい税なので、払う側には「国税ほど厳しくないだろう」という油断が生まれやすい。本条はその油断をはっきり否定する。帳簿から一部を抜く、台数や件数をごまかす、架空の事実で申告書を作るなど、税額計算のもとになる事実を隠蔽・仮装して申告すると、原則10% の過少申告加算金が35% の重加算金(悪質な隠し工作に対する行政上のペナルティ)に置き換わる。期限内に申告しなかった場合は40% だ。さらに、過去5年以内に同じ種類の税で加算金を徴収されていれば、10% が上乗せされる。分かれ目は「計算ミス」か「隠し工作」か。ミスなら10%、工作なら3.5倍になる。ただし、前条が定める事由(調査による更正を予知する前に、自分から申告・修正した場合など)があれば、重加算金は徴収されない。同じ不足税額でも、このことを知っているかどうかで、届く請求書の金額は大きく変わる。
法的な位置づけ
地方税法689条は、市町村法定外普通税における重加算金を定める規定である。納税者又は特別徴収義務者が課税標準額の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装し、それに基づいて申告等をした場合、過少申告加算金に代えて35%、不申告加算金に代えて40% の重加算金を課し、一定の加算金履歴があれば10% を加重する。
よくある質問 AI による整理
Q1重加算金とは何ですか?
地方税で、課税の基礎となる事実を隠蔽・仮装して申告した場合に、通常の加算金に代えて課される行政上のペナルティです。市町村法定外普通税では地方税法689条が根拠です。
Q2法定外普通税にはどんな税がありますか?
市町村が条例で独自に設ける普通税で、使用済核燃料税や別荘等所有税などが例です。導入には総務大臣への協議と同意が必要で、全国でも件数は限られています。
Q3重加算金と延滞金は両方かかりますか?
かかります。延滞金は納付の遅れに対する利息的な負担で、重加算金とは別枠です。隠蔽が発覚すると、不足税額に加えて重加算金と延滞金が同時に請求されえます。
Q4重加算金は何年前までさかのぼって課されますか?
更正・決定は原則として法定納期限から5年ですが、偽りその他不正の行為がある場合は7年まで可能です(地方税法17条の5)。隠蔽事案では長期の遡及がありえます。
Q5特別徴収義務者も重加算金の対象になりますか?
なります。本条は納税者だけでなく特別徴収義務者も明記しています。駐車場の利用者などから税を預かって納める事業者が台数を偽れば、重加算金の対象です。
Q6重加算金の通知はいつ届きますか?
市町村長が重加算金額を決定したときは、遅滞なく納税者又は特別徴収義務者に通知しなければなりません(本条5項)。通知は審査請求期間の起算点にも関わります。
Q7重加算金を課されない場合はありますか?
あります。本条4項により、納入申告書や修正申告書の提出について前条6項に定める事由があれば、その申告に係る税額を基礎とする重加算金は徴収されません。
Q8重加算金は会社の経費(損金)になりますか?
なりません。法人税法上、地方税法の規定による重加算金は損金の額に算入されません(法人税法55条)。実質的な負担はそのまま利益から差し引かれます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1計算をうっかり間違えただけでも、重加算金になっちゃうんですか?
なりません。本条1項が求めるのは、課税の基礎となる事実を隠蔽・仮装し、それに基づいて申告したことです。単なる計算ミスであれば、前条の過少申告加算金(原則10%)で済みます。実務のポイント:境界線で問われるのは、本人の「つもり」ではなく帳簿や資料に残る外形です。ミスが繰り返されていたり、同じ方向に偏っていたりすると、隠蔽を疑われるきっかけになります。訂正の経緯をメモで残しておくことが防御になります
Q2前にも加算金を払ったことがあるんですが、今回の額に関係しますか?
関係します。本条3項1号によって、過去5年以内に同じ市町村の法定外普通税で不申告加算金等を徴収されていれば、重加算金の率に10% が加わり、35% が45%、40% が50% になります。実務のポイント:過去の加算金が「軽い処分だった」としても、5年間は加重のスイッチとして残り続けます。担当者が交代していても市の側には記録が残っているので、調査前に自分の履歴を確認しておくべきです
Q3重加算金の通知が来たら、もう払うしかないんですか?
