地方税法 第69条(法人の道府県民税に係る滞納処分に関する罪)
クイックジャンプ
- 法人の道府県民税の納税者が滞納処分の執行を免れる目的でその財産を隠蔽し、損壊し、若しくは道府県の不利益に処分し、その財産に係る負担を偽つて増加する行為をし、又はその現状を改変して、その財産の価額を減損し、若しくはその滞納処分に係る滞納処分費を増大させる行為をしたときは、その者は、三年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 2.納税者の財産を占有する第三者が納税者に滞納処分の執行を免れさせる目的で前項の行為をしたときも、同項と同様とする。
- 3.情を知つて前二項の行為につき納税者又はその財産を占有する第三者の相手方となつたときは、その相手方としてその違反行為をした者は、二年以下の拘禁刑若しくは百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 4.法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者がその法人の業務又は財産に関して前三項の違反行為をした場合には、その行為者を罰するほか、その法人に対し、当該各項の罰金刑を科する。
- 5.法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものについて前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
この条文の基本情報
法人の道府県民税に係る滞納処分に関する罪とは何ですか?
定義法人の道府県民税に係る滞納処分に関する罪とは、地方税法第69条に定められた規定で、「法人の道府県民税の納税者が滞納処分の執行を免れる目的でその財産を隠蔽し、損壊し、若しくは道府県の不利益に処分し、その財産に係る負担を偽つて増加する行為をし、又は…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 地方税法第69条(法人の道府県民税に係る滞納処分に関する罪)は、日本の地方税法に含まれる条文です。
- 地方税法第69条の条文原文は「法人の道府県民税の納税者が滞納処分の執行を免れる目的でその財産を隠蔽し、損壊し、若しくは道府県の不利益に処分し、その財産に係る負担を偽つて増加する行為をし、又は…」で始まります。
- 地方税法第69条は第三目に置かれています。
- 地方税法の公布日は昭和25年7月31日です。
- 地方税法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 地方税法第69条の前の条は地方税法第68条です。
- 地方税法第69条の次の条は地方税法第70条です。
- 地方税法第69条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第69条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226 - 本サイト収録
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第69条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000226/69
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点地方税法69条は、法人の道府県民税の滞納者が滞納処分を免れる目的で財産を隠蔽・損壊・不利益処分等した場合、三年以下の拘禁刑か二百五十万円以下の罰金に処すと定める。
Q · 会社の税金を滞納している状態で、財産を家族名義に移したら犯罪になる?
払えないだけなら犯罪ではない。財産を隠すと犯罪になる
地方税法69条1項は、法人の道府県民税の納税者が滞納処分の執行を免れる目的で財産を隠蔽、損壊、道府県の不利益に処分するなどした場合、三年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金、又はその併科に処すと定めます。家族名義への移転は「隠蔽」や「不利益処分」に当たりうるうえ、事情を知って受け取った家族も3項で処罰されえます。滞納そのものは処罰対象ではないため、財産を動かす前に徴収猶予や分納を相談するのが正攻法です。
解説
倒産の噂が立った会社で、差押えの前に社用車が社長の親族名義に移る。売掛金の入金口座が急に変わる。帳簿に覚えのない借入れが増える。どれもよく見かける「資産の避難」だが、法人の道府県民税(東京都なら法人都民税)を滞納しているときにやれば、本条の犯罪になる。滞納処分(裁判を経ずに役所が直接財産を差し押さえ、売却して税に充てる手続)を逃れる目的で、財産を隠す、壊す、道府県の不利益になるよう処分する、架空の負担を作る、現状を変えて価値を下げる。こうした行為には三年以下の拘禁刑か二百五十万円以下の罰金が科され、両方が併科されることもある。見落とされやすいのは、処罰の対象が広いことだ。財産を預かる第三者(2項)、事情を知りながら買い受けた相手方(3項、二年以下・百五十万円以下)、実行した従業員が属する法人(4項の両罰規定)まで含まれる。税金を払えないこと自体は犯罪ではない。犯罪になるのは、払えない状態で財産を動かしたときである。
法的な位置づけ
地方税法69条は、法人の道府県民税に係る滞納処分免脱罪を定める規定である。納税者が滞納処分の執行を免れる目的で、財産の隠蔽、損壊、道府県に不利益な処分、負担の仮装増加、現状改変による価額減損又は滞納処分費の増大をさせる行為をした場合を処罰し、財産を占有する第三者、情を知る相手方及び行為者の属する法人も処罰対象とする。
よくある質問 AI による整理
Q1滞納処分免脱罪とは?
税金の滞納者が差押えなどの滞納処分を逃れる目的で財産を隠す、壊す、不当に処分するなどした場合に成立する犯罪です。法人の道府県民税については地方税法69条が定めています。
Q2滞納処分免脱罪の罰則は?
納税者本人と財産を占有する第三者は三年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金、又はその併科です。情を知る相手方は二年以下の拘禁刑若しくは百五十万円以下の罰金です。
Q3差押えの前に財産を移しても違法?
本罪は目的犯であり、条文は差押えの着手を要件としていません。滞納処分の執行を免れる目的で財産を移せば、差押え前の移転でも本罪が成立しえます。
Q4滞納処分免脱罪の時効はいつまで?
法定刑の長期が五年未満の拘禁刑又は罰金に当たるため、公訴時効は三年です(刑事訴訟法250条2項6号)。起算点は隠蔽や処分などの行為が終わった時です。
Q5税金滞納中に家族へ名義変更するのは違法?
免脱目的での名義変更は「隠蔽」や「不利益処分」に当たりえます。事情を知って名義を引き受けた家族も3項の相手方として処罰される可能性があります。
Q6法人住民税を滞納すると差押えはいつ来る?
督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき、徴税吏員は財産を差し押さえなければならないとされています(地方税法68条)。
Q7東京都の法人都民税にも適用される?
適用されます。地方税法1条2項により、道府県に関する規定は都に準用されるため、法人都民税の滞納処分を免れる目的での財産隠しも本条の対象になります。
Q8破産申立て前に資産を売ったら違法?
適正価格での正常な売却なら直ちに本罪にはなりません。ただし親族への低額譲渡などは免脱目的が推認されやすく、破産法上の否認や詐欺破産罪の問題も生じえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社の住民税を滞納してるんですが、払えないだけで捕まったりしますか?
払えないこと自体で処罰されることはありません。本条が処罰するのは、滞納処分を逃れる目的で財産を隠したり、安く処分したりする行為です。払えないなら、徴収猶予(地方税法15条)や換価の猶予を申請し、分納の計画を出すのが正攻法です。実務のポイント:徴収の現場では、早い段階で相談に来た滞納者と、資産を動かしてから見つかった滞納者とで扱いがまったく違う。相談の記録は、後で免脱目的を否定する証拠にもなる
Q2倒産しそうな取引先から、機械を安く買わないかと言われています。買っても大丈夫?
相手の税金の滞納と差押えが近いことを知りながら買えば、本条3項により二年以下の拘禁刑または百五十万円以下の罰金の対象になりえます。刑事とは別に、著しく低い価額で譲り受けた者には第二次納税義務(地方税法11条の8)が課され、滞納税の肩代わりを求められることがあります。実務のポイント:実務で先に届くのは、刑事告発よりも第二次納税義務の納付通知書であることが多い。適正価格を裏付ける査定書を残しておくことが最大の防御になる
Q3顧問の先生に言われてやっただけでも、自分が罪に問われるんですか?
問われます。行為をしたのは経営者や従業員本人であり、助言者の指示は免責の理由になりません。さらに4項の両罰規定によって、会社にも罰金が科されます。スキームを指南した専門家やコンサルタントも、共同正犯や幇助犯(刑法60条、62条)として責任を問われる可能性があります。実務のポイント:「税金だけ旧会社に残す」タイプの会社分割や事業譲渡の提案を受けたら、別の弁護士にセカンドオピニオンを求めるべきだ。提案した側は、捜査が始まると距離を置くことが多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「税金の滞納で刑務所には行かない」という理解は半分しか正しくない。滞納そのものは処罰されないが、滞納処分を逃れるために財産を動かすと、三年以下の拘禁刑が待っている。民事上の借金と同じ感覚で資産を逃がす経営者ほど、この境界線を軽く見ている
- 「安く買っただけの自分は無関係」と考える取引先や親族は多い。だが3項は、事情を知りながら相手方になった者を独立して処罰する。さらに刑事とは別に、著しく低い価額で譲り受けた者には第二次納税義務(滞納者に代わって税を払う義務)が課されうる。刑事責任と税の肩代わりの両方を負う可能性があるという点まで、知られていない
- 「会社の税金だから、責任は会社にしかない」という見方は逆である。刑事責任はまず実際に行為をした人間個人に向かい、4項によって会社には上乗せで罰金が科される。会社という殻が責任を引き受けてくれるのではなく、行為者と会社の両方が処罰される構造になっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 責任の性質 | 地方税法69条:刑事罰(滞納処分免脱罪) | 地方税法11条の8:税の肩代わり(第二次納税義務) 国税徴収法187条:刑事罰(国税の滞納処分免脱罪) |
| 対象となる税 | 法人の道府県民税(都に準用) | 地方団体の徴収金全般 国税 |
| 主観的要件 | 滞納処分の執行を免れる目的(相手方は情を知ること) | 目的は不要。無償又は著しく低い額での譲受けという客観的事実で判断 滞納処分の執行を免れる目的 |