払うしかないわけではありません。重加算金の決定は行政処分なので、審査請求で争えます。隠蔽・仮装の事実を立証するのは市町村の側です。実務のポイント:国税の判例(最判平成7.4.28)は、帳簿の改ざんといった積極的な工作がなくても、当初から過少申告を意図し、それが外からうかがえる「特段の行動」があれば重加算税を認めるとしています。逆に言えば、その特段の行動がなかったことを示せれば、10% の率に戻せる余地があります
間違えやすい点 AI による整理
- 「市町村の独自税なんて小規模だから、ペナルティも軽いはず」と思われがちだが、実際には国税の重加算税と同じ35% と40% の構造になっている。税目が珍しいことと、制裁が甘いことは関係がない
- 加算金の率が35% だということは知っていても、それが延滞金とは別枠で、しかも過去5年以内の加算金の履歴で10% 上乗せされることまでは知らない人が多い。一度目の「軽い」加算金が、二度目の隠蔽を重くする伏線になっている
- 「重加算金を払えば脱税の件は終わり」という問いの立て方自体がずれている。重加算金は行政上の措置であり、悪質な場合に刑事責任が別に問われうることとは独立している。払ったから終わり、という図式は成り立たない
- 納税者の目線では「少し数字を丸めただけ」でも、法律の目線では、課税の基礎となる事実を隠蔽・仮装したかどうかが問われる。帳簿の改ざんや資料の廃棄といった外形的な行為が残っていれば、本人の「つもり」とは関係なく認定が進む。この落差が致命傷になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる行為 | 地方税法689条:課税の基礎となる事実の隠蔽・仮装に基づく申告等 | 地方税法688条:過少申告・期限後申告・無申告そのもの(隠蔽・仮装は不要) 国税通則法68条:国税における隠蔽・仮装に基づく申告等 |
| 基本の率 | 過少申告型35%、不申告型40% | 過少申告加算金 原則10%、不申告加算金 原則15% 重加算税 過少申告型35%、無申告型40% |
| 加重 | 加算金履歴がある場合10% 加算(3項) | 前条内の加重規定による 過去の加算税履歴等により10% 加算 |
| 課す主体 | 市町村長(法定外普通税) | 市町村長(法定外普通税) 税務署長(国税) |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾も地方自治体による独自課税(特別稅課等)を認める。不正な逃税には刑事罰規定があり、行政上の制裁は各税法の漏稅罰(罰鍰)として定められる
韓国の地方税では、不正行為による過少申告に40% の過少申告加算税を課す。日本の重加算金と同じく、通常の過少申告より重い率を置く構造
中国では偽装・隠蔽による偷税に、未納税額の50% 以上5倍以下の罰款を科す。率に幅があり、日本の定率方式とは異なる
ドイツには重加算税に相当する定率制裁はなく、脱税には刑事罰(§ 370)と脱税利息(§ 235)で対応する
フランスは故意の違反に40%、詐欺的工作に80% の加算を課す。悪質性の段階で率を変える点は日本と共通
米国連邦税では詐欺による過少納付に75% の fraud penalty を課す。詐欺の立証責任は IRS 側にある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 観光地で有料駐車場を運営している。市の法定外普通税の特別徴収義務者として、利用台数に応じた税を預かって納めている。繁忙期の手書き台帳から数日分を抜いて申告したら、それは「数え間違い」ではなく、仮装した事実に基づく申告と評価されうる。不足額の35% が重加算金として加わり、延滞金も別に付く
- もし市の税務担当から調査日程の連絡が来る前に、自分から修正申告書を出したらどうなる? 本条4項は、前条6項に定める事由があれば重加算金を徴収しないと定めている。同じ修正申告でも、出すタイミングで結果が分かれる
- 経理担当者が二重帳簿を作っていた。あなたはそれを知らなかった。それでも、事業者として重加算金の対象になりうる
- 市の税務調査は来週。3年前にも同じ税で不申告加算金を徴収されている。今回隠蔽が認定されると、本条3項1号の加重がかかり、35% ではなく45% になる。調査前の数日間でどの資料を整理し、何を自主的に開示するか、判断の時間はほとんど残っていない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 重加算金の決定通知(本条5項)を受け取ったら、まず決定理由に書かれた「隠蔽・仮装の事実」を特定する2. その事実が単なる記帳ミスや解釈の違いであることを示す資料(当時のメール、計算メモ、担当者の引継ぎ記録)を集める3. 処分を知った日の翌日から3か月以内に、市町村長へ審査請求を出す4. 隠蔽・仮装の立証責任は市町村にあることを前提に、外形的な隠し工作がなかったことを主張し、過少申告加算金の率への変更を求める
訴えられた側:1. 調査の連絡が来る前であれば、自主的な修正申告を最優先で検討する(本条4項、前条6項の事由に当たる可能性) 2. 調査が始まっていても、資料の廃棄や口裏合わせは絶対にしない。それ自体が新たな隠蔽と評価される3. 過去5年以内の加算金の履歴を確認し、3項の加重がかかるかを試算する4. 従業員や委託先の行為が原因であれば、その経緯を記録として残し、本人への帰責を争う材料にする
時効(請求できる期限):重加算金の決定に対する審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)。市町村による更正・決定は原則として法定納期限から5年、偽りその他不正の行為がある場合は7年まで可能(地方税法17条の5)(最新の改正状況をご確認ください)。3項1号の加重は、修正申告や更正などがあった日の前日から起算して5年前の日までの加算金の履歴が対象になる
学説
通説:重加算金は、申告納税制度の実効性を確保するための行政上の措置であり、刑罰ではない。隠蔽・仮装の立証責任は課税庁側にあり、国税の重加算税と同様の枠組みで解釈される
- 地方税法 第688条過少申告・不申告加算金、本条の前提
- 地方税法 第686条更正・決定、重加算金の起点
- 地方税法 第20条の9の3更正の請求、仮装した請求書も対象
- 地方税法 第669条市町村法定外普通税の新設・変更
- 地方税法 第17条の5更正・決定の期間制限、不正は延長
- 国税通則法 第68条国税の重加算税、同構造の原型
- 行政不服審査法 第18条重加算金決定への審査請求期間
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める