| 法定刑・負担 | 三年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金又は併科 | 受けた利益を限度とする納付義務 三年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金又は併科 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾では強制執行を受けようとする債務人の財産隠匿等を損害債権罪として一般的に処罰し、欠税者には税捐稽徴法による財産保全(処分禁止・仮差押え)が用意されている。税目ごとの免脱罪を置く日本とは構造が異なる
韓国は租税犯処罰法に滞納処分免脱罪を置き、財産の隠匿・脱漏・虚偽契約を処罰する。情を知る幇助者も処罰する点で日本と近い
中国は財産の移転・隠匿により税務機関の追徴を不能にする行為を処罰するが、一定額以上の欠税という数額要件がある点で日本と異なる
ドイツは強制執行の妨害を一般的に処罰する規定で対応し、租税債権も対象に含まれうる。税法独自の免脱罪ではない
米国は内国歳入法典で、課税対象物や差押え対象財産の移転・隠匿を詐欺の意図で行うことを重罪として処罰する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 資金繰りが行き詰まった飲食チェーンの社長が、都税事務所から督促状が届いた翌週、厨房機器一式を妻が代表を務める別会社へ帳簿価額の一割で売却した。差押えに来た徴収職員が見たのは空の店舗だった。本条1項の典型例であり、別会社の側も3項で処罰されうる
- 取引先の社長から「会社をたたむので、営業車を三台まとめて相場の半値で引き取ってほしい」と頼まれた。相手に税金の滞納があり、差押えが近いことを知っていたらどうなる? 安く買えたはずの車が、あなたを二年以下の拘禁刑の被告人にする
- 倉庫業者のあなたは、滞納中の顧客企業から「在庫を当分そちらの別の倉庫に移して、うちの名前を伏せておいてくれ」と頼まれた。財産を占有する第三者がこれに応じれば、2項により滞納者本人と同じ法定刑になる
- 経理担当者が社長に指示され、差押え予定の預金を役員個人の口座へ移した。差押えの予告はあと三日後。行為者として経理担当者本人が処罰されるうえ、4項により会社にも罰金が科される。「指示に従っただけ」は免責の理由にならない
- 事業承継コンサルタントに「旧会社に税金だけ残して、事業と資産は新会社へ移せばいい」と勧められた。いわゆる計画倒産のスキームは、滞納処分を免れる目的が明らかになった時点で本条の射程に入る。指南したコンサルタントも共犯として責任を問われうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 滞納中の会社から名義貸し、資産の預かり、格安での買取りを頼まれたら、まず書面で事情を確認し、免脱目的がうかがえる場合はその場で断る2. すでに受け取ってしまった財産は、勝手に転売したり処分したりせず、そのまま保全する3. 徴収職員や警察から連絡が来たら、取引の経緯と対価の支払記録をまとめ、弁護士に相談したうえで対応する4. 他の債権者の立場で資産の流出に気付いた場合は、詐害行為取消(民法424条)による回収の可能性を検討する
訴えられた側:1. 資産移転をすでに行ったのであれば、それ以上動かさず、取引記録を改ざんしない。隠滅は情状を大きく悪化させる2. 弁護士を通じて、移転した資産を自主的に戻すことや納税計画を示すことを検討する。免脱の結果を解消すれば、処分の判断に影響しうる3. 移転が正常な取引で、適正な対価を受け取っていたなら、その証拠(査定書、振込記録)を揃えて免脱目的を否定する4. 倒産が避けられない状況なら、資産を隠すより破産・民事再生の申立てを弁護士と検討する
時効(請求できる期限):法定刑の長期が五年未満の拘禁刑または罰金に当たるため、公訴時効は三年(刑事訴訟法250条2項6号)。起算点は隠蔽や処分などの行為が終わった時。なお滞納税そのものの徴収権は法定納期限の翌日から五年で時効消滅する(地方税法18条)が、差押えなどで更新される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本罪は滞納処分の執行を免れる目的を要件とする目的犯であり、行為時にその目的があれば成立し、現実に滞納処分を免れたという結果の発生は要しないと解されている。同型の国税徴収法187条と同様の解釈がとられる
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法等の一部改正に伴い、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた。罰金額の引上げ時期など、それ以前の改正経緯は人的検証が必要
改正の年表
- 1.令和7年(2025年) 改正:刑法等の一部を改正する法律(令和4年公布)の施行に伴い、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた(2025年6月1日施行)
- 地方税法 第68条法人の道府県民税に係る滞納処分の根拠
- 地方税法 第70条滞納処分に関する検査拒否等の罪(現行効力を要確認)
- 地方税法 第11条の8低額譲受人の第二次納税義務
- 地方税法 第18条地方税の徴収権の消滅時効
- 地方税法 第15条徴収猶予、正規の救済手段
- 国税徴収法 第187条国税の滞納処分免脱罪、同型の規定
- 刑法 第96条の2強制執行妨害目的財産損壊等罪
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める